第一話 支持率10%の正義のヒーロー
尽「………いや、すまん」
???「……これで、何度目でしょうか? 総理大臣殿……」
あるホテルのロビー。
ソファに腰掛ける尽……総理大臣は、ひどく反省していた。
【若首相、またまた大振る舞い! 昼間の大捕りもの!?】
新聞の見出しはこうだ。
すべての新聞が、同じ内容だ。
号外もその日の夕方配られ、またかというふうに捨てられた。
???「何度も言ってるでしょう? 国機(コッキ)はそう何度もポンポンと出撃させるものじゃない。 あれは国の……」
尽「威厳その物だ、でしょ? 律子さん」
律子「法務大臣です」
定芽律子。(サダメリツコ)
今で言う英武チルドレンの一人で、法務大臣だ。
尽「……大臣、僕は別に悪いことをしたつもりはないよ」
律子「そういう問題じゃ……!」
尽「休む、すこししたら出てくるよ」
そう言うには、そうするしかなかった。
律子「……わかりました、総理大臣」
尽「僕の好きにできるような世の中じゃないことくらい、僕にもわかるさ……」
ベッドで横になりながら、尽は考えていた。
尽「でも……」
たった一人の国民でも、困っている人間は見捨てられない。
それが、尽の正義だった。
一眠りしようと思ったその時!
尽「なっ……! この揺れは…!」
律子「し、失礼します! いまここに向かって巨大ロボットが接近を……!」
尽「なんだって……! くっ…」
律子「ま、待ちなさいつくす君! だめよッ!」
ホテルの外は騒然だった。
作業用ロボットが、今このホテルに向かってきていた!
人々は逃げ惑った!
ヤクザ『ぎははははははは! もう何も関係ねぇ……大金はたいて買ったこいつで、なにもかも壊してやるよぉお!!』
尽「くそっ……はやくセイカイオーを……!」
律子「だめよ、つくす君!!」
尽「国の威厳なんて関係ない、今民を救うのは……」
律子「そうじゃないわ、つくす君! これは国の権限の問題でもあるの! 簡単に国機を使うような国を、世界は認めはしないの……。 外務大臣が頑張ってくれるのを忘れたの!?」
尽「じゃあどうしろっていうんだ!! 街の人々を、国民を見捨てろってのか!」
律子「耐えることも必要なの、わかって……つくす君…それが上に立つ人間なの、生半可な責任じゃだめなの」
つくすはそのままロボットを見上げる。
無力感。
いや……
尽「……やっぱり、だめだそんなの」
律子「つくす君!? そんな……」
尽「……はなれて、律子さん……!」
つくすは巨大ロボットの前に立ちふさがる!
ヤクザ『き……てめぇえええ!! 今ここで、てめえをぶちたおしてやるよぉおぉ!!』
尽「……一億の民の為、生きる者の権利の為!! 我は威厳の化身とならん!! 」
空の彼方。
雲の隙間から、輸送機が現れる!
尽「――聖界機兵、出馬!!」
空から、巨大ロボットが降りてくる!
舞い上がる粉塵を、その右手で払いのける……
尽「……セェェェェェェイカァァァァァァイオォォォォォォォ!!!」
ヤクザ『けっ……前回は痛い目を見たけどよ、くらえやぁぁぁあ!』
巨大ロボットが採掘用の巨大ドリルを振り回す!
しかし!
尽「……俺の拳には、民の想いが、平和への願いが……こもってるんだぁぁああああああああああああああ!!」
ヤクザ『な、なんじゃとぉおおおお!?』
ドリルは先端から拳によって砕かれる!
そのまま巨大ロボットを貫く!
尽「……だから、負けられない…!」
律子「……それが、あなたの選択なのね。 つくす君……」
夕日が巨体を赤く染めあげる。
戦いは明日も続く……。
現在、支持率10%以下。
最終更新:2009年11月23日 17:25