「ピクルはいずこへ」(2012/01/21 (土) 22:59:35) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
踵を返すペイン博士。両手に提げたバケツはそれぞれ、10kg近い肉塊が入っている。
20%を超える比率で、培養した肉を含んでいる。
のび太の方へ振り向いた形になるペイン。壁にフラフープをフチとする空洞が開いており、そこから蒼い狸がのそのそ出てくる。
両手を前へ投げ出し、ピクルの元へ駆け寄ろうとする。
しかし、バケツを手放した反動は結果的にペインに尻もちを搗かせる。
のび太が遠慮なく、ペイン氏の腹に前蹴りを入れた。
22世紀帝愛の時間貯金箱が無ければ、ノビスケの成長まで待たないと
発現しないはずだった、のび太が秘める蛮勇。
ドッと音を立てて倒れたペインにはもう、足を引っかけられないか否かの興味しかない。
バケツ一つを両手で持ち、ピクルの元へ駆け寄る。
「やめろ!」。背中から響く声を振り切り、砂埃を立ててバケツをボソッと置く。
「好きなだけ食べて!!」。「パイズニアス!」。「?」。
ペインが慌てて言い直す。「毒入りだぞ!」。「!!」。
ピクルがバケツの取っ手を掴み、豪快に投げ捨てる。
客席の一部が壊れ、中身が舞い散る。毒物は、化学毒ではなかった。
味沢さんがオランダで末期がんの人に出した、フグ料理の素材と同じ物が客席に散乱してる。
「熟成の始まった肉から、培養を始めるなんて『この世界軸』じゃ2012年の産物じゃありません」。
客席でペインと並んで座り、ドラえもんが語り始める。
23世紀末に一人の鮨メーカー・オーナーがグルメ・テーブル掛けのセーブデータを弄って作るはずの産物。
そして、大富豪ノルマンスタンがその鮨を食べたのがキッカケで、のび太たちは初めて命や人生を懸けた戦いに参じてしまう。
「ピクルは、ノルマンスタン氏が作った。他に麒麟と龍も作ったが、『リリース』は済んでる」。
押し黙るのび太。犬一匹、延命するしないで長く葛藤したのと同じ年、ヒカリ族に与して戦ったのと同じ年に
聞くべきでない未来世界の生命倫理。
花道に影が差す。「烈さん・・・・・・・」。
「麒麟と龍は、拳法に殉じた。そこな野人と同じく、わたしと試合をしたッ!!」。
武の神様に全てを捧げる21世紀人に、諌められたみたいな態度をしつつドラえもんは冷静に考えた。
(ピクルを処分するとき、ヤツはこちらの人間に手を下させる気だ・・・)
(ノルマンスタンが、24世紀を離れられない?)
「ピクルを中国に逃がせないか?」。
ペインが烈を見上げて問いかける。フグ肝が徳川の包丁人の提供なら、頼みのヘリコプタも使えない。
「『どこでもドア』を使うと、未来の世界で密航になってしまうんです」。
ドラえもんが、暗に「ピクルを中国には逃がせない」と言う。
「じゃあ、三輪飛行機だね。あの大きさなら、海沿いをインドまで飛べる」。
「なんてこと言うんだのび太!(郵便ロケットと)速度だって違うんだぞ」。
「ピクルも、三輪飛行機で行くんだよ」。いつになく真摯なまなざし。
見開きでテーマソング:「蝋の翼」(鬼束ちひろ)
東京湾から発つ3機の機影。
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: