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メンデル遺伝学の悩みどころ
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メンデルの3法則について授業するときに、多くの先生方が迷う(だろう)ことについて。つまり、どのタイミングで、メンデルの3法則の“ネタばらし”をするか。
メンデルが遺伝の法則を発表したのは1886年。その頃は、遺伝を司る物質の本体がDNAであることはもちろん、「遺伝物質が細胞のどの部分に含まれているのか?」もわかっていませんでした。
「遺伝物質は核内に含まれている」という“見込み”がついたのは減数分裂の発見(1884年)以降。「遣伝物質は染色体上に存在する」という染色体説の提唱は、1902年。アメリカのサットンが、バッタの減数分裂の観察を通して、想定された遺伝物質と染色体の動きの一致を発見してからです。
(ちなみにサットン(1876-1916)が「染色体の動きと遺伝物質(当時はパンゲンと呼ばれていた)の動きの一致」の発見によって、メンデルの「分離の法則」を証明したのは、彼が26歳のとき。まだコロンビア大学の博士課程の学生でした。すごい)
ですから、3法則を紹介するときに、「相同染色体」とか「減数分裂」という語彙を使って3法則を成り立たせているメカニズムを説明するのは、“後だし”というか、“ネタばらししながら手品”をするのに近い。本当は、メンデルがエンドウの実験から統計的に導いたことだけで紹介できればいいのですが、でもそうすると、メンデルの法則が当時、受け入れられなかった最大の理由―「実験データを見るとメンデルの言うとおりになるらしいけれど、なぜそうなるか、わからない」の轍を踏むことになるので、慎重になってしまうという。
生物の参考書でも、メンデルの3法則を、「最初から相同染色体、減数分裂を使って説明」派と、「最初はメンデルの統計データだけで説明」派は、わかれています。前者は『大森徹の生物遺伝問題の解法』('06)、後者は『田部の生物Ⅰをはじめからていねいに 生命の連続性』('07)が代表的です。
111118 あしたま#002