一体、どのぐらい走ったのだろうか。
森の中でレニーファは一旦止まり、地面に座り込んだ。足がズキズキと痛む。
周囲を見回して、さっきの黒髪の女がいないかどうか確かめる。……大丈夫、何処にもいない。
不安要素が1つ消えると、今度は足の痛みが酷く気になるようになった。
兎に角痛みをなんとかしたい。痛みを消せるものはないか、レニーファはデイパックの中身を乱暴に引っ掻き回した。
最初に掴んだのは小さな袋。説明書も付属しており、『グミセット』と書かれている。

『赤い方のアップルグミは傷を回復、オレンジ色のオレンジグミは魔力などを回復させます(はあと) byゼロス』

レニーファは袋を開けると、アップルグミを1つ取り出して口に放り込んだ。僅かに、足の痛みが引いたような気がした。
もう一つ口に放り込む。すると、動かさなければ痛まない程度になった。
他に武器は何かないものか。黒髪の女の強さを見た後だと、妖刀と術だけでは何処か心細く感じてしまう。

(何か、何か武器! あの女も壊せるぐらいの、強力な武器!!)

そして出てきたのは――カード、だろうか。説明書には“スペルカード”とある。
大きすぎる力を持った故に監禁された、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力を持った悪魔の妹“フランドール・スカーレット”が使用していたものだという。

(――これだ)

これを使えば、あの黒髪の女も壊せるかもしれない。
スペルカードを何枚か手に取り、残りはデイパックに仕舞う。使い捨てなので、無駄遣いは避けたい。
そして、立ち上がる。足の痛みはあまり気にならなかった。さっきのグミを食べたからかもしれない。

(壊してやる――あの黒髪の女は、絶対にゼンブ壊してやる)

「……あははは……あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

森の中に笑い声が響き渡る。狂気は止まることを知らない。それはまるで水のように、勢いよく流れていく。
それが正気に戻るのは、余程のことがなければ無理だろう。――寧ろ、狂気こそが“正気”なのかもしれない。

「はははははは……はは……」

狂気に溢れた笑い声は段々乾いたものとなり、止んでいく。風が吹き、木々がさらさらと揺れる。
その木々の音に消されてしまうのではないかと思うほどの、小さな声。

「……おネエちゃン……」

少女は、完全に狂気に飲まれた。


【B4森・昼前】
【名前・出展者】レニーファ@ハーフ
【状態】足に痛み(動かすと痛みが走る程度。本人はあまり気になっていない様子)、異常な狂気、少し疲労
【装備】妖刀@暁、フランドールのスペルカード(1~?枚)@東方Project
【所持品】基本支給品一式 グミセット(アップルグミ残り8、オレンジグミ残り10)@テイルズオブシリーズ、フランドールのスペルカード(?枚)@東方Project
【思考】
基本:全部ぶち壊してあげる
1:黒髪の女(レイス)をスペルカードで壊す
2:全部をぶち壊す
3:おねえチャん…
※レニーファがどのスペルを持ち、どのスペルをデイパックに仕舞ったのかはお任せします


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最終更新:2008年11月20日 17:42