バトルROワイアル@Wiki内検索 / 「2-263」で検索した結果

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  • 2-263
    263.集いし混沌(三日目・午前) 「おねえちゃん・・・?」 木陰で目が覚めたとき、♀ハンターはひとりだった。正確にはひとりと一羽、側には彼女の愛鳥であるふぁるが寝転がっていた。 ♀ハンターは♀スーパーノービスの死を直接確認したわけではない。しかしそれでも脳裏に鮮明に刻み込まれた映像は、胸を刺し貫かれて苦しそうに、それでも己の為に笑ってくれた血濡れの♀スーパーノービスで、目を覚ましたばかりの♀ハンターの頬の乾いた涙の跡がそれをしっかりと教えてくれていた。 「ふぁる・・・・・・」 傍らでうずくまって眠る愛鳥の羽根を柔らかくなぞる。先のミストレスの電撃により、黒く焦げ付いた跡が生々しい。ぴくりとも動かないが、ふぁるの体はまだ暖かかった。生命の脈動を確かに感じることに、少しだけほっとする。 ♀ハンター自身も全身がひどく痛むのだが、思考回路は怪我の痛みなど届かないところでぐるぐ...
  • 2-265
    265.プリズナー(三日目・午前) (すごい・・・) ♂シーフは♀WIZに見とれていた 詠唱の早さ、そしてその威力は勿論の事だが 薄暗い地下室をリムーバの残骸が火の粉を上げて舞い踊る その中心に、彼女が居た 闇に映える銀髪がサラリと流れ、微笑を浮かべて僕を見ている 神聖で妖絶で、その姿は今まで見てきた絵本のどんな女神よりも・・・ 「・・・♂シーフ君?」 「…あっひゃい!?」 思いっきり裏返った声が出た 「どうしたんですか?ぼーっとして…落ちた時どこか痛めました?」 「いっいえ、大丈夫です」 見とれてました、とは流石に言えない 「でも、何か変ですよ?熱でもあるのかしら・・・」 無防備に顔を覗き込んでくる♀WIZ (えっちょっまっうぇwwwwテラヤバスwww) ♂シーフ、思考回路ショート寸前 ...
  • 2-266
    266.崩壊していく理性の中で。(三日目・午前) 「あああああああああああああ!!」 右腕が、熱い。腕輪が恐ろしいほどの熱を発しているように感じられる。 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ 自分のものとは思えない殺意が♂シーフの思考を蹂躙し、破壊していく。 (このまま、僕は壊れていくんだろうか・・・?) ♂シーフは崩壊しつつある理性の中で考えた。 (このままじゃ、♀WIZさんに攻撃を仕掛けてしまうかも・・・) なにか解決策はないかと、必死に考えを生み出そうとするがそれもままならない。 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ! 彼の思考を殺意が攻撃し続ける。 「やめろ、やめてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 堪らず♂シーフは叫ぶ。誰かタスケテ。 彼の叫びに♀WIZは驚き、体をビクッ...
  • 2-269
    269.イン・ザ・ダーク[3日目午前] 殺せ、殺せ、殺せ、殺せ その声はほとんど物理的な圧力を持って彼を押しつぶそうとする。 暗い、暗い地下道で。 決して傷つけてはならぬひとを前に。 光の差しこまぬ闇を背に。 ♂シーフは耐える。 殺せ(いやだ) 殺せ(だめだ) そいつは(このひとは) 敵だ(希望なんだ) 意識ははっきりしている。 意志もゆらいでいない。 すくなくとも、まだ。 それらを押しのけようと蠢くものは衝動。 砂漠でオアシスを目前にしたかのような欲求。 肉に刃をつきたてる感触。血のにおい。味。 それらが魅惑的な声で彼を呼ぶ。 のどが鳴った。 さほど冒険者経験の長くない彼でも、砂漠で動物を狩ったことはある。 そして狩りの獲物は食べるものだ。 もしも今、彼女を手にかけたら。自分はその肉に食らいついてしまうかもし...
  • 2-260
    260.分岐[3日目午前] 『今の放送どう思いますか?』 放送が終わるとすぐ淫徒プリは地面に文字を書いた。 「ふむ」 ♂セージは少し考え込み、同じように地面へ書く。 『同じ質問を口でもう一度』 それを読んだ淫徒プリはさすがに意外そうな顔になった。 意図がつかめず一瞬どうするべきか迷うが、それでも要求通りにする。 「今の放送、どう思いますか?」 ♂セージは何もなかったように答えた。 「うーん、まず分かったことが1つ。おそらく私たちの声は聞かれています。放送のためだけのシステムならこちらの声が混じるはずなど無いのですからね」 「…そうなりますね」 淫徒プリは♂セージの意図を悟って頷いた。 どれだけの参加者が同じ結論にたどり着いたかは分からないが、彼らにとっては難しくない推論だ。それをしなければGMに裏を勘ぐられる恐れがある。 ♂セージはすでに知っていること...
  • 2-262
    262 置土産、疑念、偶然(三日目・午前) ♂プリは走った。 負傷し、気を失っている♀ハンターとふぁるを担ぎながら。 元々は、♀ハンターとふぁるをミストレスから遠ざける為に逃げていたのだ。 だが、放送によりミストレスが死亡した事を知ると、安全だと判断して元いた場所に急いだ。 (ミストレスが死んだんなら、あそこは安全なはずだ。早く戻ろう!) 度重なるヒールの使用、戦闘により疲労は溜まっているが、そんな事を言っている場合はない。 少しでも安全を確保する為に、急ぐ必要があるのだ。 人数がかなり減ったとは言え、まだマーダラーが息を潜めているかもしれない。 その可能性を考慮すると、怪我人を抱えたまま単独行動をするのは危険と思ったのだ。 その意味では、♂プリの判断は賢明だろう。いや、正解である。 逃げる方向にマーダラーがいないとは限らないし、元いた場所が安全だと分か...
  • 2-264
    264.ハプニング(三日目・午前) 「♀Wizさん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」 来た道を戻る形で北に向かう途中、♂シーフが♀Wizに問いかける。 勿論、これは♀Wizの指示であり『立ち止まる口実を作ってください』という事である。 イグドラシルの実の半分をもらい、かなり体力が回復しているが、それでも本調子には程遠いらしく、♂シーフの判断はごく自然なものであろう。 ただ、♂シーフは♀Wizがしんどそうにしているのを察し、少し体力を回復させた方が良いかもしれない、という判断もあったであろう。 さて、何故♀Wizがそんな指示を出したか、であるが。 至極、単純な事である。気になる廃屋を見つけただけである。 移動中であれば、気にも留めなかっただろうが、少しでも手掛かりが欲しい現状では、すがる思いであった。 ――何か重要な情報が手にはいるかもしれない 確率的には...
  • 2-268
    268. 2つの地下で(三日目午前) その異常は即座にGM森へ報告された。 ジョーカーでも橘でもなかったのは単に当番の問題である。 「あ?誰が消えたって?」 森は監視など退屈極まりないという様子を隠しもせず、椅子にだらしなく腰掛け大あくびをしながら聞き返す。 「♀Wiz、♂シーフの両名です」 「あー。だったら死亡報告書いとけ」 つまらないことで呼ぶな。森はそう言わんばかりの口ぶりで言って目を閉じた。 そのまま寝てしまいそうな様子に兵士は急いで報告を続ける。 「いえ、死亡してはいません。首輪とのリンクは正常に機能しています」 「そのどこが消えてんだ」 「地図盤上から位置表示が失われたんです」 「なんだと?」 ようやく事態の異常さを理解したように森は椅子から身を起こした。 壁面に設置された巨大な地図へ歩み寄り、しかめ面で眺...
  • 2-261
    261.表裏背反[3日目午前] ひゅっ 「む」 デビルチを探して付近を見回っていたグラサンモンクはかすかな矢音を聞きつけて反射的に身を低くした。 そして素早く周囲を見回す。 人影は見あたらない。そしてどうやら彼に向かって矢が飛んでくる様子もない。 となると…狙いは仲間達か。 彼は舌打ちして全速力で駆け戻りつつ怒鳴った。 「伏せろ!」 ♀アコと♀マジはとっくに身を低くしていた。 だが悪ケミだけは彼女たちの様子を笑いながら1人のんきに座っている。 彼は駆け寄りざまに押し倒した。 「あ、ちょっと。こらっ!したぼくがこんなコトしていいと思ってるのっ!?」 当然のように彼女はとても分かりやすい勘違いをした。 グラサンモンクは必死になだめる。 「待て、勘違いだ。暴れるな」 「したぼくが命令するな~っ!このこのこのっ」 覆い被さった彼の頭が下からポカポカ殴...
  • 2-267
    267.頭上の敵[3日目午前] まずいことになった、と♀ケミは脳をフル回転させる。 死にぞこないの逆毛が余計なことを言ってくれたせいで疑われるのは時間の問題になってしまった。 しかも顔見知りの淫徒プリまで出てきた。 考えてた中でも最悪に近い状況だ。 でも、事態はまだ混乱している。 「ん~。ちょっと増えすぎ?できれば順番に並んで欲しいなあ」 「ふざけんなー!あんたちょっと降りてきなさいっ」 「やーだよー。そっちが昇ってきたらー?」 パピヨンは急に数の増えた『ごちそう』を警戒して少し高度を上げていた。 その高さから地上の♀アコと口げんかしている。 こうしてみると知能のあるパピヨンというのは実に厄介だ。 人の手の届かない高さから中~遠距離の攻撃ができるのだから。 弓使いがいない今、有効な反撃をできるのは魔法使いだけだろう。 彼女は♂セージと♀マジに...
  • NG2-26
    NG.泣き出しそうな灰色の空を見上げて 「ちょっとぉ……本当にこっちで合ってるんでしょうね?」 ヨタヨタと傷ついた身体を引きずりながら、前を行く子犬に♀アコは問い掛けたが、子犬はあどけない顔で振り返って頭の上に『?』を浮かべただけだった。 「うぐっ……期待なんかしてないわよ……」 がっくりとうなだれながら♀アコは呟いた。 「てかさぁ、ここ、どこよ?」 打ち上げられた海岸から、叩き落とされた崖を目指して子犬に先導を任せたのだが、西の方角――だと思う――をかれこれ一時間以上歩いているのに、未だに目的の崖に辿り着けない。 どころか、何故か密林めいた森の中である。基本的に楽観思考の彼女だが、さすがにここまでくると不安も多少は浮き上がってくる。 なにしろ禁止区域を教えてくれる地図が手元にないのだ。知らぬ間に迷い込んでBANなんてゾッとしないことも起きえない。 そもそも、自分...
  • 2-226
    226.砕けたもの [2日目深夜] 鋭く一撃、二撃――手首を返してフェイント。 右手の刃に意識を引きつけて左拳が顔面へ …入らない。 「ちっ」 外見からは想像も付かない♂スパノビの身ごなしに♂ローグは舌打ちした。 一体なんだこいつは? ごっつい女を毒っといてニューマからつぶすつもりがやたら手間取る。 フェイントがまるで効かねえ。 見透かしてやがるのかと思ったがそうでもねえらしい。 何も予測してねえんだ。 攻撃がどこから行くとか全然考えねえで、当たりそうな攻撃にだけもの凄え反応しやがる。 その割に反撃は単純極まりねえ。 馬鹿正直にまっすぐ短剣を突き出すだけ。 食らう気はしねえし、カウンターを入れればさすがに当たる。 もうとっくに倒れてておかしくねえくらいあちこち切った。 なのに弱った様子も見えねえってのは一体どういうこった? 「だっ...
  • NG2-24
    NG 定時放送2(朝8時の場合) 「さぁさ皆様、起きてくださいまし!お寝坊さんはいらっしゃらないでしょうね? 楽しい楽しいバトルロワイアル、二日目の始まりですよ! しかし良い朝ですねぇ。これはまさしく皆様の日ごろの行いが報われたということでしょうね? 何せ前回のバトルロワイアルなど、開催期間中ずーっと雨模様でございましたから。 私どもも気が滅入ったものです。やはり雨が4日も続きますと皆様……ああ失礼、脱線してしまいました。 きちんとお仕事しなくては、ですね。ではお先に死亡者を読み上げますよー。 ♀剣士さん ♀セージさん バードさん ♀クルセイダーさん ♂BSさん ダンサーさん ♂剣士さん そして我が国の工務大臣殿!不甲斐ないですねぇ、早速のリタイアですか。 というわけで朝までの間に8名が亡くなられました。残り33名です。 良いですね、なか...
  • 2-206
    206.信頼の意味  暗い森の中を息を殺して早足で歩く。  ルアフで、足元を照らしたいところだがPTを組んでいるわけではない今、それは危険だ。 「やれやれ……振り出しに戻りましたか……」  先程の喧騒の最中、淫徒プリは喧騒に乗じてあの場から離れた。  PTから離れるという目的は達せられたものの、これではゲームが始まったばかりの時と変わりようが無い。 「さて、どうしましょうか……」  地図で点滅する自分の位置を確認すると、現在地はE-6、E-7の境界付近らしい。  あの危険な毒花の♀アルケミや復讐に燃えている三人からは離れたい。  殺しと薬に手を染めることこそしなかったもの、その他の犯罪と呼ばれることは一通りしている。  それゆえ、その手のいざこざから起こる凄惨な風景は見慣れているが、あくまで自分は蚊帳の外から見るからこそ、その光景も所詮他...
  • 2-213
    213.異端 [2日目夜~深夜] 最初に起きたのは、♀マジだった。 ♀マジを背負いながら、騎士を乗せたペコペコさながらの疾走を披露した♀アコはよほど疲れたのか、いまだ轟沈していた。 ともかく先に起きた♀マジは、痛む片方の足を気にしつつ、先ほど急に直った♀アコの首輪について一考するのだった。 どうにも引っかかることがあったのである。 それは、この首輪がそう簡単に壊れるだろうか? ということ。 首輪は現在島で行われている殺し合いを殺し合いとして成立させるための、なによりの鍵だ。 壊れてしまいました、では済まない。 それに、この殺戮ゲームが過去に何回も行われているということから考えても、変だった。 管理側から渡された地図を見るに、自分たちの現在地が管理側に情報として送られていることは間違いない。 とすると、♀アコが禁止区域に入って無事だったことが伝わっていないは...
  • 2-299
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  • 2-283
    283.悪意は静かに笑う[三日目午前] 「♀商人さんなら、私達と一緒に・・・」 淫徒プリと悪ケミは同時に振り返る 「・・・見る影もないよ?」「それ、言葉の使い所間違ってる」 「うるさいわね!」 ♀マジのツッコミに、♀アコが叫ぶ 「少し早く歩きすぎたかな・・・」 「一緒に戻ろうと言いましたから、もう少ししたら戻られると思いますが・・・」 不安げに言う悪ケミと淫徒プリ 「・・・来ないね」 「うん、こない」 ♀マジと♀アコが顔を見合わせる 淫徒プリの言葉虚しく、軽く♂プリと全員の自己紹介を済ませたが一向に♀商人が戻る気配はない 「私があの時目を離さなければ・・・」 「そんな事言ったら、私だってそうだよ。今は♀商人と♀ケミを探そ?」 自分を攻める淫徒プリに、悪ケミがフォローを入れる 「そうだよ、♀ケミにも謝らないといけないしね。♀マジなんて本気で魔法撃ってたし...
  • 2-200
    200.野良犬は牙を研ぐ [2日目夜放送後~深夜] ジョーカーの声で目を覚ましたグラリスはすぐに西へ向かった。 海岸沿いの狭いルートが閉じた以上、袋小路になってしまった場所で眠るのはあまりに危険だったからだ。もし明朝の放送でF-3が禁止区域に設定されたらまず助からない。 (つくづく癪に障る男ですこと) 彼女はジョーカーが禁止区域を無作為に選んだとは信じていなかった。 なにしろダーツを使って選んだというのだ。あの男が百発百中の腕を持っていたとしても誰も驚くまい。 自分を追い立て、他の連中と戦わせようと言うのだろう。 休むな。戦え。さもないとWが…と言うわけだ。 だが今のままでは難しい。 最初に遭遇する可能性が高いのは彼女に重傷を負わせた例の五人なのだ。 おそらく戦力を減じてはいまい。 おそらく、と言うのは彼女が放送で目を覚ましたためである。 ...
  • 2-247
    247.Arrowhead[3日目早朝] 「――最っ低・・・!!」 目の前のアルケミストが瓶を振りかぶる。 「ちいっ」 ♂ローグは決意に満ちたその表情に脅威を感じた。 火炎瓶か、強酸か。 何にせよヤバい物なのは間違いない。 心臓を狙おうとしていたクロスボウの先をとっさに少し上へ向ける。 後ずさりしながら連射した矢の一発目が♀アルケミストの右肩を、二発目が顔面を捉えた。 ほとんど同時に投げ放たれた瓶は着弾の衝撃でわずかに狙いを外す。 瓶の直撃がないと見切った彼は突進してくる♂スパノビに狙いを変えた。 「死ねや」 二連射が巨体へ吸い込まれるように命中し、地響きを立てて倒れる。 同時に♂ローグのすぐ脇に瓶が落ちた。 バシャッ 「・・・うおっ!?」 いつもの彼なら飛び散るしぶきぐらい難なく避けただろう。 だが意識が♂スパノビへ向いていたこと、そして壊れ...
  • 2-205
    205.隠し味 [2日目深夜] トクン。 トクン。 血流にのって薬効が全身を巡る。 黄色い果実に秘められた世界樹の生命力そのものが。 傷ついた全身の細胞が癒合し再生して行く。 シュワシュワ、プチプチと音が聞こえる気がするほどの早さで。 (う…) ♂騎士はうっすらと目を開けた。 そして薄目のままゆっくりと周囲を見回す。 周囲に数人分の気配があった。 「あ、いま♂騎士さん動きませんでしたか?」 聞き覚えのない声。 とっさに目を閉じる。だが、そのことで却って動きが生まれてしまったようだ。 「♂騎士!よかった、気が付いたか!」 誰かが飛びついてくる。 反射的に振りほどこうとするが、体が思うように動かない。 力を込めると硬直していたあちこちの骨と筋がばりばりと音を立てた。 「ぐ…」 「無茶するな。まだ完治したわけじゃねえ」 また別の声がする。 少...
  • 2-250
    250.エウレカ [3日目朝] 腹が燃えていた。 じくじくと冷たい炎を上げて。 (これはダメのようですね) 多臓器不全という言葉が♀スパノビの脳裏に浮かんだ。 心臓は時々思い出したように脈打つだけ。肺は半分もふくらまない。 肋骨より下は完全に駄目だ。 絶え間ない苦痛のかたまりだけがそこにある。 四肢も動くのは左手一本だけ。 もはや数分以内に確実にやってくる死を待つだけの体だった。 とどめを刺して楽にしてもらいたいところだけど。 体の下に♀ハンターの鼓動を感じた。 彼女のためにもこのまま死ぬことはできない。 (大丈夫。♀ハンターさんはお姉ちゃんがきっと守ります) 身じろぎするごとに焼けこげた内蔵が悲鳴を上げる。 それでも左手で♀ハンターの体を探ることを諦めない。 (お姉ちゃんは妹のする事なんて全てお見通しなのです...
  • 2-203
    203.ふぁると♀スパノビだけがともだちさ [2日目夜] これは夢? それともまぼろし? ううん、そんなことない! ほかの誰にもわからなくたって、あたしにはわかる。 空をすべる大きなつばさも、するどい鉤型のくちばしも、切り裂く爪も、強靭なあしゆびも、すぐに思い描ける。 どんな闇夜だって、たとえ目が見えていなくたって、声さえ聞けば、あたしにだけはわかるの。 だからあたしは、おおきな声で大好きな彼の名を呼んだ。 「ふぁる!」 あぁ、ふぁる。やっぱり来てくれたんだ。来てくれたんだね。それもこんなところまで。 つばさや尾羽が、あんなにぼろぼろになってるのに。そうまでして、来てくれたんだね。 だったらもう、あたしもがんばるしかない。覚悟は決まったわ。 相手が鳥を嫌う羽虫の女王なら、あたしはその虫を食べて生きてきた、猛禽の娘よ! ふぁるとふたりなら、できないこ...
  • 2-277
    277. 失われた剣(三日目午前) (この通路、どこまで通じているのかしら) 慎重に奥へと進みつつ♀Wizは首をかしげる。 GMが現れたということは、やはり彼らの本拠地まで通じているのか。 確かに今朝の放送で本拠があると言っていたE-5までそれほど遠くはない。 だけど。 (そうするとこんな物があった理由がわからないんですよね) 右手の杖を一回転させる。 隠れ家の入り口に侵入者のための武器を置いておく馬鹿は居ない。 腐乱死体を放置したりもしない。 不衛生だし、誰だってそんな悪臭のする物を近くに置きたくはないだろう。 かといって参加者を近づけないための細工にしては死体が白い衣装を着ていたのがおかしい。 GMの死体と見れば調べたくなるのが当然だ。実際彼女達がそうしたように。 つまり、ここは本拠ではない。 (じゃあ、誰がなんのために?) 元の島民が残したと考える...
  • 2-290
    290.撤退戦・前 ぐぅ、と焼け付くような痛みを感じた。 ♂プリーストは一瞬混乱したが、即座に自分が腹を刺されたのだと悟った。 足元を見れば、そこにはデビルチがいた。こいつが下手人だろう。 ♂プリーストは渾身の力でデビルチを蹴りつける。 それだけで、デビルチはサッカーボールのように弾んで、近くの木にぶつかった。 さらなる伏兵がいないかと周囲を確認するが、どうやら伏兵はこのデビルチだけだったらしい。 だが、それでもパーティーは壊滅的な打撃を受けたらしい。 モンスターと共にやってきて自分達と共闘していた♀WIZは木に叩きつけられたらしく、まったく動く気配がない。 ♀マジは意識はあるものの、叫びつつ地面でもんどりうっている。おそらく彼女も奇襲を受けたのだろう。 ♂スパノビはさらに酷い。元々かなり傷ついていたが、今パピヨンに背中ごしに胸を貫かれている。 悲鳴を上げている...
  • 2-210
    210.打算と信頼と  淫徒プリは、困惑していた。  なんだ、この♂セージは……。  思わず上ずった声で声を上げてしまったが、変装を見破られていたりはしないだろうか?  考えをまとめるために呟いていた独り言も聞かれたのではないだろうか?  しかし、その一方ですぐに頭を切り替え状況を判断する。  突然隣りに現れたは、ハイディングかクローキングの効果があるカード挿しの装備のおかげだろう。  消えていたにもかかわらず、自分を襲ってこなかったので十中八九は殺人者側ではない。  だが、それがこの♂セージが絶対にマーダーではないという保障にはつながらない。  用心して、いつでも逃げられるようにしておかなくては。  そんなことを思いつつ、淫徒プリは♂セージに対峙する。 「ああ、御安心下さい。私は殺人者側ではありません。もし仮にそうであるなら、消...
  • 2-227
    227. ビーチフラッグス [2日目深夜] グラリスは血の跡をつけながら、芋虫のように地面を這いずりバスタードソードに向かう。愛するWを生かすために。左手を奪った♂クルセイダーを殺すために。 ♂クルセイダーもまたバスタードソードへと歩を進める。大木に預けていた体重を自分の足へと戻し、一歩、また一歩と、地面を這いずるグラリスとさほど変わらない早さで。 (俺は生きる!) (彼女を殺して、俺は生き残らなければならない) ♂クルセイダーは察していた。今の自分では彼女がバスタードソードを手にする前に彼女の元へたどり着けないことを。それでも、彼は思った。 (彼女がそれを手にし、構えるまでのわずかな時間に殺さなければ) 今の♂クルセイダーには、避けた後体勢を立て直す体力…、いや、避けるだけの体力も残されていないと感じていた。 (彼を殺す!) (彼を殺して、Wを...
  • 2-274
    274. ロシアンルーレット (3日目午前) 「……」 「……」 2人が去ったあと、残った淫徒プリらの間に沈黙が落ちる。 あの叫び声は一体誰のものか。 見に行った2人は大丈夫か。 思惑が交錯する。 ♀ケミは思う。悲鳴の主が♀ハンターならいい。 そのまま死んでいてくれればもっといい。 ♀マジは考える。たぶんこれで♀ケミの話の真偽がはっきりする。 悲鳴の主が生きていてくれれば。 そして♀アコは思いついたことをすぐ口に出した。 「あたし達はどーしよ?」 「どうするかって、あとは侍ってるしかないでしょ」 当然のように言って悪ケミが肩をすくめる。だが♀アコは首をかしげた。 「そうかな?絶対間に合わないって決まったわけじゃないし、2人を追っかけてもいーんじゃない?」 「あ、うーん」 「キミ、時々すごく鋭いこと言うよね」 それぞれに声を上げて淫徒プリと♀マジは考...
  • 2-242
    242.言霊[3日目早朝]  ♂騎士が現れた後。  とりあえず朝の放送を聞いてから動くともう一度決めた後、交代制で見張りに付くことにして、まだ体力が本調子ではない♀WIZのサポートに淫徒プリは付いていた。  支援とWIZの組み合わせであれば、大抵の襲撃にも耐えられるだろうからだ。 「あの……さっきの言葉……どなたが言っていた言葉ですか?」  どうにも気になって仕方がなかった淫徒プリは♀WIZに声をかけた。 「さっきの言葉? ああ、人間は一人で死んで行くんじゃないって?」 「そうです。その言葉」 「だから、大切な人ですよ。この指輪の相手……と言えば判ります?」  そう言いながら、左手の薬指にはまった銀色の指輪……結婚指輪を見せた。 「旦那さま……ですか?」  ♀WIZは微笑むことでその質問を肯定した。 「……失礼ですが、...
  • 2-235
    235.不運 ―――……何だ? ♂プリは躊躇っていた。 木陰を通して人影が見える。まだかなり遠いが、複数…恐らく3人だろう。 「集団でいるってことは…多分殺人者じゃないんだよな。」 呟いて確認してみる。このゲーム、最後まで残った者が勝ち…だということは。 殺人者は単独で行動したがるだろう…と、思う。多分。恐らく。 ―――ってことは味方なんだよな…? 彼等は♂騎士の行方を知っているかもしれない。殺人者でなく、知っているなら教えてくれるだろう。 だが、と彼は思う。あの集団が味方なのかを彼は判別できなかった。何故なら――― 一人妙なのだ。主に頭が。 ―――やたらデカくねぇか?あいつの頭… ミッドガルド王国ではアフロという髪型は一般的ではない。そのため、彼はそんな髪型の存在すら知らなかった。 その上、夜で遠距離であるということが、彼に正確な判断をさせなかった。 ...
  • 2-275
    275.魔なるものの邂逅 (三日目午前) 「あーもーっばかばかばかばかばかうまのけつーっ!絶対絶対ぜえぇーったい許さないんだからっ!」 誰の声も届かない空の上でパピヨンは器用に地団太を踏んでいた。 圧倒的多数を相手にしてとはいえ、勝負を挑んで撃退されたことがよほど気に入らなかったらしい。 「今度会ったらぎったんぎったんのぐっちょんっぐっちょんのけちょんけちょんにして、もんのすごぉーっく恥ずかしいイタズラ書きしてやるーっ!お・ぼ・え・て・ろーっ!」 両手を突き上げ、ひとしきり吠えるだけ吠えた彼女はやがて急にがっくりうなだれた。 引き締まった腹を押さえて情けない声を出す。 「それにしても・・・おなか減ったなあ」 心なしか触角も力を失って垂れ下がっているようだった。 「どっかにご飯落ちてないかなー。今ならむさい男でも死体でも我慢するのになー。若くて元気な子の生き血がいーな...
  • 2-294
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  • 2-258
    258.♀スパノビの遺した物[3日目朝] 「夜間死者数は9名でいいですね?…なに、3名増えた?誰です?生死確認は?死亡状況報告急ぎなさい」 薄暗い地下室にGM橘の神経質な声が響く。 彼らGMも夜は交替で眠っており、その間の状況は報告で知るしかなかった。 橘は何枚もの手書きの報告書を読み合わせ、バラバラの情報から経過をまとめようとする。 そんな彼の手元へピエロ帽を乗せた頭が突き出された。 「ほほう。一気に半分近く減りましたか。どなたか頑張りましたかねえ」 ジョーカーは殺気立った室内の様子もどこ吹く風とのんきな顔で言う。 起きてさほど間がないはずなのに、その化粧には一分の隙もない。 まさかこの顔のまま寝たんじゃないでしょうね、とか思いつつ橘は上司の頭を押し戻した。 「いいですからあなたはダーツでもサイコロでも用意しててください。きちんとまとめてからお見せ...
  • 2-217
    217.誇りある魂 [定時放送③後] GMジョーカーによる定時放送が終わった。 自分たちの居場所が禁止区域には含まれていないことを確認し、ほっとした3人だったが、その後のしばらくは沈黙の時間が続くことになった。 沈黙の中で♀騎士は♂ハンターを様子見したが、彼の表情は、どうにも重かった。 放っておいたら、地面に沈みこんでしまうのではないかと心配に思ったほどだ。 感情というのは、周囲に伝わるものである。 誰かが嬉しそうに笑っていれば、自然と周りにいる人間も心がはずむ。 哀しみに身をまかせ、暗い表情をしていれば、同行者も似た気持ちになってくる。 そして今のこの重苦しい空気を作っているのが、顔を伏せ気味に膝をかかえて地べたに座っている、♂ハンターだった。 出会ったときもどこか淋しげで、悲壮感すらただよわせていた彼だったが、今はそのときよりも酷い。 ...
  • 2-212
    212.宿り木 [2日目深夜] 彼女はギャンブルというものが嫌いだった。 かつて彼女をかどわかした男が、無類の賭博好きだったからかもしれない。 それとも彼女自身が、賭け事のたぐいで損をした経験ばかりだったからかもしれない。 いずれにしても、良い思い出がないことだけは、たしかであった。 だから彼女はこれまで古いカード帖を開封したことなど、ただの一度もなかった。 自分の運のなさは青い箱や、紫の箱で懲りていたし、自分が開けたところで、どうせろくなものしか出やしないと決めつけていたのである。 露店にならべ、色目を使って気を惹いた男たち相手に高値で売りつけるのがせいぜいであった。 もちろん売ったのは古いカード帖だけではなく、金払いの良さそうな男はたらし込み、骨の髄までしゃぶり尽くした。 そうやって彼女は、所属するギルドのメンバーには内緒で、こっそりと私腹を肥やしていた...
  • 2-236
    236.誤解する人々 [3日目未明] 「遅いですね」 ♀商人が木立に入ってからしばらく経ち、♂セージは首を傾げた。 女性のお手洗いは長いというが、それにしてもずいぶん遅い。 彼は淫徒プリをそっと揺さぶった。 「…ん?はい?」 「すみません、♀商人が排泄に出て戻りません。何かあったらいけないので見てきます」 「はい…って、ちょっと」 頷いた淫徒プリの眠たい眼がそのまま半眼のジト眼に移行する。 「なんでしょう」 「女の子のトイレ覗く気じゃないでしょうね」 「そんな趣味はありませんし、彼女にも来るなと言われました。ですがそれだけにしては遅すぎます」 淫徒プリは首を傾げた。 「ちょと遠くまで行っただけじゃないかしら」 「声の届く範囲に居て下さいと言ったのですが」 「…じゃあなおさら遠くまで行ったかもしれませんよ」 「そういうものですか?」 わけが分からない...
  • 2-239
    239.なかま [3日目早朝] 彼女は長い悪夢を見ていた。 日常と言う名の悪夢。 当たり前になりすぎて悪夢だという意識もなかった。 彼女に夢はなかった。 ただその時置かれた境遇から脱し、這い上がることの繰り返し。 それは作業であって夢ではない。 上り詰めた先に何をしようと言う目的があったわけでもない。 彼女は悪夢しか知らないままに育ち、 そして今、別の悪夢の中にいる。 ♀アルケミストは目を覚ました。 う~ん、と体を伸ばそうとして手をぶつける。 そう言えば木のうろに潜り込んで寝たんだった。 (そろそろ一度きちんと身繕いしたいわね) 髪に付いた木屑を払って彼女は思った。 色気が武器の彼女としては着替えも化粧もできない今の状況はよろしくない。 あまり身だしなみが整い過ぎてても警戒されるだろうが、せめて水浴びして髪をとかすぐらいはし...
  • 2-233
    233.大自然の呼び声 [3日目未明] ずびし。 ♂セージの脳天に鋭いチョップが入った。 「ついてこないで」 ♀商人は冷たく言う。 「そうは言ってもですね」 ♂セージは眠そうに目をしばたかせつつ抗弁した。 「やはり1人になるのはよくありませんよ」 「すぐに戻るってば」 彼女はいらだたしげに男を押し戻す。 ただし寝ている仲間を起こさないように小声で。 「しかし排泄中は最も無防備になる瞬間のひと・・・ぶっ」 言葉の途中で靴を投げつけられ♂セージは倒れた。 投げつけた姿勢のまま♂商人は肩を怒らせ荒い息を吐く。 「分かってるなら来るなっ!」 要するに見張り番の最中にトイレへ行きたくなったのだ。 彼女は投げつけた靴を拾って木立に入る。 「いい?絶対にこないでね」 「仕方ありませんね。声の届く範囲にいて下さい」 ♂セージ...
  • 2-229
    229. 親分の『命令』 [2日目深夜] 締め上げていた足首が、腕の中からするりと抜ける。 はっと♀BSが顔を上げた時には、♂ローグは既に闇へとその姿を消していた。 (逃げられた、か……) 戦いの最中の、まるで殺し合いを楽しむかのような♂ローグの表情を♀BSは思い出し、目を伏せた。 あの男は危険だ。どうにかして止めを刺したかったのだけれども。 ♂スパノビが彼女のほうへ歩み寄り、傷口に手をかざす。 それと同時に左脇腹から体内へと染み込むような痺れが消える。だが―― (……生憎、もう完全に毒が回っちまってたみたいだね) 毒を受けながらも、闘争本能のままに♀BSは力を振り絞って動いた。 だからこそ♂ローグを退けることができたのだが、同時に受けた毒の進行を早めることにもなってしまっていた。 毒を抜くことはできても、失われた体力は元には戻らない。 それに加え腹部...
  • 2-241
    241.dawn purple [3日目未明] 草深い山の奥。 暗い梢の隙間から藍色の空が覗く。 りーり、りーり 朝の訪れも知らぬかのように虫達は合唱する。 ああ、ああ、ああ、ああ 虫の音に答えるのは嬌声にも似た高い声。 それに合わせて薄紫の光が明滅する。 光の元は1人の少女だった。 薄い胸。 短いスカートから覗く細い脚。 女としてはまだ成熟しきっていない青い果実。 かつて♀アーチャーと呼ばれていた彼女は、しかしそのなだらかな下腹をわずかにふくらませていた。 四つん這いになったその背で薄紫の光が明滅する。 下履きは脱ぎ捨てられ、秘めやかな場所を隠す物は短い裾の作るわずかな影しかない。 あぁっ 内股の青白い肉がひくついた。 ツッ―― スカートの暗がりから透き通った液体があふれ、白い腿を伝い落ちる。 そして青い布...
  • 2-240
    240.復活の魔術[3日目早朝] ♂WIZが死を感じた時に思ったことは二つ。 -デビルチがいっていた二人組の存在も考慮して場所を移すべきでした… -ここで死ぬわけにはいかないのです、まだ私は…彼女を…! 一つ目の思いはすぐに消えた。今更すぎるからである。 正確にいうならばデビルチの報告にあった二人組みの他に♂WIZはこの近辺に強い妖艶な魔力を感じていた。 こんな危うい区域はすぐでるべきだったのだと、本当に今更ながらの刹那の後悔。 二つ目の思いは強く脳を回転させた。私が生きるにはどうしたらいいのかと。 答えはすぐにでた。自分の魂を移すことだ。幸いそのための準備も整っている。 これを実現させるには自分の魂を肉体から切り離す必要がある。 それには切り離す肉体の命を絶つのが理想。 もはや虫の息になってしまった今の自分の状態なら問題はない。 そして定...
  • 2-293
    293.死屍累々 腹を貫かれた♂プリーストは、言うまでもなく重症であった。 出血はおびただしく、何らかの応急手当をしなければ数分程度しか生きられないだろうと思われた。 その状況で、彼は、なんとキリエ・エレイソンを緊急の包帯代わりに使った。 制御装置により、ヒールで傷口を塞ぐには大量の気力を消費するし、それだけの気力は既に彼にはなかった。 一方、キリエ・エレイソンも弱体化されてはいたものの、しかし耐久力が弱まった程度であったため、傷口をカバーする用途にはうってつけだったのだ。 しかし、この方法には重大な欠陥がある。 それは、根本的な解決にはならない、ということである。 もし、パピヨンの攻撃をまともに食らってしまったら、二度と立ち上げれるかもわからない。 それ以前に、彼の気力が尽きれば、再び腹から血が流れ出し死亡するだろう。 だが、それでいい。 どちみち、助か...
  • 2-231
    231.手負いの獣 [2日目深夜] 畜生畜生畜生畜生 殺してやる殺してやるコロシテヤル 隠れたまま息の続く限り逃げた♂ローグは姿を現すと同時にぶっ倒れた。 そのまま闇に向かって憎しみをぶちまける。 怒りは自分にも向いていた。 ルアフ、ニューマとハンマーフォール。 あり得ないほど最悪の組み合わせだった。 どうしてさっさと逃げなかったのか。 …あれだ。 初日に遭ったクソカップルだ。 退却間際に聞いた叫び。 『どうしてよ!ニューマもでないし!』 あれでニューマは使えないと思いこまされた。 だが今にして思えば実際に詠唱するトコを見たのは速度増加だけ。 あとはぎゃあぎゃあ騒いでただけだった。 策だったとは限らない。 だが少なくとも彼はあの言葉に釣られたのだ。 はらわたが煮えくり返る。 この手で泣き叫ぶツラを引き裂...
  • 2-219
    219.鏡合わせの騎士 [2日目深夜] ここは何処で、自分は誰と戦っているのだろうか。 それすらもわからずに、ただ自分の身を守るために、♂騎士は剣を強く握りしめた。 ひとりになりたい――それだけを考えていた。 ひとりになることの怖さも、心細さも知っていた。今まで仲間という暖かい存在に包まれていたからだ。 それでも、誰かの傍にいることは耐えられないことだった。 死にたいのか、といったらそうではないのだと思う。 目の前の男が自分に剣を振るってきた瞬間、とてつもない恐怖と憎悪がその人物に対して沸き起こってきたからだ。 ――その感情が、GMの介入によって異常に引き出されているのだということを、彼は知らないのだが。 一方で、♂クルセイダーは思う。この青年の瞳はこのような色だっただろうかと。 赤いのは以前からだったように思う。だが、このように血を思い出させ...
  • 2-278
    278.BlockBuster[3日目午前] まばゆいばかりの緑あふれる森の中、毒々しい紫色の触手がうねっていた。 空中をのたうち、あるいは地中を貫いて突き上げ。 2人の騎士を取り囲もうとする。 「マグナムブレイクっ」 ♂騎士は四方へ衝撃波を放ち、取り囲む触手の波を吹き払った。 その瞬間に生じた触手の隙間へ飛び込み、大剣を振るう。 切り飛ばせたのはわずかに2本。 傷ついた触手は断面から不気味な粘液を撒き散らしながら素早く引かれる。 だがそれ以外の触手が再び別方向から襲い掛かってきた。 きりがない。 馬防柵と弓兵・槍兵で固められた防御陣を突破しようとするのに似ている。 援護なしでの強攻は無謀と言っていい。一度引く方が賢明だ。 そんなことは分かっている。 だが飲み込まれたハンターに果たしてどれだけの余裕があるのか。 今さら下がる...
  • 2-214
    214.強攻 [2日目深夜] 『OKOK、ようするに地図を持って禁止区域に入ると首輪がどかんなわけね』 「───なるほど」 文書化された盗聴記録に目を通し終えても、GMジョーカーは微笑の表情をすこしも崩さなかった。 切れ長の目はいつも笑っているように見えて、奥にある瞳はけして笑ってなどいない。いつも通りの表情だった。 GM橘はもはや気にしなかった。 接する時間が長くなれば長くなるほど、考えていることがわからなくなる。 GMジョーカーという男は、そういったたぐいの人間である。とにかく本心を隠すことに長けているのだ。 彼の口にする言葉や態度、表情、しぐさ。そのすべてを信じてはいけない。疑ってもいけない。 なぜなら彼は仮面の下で舌なめずりをしながら、相手がどのように反応するかを覗き込んでいるからだ。 たとえるなら巣を作り、獲物がかかるのをひたすら待ちわびる...
  • 2-276
    276. 嘘 [3日目午前] ♀商人は激しくえずき、背を丸めて全身を震わせた。 「どうしたんですか!?」 「どいてっ」 驚く♀ケミを半ば突き飛ばすようにして淫徒プリが少女の傍らに膝をつき、丸まった体を無理矢理引き起こす。 「吐いて!早く!」 そう言って少女の顔をのけぞらせると有無を言わせず喉に指を突っ込んだ。 さらにみぞおちへ膝を当てて強く押す。 「ぇうっ、うぶぇえええぇぇぇっ」 少女の口から食べたものと胃液があふれ出した。 さらに彼女の口に水筒を押し付けて強引に水を流し込み、もう一度吐かせる。 毒物に対する素早い処置。 ♀ケミへの疑いを完全には捨てていなかったからこその反応だろう。 次いで自分も吐こうとする様子を一瞬見せるが途中でやめる。 食べた順序と時間経過からして、同じ毒が入っていたならとっくに効果が出ていなければおかしい。 代わりに淫徒プリは周囲...
  • 2-286
    286.命の選択を[3日目午前] 「跳べ!」 弓が引かれるのを見た瞬間、グラサンモンクは♂セージの肩を押して右へ跳んだ。 素早く反応した♂セージが左へ走り、木陰へ飛び込む。 ♀ハンター…の成れの果てと言うべきか…は、目標が分散したことで一瞬動きを止めたが、すぐにグラサンモンクを向いて矢を放つ。 ばしゅんっ 半ば朽ちたような武器や、腫れ上がってちゃんと見えているかも怪しい眼を考えれば、驚くほど正確な射撃だった。 地を蹴って全力で射線から身をはずす。 背後をかすめ過ぎる矢風。 よけた。だが息つく暇もなく頭を狙って二の矢が飛来する。 素早く上体を沈めてかわす。髪の毛を十数本まとめて持っていかれた。 さらに三の矢が足元へ。反射的に跳び上がって避け――その着地点を狙って四の矢。 空中で強引に姿勢を変える。だが脚を浅く切り裂かれ、血が数滴散った。 気にせずダ...
  • 2-289
    289.信頼対決 情勢は、圧倒的にパピヨンが不利だった。 敵には魔法職が二人。聖職者が二人。さらに、蛮勇とも呼べるほど強固な意思で攻撃を続けるアタッカーが一人。 対して、味方には自分と、『トモダチ』が一匹。 『トモダチ』は狂戦士のごとく攻撃を続ける♂スパノビに粘着されおり、今すぐにでも助けたい。 しかし、かといって安易に近づけば♀WIZのクァグマイアにより動きを鈍くされた後、魔法で蜂の巣にされるのが目に見えている。 パピヨンは、この状況を転換させうる何かを心から渇望していた。 そして。 今、それは存在したのだった。 パピヨンが自分たちの背後に回ったのを見て、♀WIZはほくそ笑んだ。 おそらく、寄生虫とパピヨンで挟み撃ちにする気だと考えたからだ。 しかし、逆に言えば、それは味方の分断である。 これで、パピヨンは寄生虫を攻撃している♂スパノビを攻撃することが...
  • 2-208
    208.重なる友の記憶 [2日目深夜] 急激にその場に満ちる混乱の気配に、眠っていた♀商人も目を覚ます。 視界に♂騎士と、彼の剣に胸を貫かれた♂アルケミストを認めると、彼女はどうして、と喉の奥で声を漏らした。 ♂アルケミストと♂騎士の信頼関係からして、一番ありえないことのように思えたからだ。 しかし、異なるGMの異なる思惑が絡み合った罠は、♂騎士がそれまで築いてきたもの全てを打ち砕いてしまった。 (……え?) ずるり、と胸に刺さったツルギが引き抜かれるまで、♂アルケミストは自分の身に何が起こったのか理解できなかった。 目の前には、今まさに彼の胸を貫いた♂騎士の顔がある。 (ああ、怖いんだな――) その表情を見て、彼は思う。 ♀クルセイダーが死んだときの自分も、このような顔をしていたのだろうと。 (俺があんな演技をしたから、誤解したんだろうか) それだけ...
  • 2-251
    251.異端ゆえに 広大な草原に一人の男が佇んでいる。薄汚れたローブを纏い、顔色は死人のように青白い。 黒髪の男は、とんがり帽子と片目眼鏡はしてはいないものの、♂WIZである。 「さて・・・、そろそろ時間切れになるのですがね・・・。」 と、一人つぶやく。彼はここがどこかも、自分がどういう存在かも理解している。だから、時間になるまで、ただ待ち続けているのだが、折角だからとここの主に会うことにしていた。彼がここに来てから随分経つが、その主は一向に姿を現さない。だがそれは、彼がここに来る原因を考えれば致し方ないことだ。 「まあ、慣れない事はするな、ということですかね・・・。」 ♂WIZは何をするでもなく、ただただ待ち続けていた。 「ここは・・・。どこだろう・・・・。」 少女は気が付けば、広大な草原に立っていた。ひざの高さまである草が風に...
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