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雪国にしては珍しく雪も降らずいい天気であった1月8日。 パイロット達は暖炉にあたってあったけーなわんわん、平和じゃーとゴロゴロしていた。 執政でありパイロット代表でもある刻生の姿は見えないが、それ以外の全員がこの談話室に居た。 久々に戦闘機でも引っ張り出すかー、と戦闘機馬鹿SW-Mが動いたとき、全員の携帯端末が鳴った。 立っていたということもあり、SW-Mが作戦会議用スクリーンに端末を接続する。 全員の声を拾うようにマイクをむけ、回線を開く。 「戦時動員令発動だわんわん!」 摂政SOUのものごっつい嬉しそうな声に全員がぽかーんとする。 アップで映されたSOUだけが笑顔を保っていた。 「あれ、皆どうしたの?」 「……SOUさん、もっと緊張感つけてください」 ツッコミならではの回復力でSW-Mが言う。 「わはは、いや、いきなり深刻な話題は皆の心臓に悪いでしょう?」 「「深刻な話題だと身構えていたこっちの身にもなれー!」」 「いや、実際事態は深刻だよ」 全員からのツッコミに、すっと真面目な顔になるSOU。 ツッコンだパイロットの面々もおのずと姿勢を正す。 「さっきも言ったが戦時動員令が発動されてね、冬の京に敵が出現したそうだ。  確認されている敵は2体。詳細は不明。  宰相府より提示された必要資金と燃料は支払い済み。  後は戦闘準備に入るだけだから、必要なデータを送る」 同時に各自の端末にデータが送信され始めた。 部署ごとの準備の割り振りが細かく羅列されている。 「合言葉はいつもどおり、兄弟を助けろ!それ行け敵だやっつけろ!」 握りこぶしを作り、熱い口調で言うSOU。 パイロットたちはそれに敬礼で答えた。 「執政がいないので代理ですが、SW-M以下パイロット、全員了解であります」 SOUがうむとうなずく。 ああ、俺たちカッコイイと心の中で大満足のSOUである。 その時、西條がふと疑問を口にした。 「あの、なんでパイロットだけに通信してるんですか?」 「あ、そうだ、これからが本題なんだ」 戦時動員令を副題にするほどの本題を示唆するSOU。 全員が思った、これは怪しい。 よってパイロット諸兄がいっせいにひそひそと話し出す。  戦時動員令よりも大事な本題?  あるか?そんなの  いや、あるわけないって  なんか面白おかしい事でも頼むんじゃねーの?  まぁ、SOUさんだしな  そうだな、SOUさんだし  何やらせるんだろうな  SOUさんだから期待するなよ  そうだな、SOUさんだし 以上パイロット達のざわめきである。 あー、的を得てやがるぜコンチクショーとSOUが心で涙を流しながら、咳払いを一つ。 「えー、パイロット諸君には特別な任務をやってもらいたい。  戦時動員令発動ということは戦闘になる。  では、S×H!戦闘で大事なのは?!」 「愛!」 すぱぱぱぁん! ツッコミ軍団によるハリセンの嵐が一瞬でS×Hを黙らせる。 振ってゴメンよとまた心で涙を流して、また咳払いをするSOU。 「そうだな、戦意、特に国全体のものだな」 「で、何で我々に?」 すぐ言わないと飛んでってでもハリセンをかますオーラを出すSW-M ボケようかと悩んでいたSOUもこれはやめとこうと一枚の紙を手に取る。 「これを配ってもらう」 「これって言っても……」 書いてあるのは二言だけ。 「兄弟を助けろ!」「それいけ敵だやっつけろ!」 その部屋に居た半数が首をかしげる。 代表として西條が発言することに。 「戦時動員令発動とか書かなくていいんですか?」 「ヘタに戦争だーと煽るより、犬らしくだ。  これでなんとなく戦意を上げる。そうしてから状況を伝えた方がパニック少ないだろう?」 真面目なんだか不真面目なんだか分からない理由だか、筋は通っていた。 なるほど、と息をついて、SW-Mが立つ。 「分かりました。RB、GH総動員でばら撒きましょう」 「おう!よろしくねー、わんわん!」 ひらひらと手を振りながらSOUが通信を切った。 相変わらずだな、まぁSOUさんだしと全員が息をつき、次の瞬間には走り出す。 ロッカールームに着くや否や着ていたつなぎを脱ぎ、だぼっとした袋の中に入る。 なんとなく人の形になっているそれがパイロットスーツである。 前後はプロテクターの形で判断し、全員が首まで入る。 互いに間違いが無いことをチェックをして、首もとのボタンを押す。 途端に、空気が抜ける音を立ててスーツが縮んでゆく。 ピピッという電子音が着用完了の合図だ。 再度ペアでチェックをし、ヘルメットを担いでハンガーへと走る。 S×Hが一人遅れそうになったのは言うまでも無い。 全員がハンガーについた頃、そこには刻生の姿があった。 出撃をダイスで競った仲でもあるSW-Mが近づく。 「刻生さんもう来てたんですか。またどこかで彼女の話をしてるのかと」 「俺だって執政だよ?戦時動員となったらすぐ動くさ」 「………あの、あそこに見たことある黒服が」 「おー、何か来てるぞ行ってみよう」 逃げたな、と全員が心を揃える中、刻生は一人大量のダンボールに近づいていた。 その全部の側面には『SOUより、愛をこめて』と書いてある。 西條が軽い眩暈を覚えつつ、更なる発見をした。 「SW-Mさん、これ手書きっぽいんですけど」 「まぁ、SOUさんだし」 「………こんなことしてる暇あったんですかね」 「……あったんだろうねー」 二人してこの国大丈夫かいと黄昏る後ろで、S×Hが俺は男の愛はいらーんと全部開封し始めていた。 中身は全部例の言葉が書かれたビラ。 よくあんだけの時間で発注できたなーと関心しきりのパイロット達。 無駄に紙質いいぜ、うわこのインク滲まないよ?などなど、主に変なところへの関心ではあるが。 「はいはい、皆そろそろ仕事しようぜ」 あれ持ってきてーと整備に声をかけながら刻生が手を叩く。 うぃーっす、と声を揃えて、パイロットが散ってゆく。 SW-Mはただ一人GHを大気圏内用に換装し、全てのステーションにビラ配り専用タンクを付けた。 式典用だと思ってたけど、こういう役にもたつんだねぇとは彼女の談である。 S×Hはドッグタグを握り締めて祈りをささげていた。 恋人とおそろいのドッグタグに祈りをささげることで彼は愛の戦士へと変わるのだ。 西條はこれが記念すべき初出撃?なのかなぁとぼんやり考えていた。 敵は居ないけど、誰も傷つかないのはいいことだと結論付け、整備と一緒に機体を調整することにした。 刻生は自分の機体にビラ配りようのタンクをどうやってつけようかと真剣に悩んでいた。 んなもん手に持てばいいじゃねーすかという整備に、 『馬鹿もん!俺のかっこいい姿を彼女に見せるのに妥協は出来ん!』 と返した所、はるか彼方からハリセンが飛んできて頭に当たった。 しくしく泣きながら手でいいです、と整備に伝える彼の背中は少し寂しそうだったそうな。 かくして、全員の調整が終了し、ビラを満載した各機は首都へと飛んでいった。 これが戦意高揚に多いに役に立ったのは、既に伝えられている通りである。 そして同時に、SOUの暴走であると言うことも。 帰還したパイロット各員が真相を知って、責任はどこにあるという議論をするのはこの後の話。 執務室に殴り込みをかけるのも、この後の話である。

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