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身も蓋も無いことを言えば。
もとより性欲などというものは子孫を残すための「本能」なのであって、人間のメカニズムの一つにしか過ぎない。
それは自分の遺伝子を遺し、種を途絶えさせないためのもの。

だから逆に言えば、その種が永遠に滅びないと言う確証さえあれば、性行為は必要ないことになる。
現実にそれはありえないことだ。すべての命には終わりが来る。
それはこの世界に生きる全てのものに適応するルールなのだから。
けれどそれから外れたものがいるとすれば、それからは性欲は排除されるのではないか。
そう考えて、ティトォは自分から性欲が消え失せた事を納得した。
それまでに数年掛かった。納得し、受け入れるまでの期間。
わかってはいるが、普通の身体ではないということは、そう言う点でも堪えた。
他の二人に直接尋ねる事は出来なかったが(というか出来るはずが無い)、
恐らく彼女らも同様だったのだろうと推測出来る。
己が永遠に生きるのならば子孫は必要ない。
その上、特殊な――――他に類を見ない身体の構造をしているからである。
星のたまごの影響も絡んでいるのだと思う。
けれど、どうしてだろう。
自分の下で赤い顔をしているリュシカを見ながら、ティトォは自問した。

どうして今更になって、それをしたいなどと思ったのだろう、と。


「・・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・・」

お互い黙ったまま、視線を合わせようともしない。
世界一の大国、更にそのお城の中にあるベッドは、肌触りがよく心地いい。
しかし今の彼らにそれを味わう余裕などなかった。

(どうしよう)

そもそもどうしてこうなったか。他愛も無いことだった。
お互い好意を抱いている男女が行き着く先としてはごく当然のものと言える。
更に、いつまたあのヨマのような強敵が襲ってきて、いつ誰が死ぬと解らない、そんな不安な状況。
先の見えない現状で、急ぐように求めてしまった。雰囲気に流されてしまった。
シャワーを浴びてベッドに入るまで、その雰囲気が冷めなかったほうが奇跡なのだ。
そして今、麻痺していた思考が復活した。


(・・・・どうしたらいいんだろう)

ティトォは額に汗が浮かんでいるのを感じながら逡巡する。
焦っているのが自分でも解った。こう言う時に限って知識は思うように働いてくれない。
――――知識はあれども実践していないのだ、どうすればいいのか解る筈もない。
薄暗い闇の中で、白くリュシカの肢体が見える。
それだけで既に自身は疼き始めていた。百年間微動だにしなかったものが。
何で今になって、とティトォは必死に考えたのだが、答えは見つからない。
強いて言うなら、星のたまごの不調の一種だろうか。マジックパイル実験の影響だろうか。
それとも――――、

「・・・・・・・あの」
「はっ、はいっ!?」

急に破られた沈黙に、必要以上のリアクションで答えてしまう。
リュシカは先程よりもずっと赤い顔をしていた。胸の上で手を軽く組んでいる。
顕になっている胸部を隠そうか隠すまいか、悩んでいるように見えた。

「・・・・・やっぱり、やめませんか?」
「・・・・・な、なんで」
「なんだかはずかしい・・・・・・じゃなくて、・・・・・・まだ早い気がして」

そう言うとリュシカは顔を逸らす。髪の間から見えた耳元は、頬よりも赤い。
言葉どおりに恥ずかしがっているのだろう。
だが、それはティトォも同じ事で、――――早いと思うのも同じことで。

「・・・・・・そうかな、やっぱり・・・・」
「・・・・・」

リュシカはまた黙ってしまう。言葉を出すことすら勇気がいった。
けれどここでやめたならそれこそ中途半端だ。
恥ずかしいし、早いかもしれないけれど、それでもここでやめたなら、明日からどんな風に顔を合わせればいい?

「・・・・・怖い?」

敢えて、真っ直ぐ目を見ようと試みた。言葉を受けて、リュシカはすぐさま首を横に振る。

「そういうことじゃ、ないんですけど・・・・・ティトォさんなら大丈夫だって思いますし」

経験がないという旨は、みっともないながらもすでに伝えてある。
だからこの場合の“大丈夫”はつまり“優しくしてくれる”という意味の言葉だろうと推測できた。
そう思ってくれているのは嬉しいのだが、

「・・・・・嘘でしょ」

ティトォが言うと、リュシカがばつの悪そうな顔をした。


怖くないはずが無い。未知の領域に入る際に怯えるのは当然の事だ。
ややあって彼女は視線を逸らし、本当に小さく頷いた。
目を凝らしていなければ解らないほどの、とても小さな肯定だった。

「怖いです」
「やっぱりね。ぼくも怖いよ」
「・・・・・じゃあ、やっぱり」

二人の視線が交差した。 しかし、リュシカの目に映ったのは、――――意地の悪そうなティトォの微笑み。

「でも、やめない」

そう言うと、何かを言いかけたリュシカの唇を、唇で塞いだ。
不安そうな彼女の顔を見ていたら、あれこれ考える必要はないと、思ったのだ。
というよりか、あれこれ考えている暇はないと思った。
自分のほうがずっと年上なのだから、導いてやらねばならない。
例え何もわからなくても。
「ん、」

唇を重ねながら、組まれた手を解く。
ほんの僅かな抵抗があったが、すぐに胸部が顕になった。と言っても、目を瞑っているから見えないのだが。
こうなったら手探りだ。滑らかな肌の中で、特に柔らかい―――が芯のある場所に到達する。
リュシカがびくりと背中をしならせた。

「ふぁ」

息を吸おうと僅かに離れ、開いた口に、ティトォは舌を滑り込ませる。
リュシカは反射的にシーツを強く掴んだ。
左手で身体を支え、右手で胸を撫で、舌は休むことなくリュシカの口内を蹂躙していく。
溢れた雫が口の端からこぼれた。
取りあえずはこうして性感帯を刺激していれば、性行為は成り立つ―――らしい。
ティトォは自分の情けなさに辟易する。100年生きてきた中で一番焦っている気がしていた。

「ふ・・・・」

息が苦しいのと、頭がぼうっとしてきたので、唇を離す。銀糸が伸びて直ぐに切れた。
リュシカは肩で息をしている。
少しやりすぎたか、と思ったのだが、リュシカの表情はどこか穏やかな色を含んでいた。


だが直接触っている部分を見る勇気―――というか気概はない。
見ないまま、妙に硬くなってきたその部分に違和感を覚えて、何となく摘んでみた。

「ひあっ!」
「え?あ、痛い?」
「い、いえ・・・・そうじゃない・・・・んですけど・・・・」

リュシカはそれきり、顔を真っ赤にして黙ってしまった。
ティトォはどうしていいものか暫し悩んだのだが、痛いのでなければ大丈夫だと判断する。
掌全体で乳房を押し上げると、リュシカが悩ましげに息を吐いた。
声があがらないのにちょっとだけ不満のようなものを抱いて、もう一度、硬くなった頂点を摘み上げる。

「んっ」

――――どうやらここが敏感らしい。ちょっと悪い気もしたのだが、ティトォは摘み上げたそれを擦ってみた。

「ふ、んんっ」

どうしてだか、その声をもっと聞きたいと思った。
右手を彼女の頭の脇に置いて、今度は左手で、左胸を弄る。
天辺の柔らかい場所に指を這わせば、リュシカは震えた吐息を吐き出した。

「リュシカ、・・・・声、我慢しなくていいよ」

リュシカは首を横に振って拒否する。

「・・・・・恥ずかしいです」
「もうとっくに恥ずかしいことしてるじゃない」
「・・・・・でも・・・・・いやですょ・・・・・」
リュシカの気持ちは解らないでもない。
だが、ティトォとしてはその声が聞きたくて仕方がないのだ。
だからちょっとずるいと思いながら、リュシカが油断している間に、左手で硬くなった天辺を摘み上げた。
「んあっ!」

案の定、声があがる。自身が疼くのを感じた。
左手でこりこりと硬くなった部分を弄りながら、今度は舌で右のそれを刺激する。
理性などどこかに吹き飛んでしまったようだった。

「うぁ、ティトォさ、いや、あっ!」

リュシカの手がティトォの左手と肩を掴むが、力が抜けているのか弱々しい。

「や、んっ、・・・・・うんっ」

リュシカの声はティトォの愛撫にあわせてあがる。
それはどんどん艶やかになっていき、彼を膨張させるには充分だった。


ひとしきりその声を堪能したあと、ティトォは自身がもう抑えられないことを悟る。
荒い息をしているリュシカと目を合わせた。
彼女の表情は蕩けていたが、その中にどこか拗ねたような色を滲ませていた。
しまった、と、どこかに行っていた理性が戻って来る。

「・・・・・リュシカ、・・・・・えーと、ごめん」
「・・・・・ひどいです・・・・・」
「う・・・で、でもほら、可愛かったよ」

フォローのために言った言葉は、更にリュシカを赤くさせてしまう。
リュシカはぷいと視線を逸らそうとし、暗闇の中になにやら赤黒い物体を見つけた。
彼女の太腿の辺りに、それは浮いている――――ように、見えた。

「・・・・」
「・・・・リュシカ?」
「・・・ティトォさん、それって」
「え」

リュシカが指さしたほうを、ティトォが見やる。
そして次の瞬間、

「うわああああ!」

ティトォは素っ頓狂な声を上げて、慌てて手でそれをリュシカの視界から覆い隠した。
いつのまにやらとんでもなく膨張してしまっていたのだ。
意識してしまえば、我慢の限界が近いことがわかった。
リュシカはそんな彼をきょとんと見ていた。
が、位置関係やティトォの慌てぶりから、彼女なりに考えて答えを出した。

そして、赤面した。

「ちっ、違うんだよリュシカ、これはそのえーと」
「・・・・意外と・・・・」
「へっ?」
「い、いえ!何でもないです!」

素直な感想を言いそうになった自分を律し、リュシカはひきつった笑顔を見せた。
二人はしばし気まずい空気の中に身を置いていたのだが、――どうにかしなければならないのだ。
ここまでしたからには続きが必要である。
沈黙を破ったのはティトォだった。

「・・・・い、・・・・・いれて、いいかな」

単刀直入な言葉にリュシカは僅かに怯んだが、

「い・・・いいんじゃないでしょうか」
「だ、大丈夫?」
「たぶん・・・・」

頼りない返事である。


それでも、もう挿れない限りは収まりそうにも無かった。
そもそもこの行為は、それを目指して行ってきたものではなかったか。

「・・・じゃあ」

言って、ティトォはその場所へと手を伸ばした。リュシカがあれっという顔をする。

「ティトォさん、・・・・・それ・・・・じゃ、ないんですか?」
「う、うん。いきなりこれは心配だから」

傍から見ていると訳の解らない会話である。
リュシカは小さく頷いた後、再びシーツを強く掴んだ。恥ずかしさで死んでしまいそうだ。
ティトォはティトォで、恐る恐る手を伸ばしていった。
茂みに手が触れると、リュシカの腰がびくりと震える。
そして意を決して、更にその下まで這い進んだ。

「・・・ふ・・・・ん・・・・」

触れた彼女の秘部は、充分に湿っていた。ぬるりとした液体が指に纏わりつく。
これがいわゆる挿入の際の潤滑油として役割を果たすのか、と安心感を抱く。
指を動かすたびに水音がして、それが更に彼を掻きたてた。
リュシカは真っ赤な顔で、やはり耐えている。
入り口と思しき場所に辿り着いた―――――と、何か突起を見つけた。
ふと抑えがたい興味が湧いて、そこを撫でてみる。

「ひゃあっ!!」

胸を弄っていたときよりも大きな声があがって、ティトォは驚いて手を離してしまった。
リュシカも自分がどうしてそんな声をあげたのか、よく解らないという顔をしている。

「ごめんリュシカ、大丈夫?」
「へ・・・・・あ、は・・・・・はい・・・・・」

ほっとして、ティトォはまた指を這わせる。今度はそっと、その何かを指の腹で撫でた。

「ひぅっ・・・・ん、あっ!」

くちゃ、と粘着質な音がする。その場所を刺激するたびに、蜜は次々と溢れ出てきた。
もう充分だと思われる。ようやっと入り口に辿り着いて、中指をあてがった。

「あぁ・・・・・あ」
「リュシカ、・・・・挿れるよ」
「は・・・・・い」

入り口とはおおよそ言えないような小さな穴に、半ば無理に中指を押し進めた。
シーツに大きな皺が出来る。柔らかな壁が指に纏わりついてきた。

「んっ・・・・・」

彼女の声には不安が混じっていた。ティトォは軽く呼びかけると、その唇にキスを落とす。
リュシカの力が僅かだが抜けた。
それを確認してから、根本まで入った指を、中で僅かに動かしてみる。


「は・・・あ・・・・・・っ」

先ほどの胸への愛撫とは違い、それは僅かな不安を孕んでいた。
この場所は誰も立ち入った事の無い未開の道のようなものなのだ。
ティトォは知る由もないが、リュシカは自分で挿れたことも無かった。

「ひあ、あっ、ん!」

頃合を見て、人差し指も挿入した。
指を膣内で動かすたびにリュシカは嬌声を上げ、水音が暗い室内に響く。
その間にもティトォの半身は疼きつづけていた。
だがこうしてほぐしておかなければ、リュシカの感じる痛みは大きい。
――――その不安から、痛いほど張り詰めている自身も耐えられる。
それでも僅かに焦って、二本の指をばらばらに動かしてみた。

「うあっ、あっ、ああっ・・・・・ふああっ!」

リュシカはもう声を我慢しようともしていない。背が弓なりに反って、小振りな乳房が揺れる。
もう充分だ、と考えて、ティトォはそっと指を抜いた。
手は溢れ出した液体で濡れているが気にならない。
そうして、真っ赤な顔をして荒い息をしているリュシカの首筋に口付けた。
白い肌に赤い印がつく。

「リュシカ、挿れるよ」
「・・・はい・・・」
「痛いだろうけど・・・・ごめん」
「・・・ティトォさんが、謝る事じゃないですょ。・・・・大丈夫です」

じくじくと濡れた入り口に、ティトォ自身がぴたりとあてがわれた。
指よりもそれは、一回りも二回りも大きい。
やはりまだ不安はあり、ティトォはベッドの両脇に投げ出されているリュシカの細い腕を見やった。

「リュシカ、腕、ぼくの背中に回して」
「え・・・・だ、駄目です、爪立てちゃいますょ」
「いいんだよ。その方が安定するでしょ」
「・・・・でも」
「傷なら後で治せるから。ね」

汚れていない方の手で、リュシカの髪を梳くと、ティトォは柔らかく微笑んだ。
リュシカは渋ったものの、やがておずおずと彼の背中に両手を置いた。
一方で、百年ぶりにその役目を取り戻しているそれは、今か今かと言うように透明な液を零した。

リュシカの掌の温もりを背中に感じる。
今更ながら、今までで一番近い距離にいるのだと気がついた。
心臓が高鳴る。


ティトォはふと、目を閉じてその時を待っているリュシカの耳元へと口を寄せた。

「リュシカ」

ぴく、とリュシカが頬を震わせた。
自分では駄目なのかとか、一緒にいたいとか、お互いそんな抽象的な言葉しか言ってこなかった。
直接思いを伝えてはいない。それで十分だと思っていたけれど、
―――何故だか、無償に伝えたくなった。
ティトォはふと微笑んで、大切なその少女の耳元で囁く。

「好きだよ」

弾かれたように開いた目が、ティトォを見た。
潤んだ緑色から透明な雫がぽろりと零れる。驚いたような表情はやがて、幸せに染まっていく。

「・・・・・あたしも・・・・・大好きです」

目を細めて笑う。
リュシカの潤んだ瞳が、橙の小さな灯りを受けて、綺麗に光った。
二人はどちらからともなく、もう何度目かわからない口付けを交わす。
そして、いよいよその領域へと進んでいった。
ず、と狭い入り口に押し込んでいく。
子孫を残せないであろう彼自身。けれども、この行為の目的は何もそれだけではないのだ。
心の底から愛しいと思う相手と、本当の意味で一つになること。
それを幸せと言わずしてなんと言えばいいのか。

「う・・・・・・んっ・・・・」

リュシカがうめく。それの大きさは指の比ではない。ティトォの背中に小さく痛みが走った。

「く・・・・」

押し進めていく方も大変だった。何せかなりの力で締め付けられているのだ。
百年間忘れていた射精欲が一気に高まるのがわかった。
落ち着け、まだ駄目だ、と自身に言い聞かせながら、ゆっくり進んで行く。

「ふぅっ・・・・・う、・・・・んんっ・・・・・う!」

リュシカの声は、苦痛一色に変わっていた。
ティトォが彼女の中を進んで行くほどに背中には痛みがあり、リュシカの声と息は詰まっていく。

「リュシ、カ」
「は・・・・・」
「・・・・・リュシカ、行くよ・・・・・!」

その先には進めなくなっていた。何か薄い壁が行く手を遮っている。
これが文字通り、最後の壁なのだと悟った。
リュシカがぎゅうと目を瞑り、こくりと頷いたのを見、ティトォは一気にそれを貫いた。

「――――い、ああああああああああああああ!!」

ぶち、と嫌な音がしたかと思うと、リュシカが悲鳴を上げた。


同時に、汗で薄まった血がティトォの背中から落ちた。
ひりひりとした痛みは、爪が皮膚を突き破ったためだろうか。
二人が繋がった場所からは、純潔を失った証が零れてきていた。真っ白なシーツに赤色が広がっている。

「はあっ・・・・・・は、・・・・あ・・・・・」
「リュ、シカ・・・・・動、くよ」

突き上げてくるような快感に目眩を覚えつつ、ティトォはリュシカの頬に手を添え告げた。
リュシカの涙が掌に滲んでいく。苦痛の中で、リュシカは弱々しく笑って見せた。
本当は辛いだろうに。ティトォもそれに応えて微笑む。
動かしたら直ぐに達してしまいそうだったが、何とか堪え、ゆっくりと後退した。

「う・・・・くう、・・・・い・・・・たっ・・・・・・」

秘部からは絶えず淫靡な水音が響いている。
半分ほど抜いた後、同じような速度で再び壁を掻き分けて進んだ。

「んんっ、う・・・・う・・・・・んぅっ・・・」

リュシカは下唇を噛み締めていた。涙と汗が混じって、顔はくしゃくしゃだ。
ティトォはそんな彼女を出来るだけ気遣ってやりたいと思っていた。
だが、予想以上の感覚に視界がちかちかとしてしまって、とてもじゃないが意識を散らす事など出来はしない。
単刀直入に言えば、気を抜いたらすぐに出てしまいそうだということだ。
それでもせめて、リュシカが慣れて、楽になるまでは果てまいと決めた。

「リュシカ、・・・・・リュシカ!」
「うあ、ああっ、ティトォ、さ、あたし、あ、こわいっ」

リュシカの腕の力が再び強くなる。
その声から、リュシカの中で何かが変わって来ているということが読めた。

「リュシカ、大丈夫、だよ」
「はあっ、あ、へんなの、あたし、んっ、はぁっ!」
「ぼくも、なんだ、か、う・・・・あ」

リュシカが泣いて縋るたび、膣内は熱を帯びて締め付ける。
同時に、ピストンを繰り返すティトォもその中で更に大きさを増した。

「ひあぁ、あ、ティトォさん、ティトォさ、ああっ、はっ!」
「リュシカ・・・・リュシカ、もう・・・・・あ、うく・・・!」

きつく閉じていたリュシカの目は、いつしか薄く開いていた。涙はまだ流れている。
その瞳が熱に浮かされているのを見て、ティトォは察する――――リュシカ“も”限界が近い。
膣内に打ち付けるたび、粘り気のある水音が響く。
しかしそれも、いつしか高く大きくなっていたリュシカの嬌声にかき消されていた。


そしてその時は唐突に訪れた。
ティトォのそれが僅かにずれ、小さな突起部分を擦った瞬間。
リュシカが背を反らせて、悲鳴のような声を上げた。

「ふあ、あ、あ、ああああああああ―――――ッ!!」

膣内がびくびくと打ち震え、千切るのではないかというほどきつく締め付けた。
限界が近くなっていたティトォが、それに耐えられる筈もなく。
それは抜く暇も与えぬほど速く、あっけなく果ててしまった。

「く・・・あ!」

短い悲鳴を上げると同時に、リュシカの中にどろりとした液体が注がれる。
どくんとそれが射精するたび、リュシカが小さく声を上げた。
やっとの事で全て出し切ると、ティトォにもの凄い虚脱感が襲ってくる。
最後の気力をひり絞って彼女から自身を引き抜くと、這うようにしてリュシカの隣に倒れこんだ。

「・・・・はあ、・・・・は・・・・・・・・リュシカ、大丈、夫・・・・・?」
「・・・・は・・・・なん・・・・とか・・・・・」

リュシカは汗だくで、荒い息の中そう応えた。
天井を見つめる瞳は、相も変わらず昇天があっていない。時折思い出したように、身体が痙攣した。
つい先ほどまで誰の侵入も許したことの無い彼女の秘部からは、白い液体が零れ落ちている。
シーツには赤い染みがくっきりと残ってしまっていた。
ティトォはとりあえず、このままでは風邪をひくと思い、シーツを手繰り寄せてリュシカに掛けてやる。
その後に、躊躇ったが自分も身を寄せるようにして入った。

「・・・・リュシカ・・・・ごめん」
「・・・・? 何がですか・・・・?」
「ええと・・・・まあ、・・・・出来るってことは多分、ないと思うんだけど・・・・」
「何が・・・・で・・・・・」

ことん、とリュシカの頭から力が抜ける。
ティトォの方に顔を向け、そして彼女はそのまま寝入ってしまった。
よほど疲れたのだろう。ティトォは罰が悪いながらもホッとして、額に張り付いた前髪をそっと払ってやった。
そうすると、どっと疲れが押し寄せてきた。余韻に浸っている暇もないようだ。
――――正直、まだ信じられない。
不老不死で、他の人間と違う自分が、普通の少女と繋がるなどと。
その上―――――と、そこまで考えて、ティトォもことんと寝入ってしまった。

月明かりが部屋を照らしている。
静かな部屋に、二人分の寝息だけが小さく聞こえていた。


目を覚まして、目の前に人が寝ていることに驚いたが、ややもせずに昨夜のことを思い出した。
ティトォは身体を起こして欠伸を噛み殺す。昨夜は夢も見なかった。
このタイミングで夢を見るとなると、アクアやプリセラにからかわれかねないから、それは逆にありがたいことだった。
窓からは柔らかい日の光が差し込んでいた。
部屋に渦巻いていた熱気も、すっかりなりを潜めている。
本当にあれは起こったことなのだろうかと怪しくなった。

「ん」

その時、隣で小さな声が聞こえて、ああやっぱり夢じゃない、と認識する。
目を擦りつつ起き上がろうとするリュシカを、

「ストップ」

と制した。裸のまま起き上がられたら、この明るい部屋ではたまらない。
リュシカはまだ寝惚けているのか、枕の上に頭を戻されて、不機嫌そうな顔で見上げてきた。
が、すぐにその顔が驚きの色に染まる。

「・・・・ティトォさん?あれ?なんでいるんですか?」
「・・・・リュシカ、まだ寝惚けてるね。ほらちゃんとシーツかぶって」
「あ」

リュシカははっと口を開けると、慌ててシーツを口元まで引っ張り上げた。顔が瞬時に茹でダコのようになる。
お約束の反応に思わず笑みを零すと、リュシカは頬を膨らませた。
そんな彼女の髪を梳いてから、ティトォはぽんと頭に手を置いた。

「大丈夫?身体とか痛くない?」
「・・・・ちょっと、その・・・・まあ、痛いですけど、大丈夫です」
「魔法で治せないかなぁ」
「筋肉痛みたいなものだから、無理なんじゃないでしょうか」

「それもそっか。まあ、一応やっとこ」
「ありがとうございます」

枕もとに置いたライターを手にとって、とりあえずは背中の引っかき傷を治した。
すまなそうな顔をするリュシカに、ティトォは大丈夫だよと言って笑う。

「跡も残らないよ。残っても別に気にしないし」
「・・・・ごめんなさい」
「いいってば」

リュシカへも白い炎を移す。
かちりとライターを鳴らして火を消すと、ティトォは躊躇いがちに口を開いた。

「・・・・・それよりも、えーと」

ティトォがこほんと咳払いをするのを、リュシカは疑問符を浮かべて見やる。
ティトォはどう切り出そうか迷っているようだったが、やがて、

「リュシカ」

真剣な眼差しで彼女を見た。

「は、はい」
「・・・・責任はちゃんと取るから」

リュシカが目を丸くした。


「は、はい?」
「自分のしたことにはちゃんと責任持つよ。命が掛かってるし」
「え?な、何のことですか?」

リュシカは真剣な眼差しにたじろぎ、苦笑いを浮かべる。
ティトォは頭を掻きながら、申し訳なさそうに―――それでいて恥ずかしそうに、言った。

「だから、ほら、・・・・・こどもが出来たらって話だよ」
「は・・・・・・・・はいっ!?」
「ぼくは普通の人間と身体の構造が違うから、子孫が残せるかどうかはわからないけど、でも万が一ってことがあるし――――」
「でも、そそ、そんな、一回で出来るなんて、そんなこと」
「だから、万が一だってば」

お互いに真っ赤な顔をしている。
もしこの光景を見ているものがいるとしたら、全員が口を揃えて「け!!」と言うに違いなかった。
冷静に考えれば、不老不死の人間が子孫を作ることが出来るとなると、生態系がめちゃくちゃになるどころではない。
不老不死になるまえに受胎をしたプリセラはともかくとして、だ。
リュシカは少々頭に血が上っているティトォにそれを言い聞かせようかと思ったのだが、何となく、
(別にいいか)
と思ってやめた。

「・・・・じゃあ、ティトォさん」

ぺし、と腕を掴む。

「そうなったら、よろしくお願いします」

朝日に照らされて、リュシカが破顔する。
ティトォは内心ほっと胸を撫で下ろして、腕にかかったリュシカの手を、自分の手で握り締めた。

「うん」
「・・・・ティトォさん」
「ん?」
「ずっと一緒にいましょうね」
「・・・・もちろん」

握り締めた手は、昨夜と違ってさらさらと滑らかだ。
朝日の中で、二人は唇を重ね合わせるだけの、淡いキスを交わした。

そうして記念すべき彼らの初夜は、つつがなく幕を閉じたのだった。





おわり

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最終更新:2008年10月27日 23:13