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第四話 爆走の国土交通省?


国会。
日本国民なら誰もが知る、日本の中心と言っても過言ではない建物。
その廊下に、法務大臣は居た。

律子「……藍沢君? なにか、進展はあった?」

ケータイの相手は、外務大臣。
尽と同じ若大臣として人気がある、藍沢国心(アイザワコクシン)だ。

藍沢『いや、本場のクラテッロ(生ハム)……実に美味でした』

律子「そういうことじゃないんだけど……」

藍沢『む、失礼。 そうですね……少々面白いことが』

律子「面白いこと?」

藍沢の声が真剣味を帯びた。

藍沢『アジアの方にある……ドクサという国、知ってるでしょう?』

律子「え、えぇ。 近年出来たまだ統治も安定してない……それが?」

藍沢『部下に調べさせたのですが、最近ある日本人が大使として迎えられたらしいんです』

律子「大使……?」
そんな話はもちろん聞いたことはない。

律子「……誰かはわからないの?」

藍沢『残念ながら……、調査は続けさせます』

律子「そう……」

溜め息をつく律子の前に、議員が現れる。
議員は律子に耳打ちし、律子はその表情を変えた。

律子「……つくす君は!? 総理は……!」

空は曇り空。
不穏な影は、日本を包むようだった。





横浜、首都高。
ここは眠らない街。
真昼の高速は、車やロボットで溢れかえっていた。

「まあこのように、未だにロボットの普及による余波が、このような渋滞を引き起こしているわけです」

つくす「なる程……」

英武総志郎が掲げたロボットの急激な普及は見事に花開き、農業交通その他諸々に様々な影響を与えた。
その代償として、日本は“ロボット大国”でありながら“ロボットのための交通”が未だ確立されていなかった。
生前の総志郎も、これには頭を抱えていたらしい。

「今回建設中の“超首都高”は、そんなロボット交通に一大改革を起こすのに重要なものになるのです」

つくすは目の前に広がる、まさに超巨大な道路を端から端まで見渡す。

つくす「……ええ、分かります。 よく考えていきましょう。 ところで……」

「はい、なんでしょうか」

つくす「…………国土交通大臣は、どちらに?」

建設業の責任者は、首を傾げた。

「あれっ、確かにここに居たのに……」

その時、超首都高で作業をしていた作業員が騒ぎ始めた。

「だ、誰だありゃあ!?」

「どっから入ってきたんだ!?」

見れば巨大な道路の真ん中を、疾走するバイクが一台。
明らかに速度オーバー。

つくす「……ま、まさか…」

つくすには思い当たる人物が居た。
バイクは建設中の路面を避け、確実にしっかりした路面だけを選び真っ直ぐこちらへ爆走中。
途中のぽっかり空いた路面を壁走りし突破したのは見間違いと思いたい。
責任者が逃げ出し、バイクはつくすの目の前に、タイヤの後をきっちり書き込み止まった。

???「……んんー、さすが世界最大の高速。 いやいや気持ちよかったわぁ」

つくす「……速度オーバーの件について」

???「ああ、あれ? まだ建設中だし、なによりあたしロボットじゃなくて、人間だし?」

そういう問題か。
彼女――ライダースーツのドライバーがバイクから降り、ヘルメットを取り外す。 宙に舞う長い長い黒髪。
国土交通大臣、伊佐吹 夕子(イサブキユウコ)。

夕子「さてまあ、このように建設は順調。 特に問題となることはなしであります、総理君?」

つくす「ええ、まあ……」

そっちよりこの人のほうが心配だった。
律子とは正反対の姉御肌。 律子が静なら夕子は動。
もちろん仲は悪い。


夕子「あ、忘れてた」

夕子が頬を指で掻き、眉をハの字にする。

つくす「どうしたんです?」

夕子「いや、環境大臣の野郎が視察に来てて、環境について云々言ってたの忘れてたよ……」

やはり心配だ。
しかし、環境大臣――小脇筑尾(コワキツクオ)が来ているのは初耳だった。

つくす「小脇さんは、どちらに?」

夕子「さあ、見てないけど」

その時だった。
作業員達が再び騒ぎ出した。

「な、なんだありゃあ!?」

「離れろぉ! 退避ぃ!」

つくす「な、何だ!?」

夕子「あたしより速い奴がいたかい!?」

つくす「違うでしょう!! ……あ、あれは…!」

超首都高の道路の真ん中。
複数のロボットが首都高を破壊していた。
そしてその真ん中に立つ、ロボット。

夕子「……あ、あれは…!」

つくす「馬鹿なっ!! 国務ロボじゃないか!?」

間違いなく、環境大臣の国務ロボ。
アトモスフィアー。
「そ、そこのロボット、止まりなさーい!!」

責任者が拡声器で警告するも、破壊活動は止まらない。

つくす「また工事用のロボットか……!」

夕子「チッ、貸しな!」

責任者から拡声器を奪い取ると、怒声が響いた。

夕子『くぉおら小脇のくそじじい!! なに人様のシマ荒らしてんだぁぁあ!!』

声割れてるし。
しかし、夕子の言葉には反応した。
アトモスフィアーのハッチが開き、小脇の丸い丸い顔を出す。

小脇「貴様ぁぁ!! わしをイジケ虫呼ばわりするのはやめろぉぉ!!」

夕子『言ってねえわボケェェェェエ!! 何してんのか聞いてんだよ!』

小脇「ふん、小娘や若造にはわかるまい。 わしはお前に変わって、総理になるのだぁぁ!!」

つくす・夕子『は、はあ!?』

そう言うと、小脇はハッチを閉じてしまった。

つくす「だめだ、良くはわからないが……話が通じない。 セイカイオーで……かたを付ける!」

辺りが影に包まれる。
国務戦闘輸送機・ドテカードは、総理からのコールがあればいつでも現れる!

つくす「聖界機兵、出馬!」


ドテカードはセイカイオー、そして各種国務ロボを格納している!
高速道路に降り立つ、巨大ロボット!

つくす「生きる者の権利の為……セェェェェェェイカァァァァァァァイオォォォォォォ!!」

小脇「ぐはははは! 現れたなセイカイオー……死ねぇぇ! 民荷尽!!」

アトモスフィアーが、肩のビーム砲をセイカイオーに放つ!
距離はだいぶ離れているものの、国務ロボの狙撃は正確だ!
アトモスフィアーの射撃を合図に、工事用ロボも手持ちのマシンガンを斉射する!

つくす「うぉぉぉぉ!? これじゃ……」

蓮部『総理ぃぃぃぃぃ!! これを!!』

ドテカードから、何かが射出される!

つくす「これは……!」

蓮部『セイカイオー用のアサルトギミックライフルですッ!! 検討を祈ります!』

アサルトギミックライフル。
選挙の襷のように、セイカイオーにぴったりと装着された弾薬。
右手には、ガトリングガン!

つくす「よしッ……くらぇぇえ!!」

アサルトギミックライフルが、けたたましく唸り、鋼鉄の弾丸をばらまく!
工事用ロボの装甲を貫き、破壊する!
しかし!

つくす「くっ、やはり国務ロボには効かない……!」

小脇「げひ、げははははは!! くらえぇい! バイオメンタルクラッシャァァァァ!!」

アトモスフィアーの砲門が煌めき、高出力のビームが発射される!
間一髪避けるセイカイオー、だが装甲は焼きただれる!

つくす「ど、どうすれば……!」

夕子「……ったく、まだまだ甘ちゃんだねぇ。 よいしょ……と」

夕子は軽く判子を押した。
宙に浮かぶは、国土交通省の印!

夕子「国土交通の印は、そう……完全なる障害の排除! どんな道路もスムーズに……ま、あたしはどうでもいいけどねぇ」

ドテカードから射出される、巨大ロボット!夕子「久々に、大騒ぎといこうじゃないか……トラァァンスボイジャァァァァァァァッ!!」

トランスボイジャー。
それが国土交通省の国務ロボ!
トランスボイジャーはバイクに変形し、高速移動を可能とする!

つくす「夕子さん……運転できないんですけで」

夕子「運転はあたしがやるんだよッ! 乗りな!」

セイカイオーがトランスボイジャーに、文字通り乗る。 まさにだ、巨大なライダーがそこに居た。
トランスボイジャーはセイカイオーを乗せたままぐんぐん加速する!

小脇「ば、馬鹿め、まだ道路はできて……」

夕子「おぉぉぉおりやぁぁぁぁあああああああああ!!」

トランスボイジャーは、夕子の見事な操縦により、一切のミスもない。
地を駆け、宙を跳ねた!

夕子「いまだよ、つくすッ!」

つくす「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉりやあぁぁぁあ!!」

空中でトランスボイジャーから飛び降り、アトモスフィアーに飛びかかる!

小脇「ぎ、ぎゃはぁぁいああああああああああああ!!?」

――一閃!

アクセルナイフが、寸分なく操作系を破壊した!


戦いが終わり、小脇はドテカードに収容された。
よほどショックだったのか、口から泡を吹いて気絶していたらしい。
小脇はどうやら、高速道路の建設に不適な金を地元から摂取していたらしい。 何故攻撃してきたかはわからないが……どうにしても、彼の人生は、終わったも同然なのかもしれない。
そして……


夕子「……いやぁ最高だねぇ、ははは! なぁ、総理……あん?」

つくす「……………」

僕の意識も終わりそうだった。



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最終更新:2009年11月23日 17:34