SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「WHEN THE MAN COMES ARROUND53-1」で検索した結果
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WHEN THE MAN COMES ARROUND(END ROLL)
Main Theme Music 『The Man Comes Around』 Songs Johnny Cash And I heard as it were the noise of thunder One of the four beasts saying come and see and I saw And behold a white horse There s a man going around taking names and he decides Who to free and who to blame every body won t be treated Quite the same there will be a golden ladder reaching down When the man comes around ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND (さい氏)
《EPISODE1:It's hard for thee to kick against the pricks》 《EPISODE2:It’s alpha and omega’s kingdom come》 《EPISODE3:There will be a golden ladder reaching down》 《EPISODE4:There's a man going around taking names》 《EPISODE5:The wise man will bow down before the thorn and at his feet》 《EPISODE6:Everybody won t be treated quite the same》 1 2 《EPISODE7:The hairs on... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND53-1
火渡の心臓さえも射ぬかんばかりの眼光を浴びせながら、アンデルセンが構えを取る。 だが火渡はその眼光を受け流すように笑い、悪態の限りを尽くして毒づいた。 「気取った口上述べてんじゃねえよ。涙目で正直にこう言ったらどうだ? 『ボクは今、全然余裕がありません』ってな。もしくは『ボクは今、必死です』でもいいぜ?」 「貴様ァ……!」 アンデルセンにとっては便所の反吐同然という位置付けの異端者の嘲りである。それは彼を 激昂させるには充分過ぎるものだった。 ギリギリという歯噛みの音は火渡にも聞こえる程だ。 「シィイイイイイッ!」 何の前触れも無く、アンデルセンの右手から銃剣が投擲された。 怒りを込めて放たれた銃剣が凄まじいスピードで火渡に迫る。 火渡は素早く五指を広げた手掌を前方にかざした。 「オラァ!」 気合いと共に発せられた業火が銃剣を瞬時に溶かし... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 51-4
「一体、ジュリアン君に何をしたの……!?」 喉を強く絞めつけられながらも、千歳はサムナーに尋ねた。 防人の事、そしてジュリアンの事。サムナーが発した不吉な言葉が頭から離れない。 「さっきも言っただろう。彼が望んでいる“力”を与えただけだ。そう、ホムンクルスとしての 力をね……。シャムロックとパウエルの二人掛かりならば、戦士・ブラボーを抹殺する事も容易いだろう。 おっと、正確には四人掛かりかな? フハハハハハハ!」 不安が絶望へと変わった。ジュリアンはホムンクルスに変えられてしまったのだ。 ならば防人の苦悩も、そして防人が取る行動も自ずと明白になってくる。 それは最悪の結末だ。あの赤銅島の光景が、否が応でも頭をよぎる。 「あ、あなたはどこまで腐ってるの……? イギリスもキリスト教も錬金戦団も裏切って、テロリストや 私達を利用して、ジュリアン君まで……。... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 51-1
《EPISODE12:When the man comes around》 「ウオオオオオオオオ!!」 防人の咆哮と共に、一撃必倒の威力を誇る拳の弾幕がシャムロックを打ち抜いた。 拳の衝撃がシャムロックのボディで弾ける度に、派手な重い金属音がエントランスホールに響き渡る。 だが、この三種の生物を組み合わせた異形の合成獣(キメラ)は一歩、二歩後ずさりをするだけで ダメージを受けた様子は無い。 現に“蟹”の甲殻にはヒビひとつ入らず、歪みすら見当たらない。 野性を思わせる動きで鋏と“蟷螂”の鎌から成る四本の腕を振るい、“蜘蛛”の糸を尻の辺りから 垂らしている。 そして胸部に浮き出た人間の顔は、相変わらず唇の無い口で眼前に立つ錬金の戦士の名を不気味に 呟くだけである。 「CAPTAIN BRAVO…」 先程からこの繰り返しだ。... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 49-3
突如、上階から爆発音が響いた。 窓ガラスは細かく震え、靴底からも地鳴りのような振動が伝わってくる。 「上が随分と騒がしいようだ……」 サムナーはわずかに天井を見上げると、またすぐに火渡の方へ視線を戻した。 怒りの形相をこちらに向ける火渡の方へ。 火渡はその場を動かない。 炎に似たる激情の男、火渡でさえも充分すぎる程にわかりきっていた。 負傷を抱えて身体の自由が利かない千歳を人質に取られている。 そして敵は、火渡の速さを遥かに凌ぐ光速の武装錬金を千歳に向けている。 敵? そう、彼はもはや敵なのだ。 指揮官であった筈のサムナーが、今や憎むべき敵となって自分達の命を脅かしている。 彼の意にそぐわない行動を取ればどうなるかは、それこそ“火”を見るより明らかだ。 火渡は充分に自分の置かれた状況を理解していた。 さて、どうするべ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND53-2
暴風と化した、炸薬と化したアンデルセンは見る間に火渡との距離を縮めていく。 銃剣の鈍い煌きと、舞い上がるコンクリートやガラスの破片が火渡に迫っていく。 聖書の紙片にがんじがらめにされ、身動きひとつ取れない中、彼は感じていた。 己の操る炎よりも灼熱を秘めた殺意を。失意に沈みながら打たれた雨よりも冷たい殺気を。 それはすべてその生身の首筋に集約されていく。 「くっ……! こんなとこで殺られてたまるかよォ!!」 足掻け。足掻け。最後まで足掻き通せ。 火渡はこの崖っぷち、どころではない、もう落下が始まっている状況においても闘う心を 失ってはいなかった。 聖なる縛鎖を打ち破ろうと満身に力を込める。 されど――心は熱すれども、肉体は弱し。 彼には、彼の身体にはもう、何かを成せる“もの”など残ってはいなかった。 そして気づけば、二つの刃は、すぐそこに―― ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 47-3
《EPISODE10:Voices calling and voices crying,some are born and some are dying》 ――ズーロッパ・トレーディング・ファーム・ビルまであと3分程の車中 「見えてきたな……。アレが目標のビルだ」 ハンドルを握るサムナーが顎で指し示す先には、やや古びた六階建てのビルがそびえていた。 窓からは幾つかの明かりが洩れてはいるものの静寂に包まれており、まるでビル全体が眠っているかのようだ。 だが、それとは対照的に車中の五人には、今回の任務のクライマックスに相応しい緊張が張り詰めていた。 戦闘開始の瞬間が刻一刻と迫っている。 防人と千歳の心臓が早鐘のように打たれる。それは使命感か、高揚感か、恐怖感か。 どちらかというと火渡の方が落ち着いているように見えなくもない。 しかし、それも... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-1
《EPISODE4:There s a man going around taking names》 ――イングランド南部 ウィルトシャー州 ソールズベリーの北西13km地点 「着きましたよ。ここが我が錬金戦団大英帝国支部です」 ジュリアンがにこやかに指し示す光景を前に、三人は驚きのあまり呆然と立ち尽くしている。 「ここがって……。おい、こりゃあ……アレじゃねえか……。何て言ったっけ」 なかなかその名称が出て来ない火渡に代わって、千歳がそれを引き受けるように呟く。 「ストーンヘンジ……」 眼前に展開された荘厳かつ奇妙な風景に、三人は圧倒されたままでいた。 円を描くように配置された4、5m程の立石の群れ。 その中心に築かれた巨大な門を思わせる五つの組石。 そして、それ以外には何も無く、只々草原が広がるばかりだ。 “ストーンヘンジ” 紀元前3000年から2500年辺りに造られたとい... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND55-2
《THE EPILOGUE‐1:The virgins are all trimming their wicks》 ――2001年12月 アフガニスタン マザーリシャリーフ 男の足取りは重い。 それは終わりの見えない旅と戦闘の疲れなのか、それとも悲惨なまでに荒れ果てた町の様子が 気分を沈ませているのか、はたまた厳しい冬の寒さのせいか。 どれもそうであり、どれでもいい。 多分に投げやりな心境で重さを増していく歩みを、一歩また一歩と進めていく。 男はマント代わりに頭から膝下までスッポリと覆い被せられた小汚い布で目ヤニを拭った。 その拍子に高い鼻へ引っ掛けられた金縁の丸眼鏡がずれてしまったが、彼は特に気にしていない。 どうせ片方のレンズは無く、もう片方のレンズにも一筋のヒビが走っているのだから。 この男には何もかもすべて、替えなど無かった。何も... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND (さいさま)45-2
《EPISODE7:The hairs on your arm will stand up at the terror》 「The same blue sky in a strange new world...Spinning round,turning round,spinning round...」 薄暗がりの中、呟くような不気味な歌声が低く響き渡っている。 それは、60年代に活躍したとされる“とされる”ミュージシャン崩れのテロリストが歌っていた曲だ。 歌声の主はNew Real IRAのリーダー、パトリック・オコーネル。 ギャラクシアン兄弟のアーマー市警察署襲撃、アンデルセン神父の出現、協力者の電話による激昂。 これらの出来事があった、彼にとっての馬鹿げた呪いの日から一夜が明けていた。 協力者からの電話以来、彼は言葉少なに本拠地(ホーム)の防備を固める命令を下し、あとは自室に 引... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND55-3
《THE EPILOGUE‐2:It s name it said on him was Death, And Hell followed with him》 ――200X年 埼玉県銀成市 銀成駅前通り 頬杖を突いた姿勢は変わらぬまま―― 眺めていた巨大スクリーンのニュース映像は、若く美しい女優が映し出された化粧品の コマーシャル・フィルムに変わっていた。 相変わらず、カフェの他の席ではカップルがお喋りに花を咲かせ、歩道に眼を遣れば家族連れが 満面の笑顔で通り過ぎていく。 「……だいぶ寒さも和らいできたなぁ。もうすぐ春か」 防人は苦い追憶の旅路から醒め、再びこの緩やかで呑気な雰囲気を楽しもうとしていた。 春の訪れを感じ取り、街の風景を眺め、この休日を友人とどう過ごそうかと思案に耽る。 ホムンクルス達はヴィクターを盟主として月に旅立ち... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND52-1
「ッ野郎……」 腹を刺された火渡はガックリと頭を垂れ、うつむいてしまった。 千歳の方へ向けた彼の背中からは銃剣の切っ先が顔を覗かせている。どうみても致命傷だ。 「火渡君!!」 絶体絶命の危機にある親友の姿に、千歳は絶叫した。その悲鳴は彼女には珍しくヒステリックな 響きさえも含んでいる。 火渡は千歳の声に答える様子も無く、串刺しにされるがままだ。 終わりなのか? こんなところで? 火渡の命は目の前で風前の灯と化し、防人は化物に変えられた友人との戦いを強いられている。 孤独と使命感の中で出会い、錬金の戦士となった時から始まった、三人の戦いの旅は こんなところで終焉を迎えてしまうのか? 千歳の絶望感は涙となって両の眼から溢れ出そうとしていた。 しかし―― 「……!?」 ――アンデルセンの表情が終幕には早過ぎる事を物語... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-1
《THE LAST EPISODE:The whirlwind is in the thorn trees》 大きく構えを取るアンデルセンに向かい、防人は無造作に、放胆にその間合いを詰めていく。 フットワークを使って華麗に追い詰めるのではない。制空圏侵入を警戒しながらジリジリと 詰め寄るのでもない。 ただ“歩いている”だけだ。 「クククッ……!」 最早アンデルセンは歓喜の笑いを隠そうともしていない。 眼前の戦士が己の刃の射程内に入ってくる事が待ち遠しくて堪らないのだ。 『この無手の男が、徒手空拳の敵が、これまでの人生で最高の闘いを以って楽しませてくれる』 防人の全身から発せられる殺気が、アンデルセンにそう確信させているのだ。 『ともすれば自分はこの不倶戴天の仇敵に愛おしさすら感じているのかもしれない』 そんな有り得ない錯覚を起こさせる程に、... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND55-1
今にも照星に向かって突進せんばかりに身構えるアンデルセン。 獲物へ襲いかかる猛獣の如く、重心を前方に乗せる。 そして、両者の眼が決闘開幕の兆しに見開かれた、その時だった。 突如、アンデルセンの背後より“何か”が空気を切り裂いて飛来し、彼の足元に突き立った。 そこには、赤い柄の短剣が三本。 「黒鍵……。チッ、“弓”か」 アンデルセンはその“黒鍵”と呼んだ短剣を見るなり、さも不快そうに表情を歪ませた。 「それくらいにしておきなさい、“銃剣(バヨネット)”」 防人とアンデルセンが落ちてきた天井の大穴から、厳しさと冷たさを併せ持つ声が響く。 間も無く、その大穴から一人の人物がフワリと音も無く、ロビーの床へ下り立った。 髪、瞳、法衣(カソック)、すべてが深遠たる青。眼鏡を怜悧に煌めかせた若い女性だ。 (新手……?) 否が応にも照星の緊張感... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-2
《EPISODE5:The wise man will bow down before the thorn and at his feet》 薄暗がりの中に、男が一人座っていた。 豪奢なソファに似合わないジーンズ履きの普段着姿。 部屋の中でもアルスター・コートを脱がないのは男のこだわりだろうか。 彼の周りでは屈強な男達が、コンピューターとモニターと無線機の海の中でせわしなく 蠢いている。 男は煙草の煙を吐き出しながら、自分と祖国の為に身を粉にする兇暴かつ健気なテロリスト 十数人の群れを見つめていた。 「1番、2番、3番モニターはOKだ!」 「撮影班、警察署内に入りました!」 「ブリギット! 邪魔だから隅の方で遊んでろ!」 「ウィリアムとノエルの視点映像を出せ! 7番と8番だ! 早くしやがれ!」 「とっとと配置に就かせろ! このウスノロ!」 「パトリック、準備が出来たぞ。あと3... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-3
立場は完全に入れ替わってしまった。 不用意に拳を放てば先程のように迎撃される。 しかし、最早距離とタイミングを計り、時間を掛けて攻略という訳にもいかない。 滴り落ちる血時計は残り時間どころか、現在進行形で防人のパワーとスピードを徐々に 削ぎ落としていく。 (考えろ、考えるんだ……!) アンデルセンの持つ獲物、構え、戦闘スタイル。 これらに現在の己の状況を加味すれば、やはり選択するべきは迫り来る銃剣を避けつつの “カウンター”だ。 それも一撃必倒の威力を持ったもの。 だが、そう上手くいくのか。 アンデルセンはもうこのまま立っているだけでも勝利を奪えるのだ。 直接手を下さずとも、時間の経過が防人を殺してくれる。 しかし―― 「失血死は待たんぞ。そんな優しい真似をこの私がするものか……」 ――アンデルセンのこの一言で条件はす... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 9-1
《EPISODE9:Till Armageddon no shalam no shalom》 ――北アイルランド アーマー州 モーテル・オクトーバー 「そのままで聞いてもらって構わん。……今後の作戦を変更する」 ソファに座り脚を組むサムナーは、唐突に切り出した。 ベッドに腰掛けて太腿の傷に包帯を巻く防人は、サムナーの方へ顔を向けた。 火渡は相変わらず憮然とした表情で腕を組んだままドアのそばの壁にもたれており、 千歳はジュリアンの右肩に包帯を巻いている。 ここはアーマー州の最大人口都市ラーガンから程近い、国道沿いのモーテル。 アンデルセンの奇襲を何とか振り切った五人は、車を替え、道を変え、この場所へと落ち着いていた。 否、“落ち着いていた”という言葉は相応しくない。 五人の頭の中には、つい先程までのアンデルセンの姿が焼きついている。 ど... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND52-2
「あ? この水……」 武装錬金を解除した火渡は、己の掌に僅かに溜まった水を見つめながら呟いた。 地獄の焔にも似たる彼の炎を消すにはあまりにも頼りなさ過ぎ、また遅過ぎたスプリンクラーの水。 しかし、その水は火渡にある違和感を覚えさせていた。それが何なのかは理解出来ずにいたが。 掌から眼を離し、前方に眼を遣る。 違和感と言えば、視線の遥か先に倒れ伏す男もまたそうだ。 大戦士長ウィンストンが畏怖し、防人の拳を物ともせず、戦士長サムナーを一蹴した ヴァチカンの聖堂騎士(パラディン) 四十年近くの長きに渡り錬金戦団を震え上がらせてきた、あの第13課(イスカリオテ)の アレクサンド・アンデルセン神父がこうも簡単に斃されるものなのであろうか。 防御も反撃もせぬままに。呆気無さ過ぎる。まるで人形か何かのようだった。 「へっ!」 火渡は転がる黒焦げの... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND51-5
《EPISODE13:Will you partake of that last offered cup or disappear into the potter s ground》 ほの暗い部屋の中、二台のモニターに向かう老人がいた。 一台は砂嵐のようなノイズ、もう一台は“SOUND ONLY”という赤文字をそれぞれ映し出している。 どちらも何一つ音声らしきものは発していない。 傍らに立っていた秘書らしきスーツ姿の中年女性はリモコンで二台のモニターの電源を切ると、 老人に話しかけた。 「シャムロックは完全に沈黙。サムナー戦士長もこの分では……」 「構わんさ。彼に任せた任務は改良型ホムンクルスの稼動実験とイスラム原理主義者への武力供給だ。 New Real IRAに関しては二次的なものに過ぎん。サムナー戦士長は立派に務めを果たしてくれた」 ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-5
己が倒すべき者、己を倒すべき者、そんな互いの名を確かめ合うように呟き、向かい合う二人。 この瞬間に二人の闘いは始まり、もう次の瞬間には終結を迎えるだろう。 しかも、最早大勢は決している。 再生能力が衰えているとはいえ、気力、闘志共に頂点に達したアンデルセン。 失血死ギリギリの出血量に加え、銃剣や爆薬によるダメージが著しい防人。 いや、防人に関しては“ダメージ”という言葉も生易しい。 その身体は死に瀕している、まさに“瀕死”の状態だ。 あとはその銃剣が、首を斬り落とすのか、心臓を突くのか。 “どう殺されるか”とでも言うべきか。 暗転を始めた視界。寒気の止まらぬ肌。 四肢は萎え、全身全霊の力を込めても、立位を保持して構えを取るのがやっとの身体。 今の防人にあるのは、ただ“闘う”という意志だけである。 “どうやって闘う” “どうやったら勝... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-4
万策は尽きた。 そもそも、最初から武装錬金を使わぬ闘いというのが無謀だったのだ。 絶対の自信を持つ純粋な身体能力も、アンデルセンが連綿と築き上げてきた闘いの機略の 前に打ち砕かれた。 そして、頼みの綱の筈のそのパワーとスピードも、出血多量の影響から失速を続けていく。 それだけではない。能力低下に止まらず、今では機能不全にさえ陥っている。 視点は揺れ動いて一ヶ所に定める事が出来ず、どんなに大きく呼吸しようとも息の荒さは治まらない。 全身の筋肉は己の意思に反して、緊張を解いて弛緩したがっている。 まるで上がりが地獄と決められている双六だ。 終われば死ぬが、賽を振らない訳にはいかず、進行は続く。 己の流す血溜りにしゃがみ込んだままの防人は動けずにいた。 闘いの趨勢は敗北に傾き、肉体は死に向かって突き進んでいる。 それどころか、意識さえも徐々に... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-2
そこは墓場だった。 幾人もの人間達が命を散らせ、二匹の化物(フリークス)が灰と消えた、不吉な場所。 そこは塵芥と化したあらゆる“命”が彷徨う、忌まわしの合祀墓なのだ。 肉と髪の毛が焼ける火葬場の悪臭が充満し、千切れ焦げた無数の肉塊がコンクリートの 瓦礫の中に散らばっている。 New Real IRA本拠、“ズーロッパ・トレーディング・ファーム・ビル”一階ロビー。 防人衛の熱く冷たい闘いの幕が切って落とされた、この場所。 決斗戦斗のすべては、この場所に帰ってきた。結末を決める者達は、この場所に帰ってきた。 「シィイイイイイイイイイイ!!」 「オオオオオオオオオオオオ!!」 天井に大穴を開けた広いロビー。 そこで二匹の獣がぶつかり合う。 爪牙は拳と銃剣。 唸っては爪を立て、吼えては喰らいつく。 だが意外な事に、獅子と虎の... -
職人さん別 さいさま
... 長編 WHEN THE MAN COMES ARROUND<完結!> THE DUSK<連載中!> -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 9-2
――イングランド南部 錬金戦団大英帝国支部 大戦士長執務室 「火渡の野郎……。欲しいなら欲しいって正直に言えってんだ。まったくよ……」 口から飛び出す悪態とは裏腹な笑顔でテーブルのシガレットケースに煙草を足しているのは、 大戦士長ジョン・ウィンストンだった。 ヘヴィスモーカーの彼はテーブルだけではなく、ワークデスクの上にもシガレットケースを置き、 服のポケットにも常時20本以上の煙草を忍ばせている。 火渡が煙草をちょろまかしていった事にしばらく気づかないのも無理は無い。 しかし、そんな火渡の行動もウィンストンにしてみれば、幼児が父親の万年筆を玩具にして 悪戯するようなものだ。 笑顔の素にしかならない。 (帰国する時には抱えきれねえぐらい持たせてやるか。だから、早く帰って来い。早く……) その時、ワークデスクの上の電話がけたたましく呼び出し音を鳴らした... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 49-1
《EPISODE11:Hear the trumpets,hear the pipers,one hundred million angels singing》 走る。ただ走る、走り続ける。飛ぶが如く、飛ぶが如く。 サムナー、火渡、千歳の三名は広い廊下を駆け抜ける。 ここは三つ巴の闘争劇が繰り広げられているビルの四階。 長い廊下の右手には大きめの窓、左手には各部屋へのドアが延々と続いている。 「これ以上の階を中央階段で上るのは危険だ」というサムナーの判断で、三人はフロア内を抜けて 非常階段に向かっていた。 サムナーは再びインヴィジブルサンを透明化させ、今はその饒舌な口を閉じて黙々と走っている。 千歳は、ホムンクルスと戦う為に一階に残った防人の事がずっと気にかかっている。 それは自分でも気づかない、いや気づいてはいるが押し隠している彼への恋心がさせて... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 45-1
火渡は口にくわえていた煙草の残骸をプッと床に吐き捨てた。 そしてギラつく眼でサムナーを睨みつける。まるで彼自身の能力を象徴するかのような、 怒りに燃える眼で。 「何だ? その眼は……。貴様、どうやら“上官不敬罪”で銃殺刑に処されたいようだな」 サムナーはゆっくりと立ち上がった。心持ち腕を浮かせ前傾姿勢になっている。 彼の周囲でモーター音に似た音や、ブンッと風を切る音が響いている。 その音の正体は何一つ見えないが、何らかの攻撃態勢に入っているのは確かだ。 それに呼応するかのように火渡もまた立ち上がる。 「ならテメエは“俺様不敬罪”で火あぶりの刑だな」 火渡の周囲の温度が一気に上昇していく。既に肩の付近からは炎が闘気の如く立ち昇っていた。 「あちち! あ、熱いよ火渡君!」 彼の隣に座る千歳はまともに炎に晒され、その身を炙られた。半ベソで悲鳴を上げるのも当然だ。 「いい加減にしねえか!」 千歳の... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 48-1
「さて、そろそろ君達にも見せてあげよう。この私の武装錬金を……」 錬金戦団の五人がビルの入口を目の前にした時、サムナーが立ち止まり、誇らしげな笑いと共に口を開いた。 それに合わせて、何も存在する筈の無いサムナーの頭上にバチバチと青白い電光が発せられる。 その直後には、電光にあぶり出される形で五つの物体が出現した。 「戦術高エネルギーレーザー兵器(THELW)の武装錬金『インヴィジブルサン』だ……!」 それは例えるなら“小さな太陽系”だった。 恒星を思わせる1m程の球体の周りを、四つの小球(ビット)が規則的に廻っている。 「特性は高出力レーザービームの射出。それと武装錬金そのものの光学迷彩カモフラージュ」 インヴィジブルサンの本体と思われるメカニカルな球体は、まるで『スターウォーズ』に登場する “デス・スター”だ。 そして、本体を周回するビット... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 51-3
獅子の如き牙と猛禽類の如き爪を剥き出して、ジュリアンは防人に突進した。 一方の防人はまるで戦意を喪失してしまったかのように佇立している。 「ジュリアン、お前はもう化物なんだ……。もう、大戦士長の愛したジュリアンじゃない……。 もう、俺達と笑い合ったジュリアンじゃない……」 「喰らえェエエエ!!」 眼を伏せうつむく防人の頭部に、研ぎ澄まされた爪を搭載した腕が振り下ろされた。 爪は金属音を立てて弾き返される。当然と言えば当然だが防人は何のダメージも受けていない。 一定量以上の衝撃を与えるとシルバースキンを構成するヘキサゴンパネルが飛び散る筈だが、 それも見られない。 防人自身どころか、装備品であるシルバースキンにすらダメージを与えられずにいる。 しかし、それは何一つ不思議な事ではないのだろう。 ジュリアンは生まれたばかりの赤子のようなホムンクルスだ。... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 47-2
――北アイルランド アーマー州ラーガン ズーロッパ・トレーディング・ファーム・ビル ラーガン市内の外れにある六階建てのビル。 ビルに掲げられた看板には『ZOOROPA Trading Firm』とある。 この中小輸入貿易会社ビルの六階、暗く長い廊下を一人の少女が歩いていた。 黒のタンクトップにモスグリーンのアーミーパンツ、手には自動小銃アーマライトAR‐18、 そして頭にはそれらとは不釣合いなフリル付きカチューシャとリボン。 ブリギット・マクラウドは自身の15年間の人生と、これまで歩んできた闘士としての道をボンヤリと振り返りながら、 意味も無く廊下を行き来している。 自分は人を撃ち殺し、刺し殺し、爆死させてきた。 これまでもそうだったし、これからもそうなのだろう。 ただ、近頃は何かがおかしい。 突然、莫大な活動資金を提供してきた“協力... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 51-2
無言の笑みを浮かべるジュリアン。驚愕に喉が詰まり、それ以上の言葉が出てこない防人。 その奇妙な粘度を持つ空気を破った者は、ジュリアンの左掌で顔面を包まれたテロリストだった。 「畜生! いい加減、離しやがれ!!」 暴れもがくテロリストはくぐもった声で罵声を吐くと、ジュリアンの頬にアーマライトの銃口を 強く押しつけ、引き金を引いた。 火花と銃声がエントランスホールに響き渡ると同時に、ジュリアンの顔に300発以上の銃弾が 連続して撃ち込まれる。 しかし、弾丸は薄皮一枚も破らず、すべてあらぬ方向へ弾かれていく。 やがてアーマライトがこれ以上吐き出すものが無いとばかりに沈黙すると、左頬から薄い煙を 上げるジュリアンは自分の掌中にあるテロリストにニッコリと微笑んだ。 「……もう、痛いじゃないですか」 その笑顔とは裏腹に、テロリストの顔面を掴む指に力が込められ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 46-3
猛スピードで疾走する車さえも震わせるようなアンデルセンの叫びが響く。 次の瞬間、バックガラスが銃剣(バヨネット)の横薙ぎの一撃で砕かれ、無数の細かな破片となって 後部座席の三人に降り注いだ。 「キャアアアアアッ!」 頭部や顔を覆った千歳の両腕を、無数の針に刺されたかのような痛みが襲う。 「千歳!!」 「野ッ郎ォオオ!!」 そしてガラスの破片に気を奪われた一瞬の後、三人の眼に信じ難い光景が飛び込んできた。 それは神の御業か。 いつのまにかアンデルセンの右手に握られた銃剣が数を増していた。 右手には器用にもそれぞれの指の間に二本ずつ、計八本の銃剣が握られている。 「ククッ、ククククク……!」 握る手に力を込めると、アンデルセンは先程にも増して腕を高々と掲げ、身体を捻り反らせた。 (アレを投げるのか!? この距離から!?) 防人は反射的にシルバースキンの... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 49-2
「おいザック! 五階はどうなってる!? アーバイン! ムーア! 一階は!? 答えろ!」 六階。彼の他は誰もいないフロア。暗くて広い、逃げ場の無い最上階。 パトリックは無線機に向かい、五階と一階、それぞれの部下達に状況の報告を求めていた。 精神的支柱である指導者の怒鳴り声から少しの間が置かれた後、銃声と悲鳴をBGMにしながら 副官ザックの応答が響いた。人生最後の。 『パトリック! 聴こえてるかパトリック! 逃げろ! コイツは本物の化物だ! 早く逃げ――がはァ!』 「な、なな、何だって……!?」 肺から出発し、気管を通り、声帯を震わせて紡がれた言葉が、口の中で詰まる。つっかえる。 上手く喋ろうとすればする程、DJのスクラッチに似た滑稽さを含んでしまう。 「お、おい! ここ、こ、こた、答えろ! ザ、ザザザ、ザッ、ザック! じょ、じょう、じょう、 状況... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-3
《EPISODE6:Everybody won t be treated quite the same》 ――ストーンヘンジ地下 錬金戦団大英帝国支部 大戦士長執務室 「ワハハハハハ! そうかそうか、照星もずいぶんビッシビシやってんだな」 広い執務室にジョン・ウィンストン大戦士長の豪快な笑い声が響き渡る。 「そうなんです。だから戦士長に『こっちへ』って声を掛けられると条件反射で身体が硬くなっちゃって」 すっかり緊張の解けた千歳は、日本の戦団の(主に照星の)エピソードを面白おかしくウィンストンに話す。 ウィンストンと向かい合うようにジュリアン・防人・千歳・火渡は革張りの大きなソファに腰掛け、 談笑に花を咲かせている。 親子程も歳が離れているにも関わらず友人のような気安さで接してくるウィンストンのおかげで、 執務室はまるで戦士達の控室を思わせる和やかな雰囲気に変わっていた。 防人もニコニ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 48-2
「来い!!」 震脚で床を強く踏みしめて迎え撃つ防人。 両腕を広げて殺到するホムンクルス。 防人は充分に重心を落として腰を捻り、ホムンクルスに向かって一撃必倒の力を込めた拳を放った。 その拳はストレートというより正拳突きに近い。ただし、スピードは軽量級ボクサーのジャブさえも 遥かに凌駕する。 しかし―― パァンと乾いた音を立てて顔面に炸裂した突きであったが、ホムンクルスは数瞬、その動きを止めただけで 然したるダメージも負ってはいない。 その証拠に、ホムンクルスは打撃を受ける前とまったく変わらぬ勢いで防人に突進し、 勢いよく両手を振り下ろしてくる。 原因は明白。 「くっ……!」 シルバースキンに覆われて見えないものの、右の太腿に巻かれた包帯には血が滲み出している。 アンデルセンの銃剣に貫かれた傷だ。 その貫通創は強烈な痛みと下肢筋力低... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 46-2
《EPISODE8:Listen to the words long written down》 ――北アイルランド アーマー州 アイルランド共和国モナハン州との国境より北東13km地点 遮る物も無い草原に伸びる一本の道路。 その道をかなりのスピードで走り続ける、薄汚れた一台のセダン車。 黄昏(ダスク)の時は疾うに過ぎ、辺りを漆黒の闇が包み始めていた。 車の中には人影が五人。 背筋を伸ばして真っ直ぐに前を見ながらハンドルを握る青年。 腕を組んだまま、目を瞑っている助手席の中年男。 後部座席には若い男女が三人。 一人は眼光鋭い長髪の青年。一人は緊張気味に身を硬くするお下げ髪の少女。 そして銀色のコートに身を包み、揃いの帽子を目深に被った青年が最後の一人。 車中は重苦しい沈黙と緊張感に満ちている。 それもその筈だ。彼らの目的は仲良くピクニックという訳でも、休日の終わりに急いで帰宅とい... -
完結した長編集
...<完結!> WHEN THE MAN COMES ARROUND (さい氏)<完結!> 修羅と鬼女の刻(ふら~りさま)<完結!> 項羽と劉邦(スターダストさま)<完結!> 涼宮ハルヒの正義、SOS団はいつもハルヒのちキョン(名無しさま)<完結!> 「人々は作者はしぇきさんであると噂しあった、そのSSや天晴れ、後書きの去り際も見事と」 Der Freischuts~狩人達の宴~(ハシさま)<完結!> 七クロ(クロさま)<完結!> ネクロファンタジア REVENGER and DEAD GIRL(ハシさま)<完結!> しけい荘戦記(サナダムシさま)<完結!> しけい荘大戦(サナダムシさま)<完結!> -
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...) バキスレにて「WHEN THE MAN COMES ARROUND」を連載中のまっぴー原理主義者さい氏のページです。 武装錬金への、まひろへの、ヘルシングへの、神父への、そして狂気への愛が伝わってきます。動画日記も必見。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (秘密結社グランドクロス団 銀成支部(スターダストさま) バキスレにて「永遠の扉」を連載中のスターダストさまのページです。 スレ掲載時には読めなかったオマケや短編なども読むことが出来ます。 バキスレにて「ヴィクティム・レッド」「シュガーハート&ヴァニラソウル」を連載中のハロイさまのページです。他所で掲載された質の高いSSを読むことが出来ます。 _ -
WHEN THE MAN COMES ARROUND (さいさま)45-7
――錬金戦団大英帝国支部 大戦士長執務室 防人は立ち尽くしていた。 自分一人が大戦士長の執務室に呼び出された事に。 いくら打ち解けて話が出来たとはいえ、目の前にいる人物は言わば“雲の上の人間”だ。 自分の所属している日本の戦団のトップである亜細亜方面大戦士長にも、防人はまだ会った事が無い。 また昨日あれだけの連帯感の無さをさらけ出しただけに、何とも言いようの無い緊張感が生まれる。 「何の御用でしょうか、ウィンストン大戦士長」 「別に用って用は無えよ。出発前に少し話でもしようかと思ってな。まあ、座れよ」 とても大幹部には見えないこのくだけた人物は、引っ切り無しに煙草の煙を吐きながら着座を勧める。 特に不機嫌そうな訳でもなく、初対面の時の気安さはそのままだ。 「はあ……。失礼します」 防人はおずおずとウィンストンと向かい合うようにソファに座る。 ウィンストンはくわえていた煙草を指に挟むと、... -
The World of GOLD EXPERIENCE -続・初流乃レクイエム-(名無しさま)
ナランチャ(以下ナ)「オーーーゥッ(Oh.)」 ジョルノ(以下ジ)「ヘイ、ナランチャ(Hey,Narancia.)」 ナ「オー、ジョルノ(Oh,Giorno.)」 ジ「今日の調子はどうだい?(What`s up?)」 ナ「めちゃめちゃよろしいで(Can`t be better.)」 ジ「すごいね今日も(You`re awesome.)」 ナ「もうここも二酸化炭素探知レーダー今日もこれ最高やろ今日、オーーーーゥッ(Look at my carbon dioxide detection radar.nice,huh?)」 ジ「なんだーいその機銃は! どこまで……(Wow! Your machine gun! You are...)どこまで僕を……(You are soooo...)」 ジ&ナ「魅了するんだーーーーーーい?(atractive.)」 ジ「でも、... -
七クロ 53-4
「ああ、行っちゃった……」 「おい、泣いてたぜ、あの子」 「ふん、思い通りならないからって、癇癪起して。子供はこれだから嫌だよね」 「……神山、いくら何でもそれは無いと思うぞ」 「なんだよ、林田君。僕はただ子供に現実というものを教えてやっただけだよ」 「それにしたって、言い方ってもんがあるだろう。どうしたんだ、お前らしくない」 「そうだな、今日のお前はおかしいぞ」 「な、何だよ、皆して。全く、面白くないな……オヤジさん、お酒!もっと 強い酒を持って来て!」 「へい、ただいま!」 「おい、おい、まだ飲むのかよ。いい加減にしとけよ」 「そうだぜ、飲み過ぎは体に毒だぞ。あと、いい加減、俺のカツラ返せ」 「もう、皆、うるさいなあ……オヤジさん、お酒まだ?」 「へい!今、お持ちします。はい、どうぞ!」 「お、来た来た」 「いや~、すいません... -
第九十七話「THE FOX AND THE GRAPES」
第九十七話「THE FOX AND THE GRAPES」 さっさと終わらせちまおう。西東はそう言った。 「これが小説ならば、もう読者が見たい部分は全部終わっちまったんだ。こんな場面、本来ならば書く必要などは ない。後から<こうこうこんなことがあった>とでも注釈を入れればすむような場面なんだ。だから――― さっさと終わらせちまおう」 そして西東は懐から、一丁の拳銃を取り出し、のび太に持たせた。 ずしりと重い―――人殺しのための鉄塊だ。 「人払いはしてある。しばらくは誰の邪魔も入らねえから心配するな。何も考えず、俺の脳天に向けて撃つ。それで 仕舞だ―――そうそう、一つだけ言わなきゃいけないことが残ってた。今回の勝負の結果についてだ」 「何か、文句でもあるの?」 「いや、文句は無い。お前が勝って俺が負けた。それには文句の付けようもないさ。だが、もしかしたらお前らはそれに ついて、運命を切り開... -
女か虎か(電車魚さま) 0:
"Tyger! Tyger! burning bright In the forests of the night, What immortal hand or eye Could frame thy fearful symmetry?" 「虎よ! 虎よ! あかるく燃える 闇くろぐろの 夜の森に いかなる不死の手 または眼が おまえの怖ろしい均整を つくり得たのか?」 ――William Blake "The Tyger" -
短編SS
60kb以下の短編達です。 【職人さん別 Index】 完結した短編達 サナダムシさま短編集 バキスレにサナダムシさまが投稿された短編の数々です。 連載中の短編 ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア(店長さま) 『絶対、大丈夫』(白書さま) 鬼と人のワルツ(鬼平さま) よつばと虎眼流(鬼平さま) 野比のび太(仮} (店長さま) ドラえもん のび太の新説桃太郎伝 (サマサさま) 無題(銀杏丸さま) 狂った世界で(proxyさま) カイジ外伝、やさぐれ獅子番外編(名無しさま) カシオスの冒険(名無しさま) ブルーグラード外伝(名無しさま) ドラゴンボール 恐怖!新たなる敵 DBIF(クリキントンさま) 再会(クリキントンさま) ... -
The Times They Are a-Changin' (銀杏丸さま)
人の定義は何か、と問われたら私は「己の意思によって立っている者」と応えるだろう。 運命などと、宿命などと、そんな言葉で私は己を偽らない。そんな言葉でこの教皇シオンは揺るがない。 ひなびた老人の、この私の、心の臓腑に突き立つ、黄金の拳を、運命などという言葉で諦観しない。 年老いたとてなおも鮮烈な赤、紅、朱、赫、あふれ出す血潮。 黄金に煌く聖衣を纏う少年、その野心に、その信念に燃えるその姿はひどくまぶしく思える。 今この哀れな老人を屠る少年の姿はひどく眩しい。 正邪など関係なく、その姿は人間なのだ。 死につつある私の体から、法衣を剥ぎ取り、教皇のマスクを奪い去る少年の姿は、 天を仰いで哄笑をあげる少年の姿は、冒涜的なまでに美しくおぞましいまでに純粋だ。 彼の意思はたった一つ、神を祓うこと。 この地上をいかなる神々の干渉から解き放つ、人の手による管理運営。 その果断を若いと... -
職人さん別 銀杏丸さま
短編 戦争を愉しむ者 kazikili Bey 七人の超将軍 無題 <連載中> VP <連載中> わがよき友よ 人生に乾杯を スノースマイル 天体観測 カルマ <連載中> 闘りゃんせ The Times They Are a-Changin' ヘヴィー・アーマー 長編 戦闘神話 <連載中> -
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バキスレ一時まとめサイト用wiki バレさんの要請により、このwikiはバレさんの更新を手助けするための保管所として存在していくことになりました。 バレさんの保管が現スレに追いつくまで更新させていただきます。 スターダストさんの作品『組曲ダイの大冒険』 熱さとネタと湿りのきいた名作です。 ご照覧あれ! 12/20 ネクロファンタジア REVENGER and DEAD GIRL(ハシさま)を完結した長編集へ移動。 12/03 女か虎か(電車魚さま)を長編SS Index へ移動。 11/15 遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~(サマサさま)を長編SS Index へ移動。 09/21 しけい荘戦記(サナダムシさま)を長編SS Index へ移動。 ジョジョの奇妙な冒険 第三部外伝未来への意思(エニアさま)を長編SS Inde... -
長編SS
60kb以上の長編たちです。といっても管理人が「これは長げぇ」という印象を持っていたら短い作品でも紛れ込んだりしますがご容赦ください。 【職人さん別 Index】 完結した長編達 虹のかなた(ミドリさま) AnotherAttraction BC (NBさま) バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~(17さま) 戦闘神話(銀杏丸さま) 永遠の扉(スターダストさま) 聖少女風流記 ハイデッカさま シルバーソウルって英訳するとちょっと格好いい (一真さま) オーガが鳴く頃に(しぇきさま) フルメタル・ウルヴズ!(名無しさま) ヴィクティム・レッド(ハロイさま) シュガーハート&ヴァニラソウル (ハロイさま) その名はキャプテン・・・(邪神?さま) 脳噛ネウロは間違えな... -
完結した短編集
素晴らしい国(キノの旅)(名無しさま) ある昼休み (鬼平さま) 二重の極め (鬼平さま) 無題 43スレ201さま 戦争を愉しむ者 (銀杏丸さま) Will Meet Again (さいさま) 一寸先は (しぇきさま) クロノート (41さま) kazikili Bey (銀杏丸さま) 18禁スーパーロボット大戦H -ポケットの中の戦争-(名無しさま) 強くなるのは、なれるのは(ふら~りさま) 魔法少女リリカルなのは外伝 ~恋は永遠の魔法なの~(VSさま) (掛川宿の噂「作者はVSさまだって!?」- まことであったか!!) 傷跡の記憶(流花さま) ハンバーガーにライ麦を(涼宮ハルヒの正義作者さま) (しぇきさま?) 力の解放 (名無しさま) サナダムシさん復活祈願! →... -
ドラえもん のび太の超機神大戦
サマサさまの作品です。 ドラえもん のび太の超機神大戦 第90話「最後の勝負・2」 ドラえもん のび太の超機神大戦 第91話「前夜・1」 ドラえもん のび太の超機神大戦 第92話「前夜・2」 93話「ラグナロク」前篇 94話「ラグナロク」中篇 95話「ラグナロク」後編 96話「待ち人」 第97話「THE FOX AND THE GRAPES」 第98話「さよなら!」 第99話「エピローグ」 第100話(最終話)「いつものように」 _ - @wiki全体から「WHEN THE MAN COMES ARROUND53-1」で調べる