放課後の体育館の裏のベンチ、僕は誰も知らない、ここのゆっくりとした気分が好きで、
一人になりたい時は自然と足を運んでしまう。
そこでゆっくりと時間を過ごすのが最近の僕の日課だ。
昔は二人だった・・・ほんの一か月前には・・・
だが、その人はアメリカへ留学に行ってしまい、隣りにはいない。
「・・・・・・・・・蒼星石・・・・・・」
「女々しいわねぇ・・・」
「なんだ・・・僕に何か用かよ・・・水銀燈」
「別にぃ?ただ、あの子はもうここにはいないんだしぃ、
いつまでも忘れ―「うるさい!」
ビクッと水銀燈の身体が強張る・・・はぁ・・・またやってしまったな・・・
こんな事言うつもり何か無いのに―
「だいたい馴々しいんだよ!こんな所まで来てお説教か!?
いい加減にしろっ!ただの幼馴染みだろ!?
・・・・・・・・・・・・うざいんだよ。」
顔を真っ赤にして涙を堪える水銀燈・・・こんな事、思っても無いのに・・・
いたたまれなくなり、その場所から僕は走って逃げ出した。
静かな空気の中、銀髪の少女の掻き消されそうな声がひとつ響いた。
「馬鹿・・・・・・・・・ジュン・・・」
さすがにあの後と言う事はあって、次の日は学校に行きにくかった。
チャイムの音が鳴っても、水銀燈は来ず、
担任の梅岡からは風邪だと聞かされた。
ふと、隣りの空いた席を見る・・・
留学は一年・・・だけど一か月でもう何ヶ月もたった気がする。
「―――で、――――から、―――」
担任が何か喋っている、どうせまた笹塚だろう
「――――だそうだ、席は、桜田の隣りだ。
桜田!おい、桜田!」
自分が呼ばれている事に気づき顔をあげると、
目の前には見たことのない少女がいた。
まっすぐと見る碧い二つの目、二つにくくられた金色の髪・・・
「桜田、ちゃんと先生の言うことを聞いておけよ?
その子は交換留学生の真紅だ。
日本語は流暢だが、知らない事だらけだ。
隣りのお前が面倒見てやってくれ」
「え?あ・・・はぁ・・・」
「よろしく。」
凛と澄んだ声、これが真紅との出会いだった。
真紅はあんまり喋らないから楽だった。
授業中もただ教科書を見せていれば良かっただけだ。
ただ、留学生と言う事もあって
休み時間にはクラスの連中に囲まれ
わざわざ真紅の噂を聞いてか、隣りのクラスからも見にくる奴もいた。
真紅もあまりうるさいのは好きではないのか、
素っ気なく質問などに答えていた。
そのせいか昼休みには真紅の不機嫌に気付いてか、話しかけるものは少なかった。
「雛悪くないの!」
「いちいちうるさいのよ、アンタ。」
「だいたいそのぶりっ子ぶってる所が気に入らないんだよっ!」
声に反応して振りかえると
クラスメイトの雛苺が、同じクラスの柄の悪い女子二人に絡まれていた。
髪を引っ張ったりしている・・・さすがにあれはまずいだろう。
誰も聞こえていないのか、いや聞こえているけど巻き込まれたくないだけだろう。
仕方ない、僕が
「おい、お前ら―
「何をやっているのかしら?」
けして大きな声ではない、真紅の声が教室に響き渡った。
「私から見ると、それはまるでイジメの様に見えるのだけど。
違うのかしら?」
クラスの視線が女子二人に向けられる、
やり切れなくなったのか、チッと舌を鳴らし二人は教室を出て行った。
「大丈夫?えっと・・・」
「雛!雛苺なの!助けてくれてありがとうなの」
「そう、雛苺・・・よろしく」
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「・・・・・・何?」
「さっきの、女なのに勇気あるなって思って」
「別に、あれくらいみて見ぬふりをする方がおかしいわ。」
「・・・・・・そうだな。」
「そうよ」
授業が終わると担任に水銀燈にプリントを渡される様言われた。
―あいつの家行くの、久しぶりだな・・・
ピンポーン
「―――あ、はぁい」
「桜田だけど、先生にプリント頼まれて―」
「ジュン!?まってぇ、今開けるわぁ!!」
奥からガタガタと物音がする、ドシン・・・ドシン?
「いったぁい・・・ど、どうぞぉ」
ドアを開ける水銀燈、階段から落ちたのか・・・
「ん、大丈夫か?あぁ、これプリント・・・・・・顔色悪いな、大丈夫か?」
「え?あ―――ありがとう、別にぃ大丈夫よぉ」
「そうか?んじゃまた―
「そうだぁ!せっかく久しぶりに来たんだからぁ、少しあがってったらぁ!?」
「え?あ―――でも身体悪いんだろ?
無理せずに―
「ぜんっぜん、大丈夫よぉ!
さぁ、入って入ってぇ」
「え?あ・・・そうか?んじゃおじゃまします」
「ふふっ・・・いらっしゃぁい」
「―――あぁ、そこに座っといてぇ、今お茶用意するわぁ。」
ふらふらと台所に歩く水銀燈は誰がどうみても危ない・・・
「ああ、僕がやるから水銀燈は休んでいてくれ」
「そう?助かるわぁ」
危なっかしいな・・・ってかパジャマだから多分ノーブラ・・・あああああっ
「っ・・・はい」
「どうもぉ~、・・・やっぱりジュンのいれるお茶は美味しいわねぇ」
「そうか?ただの日本茶だし・・・」
「美味しいわよぉ」
「ん、なら良かった」
・・・・・・・・・・・・・・・うわっ、話ずらいな・・・
「ジュン。」
「ん?あ、な何だ?どうした?」
「昨日はごめんねぇ・・・あんな事言うつもりなかったんだけどぉ」
「なっ、そんな事お前が謝る事じゃないよ!
僕が悪かった、ごめんな?
本当・・・忘れた方が良いのにな・・・」
「ジュン・・・・・・私じゃ駄目ぇ?」
「す水銀燈っ!?お前何言ってっ!」
「ぷっ。」
「・・・え?」
「アハハハハッ、冗談よぉ。
そんなに顔真っ赤にしてぇ、ジュンってば本当に本当にお馬鹿さぁん。」
「お前ッ―――――」
それから水銀燈としばらく話をして、家に帰る事にした。
水銀燈には明日は一緒に学校に行こうと言われ、快くOKした。
ふぅ、幼馴染みってのもなかなか良いもんだな・・・
そう思いながら自分の家のチャイムを鳴らす。
「はいは~い」
「全く・・・・・・・・・相変わらず呑気な声だな・・・」
ガチャッ
「おかえりなさい、ジュン君」
「おかえりなさい。」
「は!?なんで真紅がここにいるんだよ!」
玄関で迎えてくれたのは、姉とあの碧い目の少女だった。
「あら?お姉ちゃん言わなかった?
うちが留学生を預かる事になったって。」
「ひっとことも聞いてないよ!」
「あらあら、またお姉ちゃん失敗しちゃった。
でも、そうゆう事だからよろしくね。」
「ま、そうゆう事よ。
桜田じゃどっちか分からないから、ジュン、よろしく。」
「・・・・・・・・・・・・よろしく。」
「それじゃ帰って早々悪いけれど、紅茶をいれて頂戴。」
「はぁっ!?自分で淹れブッ!?
「二度も言わせないで頂戴。
紅茶を淹れなさい、ジュン。
のりが淹れる紅茶はとてもじゃないけど、飲めたものじゃないわ。
アナタはどうかしら?」
「あぁっ!もうお前今日会ったばっかなのに何すんだっ!!」
それから姉と僕と真紅の奇妙な生活が始まった。
「・・・・・・前途多難だな。」
「ぶつくさ言ってないで早く淹れてきなさいっ!!」
一人になりたい時は自然と足を運んでしまう。
そこでゆっくりと時間を過ごすのが最近の僕の日課だ。
昔は二人だった・・・ほんの一か月前には・・・
だが、その人はアメリカへ留学に行ってしまい、隣りにはいない。
「・・・・・・・・・蒼星石・・・・・・」
「女々しいわねぇ・・・」
「なんだ・・・僕に何か用かよ・・・水銀燈」
「別にぃ?ただ、あの子はもうここにはいないんだしぃ、
いつまでも忘れ―「うるさい!」
ビクッと水銀燈の身体が強張る・・・はぁ・・・またやってしまったな・・・
こんな事言うつもり何か無いのに―
「だいたい馴々しいんだよ!こんな所まで来てお説教か!?
いい加減にしろっ!ただの幼馴染みだろ!?
・・・・・・・・・・・・うざいんだよ。」
顔を真っ赤にして涙を堪える水銀燈・・・こんな事、思っても無いのに・・・
いたたまれなくなり、その場所から僕は走って逃げ出した。
静かな空気の中、銀髪の少女の掻き消されそうな声がひとつ響いた。
「馬鹿・・・・・・・・・ジュン・・・」
さすがにあの後と言う事はあって、次の日は学校に行きにくかった。
チャイムの音が鳴っても、水銀燈は来ず、
担任の梅岡からは風邪だと聞かされた。
ふと、隣りの空いた席を見る・・・
留学は一年・・・だけど一か月でもう何ヶ月もたった気がする。
「―――で、――――から、―――」
担任が何か喋っている、どうせまた笹塚だろう
「――――だそうだ、席は、桜田の隣りだ。
桜田!おい、桜田!」
自分が呼ばれている事に気づき顔をあげると、
目の前には見たことのない少女がいた。
まっすぐと見る碧い二つの目、二つにくくられた金色の髪・・・
「桜田、ちゃんと先生の言うことを聞いておけよ?
その子は交換留学生の真紅だ。
日本語は流暢だが、知らない事だらけだ。
隣りのお前が面倒見てやってくれ」
「え?あ・・・はぁ・・・」
「よろしく。」
凛と澄んだ声、これが真紅との出会いだった。
真紅はあんまり喋らないから楽だった。
授業中もただ教科書を見せていれば良かっただけだ。
ただ、留学生と言う事もあって
休み時間にはクラスの連中に囲まれ
わざわざ真紅の噂を聞いてか、隣りのクラスからも見にくる奴もいた。
真紅もあまりうるさいのは好きではないのか、
素っ気なく質問などに答えていた。
そのせいか昼休みには真紅の不機嫌に気付いてか、話しかけるものは少なかった。
「雛悪くないの!」
「いちいちうるさいのよ、アンタ。」
「だいたいそのぶりっ子ぶってる所が気に入らないんだよっ!」
声に反応して振りかえると
クラスメイトの雛苺が、同じクラスの柄の悪い女子二人に絡まれていた。
髪を引っ張ったりしている・・・さすがにあれはまずいだろう。
誰も聞こえていないのか、いや聞こえているけど巻き込まれたくないだけだろう。
仕方ない、僕が
「おい、お前ら―
「何をやっているのかしら?」
けして大きな声ではない、真紅の声が教室に響き渡った。
「私から見ると、それはまるでイジメの様に見えるのだけど。
違うのかしら?」
クラスの視線が女子二人に向けられる、
やり切れなくなったのか、チッと舌を鳴らし二人は教室を出て行った。
「大丈夫?えっと・・・」
「雛!雛苺なの!助けてくれてありがとうなの」
「そう、雛苺・・・よろしく」
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「・・・・・・何?」
「さっきの、女なのに勇気あるなって思って」
「別に、あれくらいみて見ぬふりをする方がおかしいわ。」
「・・・・・・そうだな。」
「そうよ」
授業が終わると担任に水銀燈にプリントを渡される様言われた。
―あいつの家行くの、久しぶりだな・・・
ピンポーン
「―――あ、はぁい」
「桜田だけど、先生にプリント頼まれて―」
「ジュン!?まってぇ、今開けるわぁ!!」
奥からガタガタと物音がする、ドシン・・・ドシン?
「いったぁい・・・ど、どうぞぉ」
ドアを開ける水銀燈、階段から落ちたのか・・・
「ん、大丈夫か?あぁ、これプリント・・・・・・顔色悪いな、大丈夫か?」
「え?あ―――ありがとう、別にぃ大丈夫よぉ」
「そうか?んじゃまた―
「そうだぁ!せっかく久しぶりに来たんだからぁ、少しあがってったらぁ!?」
「え?あ―――でも身体悪いんだろ?
無理せずに―
「ぜんっぜん、大丈夫よぉ!
さぁ、入って入ってぇ」
「え?あ・・・そうか?んじゃおじゃまします」
「ふふっ・・・いらっしゃぁい」
「―――あぁ、そこに座っといてぇ、今お茶用意するわぁ。」
ふらふらと台所に歩く水銀燈は誰がどうみても危ない・・・
「ああ、僕がやるから水銀燈は休んでいてくれ」
「そう?助かるわぁ」
危なっかしいな・・・ってかパジャマだから多分ノーブラ・・・あああああっ
「っ・・・はい」
「どうもぉ~、・・・やっぱりジュンのいれるお茶は美味しいわねぇ」
「そうか?ただの日本茶だし・・・」
「美味しいわよぉ」
「ん、なら良かった」
・・・・・・・・・・・・・・・うわっ、話ずらいな・・・
「ジュン。」
「ん?あ、な何だ?どうした?」
「昨日はごめんねぇ・・・あんな事言うつもりなかったんだけどぉ」
「なっ、そんな事お前が謝る事じゃないよ!
僕が悪かった、ごめんな?
本当・・・忘れた方が良いのにな・・・」
「ジュン・・・・・・私じゃ駄目ぇ?」
「す水銀燈っ!?お前何言ってっ!」
「ぷっ。」
「・・・え?」
「アハハハハッ、冗談よぉ。
そんなに顔真っ赤にしてぇ、ジュンってば本当に本当にお馬鹿さぁん。」
「お前ッ―――――」
それから水銀燈としばらく話をして、家に帰る事にした。
水銀燈には明日は一緒に学校に行こうと言われ、快くOKした。
ふぅ、幼馴染みってのもなかなか良いもんだな・・・
そう思いながら自分の家のチャイムを鳴らす。
「はいは~い」
「全く・・・・・・・・・相変わらず呑気な声だな・・・」
ガチャッ
「おかえりなさい、ジュン君」
「おかえりなさい。」
「は!?なんで真紅がここにいるんだよ!」
玄関で迎えてくれたのは、姉とあの碧い目の少女だった。
「あら?お姉ちゃん言わなかった?
うちが留学生を預かる事になったって。」
「ひっとことも聞いてないよ!」
「あらあら、またお姉ちゃん失敗しちゃった。
でも、そうゆう事だからよろしくね。」
「ま、そうゆう事よ。
桜田じゃどっちか分からないから、ジュン、よろしく。」
「・・・・・・・・・・・・よろしく。」
「それじゃ帰って早々悪いけれど、紅茶をいれて頂戴。」
「はぁっ!?自分で淹れブッ!?
「二度も言わせないで頂戴。
紅茶を淹れなさい、ジュン。
のりが淹れる紅茶はとてもじゃないけど、飲めたものじゃないわ。
アナタはどうかしら?」
「あぁっ!もうお前今日会ったばっかなのに何すんだっ!!」
それから姉と僕と真紅の奇妙な生活が始まった。
「・・・・・・前途多難だな。」
「ぶつくさ言ってないで早く淹れてきなさいっ!!」