ベジータ「今日は仕事が遅くなる」
「分かりました、あまり頑張りすぎないでね」
ベジータ「あぁ分かったよ。先に寝ていてくれて構わないから-」
俺は最近結婚し田舎だが小さな一戸建てを購入した。
嫁もいるし子供ももう少ぐ産まれるだろう。
今日は仕事が遅くなると俺は言ったがただ今日はなんとなく家に帰りたくなかったのだ。
了承を得た俺は居酒屋で軽く酒を飲んでいた。
そんな時だ。
その男に出会ったのは
その男は店一番奥の椅子に腰掛けていた。見るからに貧しそうな格好だ。
俺が「なんだこいつ」と思っていると、その男と目があった。
男は驚いたようにこっちを見ると俺に
「よぉ、久しぶりだな。」
は?何だ?よっているのだろうか?
「すいませんが人違いじゃないですか?」
そう言うとその男は怪訝な顔し、何か思い出した。そんな顔をする。
「あんた、ベジータさんだろ?」その男は俺の名前を知ってた。
「あんたは誰だ?」
「僕はジュンだ。」
俺にはジュンと言う知り合いはいないはずだ。しかし古い友人にいたかもしれない。
「すまない。よく覚えてないんだ」
俺がそう言うとジュンと名乗った男がこういう
「いやいいんだ。あんたと僕は初対面だ」
こいつは何を言ってるんだ?
「あんた俺に最初久しぶりと言ったな?」
「あぁ」
「そのあと初対面と言った」
「言ったよ」
「これは矛盾してるよな?」
「いやしてない。」
このジュンという男はやはり酔っぱらっているのだろうか。
しかしこの男は俺の名前を知っている。
何者なのだ?
此方が混乱してるのに気付いたようで奴は俺にこう言った
「良ければ話そうか?」
「何をだ」
「君と僕の話を」
俺に?お前と『俺』の話を?
「いや、いい今度会ったら聞くよ」
今はジュンの話を聞く気にはなれなかった。
「今日で無ければもう君には会えない、それに」
ヤツは言う
「君は聞かなかったことを後悔する」
どうやら本気で言ってるようだ。「まあ…聞いてやってもいい」
…まだ閉店には時間がある、単なる暇潰しだ。酔っぱらいのホラ話を聞いてやるのだ。
俺はそう自分にいい聞かせた。
奴はニヤリと笑うと話を始める
「あれは僕と君が高校生の時の話から始まった」
君と僕は…親友だった
高校からの仲だったがいつも行動を共にしてた。
君はいつもふさげて笑われたり怒られたりしてた。
高校2年の3学期だ、彼女達が転校してきたのは、二人は双子だった。
このクラスの転校生は翠星石と言う娘だった。彼女はどうやら人見知りが激しいらしく、君が話かけふざけた事をいうまで一言もしゃべらなかった。
彼女の第一声は「お前ハゲてきてる…ですぅ。」
だった。
一度目のオッドアイの少女との出会いだった
放課後君は彼女のことを気遣い
「俺達と一緒に帰らないか?」と誘った。
彼女は少し嬉しかったようだ
「…いいですけど、ちょっと隣のクラスに用事があるです」
「なんで?」
僕がそう聞くと翠星石は「妹がいるです」そう答えた
彼女の後ろに続き僕達は隣のクラスに向かった。
「蒼星石」
翠星石がそう呼ぶと蒼星石と呼ばれた少女が此方に向かってくる
彼女の顔は中性的で何よりも彼女の目には何か吸い込まれそうになる気がした。
僕と君は彼女に恋をした。
それから僕達はよく四人で放課後をすごすようになった。
3年の2学期、僕と蒼星石は付き合い始めた
君は僕に「お前になら仕方ない」そう笑って言ってくれた。
そして卒業し君と蒼星石は同じ大学に進んだ。
僕は翠星石と同じ大学へ
「四人一緒が良かったですね」
翠星石が言う
同じ大学に行けなかったのは残念だったけどいつでも四人で会える彼女に僕はそう言った。
ある日蒼星石からメールがきた「僕別れたいんだ」
僕は急いで電話をかけた。彼女は泣きながら「ごめんね」を繰り返してる。
「とりあえずあって話そう」
蒼星石にそう言う
「分かった…」
僕達は駅前の喫茶店で待ち合わせた。
しかし来た君を見て僕は愕然とする
「ベジータ?蒼星石?」
長い間があった君は一言
「スマン」
頭に血が上った僕は殴った。
こともあろうが蒼星石を
次の瞬間ベジータが僕を殴る
「女に手をあげる奴だと思ってなかったぞ」
「友達の女をとる奴に偉そうに説教されたくない」と僕も君を殴る。
君は僕にタックルし「蒼星石は俺を愛してるんだ!」そう言った
「やめてよ!」
彼女はいつの間にか外にでている泣きながら「僕を取り合うなら半分こにしようよ?ベジータ君とジュン君は仲良くしてよ!」
僕は蒼星石が何をしようとしてるか感じ「やめ」いいかけた時
ガラスに赤いシャワーがかかる。
「うわああぁぁぁ!」僕は叫んだ。
君はガラスを突き破り蒼星石だった物体を抱き締める。
トラックから運転手があわわてて降りてくる。
彼女だった物体には頭がなかった。
酔いがさめてきてしまったようだベジータはそう思った
そして自分の親友を名乗る男に「さっきから君君行ってるが俺にはそんな記憶はない。」
ジュンは言う
「それはそうだ君はこの事を体験してない。それより…続けていいか?」
言ってる意味が分からなかったが俺はだまってうなづいた
それからの君は狂ってるようだった。
頭だった部分に何度も何度も何度も口付けしたり、持ち上げて逃げようとしたり
結局彼女は君から去った、泣き叫ぶ君は彼女を奪った警官を殴りそのまま連れていかれた。
連れていかれる時君は僕をみて口では言わなかったが
蒼星石が連れていかれるぞ!お前は何してるんた!
そう言った気がした。
錯乱していたという事で君は割とすぐ釈放されしばらくすると君は姿を消した。
僕は生きる気力もなくなっていたが、このままでは…と思い大学に行ってみる事にした。「ジュン…」
翠星石だった。
「翠星石…ゴメン」
「なんで謝るですか、私は安心です。」
「…」僕は声もでない
翠星石が続ける
「ジュンまでいなくならなくて良かった…ですぅ」
そう言われると自然と涙がでた。蒼星石が死んだ時から出なかった涙だ
「良かったです…」
彼女も泣いてるようだった
それから一年もすると僕と翠星石は付き合い始めた。
蒼星石を忘れた訳ではない。いや翠星石の顔を見れば彼女を思い出さずにはいれなかった。
だが僕は翠星石を愛していた。
そんなある日。
僕は君と会った…。
君はまるで浮浪者のようだったが目の光は失ってなかった
「ジュン」
俺は脅えていた
あの日の君を思い出す
「俺はついにやったんだ!」
「何をやったんだ」
震える声で君に聞く
君は笑いながら叫ぶ
「蒼星石にまた会えるぞ!」
ついに狂ったか…僕はそう思い君に背をむける。
背を向けた僕に君は掴みかかる。「頼みがあるんだ!」
「なんなんだよ!」
僕は君を突き飛ばす。
以前のような力は君にはなく簡単にふっとんだ。
「俺に力を貸してくれ!たのむ!」
地面に頭を擦り付ける君を見て僕は「分かった。」彼がこうなったのは自分のせいなのだ。
「…」
もう閉店間近の店内で俺は聞く
「それでお前と『俺』はどうなったんだ?」
『俺』の親友は答える「君は時間を遡ろうとしたんだ」
「なんだって?」
もう酔いなどなくなった俺が言う「なら…それは失敗したんだな?」
成功してればコイツはここにはいないはずだ。
「あぁ…失敗したよ。」
「遡るのは失敗して僕は『君』は時間という概念を失った。」
「どういうことだ?」
「今日は2月8日だな、じゃあ明日は?」
カレンダーをみてジュンはいう
「2月9日」
そう答える
「僕にはその概念がない。明日は二年前かもしれないし十年後かもしれない。」
言ってることが分からなかったが俺にはコイツに聞きたいことがあった。
「それで蒼星石には会えたのか?」
少し間があく
「会えたよ…一度だけ」
ジュンは続ける。
「会えたのはあの日だった『君』と蒼星石が喫茶店にきた。僕は彼女の姿を見て安心した」
「それで」
「おめでとうと言った…だが結果は変わらなかった。」
彼はため息をつく
「…何故だ」
「それは分からない、変わっていたのは彼女は笑ってた。憎しみと愛しさが混ざった微笑みだった」
店が閉店の時間になったようだ
「僕は寝るよ」
そう言いジュンは店をでた
ヤツのあとを追うように俺は外に飛び出す。
今にも消えそうなジュンが笑いながらこう言った「彼女はいつも俺達を見つめ」
消えた。
俺は狂ったのか?
いやそんなことの前に…
プルルルル
「もーおそいよォ!」
「わ、悪い」
「そーだ、お腹の子ね男の子だって」
「そうか…」
声が震える
「僕この子にジュンってつけたいな」
俺の妻 の 名 前 は 蒼 星 石
終
今帰るそう言って電話を切った
そうだ酔いすぎただけだったんだ、アンナヤツ居なかった
俺が退屈と酔いのあまり脳内で産み出した語り手―
「お客さん、これお連れの方のですよ」
「ひっ!」
つい声をあげてしまった
「俺に連れなんて…」
店員のその手には帽子が持たれていた
あぁヤツの話など聞かなければ良かった。ヤツは実際にいたのだ。
今日こんなところに来なければ、家に早く帰っていれば。
ヤツは俺に「孤独だった。だから久しぶりに親友の顔を見たからつい話しかけてしまった」
そう話の区切りにいったのを思い出した。
とりあえず僕は君を自分のアパートの部屋に入れた
話を聞くと君はまるで狂人のようなことをいいだした「時間を遡る装置を作る。」
あぁやはり君は…
僕がうつ向くと君はこう言う
「何をうつ向いてるジュン、俺は方法を考えてある」
僕が顔をあげると君は「いいか…時間は」それから始まった話はまったく理解できなかった。人の精神、脳、時間…。
「ジュン」
何かに気付いたように君が言う
「何だ」
「お前翠星石と付き合ってるのか?」
写真に気付いたようだ
「…あぁ」
そう言うと君は不思議そうな顔をして「彼女は蒼星石じゃないんだぞ?」
「…知ってる、当たり前だろ」
「お前おかしくなったのか?」
蒼星石を忘れたわけではないがいつまでも愛していたら君のようになってしまうから
「いや」
それだけ返事をする
何か君は納得したようにうなづいた
「まぁいい。どうせ蒼星石は俺のものだ」
そうして君は三年、意味の分からないことブツクサ言いながら僕がかりた部屋で部品を持ち込み何かを作り始めた。
なんの請求書だか分からない紙が僕のところに来たがだまって僕は払った。
せめて僕が君にできる罪滅ぼしだと思って。
そうしてその日は来てしまった。君が初めて僕を自分の部屋に呼んだ。
そこには僕達から時間を奪うことになる機械があった
「お前にはこれの実験台になってもらう。」
平然と君はいう
「いやだ。お前がやればいいだろう」君話を思い出すとヤハリこれで脳をいじるのだろう。翠星石を残して死にたくはなかった
「それは無理だ。これが失敗した場合、この機械を作りなおせる人間がいなくなる。」
「そんな勝手な理由でっ!」
つい声をあげる
「お前が蒼星石を…。これぐらい責任をとれよ。」
君の険悪に僕は黙ってしまった。
「それに…成功すれば蒼星石にも会えるぞ。」
「僕は…」
「これが成功すれば俺達四人はやり直せるんだよ」
嫌になっていた。君のことも、あの日のことも。
これが最後だ…そう思い「分かった」そう答える
機械に入れられしばらくすると君の声が聞こえる。「やるぞ」
「あぁ」
そこで見たのは僕達四人が笑って下校する姿だった。
蒼星石といる僕だった。
君といる僕だった。
蒼星石がいなくなった日僕達だった。
翠星石といる僕だった
今の僕だった。
記憶が溢れかえる。一つ一つ今のことのように感じる
最後に見えたのは悲しく笑う蒼星石だった。
「どうだ?」
「あまり気分は良くないな。頭をいじられたら。」
クラクラする頭を抱えながら君に言う。
「そんなことじゃない。」
言いたいことは分かっていた
「変な感じだった。とりあえず君も試してみるといい」
少し君は考えたあと
「そうだな。見たところ大丈夫そうだ。」そういい君は僕に機械の操作方法を教えた。
「じゃあ、やるぞベジータ。」
君がさっき僕に言ったように声をかけ、スイッチをいれて五分もたたない内に
「…」
君は目を開く。
「これは失敗だ」
なにを根拠に失敗と言ってるのか分からないが君はガックリと膝をつける。
「もう終わりにしよう。」
「なんだと?」
「蒼星石のことは忘れるんだ」
「いやだ」
君はヤハリそれを拒む。
そこで僕は「明日までによく考えておくんだ。今のままじゃ…」
そうして君の家を出た
その日僕は家に帰りすぐ寝た。
朝起きると僕の隣に翠星石がいた。いつ来たんだと思ったが…とりあえず起こさないように家を出た。
そのままコンビニで飲み物を買ってると翠星石から電話があった
「ジュンどこ行ったですか!今日は翠星石と出かける約束のはずです!」
「へ?」
そんな約束した覚えはないがとりあえず謝る
「ごめん。」
「もういいです」
変な感じがした僕は日にちを聞いた。
「今日は○月×日です。昨日も人に日にち聞いてたのにまた聞くですか?」
「は?」
僕の中で何かが壊れた。
俺がベジータの所に行ってから一週間もたっているのだ。
それにその間の記憶はないし、昨日翠星石に日にちを聞いたという。
あの機械の後遺症かなにかで記憶障害を起こしているのだろうか。
答えはNOだった。
次の日は僕は君の所に行くことにした。
チャイムをおし呼ぶ「おい!僕だ!いるんだろ!」
「なんのようだ!」
君が怒鳴る
「なんのようだじゃない!あの機械はなんなんだ!」
そういうと君は驚いたように
「あの機械?」
今日の日にちはあの機械を使う3日前だった。
「つまり成功したんだな」
君が興奮しながらいう、僕は「いや、戻れる日にちが正確ではなければ成功とは言えないだろ。」
少し考えて君は「いや、いつかは蒼星石に会えるはずだ。蒼星石に会えればそれでいい」
「そうか…なら僕は行くよ」
止めても無駄そう思って僕は帰って眠ってみることにした
次目覚めた時見たのは懐かしい場所だった。高校時代の僕の部屋
まだ新しい制服を見るかぎり一年生なのだろう。
姉に送りだされ学校に行く。
懐かしい…そう思い教室に入る。しばらく自分の席に座りボーッとしてると、君がきた。
君が此方を見る
僕はつい目をそむける。
君が此方に近づいてくるのがわかる。そして君はこう言った
「どうやら今日のお前はトラベルしたほうらしいな」
「なっ!」
その君は僕と同じだった。
「蒼星石。た、ただいま」
「おかえりなさい」
ほら何もない。幸せだってちゃんとここに存在するものだ。
「今日は遅かったね。寂しかった。」
「あぁ、すまない。」
「もう遅いからジュンは寝ちゃったよ。」
え?なんだ?今
倒れる。薄れる意識の中聞いたきがした。
僕はベジータもジュンも愛してるよ
と。
これで終了
登場人物
ベジータ
聞き手であり主人公
知らない親友
ジュン、話し手で「僕」で表記することが多い。
「君」
話し手の知ってる「ベジータ」