「何か手があるのかい、クロ?」
「いや、全く。とりあえず、生き残る事を第一に考えようと思ってる」

諦め。
まさにその言葉に相応しい感じで言い放つクロ。

しかし、小説家はある一点を見ていた。
クロの左手に持っている鉛筆が、メモに文字を書き連ねている。

しかも、会話と同時にだ。
この男は右脳と左脳が別々に働いているのだろうか。

「それについては自分も同感だね」

そう言いながらも、小説家もメモ用紙に文字を書いている。
こっちもこっちで凄いようだ。

どうやら二人は盗聴されても構わない内容は喋って伝えるようにしているらしい。
まあ、盗聴機から全く会話が聞こえないというのもみろるん達からすれば不審に思うだろうし、多少は口で喋ったほうが妥当であろう。


二人の筆談の内容を要約すると、以下の通りである。

クロはこの電波塔であるものを発見した。
それは、解析装置である。
その機械は、中に入れた物体を分析する機能が備わっている。

そこで、首輪をどうにかして手に入れて分析し、解除方法を調べる。
解除できれば、爆破される心配なくみろるんとゼロスに反撃できるというわけだ。


だが、そのためには『誰か』の首輪を手に入れなければならない。
――つまり、死体を見つけてそこから回収するか、『誰か』を殺さなければならない。
どうしても殺さなければならないなら、ゲームに乗っている殺人狂を殺すしかないと言う事になる。

それに、この解析装置が確かな物かと言う保障も無い。
なにしろ、あの二人が用意した空間に存在しているのだ。
何かしらのトラップが仕掛けられている可能性を否定できない。


そこで、クロは提案した。
自分が首輪の回収に行ってる間に、小説家には解析装置に怪しい点がないか調べて欲しいという事だ。

「そうか……やっぱり、誰かを殺しに行くんだね」
『派手な爆撃で死んでる場合、首輪ごと破壊されている可能性もあるだろうからね。死体からの回収は難しいと思うよ』

小説家の筆談の忠告を肝に銘じておくクロ。

「まぁ、向こうが明確な殺意を持って襲ってくれば、の場合だがな」
『なら、決まりだな。首輪を手に入れると同時に、主催者打倒の為の仲間を集める』

クロはそう言うと、小説家から渡されたレーダーを持って西に向けて走り出した。
みろるんとゼロスを倒し、このゲームを終わらせるために。


【G3街の電波塔・昼前】

【名前・出展者】暗黒 黒王@リアクション学院の夏休み
【状態】健康
【装備】逆刃刀・真打@るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―
【所持品】簡易首輪レーダー(パッチ当て済み)@暁、基本支給品一式
【思考】基本:主催者を倒しゲームを終わらせる
1:首輪を手に入れる(マーダーを逆に殺すか、死体から回収)
2:主催者打倒のための仲間を集める
3:なんとか記憶を取り戻したい

備考
  • 盗聴の存在に感づいています(確信はありません)
  • 記憶がありません
  • G3から西に向かって、まっすぐ移動しています

【名前・出展者】『小説家』暁・暁
【状態】健康
【装備】氷のフルート@みろるん
【所持品】基本支給品一式
【思考】基本:主催者を倒しゲームを終わらせる
1:解析装置を調べる
2:首輪を手に入れて解析する

備考
  • 盗聴の存在に感づいています(確信はありません)
  • 解析装置はゼロスが用意したものなので、首輪の解析が成功するかは不明です


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最終更新:2008年11月19日 18:39