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「高い、高いよ!!」 リキシーの後部座席にしがみ付き、下の大地を覗くと空気が薄く、列する兵士達がゴマ粒のように見えた。 「誇り高き空挺部隊がビビってるんじゃねーよ」 何を間違えたか、エリート中のエリートである空挺部隊に配属された僕は地獄のような気分を味わっている。 そう、僕は何を隠そう高所恐怖症なのだ。他の連中が「変態兵器」と呼ぶこのリキシーに乗ることは名誉なことだ。 しかし、こんな苦行はこの雪原で過ごす夜よりも、補給物資が届かず仲間のケツを齧ろうとしたあの時よりも酷い。 羨ましがる変態的な兵士に代わりたい、今すぐかわり――。 「って、うわああああああああああああああああああ」 「パラシュート開かないと死ぬぜ?」 いきなりの浮遊感、 僕は今、空で止まっていた。今の今まで僕は慣性に感謝したことは無い。 そして、この重力って代物を恨んだことは無いだろう。 「ひぎいいいいいいい」 「叫び声ヤバイなおめー、うは、操縦士脱出しやがった」 颯爽と扉を開けてパラシュートを開くドライバーの顔は爽快だった。くそっなんてこった。 重力に身を任せ、堕ち往く僕を尻目にドライバーはふわふわと浮きながら親指をグッと立てて白い歯を見せながら笑った。 「JIKOさ」 ああ、爽やかさ、一瞬胸がときめいた俺が居たよ!でもな!俺!死ぬ!!!! パラシュートを開き、ふと一安心……あれ? 「あれ?何か開かない?」 嘘だああああああああああああああああああああああああああ。 9連打!9連打!あ、開いた。爆発音が聞こえ、そして、兵士達の悲鳴が追って聴こえた。 そう言えば……リキシーさんも……。 「これは酷いミンチですね」 お前が言うなよドライバー。 「まあ、JIKODA!」 だからお前が言うなって!! (終)

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