結局、これと言った道具は無かった。食料はあったのだが、何か使えそうな道具も…使えなさそうな道具も、まったく無かった。
自分は無力なのだろうか、そう考えながら、一人で(正確に言えば一人と一つで)民家の中にあったイスにしょんぼりと座っている。
ハァ…と小さくため息をつく
『そう気を落さないで下さいよ、他にも街はあるわけですし、そっちに一手見ましょう?』
「そう、だよね、まだ、諦めちゃ…行けないよね」
そういってシャルをしっかりと握り締めて、その場に立ちあがる。そして最後に家の中を一瞥して、外に出るためドアの方を向き、ドアノブに手をかける
「この方法じゃ駄目だって、ホントは解ってるんだろ?もう少し頭を使おうぜ」
ふいに声が響いた。
「…生きて…たの?」
思わずそう呟いてしまった。似ていたのだ、でも、違った。似てるのは年齢くらいなものだし、それ以外は殆ど似てなかった。だけど、それでも似てると思ってしまった。
「…何だ、あいつの墓を掘ろうとしてたのか…」
「…知ってるの?」
「いや、死体を見ただけだよ…にしても私はそんなにあいつと似てるのか…」
「そうなんだ………えっと、誰かに似てるって言われたの?」
「ああ、あいつの馬鹿な妹にな」
「…あったの?レニーファって人に」
何故か家の中の一角が壊されてるのには気付かなかったし、この少女は一体どこから入ってきたのか・・なんぜ全然気にもしなかった。
もちろん、気にしたところで全然意味は無いのだが…
少女は少し笑ってから、頷いた。レベッカはそれを聞いて、何処で?と問いかける
「あいつの死体の前でな、少し向こうが暴れたよ…」
ハハ、と、今度は疲れた様に笑った。実際は全然疲れていないのだが、少女はそんな事はまったく関係なさそうだった。
レベッカはそう…と少ししょげたように呟く
「さてと…本題に移ろうか」
そういって少女は…レイスはレベッカに近づき、顔をグイっと近づけて、レベッカの方を睨みつけるように、それでも完全に睨みつけるといった感じではない、微妙な見方をする。
「…まぁ何があったかは知らないが、お前はその事をまだひきづってるんだろう?忘れちまえ、そんな事」
レイスは一気に喋り始める
「あいつがどんな事を最後に思っていたかなんて、私の考慮の外だがな、少なくともそれが、お前を罵倒するようなものじゃないだろう?」
反論は許さなかった。
「ともかく、それで、お前は立ち直れるか?普通無理だな、こんな赤の他人の説得なんてよ、だからさ、こんなのどうだ」
『私は別に、お前の事はなんとも思っていない』
そっくりだった。レベッカは何も言う事が出来なくて、ただただその場に立ち尽くす。
「お前は強い奴なんだよ、たとえ目の前で大切な人が死んでも、絶対に、どんなに落ち込んでも絶対に、最後には、最後には立ち直れる。そういう奴じゃないか?」
そういって数歩下がり、手をさし出す。そのレイスの表情からはいつもの、ララと同じ、面どくさそうな顔は無い、フッっと、穏やかな、簡単な笑顔を見せていた。
「仲直りの握手って奴だ、お前が悩んでるのはわかる。だから私があいつの代わりに許す。似てるんだろう?私とあいつは…だから…さ…私が許す。あいつが許さなくとも、私が許す。ほら、しっかりてぇ握れ」
レベッカは思わずその手を握っている。そっと笑みがこぼれた。
「いきな、私は私でやることがある。お前はお前でやることがある…そうだろ」
そういってレベッカの手を離す。レベッカは一瞬迷ったが、直に気を取りなおして、それを受け止める。
「じゃあ、最後に、貴方の…名前は?」
「私はレイスだ、レイスでしかないし、それ以外のものに離れない…まぁ、レイスっていう名前だよ」
「…えっと、私はレベッカ・ミューン…よろしくね」
「またあったら…だけどな」
そういってレイスと解れた。
『終わりましたか…』
レイスと解れ、暫くして、今まで何も言わなかった(決して忘れられていたわけではない)シャルが、ぼそり…と呟いたが、迷いの消え、多少上機嫌だったレベッカには聞こえなかった。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
「中々面白かったな」
何時も通りの表情に戻り、レイスは呟く、そうしてから、ふぅ…と息をついた・
「まぁ、疲れたがな…」
「レベッカ…あいつとは…又会いたいところなんだがな…さて、私は何処に行こうか…そうだな、墓地にでも言って見るか」
そういってレイスもまた、歩き始めるのだ…
レベッカのこころのとりでは、レイスから見ればかなり強固だ
【D3 街の中・朝】レベッカはG3方面 レイスはC1方面へ向かっています。
【名前・出展者】レベッカ@長月コトナ
【状態】健康 確かな決意 迷い無き心
【装備】シャル@テイルズオブディスティニー
【所持品】マリサの箒@東方 アクアマリンの指輪@テイルズオブファンタジア 基本支給品一式
【思考】
基本、あの子(ララ)の遺志を継ぎ、この状況を打破する
1、ありがとう…
2、とりあえず歩いてみる
【名前・出展者】レイス@レイスの短編帳
【状態】健康
【装備】光墨@ハーフ 思い出の品@ハーフ
【所持品】基本支給品一式
【思考】
基本、弱い奴を保護して、強い奴に引き渡す。
1、中々面白かったぞ
2、レベッカは…強いんだろうな
3、墓の方へ言って見る
備考
- 時間的に、このまま行けば、丁度プリンがなくなって怒っているジューダス達のところと鉢合わせすると思います(食べ物の恨みは…終了直後)
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最終更新:2008年11月19日 20:12