[NJUR]BF1942 @ ウィキ

ナッター

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びぃえふに登場する数々の兵器が、現実ではとんなものだったのかなぁという疑問をレイプしていくコーナー。
今回はバランスブレイカーと名高い枢軸のクラウザーさん兵器、ナッターの解説をしていきたい。
なにぶん珍奇かつ頓狂な兵器ゆえに、資料は少ない。少々薄味の内容になってしまったことを先にお詫びしておく。

ナッター(Natter)とは「マムシ」の意の愛称で、正式名称はBa349。1939年にエーリヒ・パッヘム技師がコンセプトを提案した。びぃえふ内では専ら対地攻撃機として用いられているが、実際には迎撃戦闘機である。当時、レシプロ航空機の技術は完熟の域に近付きつつあり、とりわけ米軍の開発したB-17・B-29爆撃機はターボチャージャーによって驚異的な高高度性能を誇っていた。ドイツはそういった技術開発に後れを取っていたものの、最先端ともいえるロケット技術があった。そこでロケットブースターによって打ち上げ、自身もロケットエンジンで飛翔しつつ無線誘導で敵爆撃機を追撃、機関銃よりも威力の高いロケットランチャーで堅牢な装甲と濃密な対空砲火を持つ目標を撃滅し、パイロット(というよりガンナー)とエンジンはパラシュートで降下させる――――というコンセプトだった。いくら贔屓を引き倒しても現実的とはいえないアイディア故に取り沙汰されることはなかったが、敗色濃厚となった1944年8月、連合軍の戦略爆撃機によって国土を蹂躙されたドイツは起死回生、または窮余の一策としてこのトンデモ兵器の開発に着手する(蛇足だが、こうした土壇場での新兵器開発や、熟練兵を集めた精鋭部隊の設立といった行為は、それ自体が総力戦での敗北を認めたことに等しい)。
わずか四ヶ月足らずで完成した試作機は、短い直線翼を持つ木製(!)の機体を持ち、鼻先に剣山(或いは蓮コラ)のようにロケット弾を詰め込んだ珍妙極まりないものだった。離陸は専用のランチャーからシュミディッヒ109-533ロケットブースター四門の力を借りて垂直に行う。本体のロケットエンジンはヴァルター(ワルサー)社製109-509A-2で、最高速度は800km/h、実用最大高度は14000mに達した。武装は55mmR4Mロケット弾33発、あるいは73mmHs217フェーン2ロケット弾24発を装備し、全弾斉射が基本である。というのも、行動半径わずか40kmというあまりに短い航続距離のために、会敵しても攻撃チャンスは一回がいいところというためである。のみならず、会敵に失敗すればそのまま装備したロケット弾すべてが無駄になってしまうというギャンブル性の高い兵器なのである。
しかしながらこのR4Mロケットの性能は当時のものとしては脅威の極みにあった。時限式衝撃信管を持ち、目標命中と同時に大きな爆発を起こして破片をばらまき、広範囲に破壊の嵐を巻き起こした。このロケットの33初一斉発射ともなれば、その制圧力は想像を絶するものだったろう。実際、世界初の実用ジェット戦闘機であるMe262に装備され「堅牢な装甲と濃密な対空砲火を持った」B-17を、なんと一ヶ月間で100機以上も撃墜していたという記録さえ残っている。
12月に無人発射に成功し、翌年2月には有人発射実験を行った。しかし発射時の衝撃で搭乗者が首を骨を折り死亡、失敗に終わる。また、その時点でもはやドイツには戦略爆撃の目標となるものはすでに無く、迎撃機の存在意義も失われつつあった。36機の完成したナッターは、いずれも実戦に投入されることのないまま終戦を迎えることになる。


ナッター自体は変態兵器史の1ページに過ぎない存在となってしまったが、この技術を応用した世界初の地対空誘導弾、R-1"ライントホター"などが開発され、補助ブースターを使用しての打ち上げという機構を確立する上でも大きな役割を背負っている。その着想は後年の打ち上げロケットやスペースシャトルでも活用されることになる。
せめてびぃえふの中だけでも爆撃機迎撃の任務をさせてやりたいな、と思いつつ地上を蹂躙し、木に引っかかって落ちる今日この頃である。

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