「…やれやれ。じゃあお前さんも、あの小説家にはちょいとばかり因縁があるわけか」
 互い身体を休めながら、レイヴンとミアージュは情報交換を兼ねて話をしていた。
「はい。。。 左手の中指も、多分攻撃を受けたときに。。。」
 小説家の放った竜破斬を受けた際に、回避しきれずに失ってしまったのだという。 今も痛みはあるものの、もう慣れてきたのでそれほど気にはならない状態らしい。
 ちなみに蛇足だが、その左手を差し出された途端レイヴンは、両手で優しく包み込んでいたわりの言葉をミアージュにかけていたとか何とか。
 それに対するミアージュの反応は読者様の想像にお任せしたい。


「変なものしか。。。入って無いです。。。です。。。」
 レイヴンのデイパックの中身を見ながら、ミアージュが言った。
「はは…そう言われちゃ、身も蓋もないんだが」
 苦笑いするようにレイヴンは返す。 自分でも妙なものを幾つも持っているとは思っていた。
 アヒルのオモチャに、奇妙な骨仮面。 そして見た目には薬に全く見えないカエルグミ。 一応命の珠は使い道のあるものだが…食料の中に一緒に放り込んだチャーシューなどはもはや論外だ。
「…必要なら、そのカエルはお前さんが使って構わないさ」
「。。。じゃあ。。。。。。いただきます。。。ます。。。」
 レイヴンと比べるとダメージの大きい(と言うかレイヴンは羽休めである程度回復できた)ミアージュだ。 見ためはともかく、そういった回復効果のある代物なら使って損は無い。

「。。。。。。何となく。。。効いた気がします。。。」
 やはり見た目がアレな分、効果には最後まで疑いは持っていたらしい。 ちゃんと効いたようで、疲れが抜けるような感覚を覚えるミアージュ。
「はは、ソイツは良かった。 …あと、本当は一振り剣があったんだが。 さっき話したレイスに持っていかれちまってな」
「そういえば。。。 私には、使えなかったのですけど。。。。。。」
 そう言ってミアージュが取り出してレイヴンに見せたのは、刃渡り20cm強の両刃の短剣……ダガーだった。
 鋭く輝く刃を持つ短剣だ。柄の部分をよく見ると、「ガイウス」と銘が刻んである。 …どうやらこの短剣を作り出した者の名らしい。
「私は刃物より、こっちの方が慣れてるのです。。。だから。。。」
 そう言って、傍らの巨大なハンマーを指すミアージュ。
「…ふむ。だから俺が使うべきだ、って事かい? そりゃ、確かにありがたいが――」
「レイヴンさんは。。。私を裏切らないって言ったのです。。。です。。。」
 そう言われて、レイヴンは一瞬面食らったようにミアージュを見た。 そしてその次の瞬間には、柔らかい微笑を見せる。
「…じゃあ、ありがたく使わせてもらうとしよう。 大振りの剣より、こういった得物の方が俺には向いてるしな」
 レイヴンが本来得意としていたのは、正面切った戦いよりも、不意を打った一撃や死角からの奇襲など、暗殺じみたものだ。
 このような小型の刃の方が、そういった立ち回りには向いている。


「。。。そろそろ、行動開始しましょう。。。」
 溜まった疲労も取れたからか、ミアージュはそう切り出す。 …色々のうちに、結構な時間が経っていた。
「ああ…、そうだな。 それで、どうするつもりだい?」
「私は。。。。。。優勝を。。。狙います。。。。。。」
 どこか迷いを持った様子で、ミアージュは答える。 レイヴンは「そうか」と返すと、少し間を置いてからさらに続けた。
「…東には、さっきの町がある。 戻ればまだ連中は居る可能性があるが… どうする?」
「。。。。。。えっと。。。」
「……あの"小説家"は、なにやら人を集めている様子だ。 思うに、単純に殺し合いをしようとしてるわけじゃない…場合によっては、俺達にプラスになる事かも知れないが――」

 そこまで言って、レイヴンはふと考える。
 …彼の目的を。
 最後にただ一人残らなければならない殺し合いの場で、人数を集めるのは何故か。
 …すぐに答えは導き出せた。 このゲームの主を倒し、束縛から放たれれば殺しあう必要は無い… そのための人数集めか、と。
 だが主催もそれぐらい予想しているだろう。 恐らくはそれを逐一観察し、危険になれば即座に手を下すはず。 …ならどうやって観察する?


【E3 草原の中の荒地・夕方】

【名前・出展者】レイヴン@反乱
【状態】あちこちに焦げ後(羽休めで完治) 右頬を引っ叩かれた(ダメージ極小)
【装備】リボルバー銃(残り5発) ガイウスの短剣・改@ベアルファレス
【所持品】基本支給品一式 命の玉@ポケットモンスターDPt
 ジューダスの仮面@テイルズオブデスティニー2、アヒルの玩具@テイルズオブエターニア
【思考】基本:降りかかる火の粉を払うため、ゲームを早々に終わらせる(自分が勝者になるにしても、主催を打ち倒すにしても、終わらせる)
1:ミアージュに協力する
2:もしかなわぬ恋でも、ミアージュを想い続ける
3:女性を相手にコロシをするのは心が傷付くが、もしもミアージュが望むならそれも仕方が無い
4:あの小説家って奴は、敵にするのは危険だな…
5:レイスが再び敵となるなら、自分の手で仕留める
※ミアージュの目的をまだ聞いていませんが、本人が話すまで自分から聞くつもりはありません

【ガイウスの短剣・改@ベアルファレス】
 名工ガイウスが作り上げ、鍛え上げたダガー。 素晴らしい切れ味を持ち、武器として非常に優れるが、特に変わって能力は無い。


【名前・出展者】ミアージュマリアウェル=Åм@空婿(ry
【状態】左手の中指が無い 脚が凍結(氷タイプなので問題無し)
【装備】巨大ハンマー
【所持品】基本支給品一式
【思考】基本:ゲームには乗って願いをかなえる
1:レイヴン。。。何を考えて。。。
2:日が暮れる前に、町まで行きたい。。。

※C3~D3の町に向かっています

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最終更新:2008年12月27日 19:07