セネットは息を荒げながら、彗星の方を見る。
 もう既に精神毒が精神の殆どを食い荒らされていて、死に至るまで、時間は殆ど無かった。一度目の放送からすでに3時間が立とうとしている。
 彗星がみつもった死に至るまでの時間、早かれ遅かれ、その時間とほぼ一致するであろう。
「…ハァ…ハァ…彗星…さん」
 セネットが弱弱しい声を上げる。
「喋らないで!」
「ハァ…いいん…です……もう駄目だって…解り…ますから」
 セネットがそういって目を瞑る
「そんなこといわないで!」
 彗星は更に叫び、セネットは、ごめんなさい…とあやまってから、更に続ける。
「でも…でも………言わせてください」

「ありがとう…ございます……」


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「いいのよ、気にしないで」
 私はそういいながら、肩を振るわせる。笑うのを何とかこらえて、セネットを見る。
 肩を振るわせる…というのは怒っている…というのに勘違いさせることも、演技をうまくやれば不可能ではない、が、まぁそんな労力は必要無いだろう。
 セネットは私を完全に私を信用しているのだから。

 セネットを使えば集団に取り入ることも可能だろう…と思ったが、残念な事にその『集団』が現れなかった。
 残念ではあったが、結局残念でしかない
「ハァ…ハァ……聞いて…もらえませんか?」
「……良いわよ」
 私が折れたように頷く
「私…最後にこんな良い人にあえて…本当に…よかった…です」
 良い人…良い人…良い人…かぁ…………残念だけど、私は良い人じゃないのよ、ごめんなさいね、こんな私で
「それで…それで…ハァ…モーリスを…助けて…上げてください……皆…皆…助けて…ください…私はそれを願います…おね…がい…です…皆を助けて…下さい…不幸な人は…私で最後にしてください…しんじゃうのは…私で最後に…して…下さい………惨劇は……私で…止めてください…私だけで…いいんです。
 悲しい人…悲しむ人……皆…皆…救って…上げて…下さい………コレ以上…悲しい人も、悲しい人も、一人も作らないで下さい…こんな惨劇…打ち破って…下さい。
 それが………それだけが」






―――それだけが―――私の、最後の願いです。


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「嫌よ…アハハハハハハハハ」
 そう言っていた。セネットが動かなくなった時に、笑った。なのに、何故かそれが辛かった。
 いや、辛かったかどうかはわからない。
 本当に、一体如何してしまったのだろう…でも多分…もう大丈夫、辛いのは、今だけだから

 私は、セネットの眠る草原に…佇んだ


【セネット@rn  死亡】


【D2 草原・夕方】

【名前・出展者】流 彗星@リアクション学院の夏休み
【状態】健康 よく解らない辛さ
【装備】ワルサーP5@現実
【所持品】基本支給品一式 毒薬(アストラルドート@ゴキブリ)
【思考】
基本、みろるんのためにステルスマーダーとして行動
1、辛いのは…今だけ
2、みろるん……

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最終更新:2008年12月16日 16:26