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「終業式とはいえ、校長の話はあいかわらず長いなぁ。」
社会科準備室で、コジローはお茶を入れながらぼやく。
「うん…これからホームルームがあるってのに、生徒だけでなく、こっちもやる気が…」
日本史の先生が相づちを打つ。
「あ、スミマセン…俺は担任じゃないからって、身勝手な…」
「いいよいいよ、そのかわり、僕がホームルームに行っている間に、準備室の掃除を
お願いしていい?」
「おやすいご用ですよ。」
「じゃ、頼むよ。僕は職員室に行ってから、教室に行くから。」
「はい、まかせてください。」

 今日は終業式と、一学期最後のホームルームだ。コジローは担任を持っていないから、
少しは気が楽である。しばらく自分の席について一息入れていたが、ホームルーム開始の
チャイムとともに腰を上げて、社会科準備室を片づけはじめる。こまめに整理をしている
つもりではあっても、セットであるべき資料がバラバラになっていたり、適当に積み上がった
状態のままほったらかしにしてあったりで、多少時間がかかりそうだ。コジローが作業に没頭
していると、遠くから悲鳴とも歓声ともつかぬ声が聞こえてくる。おおかた、通知票が
配られはじめたのであろう。

「さて、早く片づけないと、あいつらの食事会に差し入れが間にあわねぇ…」
 終業式や始業式の日には、お昼前には部活を始められるから、みんなで道場や風通しの
いい木陰でで弁当を広げる食事会が恒例になっていた。キリノもそれを知っているからこそ、
みんなのためにメンチカツを…とコジローに持たせていたのだ。

「本や資料は片づいたから、後は机をぞうきんがけして、掃除機かな?」
キリノとの生活で、コジローにもそれなりの家事の能力がついてきたようである。


「やっぱりキリノ先輩のメンチカツはうまいなぁ…」
ミヤミヤと食べさせあいっこしながら、ダンが言う。
「そうだね。いいな、先生はいつもこんなうまいおかずが食べられて。」
ユージも口をそろえる。コジローとしては、妻の料理をほめられて悪い気はしない。

「先生、キリノ先輩にちゃんと感謝してる?いつもおいしいものを食べさせてもらって。」
ダンが突然矛先を変える。
「あ、ああ…そりゃちゃんと…」
「その動揺ぶりは…やましいところがありますね?」
忍まで厳しくツッこむ。
「ま、まぁ、最近は、ほら、成績処理とかで忙しくて…」
「言い訳無用!じゃ、今日は早く始めて、早く終わろうよ先生。そして陽が高いうちに
家に帰って、キリノ先輩に感謝の言葉を述べて、サービスをするんだ!」
ダンが立ち上がって、ビシッとコジローを指さす。

「サ、サービスってお前…」
「たまには花束でも買って帰ったらどうですか?」
忍が冷静に言う。

「あ、花束ね…なんだ…」
「なんだって、何を思っていたんですか?」
忍にじろりとにらまれて、コジローは返事ができない。そこへダンのビシッとした声が。
「よし、それじゃぁ、食事の消化を待って30分後に整列。今日は4時半終了!」
「「「「おおっ!」」」」


「「「「「ありがとうございました、失礼します!」」」」」
「おう、気をつけて帰れ!」
「先生も早く帰りなよ!」
「うるせー、わかってらい…」

にぎやかな声を残して、部員たちが引き上げていった。
「さて、せっかくあいつらが気を使ってくれたことだし…」
コジローはさっそく更衣室に向かい、汗を流し始めた。

 荷物を取りに社会科準備室に向かうと、日本史の先生が待っていた。
「あ、石田先生。片づけご苦労様でした。ありがとうね。」
「いえいえ、そんな…」
「ところでさ、これから国語科と社会科共同で一学期のお疲れさま会があるけど、
石田先生もどう?行かない?」
「え、お誘いはありがたいんですが…」
「ああ、会費なら、吉河先生の知り合いの店でやるから安くすむよ。」
「いや、たまには、その…」
「あ、そうか…うん。そうだね、いつも遅くまで頑張っているから、たまには早く帰って
あげないとね…」
「はぁ、まぁ、その…」
「うんうん。新婚さんだねぇ…石田先生の新婚生活、みんな聞きたかったと思うけど、
僕がうまく言い訳をしておくよ。」
「スミマセン…」
「そうと決まれば、早く帰った帰った。」


(しかし、花束って…この辺に花屋ってあったかなぁ?)
インテグラを運転しながら考える。信号待ちで止まったときに、右斜め前方に大型スーパーが
あるのが目に入った。
(あそこならあるかな?)
信号が変わると同時に、コジローはウィンカーを出して、スーパーの駐車場へと入っていった。

「しかし、どれにするかな…」
花屋の前に並んでいる花を見て、コジローは一人ごちた。
「えらく種類があるし、結構いい値段するし…」
あんまり見ているうちに考えがまとまらなくなってきた。店員の顔も怪訝なものに
なってきている。

「このさい、シンプルにバラでいくかね…って高い!」
結局コジローはバラを一輪だけ買うことにした。

 駐車場から、コジローは妻に電話をする。
「あ、キリノか?俺だけど。」
『オレオレ詐欺は間に合ってます。』
「おう、詐欺じゃなくてホントの話だけど、今日は早く帰る。後10分くらいかな?」
『そうなんだ。じゃ、夕飯の準備を始めるね。』
「ああ、頼むな。」


 ピンポーン
『ハーイ。』
「キリノ。ただいま。カギを開けてくれないか。」
『ウン。』
ガチャガチャ音がして、ドアが開き、妻の顔がのぞく。
「お帰り、センセー。一学期ご苦労様。」
「ただいま、キリノ。キリノこそいつも俺のためにありがとう。愛してる。」
そう言ってコジローはバラを差し出す。しかしキリノは硬直して動かない。

「おーい、キリノ…」
「センセー、もう一回…」
「ん?」
「もう一回言って…」
「何回も言ったら、ありがたみが…」
「お願い…」
「わかった…キリノ。いつもありがとう。愛している。」
「エヘ、エヘヘヘヘ…」

 キリノは頬をゆるませると、コジローの胸元に顔を預けた。
「おい、汗くさいぞ。」
「いいの、あたしのために頑張ってくれている証拠でしょ。だからセンセーの汗の臭い、
好き…」
「キリノ…」

 コジローとキリノの視線が絡み合い、どちらからともなく唇が重なった。しかし、
焦げ臭い香りに二人は身を離す。
「おい、キリノっ!」
「そうだ、お肉を焼いていたんだ!」

 二人はあわてて家の中に飛び込んだ。


「センセー、ゴメンナサイ…お肉少し焦げちゃった…」
「まぁ、俺も悪かった、柄にもないことをして、びっくりさせて…」
「ううん。でも、うれしかった…」
「あー、でもホント、キリノには助けられているよ…いつも、うまい飯を用意してくれるし。」
「うーん。でもまだまだ未熟だなぁ。今日のお肉だって、お母さんが先生にって…」
「お義母さんが?」
「うん。今日で一学期も終わりでしょ?だからおいしいお肉とお酒で疲労回復をって…」
「なるほどね。道理でワインなんかもあるわけだ…よし、ありがたくいただきますか…」

 二人でささやかな晩餐をとる。ワインを差しつ差されつ、落ち着いた時間を過ごす。
ここ最近少なかった会話も弾む。デザートを食べ終わる頃には、ほどよい酔いが
回ってきた。

「ねー、センセー。」
「どうした?」
「そろそろ、お風呂入れるね。」
「あ、ああ…」
キリノが立ち上がって風呂場へ向かう。金曜日、明日からは連休、夜も更けたと三つ
そろうと、若い夫婦がすることは…特に声をかけなくても、二人ともわかっていた。

 キリノが先に風呂を使い、その間にコジローが食事の後かたづけと、自分の胴衣の洗濯を
する。それらが終わる頃には、キリノは風呂から出て、身支度をしている。

 入れ替わりにコジローが風呂に入る。道場でシャワーを浴びてきたとはいえ、やはり
湯船に身を横たえると、気分が落ち着く。
「やれやれ、極楽極楽…」
ついついそんな言葉も出てきてしまう。


 風呂から上がる頃には、コジローの酔いも少し醒めてきていた。バスタオルで汗を拭き、
ドライヤーで軽く髪を乾かす。それから簡単にシャツとパンツを着た。
「さて、お待ちかねだろうな…」
そうつぶやいて寝室へ向かう。寝室のふすまを開けると、電気は消されていて、
枕元の電気スタンドが白々しい光を放つ。
「センセー、は、や、く」

 彼の妻は掛け布団をめくりあげ、コジローを誘う。ワインの酔いが残っているのだろうか、
いつもはこんな大胆なことはしない。彼女はピンク色のパジャマを着てはいるものの、
ボタンを全て留めていないので、電気スタンドのわずかな光で、胸の膨らみや腰のくびれが、
なまめかしい影を投げかけている。
(これが酔っぱらったキリノか…)
 コジローはゴクリとつばを飲み込むと、そそくさと布団に潜り込む。そのままキリノが
コジローに上から抱きつき、唇を求める。キリノの方から積極的に舌を差し込みねぶる。
静かな寝室に、びちゃびちゃという音だけがこもる。

「「ぷはぁ…」」
自然と唇が離れる。二人の間には透明な糸が残る。
「もう、センセー…わざわざシャツを着なくても…」
「でもなぁ…」
「はい脱ぎ脱ぎしましょうね、バンザイして…」
コジローは素直にバンザイをする。キリノの手によって、シャツが脱がされる。
脱ぎ終わったと思ったら、ガチャリと音がして、コジローの手首には金属の
冷たい感覚が。


「おい、キリノ…これって…」
「お察しの通り、手錠でーす!」
「そりゃわかるわい!何で手錠をかけるんだよ!」
「だってさ…いつもセンセーにはいいように攻められっぱなしなのが、なんだか
くやしいし…それに今日はセンセーも疲れているだろうから、あたしの方が
積極的に動いた方がいいかなーって思って。」
「だからって…」
「もう、たまにはいいでしょ…」

 キリノがまたもコジローの唇をふさぐ。さっきよりも情熱的に唇を絡ませる。それだけ
ではなく、キリノの舌はコジローの耳の裏やら、首筋やらを這い回る。
「うふふふふ…いつもセンセーにされていることのお返しだよ…」
コジローはなんだかむず痒い感覚にとらわれていて、キリノに返事をするどころではない。

 顔だけでなく、身体の上から順番に下の方へ。舌だけでなく、唇や指も動員して、
コジローを責め立てていく。キリノのパジャマはいつの間にか脱げてしまっていた。

「お、おい…キリノ…」
顔をゆがませながらコジローがいう。
「ふふっ…センセー、カワイイ…」
いつになく上気した顔で、キリノがコジローを見下ろす。
「じゃ、もっと頑張るね!そういえば、ここ弱かったよね…」

 いつぞやのラブホテルで発見したコジローの弱点をキリノは的確に攻める。
「ちょ、キリノっ…そこ、くはぁ…」
「んー。困った顔も大好き…えへへへ」
そう言いながらキリノはコジローの鼻を咬む。
「おま、今日は…なんで…」
「もう、センセー、いいじゃない、たまには…あたしはセンセーしか知らないんだから、
あたししか知らないセンセーの弱点を知りたいの…」

 キリノはそう言うと、またしてもあちこちに舌を、唇と、指を這わせる。
「お、おい…そ、そこはだめだ…」
「うーん。ダメ。だって、あたしがダメっていっても、センセーは止めてくれないじゃない…」
キリノは拗ねるようにいうと、愛撫を続けるのであった。


「センセー、それじゃ挿入るね。」
「ああ…」
キリノもコジローももはや完全に裸になっていた。コジローはキリノの愛撫によりかなり
体力を消耗していて、もはや対して抵抗する姿勢を見せない。

 キリノがコジローの下半身に覆い被さる。
「あ、入った…」
キリノはそうつぶやいた後、なおも腰を進めていく。徐々に二人を快感が包む。
「あん!」
最後まで収まり、コジローの男根がキリノの子宮口をノックしたのか、キリノが
軽く声をあげる。
「えへへ…それじゃ動くね…」

 少しずつキリノが動く。最初は単純な上下動から。
「あん、ううん…ああ…ねぇ、センセー、気持ちいい?」
「ああ、いいけど…」
「けど?」
「手錠を、外して欲しいな…」
「まーだ、そんなことを…えい、言えないように…」

 次いで左右に…円を描くように…キリノの動きに会わせて、結合部からは
ヌチョ、ピチャ、ジュクという音が響く。同時に結合部からわき出す快感が、
二人を徐々に支配する。
「やん、くはぁ…イイ…」
「キリノ…スゴイ…お前のここ、凄く泡だって…」

 いつになく興奮するのか、キリノはいつになくコジローの男根を締め上げる。
いつもと違う強烈な締め上げに、コジローが悲鳴を上げる。
「キリノ…もう、ダメだ…出そうだ…」
「あん、はぁん、だ、だめ…もう少し…我慢して…」
いつもはキリノを泣かせて(この場合鳴かせてか?)いるコジローが、
キリノに懇願しているのだ。キリノの背中にぞくぞくとした快感が立ち上がる。
それがまた彼女の膣をなまめかしく動かす。

「う、うぉっ!」
コジローが思わず叫ぶ。どうやら本当に限界なようだ。
「センセー、中にたっぷり出してね…」
キリノはそう言うと最後とばかりに締め上げる。
「つっ、くぅっ…」
「あん、あぁぁぁぁぁん!」


 キリノは快感が全身を貫いているのか、身体を大きくそらす。やがて力つきたのか、
ドサリとコジローの上に崩れ落ちた。
「キリノ…大丈夫か…」
「うん。センセー、ゴメンね…」
「まぁ、程々にしてくれな…」
「うん…」
「ところで…」

 というが早いが、コジローは両手が使えないにも関わらず、キリノがイッたばかりで
満足に身体が動かないのをいいことに、器用にキリノと身体を入れ替えた。
「えっと、まさか…」
「カギはどこかな…」
コジローはキリノに馬乗りになったまま、枕元をゴソゴソと探す。手錠が入っていたと
おぼしき箱を見つけたので、軽くふってみる。軽い金属音がしたので、開けてみると、
小さなカギが出てきた。コジローは何とかしてカギを外す。

「ふっふっふ…キリノ…」
「えーと、えーと…」
「反撃開始ー!」
そう言うとコジローはキリノの中に、今度は自らの意志で挿入るのであった。


 次の日、コジローが目を覚ますと、彼の妻の姿は寝室にはなかった。
「やれやれ、今日も練習だしなぁ…ちょっと昨日は頑張りすぎたかな…」
そう言いながら、ノロノロと着替えを済ませる。
「さて、メシはできているかな?」
そうつぶやきながら、ふすまを開けようとして、隣からの声に気づいた。

『センセーもお肉おいしかったって…ありがとうね』
(お義母さんと電話かな?)
『うん。最初はうまくいったけど、逆襲されちゃった…』
(あり?まさか…)
『やだー、お母さんったら…そんな』
(いったい次は何がおきるのやら…)

 コジローはしばらくふすまの前で硬直して動けなかった。おかげで部活に遅れて
ダンや忍にどやされたのは言うまでもない。

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最終更新:2008年10月27日 23:05