「みさと第2部 ゆうき だお ◆oCJZGVXoGI」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
みさと第2部 ゆうき だお ◆oCJZGVXoGI - (2006/10/22 (日) 11:49:12) のソース
*** 18 名前: ◆oCJZGVXoGI 投稿日: 2006/10/21(土) 10:37:12 [ /.gvGWN. ] 性犯罪は増える、政府はどう対策するべきか法案をいくつも出したが現実的ではなかった。 原因を解明することもままならず、女性の出生率も確実に減っている。 成人した女性の3分の1は元男性だというし、男性を保っている者は性犯罪者の可能性も高いらしい。 俺の妹も中学2年の時に死んだ。 原因は自殺、犯人はまだ捕まっていない。 男でありたいという理由での暴行事件は年々増える、女性の自殺者の数も…だ。 吐き気がして俺はふらふら起き上がった。 妹は何度も、何人にも、小さな体を汚された。 たまにそのイメージが頭を巡って吐き気やめまい、鬱病のように死にたいとまで思う。 冷たい水をコップに入れて飲み、自分が涙を流していることに気がついた。 「ゆり…」 俺は守ってあげたかった。力がなくても支えてあげたかった。 血は繋がっていなかったが、仲の良い兄妹だったと思う。 「この街から離れよう」 両親の言葉に俺は頷いた。俺は狂いそうだった。 気がつくと自分の髪の毛を一本一本数えながら抜いていて、血が出るまで鉛筆で手のひらを突き刺していた。 好きだった剣道もやめた。 *** 19 名前: ◆oCJZGVXoGI 投稿日: 2006/10/21(土) 22:14:05 [ /.gvGWN. ] 「皆さん、えー…このクラスに新しい仲間が増えることになりました」 ざわざわと雑談を始めるクラスメート達を余所に先生は喋っている。 注意することも止めてしまった先生は俺の名前を呼んだ。 「山根 ゆうきさん」 「山根 ゆうきです」 先生が自己紹介をしてくださいというような視線を向ける。 「えっと………」 「じゃあ宜しくね、山根さんは…大鳥さん!あの子の後で…」 先生は後ろの方で突っ伏して寝ている生徒を指差した。 隣の女子が慌てて揺すると眠そうに顔をあげる。 そっくり…そんなのではない、あれは…。 「ゆり…?」 馬鹿な、有り得ない、解っているのに言葉が出る。 涙は出ない、ただ…虚しい。 「ん?俺は大島 みさと、よろしくっ!」 「あ…あぁ…」 笑顔があまりにも…口調以外全て似てる。 声も、仕草も、笑顔も…。 考えれば考える程、自分が自分じゃなくなる感じがする。 俺の15歳の誕生日を2ヵ月過ぎていた。妹が死んでから一年と2ヶ月……。 *** 20 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/10/21(土) 22:51:09 [ /.gvGWN. ] 「なぁなぁ、どこから来たの?都会?」 「……。ごめん、ちょっと一人になりたい」 「うー…。嫌われたかな…?ごめんね」 大島の声を無視する形になったが俺は平静を保ちながらやっと誰もいない場所を見つけ出した。 これは悪夢か…覚めてくれ…。 あの大島の笑顔や話を聞く度に憎しみと悲しみと…ぶつけられない虚しさが渦巻く。 涙が流れて、何かの糸が切れたかのように俺は泣き出した。 誕生日プレゼントなんていらなかったのに…。 死んだら…もう何も出来ないよ、俺が笑わせる事も、喋る事も、喧嘩する事も……。 気がついたら既に昼のようで、しばらく寝ていたらしい。 俺はふらふらとした足取りで教室に向かい自分の椅子に腰をおろす。 「あ。そこの人、いないよ」 「……?」 俺はここにいるのに何を言っているんだ? ふわふわとした長い柔らかそうな髪を持つのんびりした雰囲気の女も首を傾げる。 「うー…山根さん帰って来ないー…俺のせいかなぁ…」 「え~?みさとが悪いわけじゃないよ」 悲しそうな顔をする大島に山根は目を背けたくなるが無駄だった。 しかもまるで自分がいないような喋り方をしている…。 透明にでもなった気分だった。 「おい、俺はここにいる」 三人の視線に俺は不思議に思う。 どうしたんだ…? 「まさか…ちょっときてっ!」 長い髪の頭の良さそうで優しそうな感じの女に手を引っ張られ俺は女子トイレの鏡の前にたつ。 「そんなバカな…」 *** 21 名前: 名無しさん 本日のレス 投稿日: 2006/10/22(日) 01:35:37 [ PigN1skE ] 「有り得ない…誕生日からもう2ヶ月も経ってる…のに…」 「やっぱり…」 「まさか女になったのか?」 長い髪の女は大島に向かって頷くと鏡の中で悲しそうな顔をした。 「確かに女体化はすぐにしなかったかも知れないけど…確率が異常に高いのがこの時期なの」 ふわふわな髪の女がトイレを覗きながら言うと困った顔をする。 「山根さん…どうしますか…?早退なら先生に言っておきますけど…」 やはり顔に性格が現れるのだろうか?ふわふわとした髪の女は首を傾げる。 確かにこのまま授業は受けることが出来ない。 だが土地勘の無い場所でいきなり女になるとは思わなかった。 金には余裕がある、だがまだ店がどこにあるのかも把握していない。探検も好きだが…。 「あ…あのさ…よかったら案内しよっか?」 授業飽きちゃったしとぼやきながら嫌われたと思っているのか少し遠慮しているようだ。 ……いいか…この子は別人だ。何か悪い事をしてるわけじゃない。それに…話しかけてくれている。 「……わかった」 「ほんと…?やったぁ!!」 何が嬉しいのかと思ったらどうやら公認欠席として扱われるらしい。 こいつの狙いは最初からそこだったのか…。 「買い物買い物!!みさきダーッシュ!!」 「はいはい」 足立 みさき…は髪が長く知的な女性を思わせるタイプだ。喋り方に特徴があるが… 石田 みずき…は髪の毛がふわふわと波打っているような髪で光に当たって茶色に見える。 最後に大島 みさとだ。小さくて力も無い癖に生意気な喋り方で…顔は…普通だ。 「みずきもはよはよー」 「はーい、ごめんなさい、あの子あれでも優しい子なんです」 石田の言葉に俺は頷いた。 「石田さんもダーッシュ!!」 ……本当に優しいのか?あいつ…