SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「「絶対、大丈夫」43-1」で検索した結果
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「絶対、大丈夫」43-1
「大丈夫、小狼くん!?」 「ああ、なんとか……な……」 辺りがもうすでに暗闇に包まれている、夜。 そこに、茶色い髪を短く切った、緑色の瞳の、少女。茶色い髪に、同じく茶色 い瞳の、少年がいた。 木にもたれかかって苦しそうに顔をゆがめる少年を、少女が心配そうな顔で 見つめる。 少年の服、特に腹のあたりが赤く染まっている……血だ。 少年が、痛みをなんとかこらえながら、立ち上がった。 「さくら……はやく、この場から……逃げ……ろ……」 「ダメだよ、小狼くんを置いて、逃げるなんて……」 「いいから、早く!」 言い争う、二人。 その二人に、声をかける者が、いた。 「おや、こんなところにいたのかい?」 「!?」 声がした方を振り向くと、そこにいたのは黒装束を着た、黒い髪に、黒い目の 少年が、いた。少女たちと年齢はさほど変わらないだろう……しかし、その目に はその歳特有... -
『絶対、大丈夫』第四話 47-1
第四話<そして、外れていく日常・2> とある世界────日本、某市の小学校の裏山。 そこは普段ならば、子供たちの遊び場になっていたり、鳥や狸(決して、ドラえもんのことではない)などの住家となっている、のどかな場所だ。耳を澄ませば小鳥や小動物の鳴き声が、さまざまな所から聞こえる。 人間の手による地球環境の破壊が様々なところで騒がれている中、一切人の手がかかっていない珍しいところだ──── それも、普段、の話であるが。 今は、その普段の状態では─────ない。 雑草や小さな花などが生えていた地面の所々は抉られ、中の土を露出させている。太陽の光を少ししか通さないほど生い茂っていたはずの木々が、何十本も根こそぎ倒されている。まさに、目を覆いたくなるような惨状だった。 小鳥や小動物の鳴き声など、聞こえない。 代わりに聞こえるのは────まるで花火の音を近くで... -
『絶対、大丈夫』(白書さま)
開幕 第一話<必然のデアイ> 第二話<それは、未来への不安なの> 第三話<そして、外れていく日常> 第四話<そして、外れていく日常> 2 3 -
『絶対、大丈夫』(白書さま)45-1
第二話<それは、未来への不安なの> 前回より少し前のお話。 「おじゃまします、小狼君。」 「ああ、いらっしゃい。」 さくらが、小狼が日本で活動する際の拠点としている、マンションにやってきた。 別に来るのは初めてではないが、二人きりというのは初めてである。なんせ、いつだっけか ここに来たときには、当時小学生だった小狼の付添い人である、衛(ウェイ)がいた。 しかし、今は完全に二人きりである。 好きな人と一緒にいられるということは、きっと人間として一番幸せなのだろう。とてもにこ やかな顔で、さくらは靴を脱いで、短い廊下を歩き、そのままリビングに入った。 ちょうど部屋の真ん中にテーブルがあり、そしてその付近にはソファ、そしてちょっと離 れた隅っこの方にテレビが置いてある……という感じの部屋は、綺麗さっぱり整理整 頓されており、埃一つないように思われる。ていうか、絶対にないと思う。 しか... -
『絶対、大丈夫』(白書さま)46-1
第三話<そして、外れていく日常> 「おい、のび太、野球やんねえか?」 と、野比のび太に言ったのは、この町一番の暴れん坊でガキ大将の、ジャイアンこと、剛 田武だった。 ちなみに、言われたのび太は、ドラえもんと共にジャイアンのほかに骨川スネ夫がいる空 地の前の道路を歩いていたところだった。嫌そうな顔をしながら、答える。 「やだよ。だって、もしそれで負けたりしたら、『のび太、お前のせいで負けたんだぞ』とか 言ってくるじゃないか。」 というのび太の言ってることは別に言い過ぎではではない。ジャイアンは友達を大切にする 情に厚い一面もないこともないが、その一方で自分の失敗を人のせいにするなどの、自 分勝手な一面もあるのだ。というか、その一面のほうが先ほど言った一面よりも強いだろ う。それだけははっきり言えた。 しかし、人というのは自分の欠点を言われると思わず逆上してしまう生き物だ。もちろん ジャイ... -
『絶対、大丈夫』(白書さま)44-1
第一話 <必然のデアイ> 爆発。そして轟音が、学園の一角を包んだ。 その爆炎の中から、きていた黒いマントをぼろぼろにした金髪の少女と、ところど ころを損傷した、ロボット少女が飛び出る。 ロボット少女……茶々丸が、事務的な声で、金髪の少女……エヴァンジェ リンに言う。 「すいません、マスター。駆動系をやられました。どうやら、戦闘行動をとる事は 難しいようです。」 エヴァが、思わず叫んだ。 「くそっ、一体なんだというのだ!」 突如現れた、謎の敵。紅い髪の毛、そして紅い瞳の、一切感情を感じることが できない、青年。 そして、その力に、先ほどから翻弄され続けている。 ふと、壁のように立ち込める爆炎に、トンネルのような穴が開いた。そして、そこ から長身のほっそりとした、紅い髪と瞳の青年が現れる。 彼は、エヴァと茶々丸のすぐ前まで歩いてくると、かなり無愛想な声で言った。 「……悪いが、一緒にきて... -
『絶対、大丈夫』第四話 <そして、外れていく日常3>51-1
第四話<そして、外れていく日常・3> 秀一は、時空管理局の万能戦闘母艦、ハガネの廊下を歩いていた。 向かう先は、館長室。オフィスと、自分の寝室を兼ねた部屋だ。 最近は、事件ばっかりでほとんど休めていないので、ちょっとの間、艦を部下に任せて休も う、というわけだ。それと、部屋にあるコンピュータで、個人的な知り合いにも連絡をとる、 というのもある。 「…………頭が、痛い……」 徹夜のせいだろうか、と思いながら秀一は頭をぶんぶん振る。よけいに頭痛はひどくなった。 なんとか途中で倒れたりせずに部屋に到着する。冷蔵庫から冷たいミルクコーヒーの缶を取 り出し、パソコン台の前に置かれた椅子に座る。そして、コーヒーを飲み始めた。 その片手間にコンピュータの電源を入れ、異世界間通信用のソフトを立ち上げ、通信先のア ドレスを入力した。... -
短編SS
60kb以下の短編達です。 【職人さん別 Index】 完結した短編達 サナダムシさま短編集 バキスレにサナダムシさまが投稿された短編の数々です。 連載中の短編 ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア(店長さま) 『絶対、大丈夫』(白書さま) 鬼と人のワルツ(鬼平さま) よつばと虎眼流(鬼平さま) 野比のび太(仮} (店長さま) ドラえもん のび太の新説桃太郎伝 (サマサさま) 無題(銀杏丸さま) 狂った世界で(proxyさま) カイジ外伝、やさぐれ獅子番外編(名無しさま) カシオスの冒険(名無しさま) ブルーグラード外伝(名無しさま) ドラゴンボール 恐怖!新たなる敵 DBIF(クリキントンさま) 再会(クリキントンさま) ... -
七クロ 53-1
七人?のクロ校 前略、おふくろ様。僕がクロマティー高校に入学して、早いもので一年以上の 月日が流れました。初めのうちはどうなることかと思いましたが、今では友人も 出来、楽しい高校生活を満喫させてもらってます。まあ、そんなこんなで僕達は 今回、待望の修学旅行に臨んでいる訳なんですが……………ここ、何処? ~新幹線内~ 「お~い、神山。何やってんだよ、さっさと遊びにいこうぜ」 「あ、林田君。ちょっと待っててよ。今、手紙を書いていたところなんだ」 「は、手紙?……おいおい、何処まで糞真面目なんだよ、お前は」 「何だよ、悪い?」 「別に悪かないけどさ、手紙なんて何時でも書けるだろう。折角の修学旅行 なんだから、有名な大仏でも拝みにいこうぜ」 「大仏かあ。修学旅行の定番だよね」 「そうさ!ほら、そうと決まったら、早く行こうぜ」 「…... -
聖少女風流記 43-1
聖少女風流記 【慶次編 第一話 前田 慶次という男】 前田 慶次朗 利益という人物は、そもそも謎が多い人物である。 勿論、ジャンヌ・ダルクと同様に実在の人物ではあった。 が、これもジャンヌと同様、現在に残る資料が少ないのだ。 その華々しい傾き振りとは裏腹に、詳しい生年も没年も分かっていない。 まず、素性からして明らかではない。 慶次は織田信長の臣下であった滝川 一益の子で、その妻が後に前田 利家の兄、 利久と再婚し、連れ子であった慶次が前田姓を継いだ、という説がある。 また、利久の妻は元々一益の弟、益氏の妻であり、益氏が戦死した後に 嫁に入ったという説もある。その時には既に、益氏の胤(たね)を宿していた。 その胤こそが慶次である、という説もある。 それ以外にも諸説あり、慶次の実の父親というのが一益なのか、益氏なのか、 それとも別の誰... -
やさぐれ獅子 二十日目 43-1
『香取大明神』『鹿島大明神』 掛け軸となりて神心会本部道場を守護する神々。 長年通っていた聖地とはいえ、ところどころがぼやけてしまっている。加藤は最大トー ナメントが終わってからは、再び闇社会に堕ちていたためだ。 しかし、この人だけはぼやけることがない。たとえ何年会わなかろうと。 耳を澄ませば、声すら聞こえてくる。 「……ぇな」 「……だとッ!」 「──ったく、おめぇといい末堂といい、分かっちゃいねぇな」 「なんだとッ!」 「これが三戦ってんだよ……。攻守に長け、なによりバランスがいい」 「バランス……」 「船の上で考案された代物だからな。あいつにもいったが、電車の中で喧嘩売られたら試 してみな」 回想を終える。と、加藤はごく自然に三戦立ちの体勢となっていた。 「館長、ありがとう。俺はもうこれに賭けるしかねぇ」 背水の陣。もし三戦が通用し... -
鬼と人のワルツ43-1
同刻 「甘味処たちばな」と書かれた店にて。 (「たちばな」といっても変な藻の浮いた水槽に浮かべられた人や、天下を取るといって剣道を徹底的にコケにした人とは関係がまったくないことをここに明記しておきたい。) 「今日もお疲れ様」 猛士の隠れ支部に帰った響鬼は返し扉の奥にある分析室へと向かった。 今日見た魔化魍の様子がおかしかったからだ。 「どうしたの?何か気になることでもあったの?」 「いや、今日戦ったオオカマキリね、普通の奴より大きかったんだよ。それに大きさの割には脆過ぎたんだ」 「脆過ぎたってのは別にいいけれど、大きかったというのは問題ね、見てみようか」 響鬼はおもむろに円盤状の物体を取り出しテレビにつないだ。 「お、今回のディスクアニマルはよく撮れてますね、みどりさん」 「カメラの接続をちょっといじってみたのよ」 みどりとよばれた女性がテレビのリモコン... -
猿の手 53-1
黒。 眼に映るのは黒、黒、黒。 己も人も黒を身にまとう。 それが当然だと誰が決めたのだろう。誰も、何も疑問を抱かないのだろうか。 着なければいけないものを着て、来なければならないから来ているのか? 本当に彼女の事を、義妹の事を悼んでいる者が、この黒い集団の中に何人いるというのだ? それに声。そう、声だ。 『ここへ運び込まれた時には既に心肺停止状態でした。おそらく即死かと……。 あっ、あの、御遺体はご覧にならない方が……その、何というか……あまりにも損傷が 激しいので……――』 様々な声が人々の口から、または電波を介して発せられ、斗貴子の耳に捻じ込まれていく。 『運転手の居眠りが原因のようです。業務上過失致死の疑いで現行犯逮捕しました。 殺人罪? うーん、それはちょっとねえ……。まあ、今後の取調べによっては危険運転致死罪... -
虹の彼方(ミドリ様)43-1
ジュネが飛び出していく斗貴子を止めなかったのは、アテナに制されたせいであった。 緊迫した二人の空気に割り込んでいった斗貴子を横目で追いながら、その理由を問う。 「アテナ……?なぜ……」 「これをあなたに」 私の問いにスッと笑みを消し、こちらを真っ直ぐに見据えたアテナが右手を差し出した。 「これは……!」 見覚えのある六角形の物体。 表面に何も記されていない――――本物ならばナンバーが刻まれているはずのソレは、数日前にアテナがジュネに託し、斗貴子との接触のきっかけとして使わせたモノ。偽の、核鉄。 何故今になってこんな物を……。 困惑気味にアテナを見返した私は、その瞬間息をのんだ。 瞬く間に膨れあがる――――神の小宇宙。 目前の少女が、“城戸沙織”から“女神アテナ”へと変わる。 「女神アテナの名の下に……カメレオン星座の聖闘士、ジュネに命じます」 アテナの声は決して大... -
七クロ 53-3
~バー店内~ 「よ、らっしゃい!」 「おう、親父、ビールだ。ビールをジャンジャン持ってきてくれ!」 「へい、毎度!」 「ふ~、ようやく一息つけたな」 「だね。一時はどうなることかと思ったけど、本当、助かったよ」 「どうも、お待たせしました」 「お、早いな。よし、早速……ヒョ~、うっめえ~!」 「全く、生き返るとはこのことだ」 「ああ、染みるなあ……」 「……神山、お前、普通に酒飲むんだな」 「え、何か、問題ある?」 「いや、別にないけど……」 「だったら変なこと言わないでよ。未成年がお酒飲んじゃいけないって 法律で決まっている訳じゃないんだから……ん?」 「どうかしたのか、神山?」 「いや、なんかね、ビールを運んできた女の子がずっとこっちを 見ているんだよ」 「まあ、色んな意味で目立つ集団だからな、仕方あるまい」 ... -
鬼と人のワルツ(ダーカさま)
鬼と人のワルツ(名無しさま)43-1 鬼と人のワルツ(名無しさま)43-2 鬼と人のワルツ(名無しさま)45-1 -
七クロ 53-6
~オアシス入り口~ 「一体、いつまで強情を張るつもりなんだ、この餓鬼め」 「何よ、しつこいのはあなた達の方でしょ。毎日毎日、やって来ては 『出ていけ出ていけ』と、うるさいったらありゃしない」 「あのな、お前が居座ってさえいなけりゃ、こんなこと誰も言いやしねえよ」 「そうだぜ。ここを占拠されていると、いつまで経っても工事が始められねえんだ。 早い所、立ち退いてくれよ」 「ふん、何で私が出ていかなきゃならないのよ。ここはね、私達のオアシスなのよ。 あんた達こそ、さっさと荷物をまとめて出て行きなさいよ!」 「……このクソ餓鬼が、つけあがりやがって」 「……ああ。少しは痛い目に会わせてやった方がいいんじゃねえか?」 「私を嚇すつもり?そんなことしても無駄よ。口を開けば『出て行け』としか 吠えられない犬なんてちっとも怖くないもの」 「何をこの餓鬼め... -
バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~(17さま)
バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~43-1 バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~43-2 -
七クロ 53-7
「ちょっと待った!!」 「だ、誰だ!?」 「少女が守りし、泉を奪い」 「ゴフ!」 「さらには力でねじ伏せる」 「ゲッ!」 「悪鬼のごとき、その行状は」 「ヘブッ!」 「見過ごすことは出来申さぬ」 「ガフン!」 「よって、拙者が助太刀……って、ちょっと、ちょっと、林田君。殴るの早い」 「え、そう?」 「折角、人がなりきっているんだから段取りとか考えてよ」 「おお、そうか、すまん」 「もう……じゃ、改めて……ドスン、ガスン、ボスン、バタン、ガッ、ガッ、ガッ!! ……安心なされよ、峰打ちじゃ。と、まあ、こんな感じでいきたいよね」 「これだけ殴られたら、ちっとも安心なんて出来なさそうだが」 「大丈夫だよ。なんてったって峰打ちなんだし、いくら殴っても命に別状は無いでしょ」 「……全身に返り血を浴びながら言う台詞じゃないな」... -
VP 53-1
「――ッ――!」 不意に呼ばれたように思い、彼はまぶたを開けた。 誰もいない。 夢か、と思うが、それがこの熱帯雨林の高温多湿さと混じり、彼にはことさら不愉快だった。 熱帯雨林の中で仁王立ちの巌のような巨躯に、赤銅色の肌、蛍火のように鈍く輝く頭髪をもった威丈夫の名は、 ヴィクター・パワードと言った。 元々、彼はここにとどまる積もりなどなかった。そもそもこの地の者ですらない。 かつて太陽の沈まない国と呼ばれ、世界に冠たる帝国としてその名を轟かせたユナイテッドキングダム、 その最後の黄金期に彼は生を受けたのだが、気まぐれな運命の女神に弄ばれた彼は、 人として生を全うする事が出来なかった。 人でも食人の怪物でもないなにかへと成りはてた彼は、紆余曲折を経て東の彼方、日本へと落ち延び、 その地で出会った朋輩の助けを得て百年を眠った。 も... -
金田一少年の事件簿 殺人鬼『R』43-1
二十九 抵抗 はじめは、身体を押さえ付けて『制圧』の体制を取っていた警察官を、二人纏めて跳ね飛ばした。 二人が、東廊下へと歩いて行く上司の行動を追って目を逸らし、力を緩めた、一瞬の隙だった。 靴も履かないままに、まだ開け放たれたままの玄関から、外へと飛び出す。 背中から警察官達の怒号が追いかけて来たが、振り向いている余裕などなかった。 鮮やかに色付いた木の葉が、緑色のうねりとなって、視界の端から端へ流れては消える。 尖った枝葉が、頬を切り裂くのも構わず。踏み付けた小石が、足を痛めつけるのも構わず。 はじめはゴールなき山道を、獣のように駆けた。 だが、極度のプレッシャーを伴う全力疾走である。 マラソンランナーでもなければ、そう長続きするものではない。 必然、急激な酷使に耐えかねた肉体は悲鳴をあげて、序々にスピードが低下する。 気付けば、... -
悪魔の歌 53-4
ロードワークから帰ってくるなり、いきなり見知らぬガラ悪いロン毛大男とスパーリングしろ、 と言われたんだから、そりゃ一歩は困惑する。 「なんでボクが?」 「ご指名なんだからしょうがねえだろ。見学者には親切に、可能な限りリクエストには 応え、入門に繋げる。ジム経営にとっては大切なこと、って八木ちゃんも言ってただろ。 ん? 何だよその、『ウソ臭い。鷹村さんらしくない。絶対なんか企んでる』って目は」 「……もういいです」 反論する気力もない一歩は、のろのろと用意してリングに上がる。 そこには、ヘッドギアとマウスピースとグローブと、準備万端のレッドが待っていた。ギラつく 目で一歩を睨みつけている。ジム内には相変わらずDMCの曲がエンドレスで轟いている ので、否が応にも殺害ムードは満点だ。 ちょっと縮こまってしまう一歩に、レツドが低い声で語りかけた。 「一つ、答えろ。お前はこの... -
傷跡の記憶 48-1
すっかり寝静まった夜更けの町。その静寂を破って、石畳の道を蹴るいくつもの蹄の音が響く。 「そっちへ逃げたぞ。追えっ!」 教会から「異端の徒」として追われる二人組の「切り裂き魔」――バズとロザリィは、馬を駆って追ってくる聖騎士の一団から逃れようと、曲がりくねった街路を脇目も振らず駆けていた。 複雑に入り組んだ狭い街路を何度も曲がって進むうち、背後に聞こえる蹄の音は次第にその数を減らし、やがて全く聞こえなくなった。 「ぼっちゃま。大丈夫っスか?」 やや長めの金髪の毛先を立てるようにして頭の後ろでまとめ、白いブラウスに黒いベストと丈の短い黒いスカートを身につけて、網目の粗いタイツに踵の高い靴を履いた気の強そうな 顔立ちの少女、ロザリィが、走る速度を緩めて振り返り、少し遅れて駆けてくる常人並みの体力しか持たない主人を気遣うように言った。 この華奢な体つきをした少女が、手... -
七クロ 54-3
「ク、クソ、隊長達がやられちまったぞ!」 「ど、どうするよ?」 「どうするって言われても……」 「お、お前ら、あ、慌てるんじゃねえ!数的にはまだこちらが優位なのを忘れるな!」 「そうだ、敵はまだたったの五人じゃねえか。ビビることはねえ!」 「……いや、五人じゃないぜ。六人だ」 「何だと!?……ゴフッ」 「グフッ」「ゲフッ」「ガフッ」 「やれやれ、と……あれ、北斗達も来てたのか。やっぱ皆、同じような事、 考えてんだな」 「前田君!」 「前田じゃねえか!」 「おいおい、そんなに吃驚するなよ。助けに来るのはダチとして当然だ。 照れくせえぜ」 「いたの?」 「いたのか?」 「……相変わらずの扱いだな。お前らさ、それって俺用の挨拶か何かなのか?」 「凄い……砂漠で気付かれずに敵の背後まで忍び寄るなんて……この人、まるで 忍... -
やさぐれ獅子 二十日目 43-2
武神と井上。憎むべき敵と愛した後輩。ふたつの姿が薄れていく。 はっきりと目に映っていた輪郭は徐々にぼやけ、極めて透明に近い濃度となる。 「じゃあな、井上……」 そっと微笑み、加藤が別れを告げる。 次に会えるとしたら、試練を全て耐えた後。十日後、自分は生きているだろうか。もは や死に対してはさほど恐れはないが、井上に会えなくなることはとても恐ろしかった。 もうまもなく、武神と井上が完全に消える。 「………」 いなくなる瞬間は目にすまいと、加藤が背を向ける。と、後ろからだれかがのしかかっ てきた。 「──なっ?!」試練か、と拳を握る加藤。 しかし、柔らかいこの感触──女のボディだ。 「待ってください!」 「え……えっ? い、井上!?」 背中には井上が泣きながら張りついており、姿もくっきりと映っている。振り返ると、 武神が立っていた。 「空間転移す... -
バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~43-1
「ありました。ザンの目印です」 シドガーが岩石砂漠の岩肌に刻まれた矢印を発見して一行に告げた。 「ザンたち、順調に進んでいるようだな」 ソシュウが岩肌に刻まれた『兄ちゃんたちがんばれ!』の文字を発見してほっと一安心する。 「今夜はここに野営するか。他の怪物どもがまた来ないとも限らんからな」 牙炎が宣言する。 「シアンとバーディーが来るかもしれんし」 ヨキーウが付け加える。 「そうだな。ルアイソーテの連中はまだ後方だろうし、ここで合流を待つのも悪くないかもな」 ソシュウも答え、一行は見張り番を立てて岩石砂漠の端にその身を休めたのだった。 夜が明けた早々、バーディーとシアン、それからルアイソーテ軍のサーラを加えた三人は、 牙炎たちと合流すべく行動を開始した。 シアンが先頭に立って、抗術の中心を目指して進んでいく。 今度はちゃんと岩石地帯らしき場所に出てきていた。... -
シルバーソウルって英訳するとちょっと格好いい 43-1
第二十六話「昔の知人はいつかの重要キャラ」 「あーなんか暇だなーこれ。久々の登場なのにやることがないってどうなのよこれ」 万事屋銀ちゃんは、常時満員御礼の激安スーパー店とは違う。 忙しい日もあれば暇な日もある。それを決めるのはお客様である依頼主次第。 ま、大半は暇な日がほとんどで、大黒柱である坂田銀時も毎日がサンデー状態が続いていた。 「ちょっと、シャキッとしてくださいよ銀さん。いくら仕事がこないからって、最近だらけすぎですよ」 ソファの上でゴロゴロしているぐうたら主を指摘したのは、仕事はなくとも生活はする男、志村新八。 今はハタキ片手に、万事屋内の埃群と大戦を繰り広げている最中だった。 「しかしなー、新八。ネタのないギャグ漫画なんて載っててもやることないだろ? 仕事のない社会人なんて、いてもやることないんだから大人しく寝てろって理屈に繋がると... -
しけい荘戦記 第十七話「絶体絶命」
弾丸を同じ場所に三連続でヒットするのではなく、一度に三発の弾丸を被弾させる。ど れほど射撃の腕を磨こうと不可能な技術であるが、三位一体ならば可能となる。シコルス キーの右膝は完全に粉砕された。 「フフフ……すばらしかったよ、シコルスキー。君の戦力は我々の予測以上だった。しか しいかに強かろうが所詮は個人、我々“マウス”に勝てる道理はない」 得意げに勝ち誇る唇(リップ)。西部劇のような仕草で拳銃を回している。 脂汗まみれで、シコルスキーはなおも立ち上がろうしていた。右足がダメなら、左足だ けで戦ってみせる。 「フン……拳銃がなけりゃ、怖くて逮捕もできない臆病な警官には、ちょうどいい……ハ ンディだ……」 「減」と唇。 「ら」と歯。 「ず」と舌。 「口」と唇。 「を」と歯。 唇がさっと手を上げると、歯(トゥース)と舌(タング)... -
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toilet -- (aaa) 2007-01-30 13 29 33 オッパイオッパイ -- (オパーイ) 2007-02-14 14 40 41 お疲れさまです。バレさんの掲示板の -- (46スレ) 2007-03-21 12 05 28 お疲れ様です。バレさんの掲示板の閉鎖報告本当かなぁ。 -- (46スレ) 2007-03-21 12 06 18 いたずらだったみたいだ、まったく -- (名無しさん) 2007-04-03 02 25 07 ロゴが可愛い……良センス也、ゴートさん。 -- (ふら~り) 2007-04-30 23 15 27 色々とご迷惑をおかけして申し訳ございません。今日スレを閲覧して貴サイトを確認いたしました。本当にありがとうございます。 -- (バレ) 2007-05-06 15 21 34 >ふらーり... -
第095話 「演劇をしよう!! (前編)」 (5)
【9月13日】 ──────華道部部室。ガス騒動の臨時避難所にて────── 「幹部が?」 「匂いがしたというだけだ。いるかどうかまでは──…」 そこまでいうと無銘は額を抑え渋い顔をした。布団の上でやっと上体だけ起こしている。そんな様子だ。毒が抜けるまで いましばらくかかるように思えた。 (妙だ) 胸中の違和感がますます強くなっているのを感じ、秋水は黙りこんだ。演技の神様に逢って以来、何かが迫ってきている ような気がしてならない。明確な敵意こそ感じないが、輪郭を得る前のそれが少しずつ街を取り巻いてきているような…… そもそもなぜ「黙りこむ」のか。違和感を覚えたのなら他の戦士にそれをいい、対策すべきなのに。 「とにかく柑橘の匂いだ。いま気付いたがあれはマンゴー。マンゴーの香りだった 「もう一度追跡してみるか?」 「貴様と組むのは願い下げだ。師父や戦士... -
「BAMBOO 電王」 55-1
私立室江高校剣道部に所属する川添珠姫は、凄腕の少女剣士。 アニメや特撮物が好きで、中でも「ブレードブレイバー」は大のお気に入り。 でも、対人関係にやや難があり、自分は「おもしろくない」のでは?と悩む所も。 …そんなタマキが新しい、そして理想のバイトに巡り会った。 「趣味と実益を兼ねたバイトをしている、というのかい?」 タマキの父は、夕食の席で打ち明けられて驚いた。コクリと頷くタマキを見ながら思った。 (バイトは初めてではないからいいとして…あの子の趣味に合ったというと… アニメイト辺りか?…欲しい物があるなら、買ってあげるのに…まあいい。 本人も楽しんでいるみたいだから、とりあえずは見守るとするか…なあ、母さん。) ジーッと自分の顔を見つめるタマキに気付いた父は、仕方なく頷いた。 「わかった。タマキ。バイト頑張りなさい。」 「ありがとう... -
Hell's angel(ガモンさま) 第二話 再会
「大丈夫ですか?鬼塚先生。」 内山田教頭に追われ続けていた鬼塚は一周廻って屋上に戻っていた。 「大丈夫っすよ冬月ちゃん。それよりさっきの爆発何すか?」 「それが、今日から登校し始めた阿久津って生徒が怪しいって職員室で大騒ぎになってるんですよ。」 それでは何の為に今まで鬼塚達が追い駆け回されていたのだろうか? 「またすぐに生徒疑っちまうってのも、拙いんじゃないですかね。それに阿久津ってうちの生徒じゃないですか。」 とても神崎相手にマジギレしていた男とは思えない。 「鬼塚、追いだせるの?」 相沢が阿久津に問いただす。教師に余程の恨みがあるのだろうか、表情に鬼気迫るものがある。 そんな相沢の問いに阿久津は返事を返さない。 「ねえ、大丈夫なの!?今回の相手は一筋縄じゃいかないって話したでしょう?」 「五月蠅い、大体お前が”あんな事”をしなけりゃ”アイツ”... -
鬼と人のワルツ43-2
その夜は残暑が厳い夜で、眠れない飲茶は三度目のため息をついた。 脳裏に昼間の事件がこびりついて離れない。 諸々の感情が浮かんでは消えていく。 「暑いなぁ」 もう一度ため息をついて部屋の窓を開けた。 少しばかり風が吹き込んできたが1LDKの部屋は一向に涼しくならない。 クーラーぐらいつければいいのに。 うんざりした気分で電灯の紐を引いた。 豆球の発する熱でも減らしたいと思ったのだ。 無論ただの気休めである。 完全に電気の消えた部屋で、電灯のスイッチの先についたプラスチックの重りが浮かんで見えた。 何とはなしにファイティングポーズを取り、夜光塗料でぼんやり光るそれに拳を降った。 狼牙風々・・・ 紐が揺れてまたもとの位置に戻る。 重力とは偉大なものだ。 もう一度繰り返す。 三発目のパンチのとき、紐が指の間に挟まって電灯が派手に揺れた。... -
ダイの大冒険AFTER(ガモンさま) 第十話 完全敗北
剣先だけでダイの剣を押すダークドレアム、次第に均衡は破られつつあった。 「こんなものか?もう少し粘って欲しいのだが・・・」 ダークドレアムは闘気を解放させた。 「ぐ、くそ・・・」 ついにダイはプレッシャーに押され、なぎ倒されてしまった。 「ダイ!!」 エスタークがダイの元へ飛んだがそれをエビルプリーストが許さなかった。 「ヒョヒョヒョ、お前は私が始末してやろう。」 「貴様!!」 エスタークが剣を構えた瞬間、エビルプリーストは背中を斬られた。 「な、何をするんです!ダークドレアムさん!!!」 「突然転がり込んできた貴様が手柄欲しさに奴等の相手をすることは許さん!!! これ以上醜い姿を晒すというのなら、俺が貴様を殺すぞ。」 「ヒヒイィ!!」 エビルプリーストは逃げる様にその場を去った。 「くそ、くそ、くそ!!!!!少しばかりあの方に気... -
狂った世界で 序章 48-1
「ぐうううう……!」 血管を浮き出させて、シドウが唸る。 全身を満遍なく覆ったチャクラが、別の生物のように激しく蠢き、影真似の束縛を振り払わんとしていた。 シカマルも全力で術をかけてはいるのだが、シドウの力はそれを上回る。 影真似の持続時間は、長く見積もっても、あと一~二分ぐらいだろう。 まったく。敵ながら大した奴だ……シカマルは、心中で感嘆した。 まさか、影真似からの脱出を一人で成してしまえるほどの力があるとは。 シカマルは回想する。確か、前にも音の四人衆――多由也に、力技で影首縛りを破られそうになった経験があった。 ベストを尽くしたつもりだった。それでも、ギリギリまで追い詰められた。 あの時は……いくら考えても起死回生の一手が浮かばず、絶望したものだ。 しかし、今回はあの時とは状況が違う。彼女の常人離れした力は、大蛇丸の寵愛の... -
乙女のドリー夢 52-5
格闘技なんかはもちろんド素人で、殺気や闘気を感じ取ることなどできない留美。 もちろん、普通の女子高生……というか、平凡な一般人ならそれが当たり前だ。 だが目の前に立つ男からは、それらが強烈に感じられた。留美の髪を揺らさぬ突風が、 留美の服を濡らさぬ津波が、そして留美を物理的には押し潰さぬ重圧が、絶え間なく 襲いかかってくる。 「……ぅ……」 たった今、刃牙のことを地上最強だと心底信じた留美だったが、その思いはあっさりと ひっくり返ってしまった。範馬君がこの人と戦っても絶対に勝てない、と確信できてしまう。 刃牙はというと半ば反射的に留美を背に庇う位置に立ったが、しかしそこまでだった。 勇次郎の気迫と視線を受け止め、潰されないようにするだけで精一杯である。 「親父……今、ここで、やる気なのか?」 もし勇次郎が本気でその気なら、どうせ逃げられはしない。ならば応戦するしかない... -
永遠の扉004-1
第004話 「ザ・ブレーメンタウンミュージシャンズ」 (1) 彼女は知った。 いかに気をつけて行動していても、偶然や他者の恣意、あずかり知らぬ慣習がそれを打ち 崩すコトがままあると。 失敗。 綿密に練った計画ですら状況の如何によってはそちらへ触れる。 反射的にとった言動ならば、なお。 幸い大きな綻びには至らなかったが……軽挙妄動は慎むべき。 彼女は、潜入生活の始めにそう学習した。 「全く。まひろといいあなたといい、門限を破るなんて」 「ごめん千里ちゃん」 「? 珍しい。私をあだ名で呼ばないなんて」 「あ、えと。あちこち歩き回って疲れてるせいかな。あはは。まひろみたいについ忘れてて」 「ホントに疲れてるみたいね。まひろまであだ名で呼ばないなんて…… ブラボーさんに謝っ たらすぐ寝なさい。夏休みだってもうすぐ終わるんだから、そろそろ生活のペースを戻さな... -
THE DUSK 第五話 (1)
飛び交う非難も噂話もどこ吹く風。教師は女生徒を見つめ、ハンバートよろしく咳払いをひとつ。 ダメだよ。来ないで。それ以上、僕に近づいちゃいけない。 第五話 《SCHOOL OF ROCK》 ――日本国 埼玉県 銀成市 月曜日。 新たな週の始まる朝は学生にも社会人にも等しく苦痛なものだ。 勿論、銀成学園寄宿舎に住まう生徒にとっても、それは例外ではない。 食堂や洗面所で交わされるのは「おはよー……」という張りの無い小さな声であり、それを発する生徒達の顔にも 気だるさがありありと浮かんでいる。 ただし皆が皆、重苦しさを漂わせている訳ではなく、彼らの半数は高校生らしい快活な表情で朝を迎えていた。 例えば、津村斗貴子は清々しく凛とした立ち居振る舞いで登校準備を進めていたし、武藤カズキなどは 顔を合わせる者皆に誰よりも明るく大き... -
狂った世界で 序章 47-3
音隠れのスパイ――シドウは、接触予定ポイントに到着すると、身を隠すようにして、木に寄り添った。 まだあたりは薄暗く、吹く風も若干肌寒い。もしかすると、来るのが早過ぎたのかもしれない。 軽く体を震わせて、ベストのファスナーを閉める。冷え切った指先を擦って、ささやかな温もりに浸る。 時間まで瞑想でもしようと、目を閉じた。すると、数分もしない内にこちらに接近する複数の気配。 進行方向と移動速度から推測するに、接触予定である音隠れの忍と見て間違いはないだろう。 任務から帰還する木の葉の忍だとすれば、こんな妙なルートは滅多に通るまい。 それに、自身の領地の近くであるならば、移動速度と気配を最小限に抑えているのも解せなかった。 などと思いを巡らせつつも、万が一の可能性は捨て切れない。 気配が肉眼で確認できそうな位置まで接近するのを確認して、そっと、木の影... -
鋼の錬金術師 ~「後夜祭」~ 前編
イーストシティ、東方司令部。 客人の到着を告げられた彼女が応接室に入ると、ソファから黒髪長身の青年が立ち上がった。 その後ろには小柄な仮面の人物が直立し控えている。 脳裏にある情報と二人の容貌を照合し、招いた相手にまちがいないと判断して口を開く。 「シンの皇子、リン・ヤオとその護衛だな」 「貴女がオリヴィエ・ミラ・アームストロング大将カ」 相手がその名にうなずくのを確認し、リンは床に両膝をつき胸の前で手を合わせ頭を垂れた。 「我が部下、フーの遺体をわざわざ荼毘に附してくださったと聞いタ。感謝すル」 その後ろでリンとともに深々と頭を下げる仮面の護衛、ランファンは懐に祖父の遺髪と 「そこに魂が残る」と言い伝えられている喉の遺骨を持っている。 「おかげで魂損なわれることなく、共に祖国に帰れル」 アメストリスの風習は基本的に土葬であり、 基本的には遺体の損傷が激しいなど特別... -
「”代数学の浮かす” ~法衣の女・羸砲ヌヌ行の場合~」 3-3
土建屋の娘が読者モデルをやめたのは彼女たちへのケジメだったのだろうか。 後に発展途上国での地雷除去に従事する土建屋の娘。 その生涯は64回目の春が訪れたとき老眼で見落とした地雷を踏むまで続いた。 死骸は酸鼻を極めたが……不思議なコトに顔だけは無事だったという。 そんな運命を知らない彼女は病室を去るときひざまずき、深々と頭を下げた。 顔を守ってくれてありがとう。 それから……ゴメンなさい。 山ほどいろいろ言いたかったヌヌ行だが「ま、いっか」と思った。 だから笑顔を浮かべ「うん。気にしてないよ。でも誰が相手でも……もうしちゃダメだよ」とだけ言った。 地獄のような日々が終わりさえすればいい。 約束も……果たせたのだから。 武藤夫妻への連絡は(ヌヌ行が3日ほど昏... -
“涼宮ハルヒ”の憂鬱 アル晴レタ七夕ノ日ノコトⅠ51-1
今も時々思い出す。 あれから三年半も経っているっていうのに、すごく鮮明に。 今が楽しくないわけじゃない。 あの頃に比べたら、何もかもを壊したかった頃に比べたら、私は楽しい。 でも、足りない。 あの日には、あの場所には、あの人には、届かない。 「七夕…か」 7月7日、日本は全国的に七夕祭りの日を迎えた。 東中の一年生の教室で、涼みやハルヒは呟いた。 織姫と彦星が年に一回だけ会えるっていう誰でも知ってるような話の詳細は置いておく として、放課後のHR中に夜空を見上げる少女にとっては、一年の内で誕生日よりもクリス マスよりもお正月よりも楽しみにしている日だった。 だけど、最近は少し憂鬱だわ。 と、ハルヒは思う。 これまた有名な七夕伝説だが、短冊に願い事を書いて笹につるすと願いが叶うという話 しがある。ハルヒ... -
永遠の扉 第061話
病室のベッドの上で、斗貴子は意外な来訪者に目を丸くしていた。 「こんにちは。お見舞いにきたよ」 「まひろちゃん……」 開けていた窓から柔らかい風が流れ込み、白いカーテンが緩やかに波を打った。 一方、地下。 「ロバの敵が何かご存じでしょうか!」 めくれ上がり空中を飛ぶ床板を迎撃しながら、秋水は内心でかぶりを振った。 「意外や意外、それはヤモリっ! アリストテレスのおじさん曰く、ロバの飼葉桶に潜り込み、 ご飯の邪魔をするのです! 確かに赤のツブツブおぞましいトッケイヤモリどのがお茶碗に入 っていたらば不肖も”うげばー!”とご飯を吹いて気絶するでしょう! むろん不肖と秋水どの の戦いはそれとは次元を異にするいわば思想の戦い!」 石でできていると思しき床板は、星座の見立て図のようである。破片をエネルギーで結び床 板の形と成している。そ... -
AnotherAttraction BC (NBさま)43-2
――――五日前、某所。 「……と言う訳で、このメンバーがフィブリオのクロノス支部襲撃班だ。 なお、本作戦には〝俺の部隊〟も参加する事になっている。クリードから市街戦の実戦データをせっつかれているのでな」 整然と無数に並ぶコンソールの機動音に混じり、黒服の怪物を通してクリードの下知が三人に飛んだ。 その正面にある巨大なスクリーンには、ライブの衛星画像が市庁舎を映していた。其処がこの町にある偽装されたクロノス支部で ある事は、入念な下調べの末に明らかにした物だ。 「…へえぇ、結構いいトコですねぇ」 と、渡された資料を捲りながらまるで緊張の色無く答えたのはキョーコ。 「…ああ」 と、素っ気無く答えたのはリオン。 「しかしエグい事考えるねぇクリードは。わざわざ祭りの最中を選ばなくても良いだろうにさ」 クリードの容赦無さに呆れたのはエキドナだった。 「…浮き足立った今... -
その名はキャプテン 48-1
壁にべったりと張り付いた血は深紅・・・・ではなく汚物を連想させる不純物まみれの緑の液体であった。 「助かったな赤ちゃん。」 ラファエルに向かってそう言うと、青いコートに身を包んだ金髪の青年は銃を床に捨てた。 男が撃ち抜いたのはラファエルの背後に瞬間移動していた使い魔だった。 「ラファエルに代わって礼を言おう、ありがとう。」 「大した腕だな、シールドを目暗ましにジャンプするとは。」 (ガガ、ファーック!俺のセンサーは自分も守れない青いケツしたガキを助けるもんじゃないぜ!) 声が男の脳内で文句を喚き散らしている、男に目暗ましは絶対に効くことはない。 だが男はこれが本音でない事を分かっている。 声の主、ファッツとの付き合いはまだ長くはないが、出会ってすぐお互いを理解しあっている。 男が知る者の中で、本当は誰よりも優しい事を。 だからこんな時の対応... -
コメントスパムテストページ
URLを書きたいときはhをとってください。 色々とご迷惑をおかけして申し訳ございません。今日スレを閲覧して貴サイトを確認いたしました。本当にありがとうございます。 -- (バレ) 2007-05-06 15 21 34 >ふらーりさんありがとう -- (ゴート) 2007-05-07 00 00 53 >バレさん -- (ゴート) 2007-05-07 00 01 20 お体の方はもう大丈夫でしょうか? これからこのサイトの今後とかいろいろ話せると嬉しいです。 -- (ゴート) 2007-05-07 00 14 34 誰かがやらねば、なら俺がやる……なかなかできることではありませぬ。 -- (ふら~り) 2007-06-11 22 26 34 漢・ゴート殿には感服させられ、今もしておりまする。お見事也! -- (ふら~り) 2007-06... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 天体戦士サンレッドVS星熊勇儀
「ああ~…いよいよ始まっちゃいましたね」 ヴァンプ様は落ち着きなくそわそわしながら、闘技場に立つレッドを見つめる。 「ね、ね。大丈夫ですよね、レッドさん。ああ~、あの人の強さを疑うわけじゃないけれど心配だなあ…もし殺られ ちゃったりしたら大変だよ。抹殺すべきヒーローを他の人に倒されたなんてなったら、皆にどう言えばいいのか… あ、そうなったらなったで世界征服に一歩近づくわけだし、ここはむしろあっちの星熊勇儀さんを応援すべきかも。 でも私達以外の誰かがレッドさんに勝っちゃうってのも複雑な気分だし…あ~も~、ホントどうしよう、私」 「…とりあえず、静かに観戦してはいかがでしょう」 「そ、そうですね、ジローさん!よーし、見るぞー!」 身を乗り出し、食い入るように闘技場を睨み付けるヴァンプ様である。 そんな彼を呆れ顔で見つめて、魔理沙はジローとコタロウに小声で問うた。 「なあ。こ... -
やさぐれ獅子 ~二十二日目~ 53-1
昼飯の最中に来客があった。 口の中に入れたばかりの果肉を吐き捨て、向き直る加藤。 「変なタイミングで来やがって……さっさと終わらせてやる」 「安心しな。嫌でも短期決戦にならァ」 「……なに?」 来客は明るい金髪にラフな格好をした未成年らしき少年だった。指には輪が、首には鎖 が、口にはガムが当たり前のように装備されている。 「勝負は必ず十発で決まる。今日はそういうルールだ」 「十発?」 「アンタ、テレビゲームとかやる? ……やりそうもねェな。あれってライフがゼロにな れば、トドメがなんであろうと死ぬわけよ。今回の試練もあれに近い。最後の攻撃が何で あろうと、決められたライフが全部なくなったら死ぬ」 「おい、ゲームとかじゃ全然分からねぇよ。もっとストレートに話せや」 「オーケー、オーケー。いいか、今日は先に十発もらった方が“死ぬ”」 ... -
~それぞれの思惑・中篇~
幻想郷で最強の存在とは誰か? こう尋ねれば、その答えは十人十色で異なるだろう。 ある者は境界の妖怪・八雲紫の名を挙げるかもしれない。 またある者は白玉楼の亡霊姫・西行寺幽々子と答えてもおかしくない。 紅魔館に巣食う吸血姫―――レミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットも、上記の二人に劣らぬ力の持ち主 と目されている。 最強の種族と謳われる<鬼>。その中でも群を抜いた戦闘力の持ち主であり、共に妖怪の山の四天王に数えられる 伊吹萃香と星熊勇儀もこの類の議論では度々話題に上る。 守矢神社が祀る二柱の神性―――天を司る風の軍神<八坂神奈子(やさか・かなこ)>と大地を司る土着神の頂点 <洩矢諏訪子(もりや・すわこ)>も、数多の大妖怪と比して猶、その実力に遜色はなかろう。 上記の二柱神によって核融合の力を与えられた地獄の鴉―――霊烏路空(れいうじ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-6
昼は武士たちの苦情処理、夜は街の巡回。激務ではあるが、間違いなくそれが人々を 救っているということが実感できる。大和は今まで、強者と戦って己の武技を磨くこと しか考えていなかったが、こういう生き方もあるのかと新鮮な感動を覚えていた。 たまに戦地の正成から手紙が届いたり、尊氏や師直とささやかな宴会をしたり。街も 少しずつだが平和を取り戻しているし、大和は充実した日々を送っていた。 そんなある夜。いつものように大和は街の巡回をしていたが、 「! な、何だ!?」 異様な気配を感じ、足を止めた。 どこかで感じたことのある底知れぬ妖気。まるで人ならぬ者、鬼か魔物のよう。そんな 奴が、誰かと戦っている。そいつも並の腕ではなさそうだが、正直言って勝ち目は…… 『ん? この感じ……あ、足利さんだっ!』 大和は顔色を変えて駆け出した。 『ふふふふっ。ほんのつまみ食いのつもりでし... - @wiki全体から「「絶対、大丈夫」43-1」で調べる