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私がビーバーになる時(ピクサー映画)

登録日:2026/06/22 Mon 22:39:25
更新日:2026/08/09 Sun 21:06:09
所要時間:約 10 分で読めます





守りたかった動物の世界は、
カワイイだけじゃ生きられない──



『私がビーバーになる時(原題:Hoppers)』とは、2026年に製作されたアメリカのCGアニメ映画。
ディズニー/ピクサー・アニメーション・スタジオ製作の第30作目の長編映画である。
監督は『ぼくらベアベアーズ ザ・ムービー』のダニエル・チョン。
北米では2026年3月6日に、日本では2026年3月13日に公開された。
世界興行収入は8700万ドルを突破している。



🪵概要🪵

本作は、ピクサーとしては初の日系人のヒロインが描かれている。この設定は監督のアイデアであり、監督自身が日系人コミュニティで暮らしていたことが大きい。
また、『平成狸合戦ぽんぽこ』の影響も大きく受けており、動物たちが人間に反旗を翻す様子や、人間視点と動物視点でキャラクターの見え方が異なる部分が特に強くオマージュされている。
ここに人間以外で唯一生態系を自ら構築する生物であるビーバーを組み合わせることで本作が出来上がった。

日本語版テーマソングはPUFFYの名曲「愛のしるし」。歌詞のある一節がメイベルからジョージへ宛てたメッセージとしてマッチしている。
ちなみに、『Disney+』では本作の森の動物たちのネイチャー映像も配信中。本編後の池の様子がひたすら観察でき、尺はなんと2時間。お前らどんだけ池が好きなんだ。『アナと雪の女王』の暖炉動画は3時間だけどね。


🌲ストーリー🛣️

もしも、動物の世界に入れたら?ディズニー&ピクサーが贈る、究極の“もふもふ”アドベンチャー!
動物たちが住む森を守るため、メイベルが挑むミッションは――ビーバーになること!?
秘密のマシンで意識を転送して、もふもふビーバーの姿になったメイベルは、夢見ていた動物の世界へ飛び込む。でもそこは、人間のルールが通じない“とんでもワールド”だった!元の体に戻れる時間が迫る中、メイベルは森を守るため、動物たちと一緒に立ち上がる。世界の運命は、メイベルたちキュートでクセありな“ビーバーズ”に託された⁉彼女たちが仕掛ける驚きの作戦とは…?



👤登場人物🦫

(CVは北米版/日本語版)

  • メイベル・タナカ
CV:パイパー・カーダ、リラ・リウ(幼少期)/芳根京子、山中美子葉(幼少期)
本作の主人公。動物を愛する19歳。しかしその愛は独善的な部分が強く、思い出の地である池が再開発されそうになった時は計画を決めた市長の演説に割り込んだり自宅に押しかけたりなどの迷惑行為を行っている。本人に自覚なし。
ぼさぼさ頭に濃い目のそばかす、キツめの釣り目とまな板そのものな胸とラフな格好から一見少年のようも見えるが女性である。
性格はかなり短気で感情抑制に乏しく、後先を考えるよりも先に行動するタイプ。(あまり良くない方の意味で)ティーンエイジャーらしい性格をしている。子供の頃から感情が頂点に達すると髪がブワッと広がる特徴がり、これは装置で転移したロボットビーバーにも反映されている。どうやら意識と一緒に髪癖まで転移するようだ。

幼少期は今以上に偏屈な動物好きで、学校で飼っている動物を勝手に逃がそうとして周りの大人や母親に叱責される毎日だった。
そんな彼女の理解者であり同じく自然を愛する者であった祖母を非常に愛しており、再開発に猛反対する背景はこの祖母との思い出が強く関係している。
幼少期より多少人格が改善しているとはいえ大学に入っても友達はおらず、祖母が亡くなったせいでより自然保護活動に傾倒するあまり単位も怪しいという体たらく。
そんな時、生物学の教授であり相談相手でもあったサム博士から「ビーバーがいれば自然が蘇る」という話を聞き、それを実行するためにビーバー探しを行う。
そこで一匹のビーバーを見つけ後を追うと、それはサム博士らが作った動物型ロボットであり、人間の意識を転送して動かせるというとんでもない代物であるという事実を知り、それを利用して自らビーバーを池に呼び戻す計画を思いつく。

主人公ではあるが後半まで人とも動物ともちゃんとした対話ができず我を通し続け、多くのトラブルを招いてしまうというキャラクター造形から賛否両論な部分が多く*1、『ウィッシュ』の主人公であるアーシャと並べて語られることも多い。
しかしあちらと比べると「あくまで自然保護が優先で革命を起こしたい訳ではない」「自分のせいで混乱が起きていることを自覚し反省する」「最後に(この意味でのディズニー・ヴィランズである市長も含めて)対話の重要性に気付く」という大きな違いがある。
裏を返せば、『ウィッシュ』への批判をちゃんとフィードバックしたうえで「主人公も完璧な人物ではないし、部分的にはディズニー・ヴィランズよりよっぽどヴィランらしい面を持ちうる危うさだってある」と描写したとも言えるだろう。


  • キング・ジョージ
CV:ボビー・モイニハン/小手伸也
本作の舞台であるオレゴン州ビーバートン周辺の哺乳類を取りまとめているビーバー。
居場所を失った動物たちを巨大なビーバーダム*2の周囲に集め、「みんなと友達になろう」「腹ペコなら食べる」「みんなが運命共同体」という3つのルールを課して統治している。
非常に陽気かつ仲間思いな性格で、住人の名前は蟻一匹だろうと全て覚えている。
動物たちを悩ませていた謎の騒音(人間が仕掛けた動物除けの騒音)をメイベルが解決したことで信頼を置くようになり、自身の側近として重用するようになる。
メイベルの暴走で動物と人間を巻き込む大きな混乱が起きた時は決裂しそうになるも、メイベルの本心を聞いたことで和解するなど非常に大きな器を持っている。
王位は父親から受け継いだものではあるが、その父親とはかなりの確執があったらしく相当な苦労をしてきたことが伺える。


  • ジェリー・ジェネラッツォ市長
CV:ジョン・ハム/渡部篤郎
ビーバートンの市長であり、住人から絶大な人気を誇る。
その分やや強権的な部分があり、野生動物の今後を顧みない都市開発を進めたことでメイベルに昼も夜も議論を挑まれるハメになった。
一方で毎朝独り身の母のために食事を作っていたり、本心は臆病であると自覚しながら本当のピンチには迅速に動けるなど人間としての強さも兼ね備えている。
そもそも自宅にまで押しかけてくるメイベル相手にいきなり警察を呼ぶなどせずそこそこ議論に付き合ってくれるなどむしろだいぶいい人である。そのせいでメイベルの方がよっぽどヴィランじゃねえかと言われたりする。
ただし、偽の木による違法さをメイベルから指摘されても証拠の無さから涼しい顔で返し、法律を軽視するような態度を見せたりなど政治家として黒い面を持つ。この点からも(メイベルのアレな部分を抜きにしても一応だが)本作におけるディズニー・ヴィランズを担当していることになる(このへんの詳しい話は後述)。
彼は動物たちに命を狙われたこと、そしてその動物に自分の命と街を救われたことで多少は強引な都市開発には懲りたものの、根底にある市民のための開発という想いは揺らがず、ベストな答えを探すためメイベルに対話を望むようになる。


  • メイベルの祖母
CV:カレン・ヒューイ/沢田敏子
周りの誰にも理解されず孤立していたメイベルの心を、自然との付き合い方を教えることで癒した。メイベルが大学生になる前後で亡くなっている。
メイベルにとっては心の支えであり、世界の全てでもあった人物。あまりに愛が強すぎたため、メイベルは「池を守ってほしい」という祖母の言葉を愚直に叶えようとしてしまう。
盆栽と灯篭が雑に置かれたエセ日本風な家に住んでいる(おそらく日本人ルーツのキャラなのを各国の視聴者にわかりやすく伝えるためのアイコン的な演出。だからどの洋画もなんちゃってジャパンになりがち)。


  • サマンサ “サム”・フェアファックス博士
CV:キャシー・ナジミー/高島雅羅
メイベルの通う大学で生物学を教えている教授であり博士。
動物の生態研究を行っており、いかに動物に気付かれずに観察することができるかというテーマを追求している。
その結果生み出したものが人間の意識を転送して操縦することができる動物型ロボット(数キロ離れてもリアルタイムで映像も送れるカメラ付き)動物の言葉が翻訳できるイヤホン型翻訳機というとんでもない天才である。
本人もその異常な技術力には自覚があるらしく、悪用や技術の流出を防ぐため信用できるメンバーのみでこっそり活動している。

  • ニーシャ
CV:アパルナ・ナンチェーラ/堀井千砂
サム博士の同僚であり秘密の研究を共有するメンバーの一人。
ややキツい性格をしており、秘密を知ったメイベルをスタンガンで昏倒させようとした。


  • コナー
CV:サム・リチャードソン/奈良徹
サム博士の下で研究を行う大学院生であり秘密の研究を共有するメンバーの一人。
動物の被っている王冠や、自身を襲った鳥たちの華麗な編隊飛行など、細かい部分が気になるタイプ。


  • ローフ
CV:エドゥアルド・フランコ/宮田俊哉
ビーバー化したメイベルが初めて出会った、常に眠たそうな顔をしている糸目ビーバー。
非常におっとりした性格をしており、熊に食べられそうになった時も全く感情を出さずそのまま食べられることを受け入れていた。
それを助けたメイベルを「池のルールに反する」ということでジョージの元に連れていくが、ジョージがメイベルを受け入れたことで自身もメイベルを仲間として認めるようになる。


  • トム・リザード
CV:トム・ロー/宮野真守
ローフと仲の良いトカゲ。ローフがいつの間にかメイベルやジョージと行動するようになり、それに付き合った結果大変な目に遭うことが多いちょっとかわいそうなポジション。


  • エレン
CV:メリッサ・ヴィルアセノーラ/かなで(3時のヒロイン)
非常に強面の巨大な熊*3。ジョージのコミュニティ内で頂点に立つ捕食者である。
しかし池のルールは守って暴食はせず、メイベルに捕食を止められた際は「気まずい」と思い捕食を止めるなど理性的な一面もある。
市長を助けるために動くメイベルたちをサポートしたり、自分の身が危ない状況でも構わずジョージやメイベルを助けるなど、ジョージに負けず劣らず非常に仲間思いである。


  • 鳥の王
CV:イザイア・ウィットロック・Jr/江口拓也
動物たちを束ね、そのルールや行動指針を決める評議会のメンバーの一人であるガチョウ。
非常に短気な性格で、何かあるとすぐ火が付いたように騒ぎ出す。
グロテスクなものを見せられた時両生類の王の目を隠してやるなど王様らしい優しさも一応ある。


  • 両生類の王
CV:スティーヴ・パーセル/杉田智和
評議会のメンバーの一人であるウシガエル。感情が乏しく会議の良し悪しも長いか短いかでしか判断しないなど非常にやる気のない性格。
しかし人間が動物のルールを無視している事実を知ったり、メイベルがとある狼藉を働いた時は怒りを露わにした。


  • 魚の女王
CV:エゴ・ノワディム/緒方恵美
評議会のメンバーの一人であるフエダイ。身体は小さいが非常に威圧的な存在感を持つ。


  • ダイアン
CV:ヴァネッサ・ベイヤー/森公美子
動物界の頂点に君臨する最強の捕食者である巨大なホオジロザメ。鳥の協力により空中を移動することができ、車で逃げる市長を執拗に追い回す。
誰だよディズニー・ピクサーに低予算系サメ映画の文化教えたの
見た目は恐いが結構気さくな性格をしており、終盤ではもっとも重要な役割を果たす。


  • 爬虫類の女王たち
CV:ニコール・サクラ/NICO(平成フラミンゴ)
評議会のメンバーの一人である蛇。一見三つ首の妖怪みたいな蛇だが、実は三姉妹が絡み合っているだけである。


  • 虫の女王
CV:メリル・ストリープ/大地真央
評議会のメンバーの一人であり、リーダー的な立場のオオカバマダラ。メイベルの演説で人間の過度なルール違反を知った彼女は人間代表である市長を潰す、要するに全動物の力を使って殺すことを宣言する。

  • タイタス
CV:エマン・アブドゥル=ラザック/大谷育江
虫の女王の子供である芋虫。非常に生意気な性格をしており、口ばかりは達者なメイベルを辛辣に煽る。


  • ビーバートンの高齢住民
CV:ジョー・スパーノ/多田野曜平
メイベルが高速道路建設計画反対の署名を集めていた時に出会った高齢の男性。非常に耳が遠く会話には補聴器を必要とする。
このお爺さんの出るパートは一見ただのギャグシーンだが、「高齢の祖母と暮らしてたので介護がやたら慣れてる」「自分の気持ちを話すばかりでどう聞かれているかは全く考えていない」「善性と行動力は無駄にある」というメイベルの人となりが一瞬でわかるような作りになっている。


  • メイベルの母親
CV:ロリ・アラン/不明
メイベルの母親。詳しく描写はされていないが恐らくシングルマザー。
そのためかトラブルばかり起こす幼少期のメイベルには叱責ばかりになってしまい、負担を軽減するため祖母にメイベルを預けることにした。
メイベルが大学に入った辺りでまた一緒に暮らすことを提案するが、メイベルは祖母と共に暮らすことを選んだ。


  • 人間視点のビーバーたち
CV:ダニエル・チョン
ムームー鳴いてるかわいいビーバーたちだが、全部監督の声である。
メインキャストの身内がぷいぷい声を収録していた*4のと似たようなもんである。



🪧用語集🪧

  • ホッパーズ計画
どうすれば野生動物に警戒されず、その生態を間近で観察できるか考え抜いたサム博士による計画。
3Dプリンターなどを駆使して本物そっくりの動物ロボットを作り、そこに人間の意識を転送して動物社会に潜り込み観察するという狂気画期的なもの。
なお、ホッパーズは本作の原題でもある。
ちなみに「動物そっくりなロボット」自体は生態研究用に実際に試みられており、日本でもNHKの『地球ドラマチック』などでこれを使った野生の姿の撮影記録の様子が取り上げられたことがある。
まぁ対象の動物によってはロボ・カメラマンならぬロボ・カメラアニマルが酷い目に遭ってしまう*5こともちょいちょいあるようだが。


  • 翻訳イヤホン
人間以外全ての生物の会話が翻訳できるという優れもののイヤホン。動物ロボットにも同様のものが搭載されており、なんと蜘蛛の言葉すら翻訳してみせた。


  • ビーバートン環状道路
市長が推し進める都市開発の目玉。物流や人の流れの活性化が期待されている。
しかしその環状道路の一部がメイベルにとって思い出の地であり、元から危ういところの多かったメイベルが過激化していくキッカケとなる。

  • 偽物の木
動物のいなくなった土地を開発するという表向きの理由を作るため市長が作らせた鉄製の木。
上にはスピーカーが設置されており、そこから24時間動物たちにだけ聴こえる不快な音が流れ続けている。
突貫工事だったのか根元が脆いという弱点がある。






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最終更新:2026年08月09日 21:06

*1 現実に社会問題となっている「過剰な動物愛護主義、ネットミームで言うところの『動物愛誤』」「エコテロリズムによる加害性」を連想させうる行動が序盤のシーンで見られたのもあると思われる。

*2 先述した「生態系を自ら作り出す」もこの生態を指している。

*3 ビーバーがいる森なのでおそらく北米大陸の熊。史実でも普通サイズの個体でエゾヒグマくらいある(というか「広義のヒグマの仲間」という意味ではハイイログマとエゾヒグマはツキノワグマと後者よりも近縁)

*4 鳴き声はすべて総監督の家から連れてこられた飼いモルモットの声を使用している。1期のBTTFパロディ回で出てきた実写モルモットも彼。こう書くと見里さんは監督であってキャストではないんじゃないの?ではあるが、実は数少ない実写で登場した人間が見里総監督(DJモルカーの運転手)と総監督の実姉(ポテトの運転手)である。

*5 亀型ロボでチンパンジーを撮影する→振り回して遊ばれる……など。良くも悪くも「部外者を怖がる」面を兼ね備えるゴリラなどに比べると、チンパンジーはけっこう身内以外への加害性が強い面がある。