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唯と稜 -symmetry0- AYA ◆zh2yobq4zs

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468 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 21:22:18.94 shTRFyxP0

「ねぇ…あっちゃん…どうしよう…」
 僕は駅前近くのファーストフード店内で。ストローを動かしながら、視線だけ
あっちゃんに向けながら言う。
「どうしようって言われてもさぁ」
 店の奥、ソファーのある場所が開いてたから、長々と居座っている。
 とは言え、学校の帰りだから、そんなに長くも無いけど。
「だって…。明日、僕の17歳の誕生日…」
「知ってる」
 一言だけ返された。
 だって、17歳まで童貞の男の子は、誕生日を迎えると女の子になっちゃうんだよ?
「でも、女の子になるなんて…」
「いいんじゃね?その方が向いてるよ」
 確かに、頼りない僕は女の子が向いてるのかもしれない。
「でもさ。あっちゃんも、同じ、でしょ?」
 ポテトを食べているあっちゃんに、そう言ってみる。
「確かに童貞だけど。…その時は、その時じゃないか?」
 その時は、その時って言っても…。僕も釣られてポテトを口に運ぶ。

 だって。僕が女の子になったら、あっちゃんはどう接してくれるんだろうか。
 あっちゃんは誕生日がまだでも、僕と違うから、いつかは、その、童貞じゃ
なくなるかもしれないし。
 そうなったら、いつかは、離れていってしまうかもしれない。
 あっちゃんは、僕の事を、どう思ってるだろう。
 もしかしたら、お荷物、かもしれない。
 あっちゃんは人がいいから、ただ一緒に居てくれてる可能性もある。
 今は男同士だから、こうして一緒に居てくれているんだったら。
 だったら余計に、女の子になるのが怖い。
 唯一の繋がり、同性で無くなるのが、僕は怖かった。


469 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 21:25:04.46 shTRFyxP0

 気を落としながら帰途に着き、ぼーっとしてから、いつもの通り、一人でご飯を
食べる。今日もお母さんは夜勤か。
 ほそぼそとご飯を食べ、またぼーっとしてから、のろのろと布団に入った。

 男最後の夢は、あっちゃんと出会った時の思い出だった。

 転校してきて間もなく。おどおどした性格の僕は、クラスで一番力の強い男の子に
目を付けられてしまった。長めの髪、そしてくせっ毛なのもあってか、女みたいだ、
と、からかわれてもいた。
 そう、あの日もカバン持ちをさせられてた。
 放課後、五人分のランドセルが突き出される。断れない。
 自分も分もあるから、合計6個のランドセルを抱えて、一生懸命みんなの後を追う。
遅れたら、何を言われたりするか分からない。
 一生懸命追うけど、重さに体力が追いつかず、だんだんと距離が開いてしまう。
それに気が付いた一人が
「おっせぇよ!」
と、僕に声を投げかけてきた。慌てて走り寄ろうとした、そんな僕を待ち受けて
いたのは、転んでランドセルをあたりに散らばせてしまうと言う現実だった。
「何やってんだよ!!」
 みんなが走ってくる。
 どうしようしか頭に浮かばず、その場で座り込んだままの僕を、みんなが罵声を
かけながら、力を込めてあちこちからついてくる。
 いつ終わるか分からない恐怖に、ただただ小さくなっていると、声がした。
「弱い者いじめかよ。みっともねぇなぁ」
 みんなの興味が声の主に移り、自分への攻撃が収まった所で、僕も声の主へと
顔を向けた。
 3組の人だ。名前は分からないけど、けんかが強いって噂の…。


470 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 21:28:13.34 shTRFyxP0

「なんだよ。稜は関係ねぇだろ?」
「弱い者いじめは、人が多くないと出来ないんだもんなぁ。恥ずかしいね」
「なんだって」
 一人対五人。緊迫した空気の端っこで、ただ様子を観るだけしか出来ない僕は、
空気に心臓をぎゅっと掴まれた様な気分になりながら、あつき、稜って言うんだ…と、
男の子の名前を、頭の中で反復してた。
 遂に殴り合いが始まってしまって、僕はあたふたと、辺りを見回す。
 人通りの少ない道だから、すぐそばにT字路が見えるけど、誰か来そうにも無い。
僕がこの間に割り入っても、止める事が出来ない。
 僕はゆっくりと立ち上がると、争っているのを見ながら、そっとその場を離れる。
道の角を曲がると、一気に走った。人を求めて。
 少し行くと、おばさん達が井戸端話しをしていた。
 そこに飛び込んだのが分かってるけど、なんて話したのか覚えてない。あっちで
暴れてる事は伝えた。
 転んだせいで、足をすりむいていたから異常を分かってくれたのか、一緒に
来てくれた。
 T字路の角に戻ると、まだ取っ組み合いの最中だった。
「何やってるの!」
 恰幅のいいおばさんが、それを見て声を張り上げる。
 六人の動きが一斉に止まる。
 誰かが、
「やべぇ」
と言うと、稜くんを残し、それぞれランドセルを手にして、去っていった。
 問い詰められたら、苛めてる事がばれちゃうし、このけんかしてる人数の差は、
どう見たってこっちが不利。
 当時の年齢で、そこまで考えてたかは分からないけど、とにかく逃げるの言葉が
ぴったりの状況ではあった。


471 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 21:30:31.89 shTRFyxP0

 僕は残された稜くんの元に駆け寄る。おばさんも付いて来てくれて、稜くんに、
大丈夫?と声をかけていた。
「大丈夫です。ありがとうございます」
 立ち上がったのを見届けると、けんかはダメよ、と言いながら、おばさんは
去っていった。
「ありがとな」
 僕を助けてくれたはずの稜くんが、僕にお礼を言う。
 それを聞いたら、今までぎゅっと掴まれていた気持ちが溢れてきて、僕は泣き
出してしまった。反対にお礼を言わなきゃいけないのに、言葉にならない。
「待てよ。何で泣くんだよ」
 人数差があったのに、ひどい怪我が無くて良かった。助けてくれてうれしかった。
 なにより、これまで誰も助けてくれなかった所に、突然現れた僕より身長の低い、
小さい稜くん。でも、その存在感はもの凄く大きくて、安心感があって。
 一緒にいるだけで安心できる人なんて、これまで居なかったから、僕は涙が
止まらなかった。
「しかたねぇな。家、どこよ」
 稜くんは、一緒に僕の家まで来てくれた。
 玄関を開けた時の、お母さんの顔が忘れられない。
 それもそうだろう。開けたら、怪我だらけの男の子と、泣きじゃくる僕がいたんだ。
 おまけに、稜くんは、
「こいつが苛められてたんで」
と、素直に言うものだから。
 お母さんは僕らを家に入れると、稜くんの怪我の手当てをしたり、状況を聞いたり…。
「いじめなんて。そんな事があったの。知らなかった…ごめんね、気づかなくて」
 お母さんの言葉に、僕は勢い良く、首を横に振る。
「苛めてる奴がいたら、またやっつけるよ」
 稜くんの言葉に、お母さんは、ありがとう、とちょっと涙ぐみながら答えていた。


472 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 21:32:12.67 shTRFyxP0

「ごめんね。ありがとう」
 帰りがけ。僕はやっとお礼を言えた。
「謝る事無い。唯と一緒にいると、イライラをあいつらで晴らせそうだし」
 いつの間にか、名前で呼ばれてる事にドキッとしながら、
「ダメ。けんかしちゃ、ダメ」
僕は、心の底からお願いする。
「気にするなよ。大丈夫…」
「怪我するの、もう見たくないよ」
 なんだか、また泣きそうになってきた、その時。稜くんは僕の肩をポンポンと
叩くと、
「じゃ。殴り合いは、唯が危険な時だけ、な」
そう言うと、にっと笑って、帰って行った。

 その笑顔を思い出したら、目が醒めた。
 僕は夢を見ながら涙を浮かべてたようで、目を開けた動作で、顔を伝っていった
感覚があった。
 そして。僕は女の子になっていた。

 布団の上で上体を起こし、なんだかちょっと幸せな、そして寂しい気持ちの
ままでいた。
 でも夢は過去の事で、目が覚めたからには、現実が待っている。
 胸は、思いも寄らないほど大きく、まだ怖くて確認してないけど、下半身も
変わってるはずだ。
 あっちゃん。
 急に、あっちゃんの声が聞きたくなった。枕元に手を伸ばし、携帯を手にする。
 でも、怖い。ずっと引きずっていた思いがよぎる。僕が今日、女に変わる事を
知っているからこそ。


473 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 21:33:36.87 shTRFyxP0

 恐る々々ボタンを押す。
「…あっちゃん…」
 受信した音を聞いて、僕は呟く。
「分かった。今から行ってやるよ」
 ちょっと間があってから。あっちゃんはそれだけ言い、電話は切れた。
 僕は思わず携帯を抱きしめた。あっちゃんの今からは数時間後で、すぐは
数分後なんだけど、でも行くって言ってた。約束は破らない。
 その後、お母さんとお父さんが部屋に来た。予想通りの状態に、慌てる様子も
なく、今日は休みなさいと言われ、部屋を出て行った。
 二人とも、仕事だもんね。でも、あっちゃんが来てくれる。
 髪の毛は肩より下ぐらいに伸びていた。お母さんに髪ゴムを借りたので、後ろで
まとめてみた。
 僕は布団にもぐり込むと、いつの間にか眠っていた。

 ゆっくりまぶたを開ける。ぼーっと携帯の時間で、時間を確認する。
 部屋には、僕一人。さっきのは…夢を見ていたんだろうか。
 でも、身体を動かした時に、胸に違和感を感じて、さっきの目覚めは夢では
無い事を再認識する。
 じゃぁ、あっちゃんは??
 携帯の履歴を確認すると、ちゃんと僕は電話をかけている。
 今、今どこにいるの!?
「…どうした」
 ボタンを押してから暫くして、あっちゃんは電話に出てくれた。声を聞くまで、
不安が僕を支配していた。
「…あっちゃん、どこ?」
「すぐ行くから。ちょっと待ってろ」
 短い言葉のあとで、また電話が切れる。ちょっと待ってろ…か。


474 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 21:34:44.68 shTRFyxP0

 だから、ドアをコンコンと叩く音と、あっちゃんの声を聞いた時は、冬用の
重い掛け布団を、勢い良く押しのけ、ベットから起き上がった。
 それと同じくらいに、あっちゃんが部屋に入ってきた。僕は思わず駆け寄る。
 身体が縮んでしまったようで、パジャマが引っかかって歩きにくかった。
「あっちゃん、身長近づいたね」
 近づいたら、いつもより視線が近くて。ふふっと笑いながら言ってしまう。
「お前が、縮んだんだよ」
 確かにね…そう考えた次の瞬間、思いも寄らない事が起こった。
 あっちゃんは僕の胸を、半ば掴むように揉み出したのだ。
「ちょっ…まっ…あっちゃん…」
 今頃になって、あっちゃんの視線が怖い事に気付く。
「ダ、ダメ!離して!」
 僕は両腕を掴み、離そうとしたけど、力で勝てるわけも無く。だんだん力強く
触られるしかなかった。
 その内、一歩、僕に近づいてきた。思わず、一歩後ろずさる。視線の怖さ、
雰囲気の怖さ。今まで僕に見せた事の無いあっちゃんが僕に迫っていた。
 押されて、どんどん後ずさる。
「きゃっ!」
 長くなったズボンに足を引っ掛けてしまい、身体がバランスを崩した。
 運良くベットに倒れた僕からあっちゃんは離れると、代わりに両足を掴んで
ベットに持ち上げた。
 仰向けの僕を抑えるように、またいで座る。
「やだぁ…」
 怖い視線に半分泣き声になりながら、両腕であっちゃんを押す。
 すると、僕の両腕を掴み、頭上に押し付けると、ベットの柱を突っかけにして、
近くのタオルで手首を縛ってしまった。
「どうして?」
 手をベットにぶつけてみたけど、外そうとしても上手く外せなかった。


492 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/10/13(金) 23:18:00.66 shTRFyxP0

 僕を動けなくすると、次は無言のまま上着を捲り上げられてしまった。現れた
胸に、あっちゃんの顔が近づくのが見えた。
「んくぅ」
 ぴたっと、唇が胸の先へ直に触れると、なんとも言えない刺激に変わって、
僕の身体の中に届いた。もう片方の胸も触られ始めると、刺激がさらに加わる。
 なんで。なんで、こんなに…体の奥底で、熱い感情が湧き上がってきている
のを、僕は感じていた。
「はぁ…はぁ…」
 やっとあっちゃんが離れた時には、何かもやもやした気分が、僕の理性を包み
始めていた。気持ちを抑えようとして、息が荒くなる。
 そこに。改めて、乳首に口を付けられて、今度は、数回噛まれる感じがした。
「あんっ」
 思わず口から飛び出していた言葉は、以前、あっちゃんと見たAVの女優よりも
乾いた、でも、確かに感じてる声がだった。
 なんで…もしかして…。
 この気持ちと感情の、答えが出口に差し掛かった時。両乳首に軽く力を加え、
摘まんだ上、引っ張られてしまい、
「んはぁん!」
と、仰け反りながら声を荒げていた。

 きっと。僕は、あっちゃんに触られるのが、嬉しいんだ。
 もう、同性同士じゃない、繋がりはこれまでの記憶でしかない。
 そんな間柄で、おまけに今度は異性として、身体を弄ばれているというのに。
変化してしまった体に、違和感無く触っているあっちゃんに、嬉しさを感じてる
んだ。きっと。


493 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/10/13(金) 23:23:11.06 shTRFyxP0

 刺激の余韻と、思考とで、ぼーっとしていると、下半身で布の擦れる感覚があった。
「やだぁ!」
 まだ自分でも、見た事も触ってもいない箇所を露出され、思わず足をバタバタ
させてしまう。でも、膝でパジャマ類が止められていて、動きずらい。
 でもそんな攻撃もものともせず、簡単に押さえ込まれてしまった。
 自分の足の影から、あっちゃんの顔がちょっと見える。視線は、無防備な股に
集中している。
 見ていない箇所の対する、不安と恥ずかしさに耐え切れない思いでいると、急に、
軽く身体を突き抜けるような感覚が襲った。
「や…」
 その刺激は止まらない。あっちゃんに触られて、何かされているのは分かる。
「あはっ…ん…ん…」
 止まらない刺激に、脳内でさっきまでの恐怖などが、忘れそうになる。
あっちゃんへの想いだけは、そのままに。
「んくぅ!」
 そして。一段と大きな刺激に、思わず、身体を仰け反らせていた。

 気付くと、また足を持ち上げられた。下ろしていた事さえ分からなかった。
 あっちゃんの頭が、僕の足の影から消えると、新たな刺激に襲われた。
「はぁんっ!」
 じらすような刺激に、僕の声は止められない。身体が自然に動き、手をベットの
パイプにぶつけ続けていた。
 刺激を受けながら、手枷が外れそうな感じがしていた。でも、外そうとしない
自分がいる。このまま、触られる感覚に飲まれたい気もしている。
 不意に、さっきよりも、一段と大きな刺激が僕に襲った。
「ダメぇぇぇ!」
 その瞬間。これまで蓄積された熱い感情が、一気に身体を支配した。
 頭の中が一瞬白くなって。何が起こったのか、よく分からないまま、僕は、
早い呼吸を繰り返していた。
 同時に、僕の足に何かが当たる感じがした。あっちゃんにぶつかったんだろうか。


495 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/10/13(金) 23:26:04.13 shTRFyxP0

 力が抜け、声も出ない僕の足から、衣服を全部、勢い良く抜かれてしまった。
 その僕の両足を押し分けて、あっちゃんの顔が近づいてくる。
 頬が赤く、またちょっと鼻息が荒く、その表情は真剣で、視線は怖いままで。
「なぁ、唯」
 久し振りにあっちゃんの声を耳にする。僕の名前を呼んでいる。
 そこに、思いも寄らない質問が、僕に掛けられた。
「お前は。
 俺が女になるのと、男の姿のままでお前を守ってやるのと、どっちがいい?」
 思わず質問された事を呟いてしまう。
 あっちゃんが女になるのと、このまま男で、僕を守ってくれる…。守って…。
「お前は、俺が女になるのと、男のままなのと、どっちがいい?」
 再びされた質問と一緒に、両乳首を摘まれて。一瞬思考が鈍る。
 手はそのまま止まらない。半分ぐらい働かない頭で、もう一度、思い返す。
 あっちゃんは僕にとって、無二の友達で、いつでも守ってくれて、誰よりも
大切な、大切なヒト。
「どっちが、いい?」
 もう一度、言われた時には、僕の答えは決まっていた。
「あっ、あっちゃん、はっ、あつ、きくんっ、が、いいっ」
 刺激によって、はっきりとした返事が出来ない。でも、僕の思いは…。
「分かった」
 あっちゃんはそれを聞くと、手を離してくれた。
 ほっと息をつく間もなく、異変を感じた。
 この体勢で、何も考えてなかったわけでは無いけど、まさかという思い。
 両足をぐっと押され、あっちゃんの体重がかかる。そして、ある一点に熱い
硬い物が触れている。
 それに対して、何か声を出そうにも、口が動かないで居ると、
「じゃ。お前は俺の物、な」
そう聞こえると同時に、僕は、押し広げられるような痛みと圧迫感を感じていた。


497 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/10/13(金) 23:30:52.11 shTRFyxP0

「あ…くぅっ!」
 動けない、見える範囲の情景と刺激だけしか判断できないけど、何をされて
いるのか分かった。あっちゃんの物を、僕の中に入れているって事が。
 痛みと同時に、目をぎゅっと閉じていた僕は、続いて、口に受けた感触に、
びっくりして目を開いた。
 あっちゃんの顔が近くにあって、口内で何かが動く気配がする。
 キスされて、舌を入れられている事に気付くが、僕はそのまま受け続けた。
 一所懸命に口内の弄っているその様子は、昨日まで男同士だったとは思えない。
受け入れている僕も、昨日まで男だったなんて思えない。

 あっちゃんは、僕の事を、どう思ってるだろう。

 しばらくして身体を起こしたあっちゃんは、上着を脱ぎ捨てていた。
 そして、改めて僕に痛みを与えてきた。
「はぅっ!」
 ぐっと更に押し入る感覚に、まだ全部入ってなかったのか…と考えがよぎる。
 すぐに、それをかき消すような衝撃に、声が抑えられなくなった。
 あっちゃんの動きの合わせて、がんがん揺れる自分の身体。痛いのをこらえ
ながら、動きを受け止める。
 どの位、立ったんだろう。動きが止まった。僕の肌とあっちゃんの肌が、股で
ぶつかったままの状態で。
「唯…」
 どこか気持ちよさそうな表情を見て、思わず微笑む。
 これで、あっちゃんは男でいられるんだね。
 すると再び、キスされた。その姿勢のまま、下半身への刺激が再開される。
口を閉ざされている為、ぐもった喘ぎ声しかだせずにいる僕。
 僕はあっちゃんの物…ずっと守ってくれる、僕の大切なヒト…。
 口を離すと、いっそう動きは激しくなった。僕は、受ける感情に流され続けた。


498 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/10/13(金) 23:32:31.41 shTRFyxP0

 また、大きな感情が僕を支配し始める。
 あっちゃん!と心の中で叫ぶと、頭の中が真っ白になった。
 ぎゅっと、思い切り抱きしめられる感覚で、現実に戻ってくる。
 視線の先には、胸に顔を埋めたあっちゃんがいた。

 何故か。ずっと、そのままでいたかった。
 しばらくしたら、あっちゃんは身体を離してしまった。そこで、お互い汗だく
なのに気付く。
 きょろきょろして、何かを探してると思ったら、ティッシュを数枚とると、僕の
股を拭き始めた。無機質な物の感覚と、その動作で、しちゃったんだな…と言う
思いが込み上げ、今更ながらに気恥ずかしくなる。
 その場を繕うように、僕は、あっちゃんにお風呂を勧めた。
「お風呂、入ってきたら?僕は、次に入る」
「そだな」
 答えると、あっちゃんはベットから一度降りたけど、また戻ってきた。
 僕をまたぐのを見て、ドキッとしたけど、手を縛ったタオルを外し始めたのを感じて、
ほっとした。でも多分、一人でも外せてた。だいぶ緩まってたはずだし。
 外したら、また僕の唇に重ねてきた。なんとも言えない幸せな気持ちになる。
 同意も無しにされてしまったけど、でもこれであっちゃんは今まで通りで、そして
僕はあっちゃんと一緒に居ていいんだから。
 口を離すと、何故かあっちゃんは慌てて服を拾い、ドアに向かっていた。
 ドアに手を掛けたけど、開かなかった。いつの間にか鍵を閉めていたらしい。
 閉められていた事に驚きつつも、思わずくすっと笑ってしまった。
 この声が聞こえたのか。がちゃがちゃと、荒々しく鍵を開けると、廊下に飛び
出していった。ドアが閉まる前に、くしゃみが聞こえた。


499 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/10/13(金) 23:34:54.14 shTRFyxP0

 僕はゆっくり身体を起こす。無理強いされたから、あちこちが痛い。
 痛みは関節だけじゃない事を改めて感じると、慌ててパジャマを身に着けた。
 なんとなく。ぎゅっと自分を抱きしめてから、僕は部屋を出た。
 バスタオル持って行かなくちゃ。そして、あとで僕もお風呂に入ろう。

 バスタオルを脱衣所に持っていったら、ちょうど上がった所だった。良かったと
思いながら、
「あ。バスタオル、ここに置いとくね」
といい、場を離れる。
 入れ替わり、脱衣所を占拠する。
 そう言えば、変わった自分を良く見るのは、これが初めてだ。
 顔はあまり変わって無いような気がする。全裸になると、豊満な胸と、付いてない
下半身が見えた。
 軽いショックを受けたけど、赤くなった胸に、さっきの事を思い出してしまい、
慌てて風呂場に駆け込む。
 シャワーで汗を流すが、この身体をさっきまであっちゃんが弄んでたと思うと、
なんだか複雑な気分がする。
 それにしても。あっちゃん、お風呂中に帰っちゃわないかな。
 そんな考えがよぎり、慌てて身体を洗い始めた。
 恥ずかしいけど、ヒリヒリする一点にも手を伸ばす。
 よく分からず、もぞもぞと洗っていると、ぬるりとした物が手に付いてきた。
 良く見ると、もう自分からは生成されない、白い液体だった。
 見た事ある物なのに、これは違う人の物なんだ…ちょっと不思議な気持ちになり
ながらも、また、こういう事、する事になるのかなと考えて、そんな事を考えた
自分が、ちょっと恥ずかしかった。
 でもきっと。その時は、その時。

FIN
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