要は放送を聞いてはっとした。
死亡者名と人数を確認しようと考えていたので半分聞き逃しそうになっていたが… 危ういところだった。
禁止エリア。
13時からG1、15時からA4、17時からB4。
13時からG1……
そう、要が今いるこの城こそ、そのG1に建っているのだ。
今は昼…恐らく12時前後のはず。 つまり、この城と一帯はまるまる禁止エリアのど真ん中だ。
禁止エリアにいるとどうなる?
各人に嵌められた首輪が作動し、もろとも吹き飛んで終了だ。 勿論生きていられるはずも無い…
要するに…
あと一時間足らずでこの城とその一帯を出て行かなければ、この場で吹き飛んで彼のゲームと人生が終了となるわけだ。
「…たまったものではありませんね」
まったくこっちは時間をかけてトラップを仕込んで回ったというのに、主催は何か恨みでもあるのだろうか?
そんな愚痴をこぼしても仕方が無い、とはわかりきっているのだが…。
ともかく、移動しなければトラップも何も無くなってしまう。 疲れた身体に鞭打って、要は立ち上がった。
…ぐぅ、と胃が空腹を訴える。
昼なのだから当然だ、とも言える。 ふと脈絡も無く、彼の脳裏にカロリーメイトが浮かんだ。
その瞬間が、彼の命運を左右した瞬間でもあった。 まさか最後の瞬間に考えたのがカロリーメイトとは。
空腹と疲労とが、彼の神経を僅かに鈍らせた。
……気が付いた瞬間には、左足に違和感。 自ら仕掛けたトラップが――
ごわん! と、金ダライの心地よい音が響き渡る。 要の後頭部にタライが直撃したのだ。
そうして僅かによろけ…いや、よろけまいとバランスをとる要。 しかし、バランスを取る為に伸ばした腕が別の罠に引っかかる。
木の板が勢いよく要に迫り、真横へと吹っ飛ばすようにぶち当たる。 勿論、吹っ飛ばした先にはさらに別のトラップが仕掛けてあるのはお約束。
そのようにトラップを仕掛けたのは要であり、そのトラップセットのそもそもの使い手である北条沙都子もまたそれを常套手段とする。蛇足ではあるが。
5分か10分かけて、そのトラップ地獄を自らで味わった要は… 生きてはいるものの、ボロボロで意識の無い状態であった。
13時まで時間はあるものの… 城から出て、G1以外のエリアに行くには少しばかり不足であった。
吹留 要。 彼の戦いはここで終わったと言って過言ではなかった。
【G1 城・昼過ぎ】
【名前・出展者】吹留要@新月
【状態】大ダメージ、かなりの疲労、空腹
【装備】投げナイフ、毒草(摘んできた)
【所持品】支給品一式、トラップ(使用済み)@サトコ
【思考】基本:私の後ろに立たないでください
1:カロリーメイト
2:まさか自分のトラップで… ぐふっ
※死んだも同然
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最終更新:2008年11月27日 18:26