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心のゆとり - (2005/09/06 (火) 17:26:00) の編集履歴(バックアップ)



どこにでもある普通の公園の池だと思ってくれていい。<br>
岸には5、6艘のボートがつながれている。<br>
ちょっといいのはここが山に囲まれた高原で、元々人も少ないけど平日なおかげで静寂そのもの、池の水が山からの湧き水なんで冷たく透き通ってるってことだ。<br>

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夏の昼下がり。<br>
街にいたらきっと今頃雑踏と蝉の声で気が狂ってるだろうな。<br>

池の真ん中まで来ちゃってるから強い日差しを避けるものがないけれど、ボートの中に寝転んでると背中がひんやりして気持ちいい。<br>

風がないから波もないし水が冷たすぎるせいか蚊もでない。<br>

空、真っ青だな。<br>
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なんにも考えない。<br>
寝てるような起きてるような。<br>
心の平安、リラックス、癒し。<br>
これこそ望んでたもの。<br>
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でも少し経てば気づいてしまうんだ。<br>
わざわざボートに乗らなくても心安らぐことはできるんだよな。<br>

先のことは考えない、終わったことは忘れる。<br>
ただこれだけのことなんだ。<br>
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「さて」<br>
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体を起こして周りを見渡す。<br>
視線の先には遠く人影の見えない岸、二本のオールも水面に見え隠れしながらぼんやり空を見上げてる。<br>

どこからか忍び込んでくる水はただひっそりとボートを下に向かって引っ張っている。<br>

すっかり濡れた後ろ半分の服が体に引っ付いて気持ち悪い。<br>

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結局やることは一つしかないんだよな。<br>
そう心につぶやいて僕は静かに、だが清冽な水の中へ体を滑らす。<br>

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