――とある民家にて
普段冷静なルイス・キャパシティニは珍しく動揺(と、言っても少しだが)していた。
支給品の確認をしていたら出てきたのが、
スペクタクルズ×99
だったからである。
スペクタクルズというのは、消費して使うことで対象の情報を手に入れることが出来る道具である。
勿論ルイスは店で何度も見て、時々それを購入していたのだからどんな道具かは知っている。
その、対象の情報を知る為だけにある道具が、何故99個も自分のところにやってきたのか。
今のルイスには残念ながら、全く理解することが出来なかった。
激しく捨てたい衝動に駆られたが、折角の支給品を捨ててしまうほどルイスは馬鹿ではない。
寧ろ、これで敵の弱点が分かるじゃないか、いいことじゃないか。ルイスは無理矢理ポジティブに考えた。
気を取り直し、次の支給品を取り出す。
「……これって……」
見覚えのある赤いそれは、番傘。ルイスの仲間であるフレイアが使っていたものだ。
剣士であるルイスには使い辛いものだが、この武器がかなり丈夫なのは旅で知っている。
このゲームに参加しているというフレイアを見つけるまで、借りておこうと思った。
次の支給品を取り出そうとしたが、もう特別な支給品は入っていないようだ。
傘で身を守り、スペクタクルズで弱点を探って戦え、ということだろうか。
あのゴキブリ(名前は忘れてしまった)の顔を思い出すと、無性に殴り飛ばしたくなってきたのは秘密だ。
「さて、どうしようか――」
ルイスがそう呟いた瞬間、なんとも形容しがたい何かが壊れたような大きな音が聞こえた。
――ルイスのすぐ近くで。
「いたた……またやっちゃった~」
「…………えっと」
「あ、お邪魔します~」
倒れこんできた金髪の少女がいた場所には、確かに壁があった筈なのに。
しかし壁には、しっかりと人の形をした穴が開いていた。
ルイスはスペクタクルズを使ってみた。
名前:コレット・ブルーネル、性別:♀、ぺったんこ、ドジっ娘、エトセトラエトセトラ。
名前や性別から、激しくどうでもいいような情報までルイスの頭の中に流れ込んでくる。
『天使術を得意とする』……この情報でルイスは、仲間であったメドヴィを思い出した。
そういえば彼女は背から羽を生やし、魔術でも法術でもない術を使って戦っていた。
彼女も、同じような術を使えるのかもしれない。
「……あの、どうかしたんですか?」
「僕の名前はルイス・キャパシティニ」
ルイスは淡々と言葉を紡いだ。
「単刀直入に言うよ、きちんと答えて。キミはこのゲームに乗っている?」
「乗っていません」
答えは意外とあっさり帰ってきた。倒れていた金髪の少女――コレットは立ち上がり、手で服の埃を払う。
壁にぶつかってその壁をブチ破ってきたというのに、擦り傷程度しか負っていない。恐るべき丈夫さだ。
「コレット・ブルーネルです。よろしくね、ルイスさん」
「……ルイスでいいよ。敬語も要らない」
さっきのしっかりとした答えを言ったのは別の人物ではないのだろうか。
そう錯覚してしまうほど、コレットは穏やかな笑顔を見せ、穏やかな声を聞かせた。
【F5 民家・昼前】
【名前・出展者】ルイス・キャパシティニ@テイルズオブコンチェルト
【状態】健康
【装備】フレイアの傘@テイルズオブコンチェルト
【所持品】支給品一式、スペクタクルズ(×98)@テイルズオブシリーズ
【思考】
基本:殺し合いには乗らないが、殺しを完全に否定はしない
1:コレットと情報を交換したい
2:行動方針を決める
3:フレイアとディーが気になる
【名前・出展者】コレット・ブルーネル@テイルズオブシンフォニア
【状態】健康、所々に擦り傷
【装備】無し
【所持品】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いには乗らない。乗っている参加者がいれば説得する
1:よろしくね~
2:参加者のゼロスを探したい
【フレイアの傘@テイルズオブコンチェルト】
フレイアが武器として使用していた傘。強度が若干落ちている。
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最終更新:2008年11月15日 18:48