息子よ。
あの日から、もう十年以上も経ったのか。
私がやってきたことは、正しかったのか……悔やんでも、幾度となく悔やんでも、私は……悔やみきれん。
……息子よ!
第七話 さよならできない総務大臣
首相官邸。
つくす「……みんな、わざわざ集まってくれて……感謝する」
ずらっと並んだるは、内閣のメンバー。
一部空席があるが、ほぼフルメンツだ。
夕子「……さぁて、こんだけ集まったんだ……ちゃっちゃと終わらせようかねぇ」
律子「……あんたね、お仕事なんだからその……服をどうにかしなさいよ」
夕子「あぁん? あぁこれ……なーになーに、あたしみたいなナイスバディは、常日頃着こなさなきゃ……神様に失礼じゃないか。 それともなにかい、自分がナイチチだからって妬んで……」
律子「そぉいう問題じゃないでしょお馬鹿ぁぁ!!」
夕子「あらあら顔を真っ赤にしてさぁ……ことはちゃんも、着てみるかい? んん?」
雨宮「え、えぇっ!? あ、あたし……ちいさいし……」
夕子「だいじょぶだいじょぶ、あんたのはまた違った意味でナイスバディ……」
律子「もぉぉぉあんたは毎回毎回なんでこうにくったらしいのかしらねぇえ!!」
夕子「おうおうガリ勉さんがあたしに喧嘩振ろうってのかいぃ!?」
雨宮「あ、ああー、や、やめてくださいー!」
官上「……いやいや、若いっていうのは、いいですな」
加木「……………ん」
……なんというか、緊張感無いなこの内閣は。
場の空気を読んでか知らずか、総次郎が声を上げた。
総次郎「さて、賑やかなのはいいが、そこまでにしよう。 さて……」
???「おっ、おくれだぁぁぁぁあ、ああああ!?」
ドアから突っ込んできて机に突っ込んだ馬鹿一名。
つくすが駆け寄り、首根っこつかんで持ち上げる。
つくす「……だぁれが遅刻しながら机に突っ込めなんて命令した」
???「は、ははは………すんませんっす…」
文部科学大臣、結城昇。
内閣では一番若く、尽の後輩にあたる。
とりあえず二三発叩いてから、会議再開。
総次郎「……まぁ、やっと落ち着いたわけで、再開するとしよう。 昨日の午前に、ドクサのハバマ・ドクサがつくす君に攻撃を行ったことは、皆も知っていると思う」
ドクサの帝王、ハバマ・ドクサ。
つくすはあの後、記者会見に追われることになった。
公式な発表は、まだ控えている。
総次郎「今度は数時間、ハバマ直々に……話があった」
つくす「……どうやら、国機による対決を望んでいるらしい」
夕子「ちょっと待ちなよ」
夕子が手を挙げる。
夕子「喧嘩振ってんのはわかるけどさ、理由はなんだい?」
雨宮「そういえば……どうして、こんな事態に?」
律子が立ち上がる。
律子「それについては、私が話すわ。 今ここにいない、外務大臣……相沢国心からの情報だけど、日本人がドクサに、大使として迎え入れられていたらしいの」
官上「初耳ですな」
律子「私も、総理もこのことは知らなかったわ」
つくす「ハバマは、僕と戦った時、“顔に泥を塗られた”……と、言ったんだ」
結城「それ、つまり……」
律子「……もしその大使が、ここ最近のロボットテロに関わっていて、かつ……総理の失脚を望む思惑があるなら……」
加木「………はめられた、か」
一同が沈黙する。
蓮辺「現在各地で、ドクサの無人ロボと思われるロボと、まだ極々小規模の戦闘が起こってます!! これは、やはり国機戦闘を……!」
つくすが目をみんなに向ける。
つくす「……挑戦を、受ける」
???「いや、駄目だ」
つくす「……っ、やらせてください、井座村さん!!」
井座村豊助(イザムラホウスケ)。
総務大臣にして、かつては総志郎の右腕だった人物が、その集眼でつくすを見据えた。
井座村「……話し合いを続ける、私は国機の使用は認めん」
総次郎「しかし、奴らはもう仕掛けてきておる、戦いは始まっているのですよ」
集眼が総次郎を射抜く。
総次郎「ぬぅ……!」
井座村「……私は、十五年前のような悲劇を繰り返したくないだけだ」
官上「井座村、よせぃ!!」
官上が、珍しく声を荒げた。
つくす「……一五年前、いったい…」
総次郎「井座村君、考えておいてください。 国が懸かっているのですから。 仕方ない、会議は明日、やり直しましょう……」
会議が終わり、つくすは部屋で、一人考えていた。
つくす「十五年前……いったい、何が…」
その時。
ドアを叩く音。
官上「……私ですよ、総理」
つくす「……官上さん、いったい、何でしょうか」
官上「いえ、何……私の友人、そう……井座村のことで、少し」
官上の話は始まった。
官上和夫、井座村豊助は同期で、共に英武総志郎の元で、右腕として活躍していた。
二人はライバルであり、親友だった。
官上に家族はいないが、井座村には息子がいた。 十五年前……まだ小学生だった。
官上「……秩父異変、というのをご存知ですかな?」
つくす「え、ええ……確か、秩父の上空で巨大な発光体が現れ、その直後に埼玉の各地に原因不明の爆発が発生したって……」
秩父異変。
実は、公には知らされていない事実だが……
官上「……あれは、国機同士の戦闘の跡なのです」
つくす「な、なんですって……!!」
国名は今でも明かせないが、ある国との貿易摩擦でトラブルが起こり、結果、国機での戦いになった。
その時、初めて国機が最大パワーを発揮した。
その余波が、秩父異変だった。
官上「……実は、奴の息子は……それに巻き込まれたのです」
つくす「……それじゃ、……なんてことだ…まさか…」
官上「奴はそれ以来、国務ロボが……怖くなってしまったのです。 私は奴のことを理解しているつもりです。 奴は恐らく……あれが再び起きることを、恐れて……」
その時、つくすのケータイが鳴った。
つくす「もしも――蓮辺か、どうした!?」
蓮辺『た、大変です、ドクサの戦闘ロボットが街に……』
つくす「くそっ、こんな……! 僕、行きます…官上さん!」
駆け出すつくす!
官上「……井座村、私も君に、何かを見せつけなければならないようだ……!」
東京の街は、すでに戦闘が始まっていた。
国務ロボも出撃している。
つくす「行くぞぉぉぉ!! 聖界機兵、出馬!!」
大地に降り立つ、威厳の化身が今、現れる!
つくす「セェェェェェイカァァァァァァイオォォォォォォォ!!」
夕子『遅いよっ、たく……こんちくしょぉぉ!!』
つくす「くそっ、多いな……だが、やるしかないな!」
官上『私も行きましょう、総理!』
セイカイオーの隣に降りたったのは、財務省の国務ロボ、ディパートメイヤー!
つくす「……し、しかし、ディパートメイヤーは戦闘用じゃ…」
官上『こちらの年季を甘くみないでください。 なぁに、久しぶりですが、勤めは果たしますよ……』
ディパートメイヤーがアサルトライフルを構え、ビル群に消えた。
セイカイオーも、戦闘ロボットへ突撃する!
つくす「うぉぉぉおお!! りゃぁあああ!!」
その戦いを、見ている男がいた。
井座村「……官上、お前も戦うというのか! 何故だ……」
加木『……ぬぉぉぉ…!!』
雨宮『な、何体いるんですかぁ~!?』
官上『……弱りましたな、これは……ぐっ、うおぉぉぉ!!』
ディパートメイヤーが、戦闘ロボットの攻撃に倒れ込む!
井座村「か、官上ぉぉぉぉぉ!!」
官上『……井座村、お前は…これでも戦わないのか……!』
ディパートメイヤーの装甲は、既に大きなダメージを負っている!
井座村「……貴様も、知っているはずだろう。 秩父異変で私は変わってしまったんだよ!」
官上『……なら、何故大臣のままでいるのだ! 総志郎……総理の意志を忘れてないからじゃないのか……!』
つくす『ぐぅああああああああ!!』
ディパートメイヤーの横に倒れるセイカイオー!
つくす『……ま、まだだ…うおぉおおおお!!』
それでも立ち向かっていくセイカイオー!
井座村は、セイカイオーに、亡き総志郎の姿を見ているように感じた。
井座村「……私は、私には、出来ない…! 国務ロボには、乗れん……」
官上『井座村ぁぁ!! 総理が……死ぬ間際にでさえお前を選んだのを、忘れたのか……!』
ディパートメイヤーが、ボロボロの姿で立ち上がる!
戦闘ロボットは、ボロボロのディパートメイヤーに銃弾を浴びせる!
官上『そりゃあなぁ井座村……お前の悲しみは、俺にはわからんさ。 だが、これだけは……違うて言いたい。 総理はお前に、その悲しみを乗り越えてまで国を支えてほしかったんじゃないのか……!?』
井座村「……か、官上…!」
官上『俺達も、もうおっさんだろう……だから、せめてだ、若い奴らに背負わされた責任を、少しでも……うぉおお!!』
倒れるディパートメイヤー!
つくす『……か、官上さん!? …あ、あれは……!』
レーダーが、新しい反応を示す!
夕子『な、なんだいありゃあ……』
律子「まずいわね、あれ、無人輸送機ね……!」
輸送機はセイカイオー達の遥か上空に位置する。
手持ちの武器では、射程圏には入らない!
つくす『ど、どうすれば……』
井座村「……うぉぉぉおおおおおお!! 官上ぉぉぉぉおお!!」
井座村が、判子を宙に押す!
輝く総務省の紋!
官上『……井座村…』
井座村「勘違いするな……少しは、若いものに……暴れさせてやる。 それだけだッ!!」
ドテカードから射出される巨大ロボ!
井座村「…久しぶりだな、アドゥミニスター。 またお前に乗ることになるとは……。 官上ッ!!」
アドゥミニスターから放たれた、拡散ビーム!
次々に破壊される戦闘ロボ!
官上『……待ちくたびれたぞ、馬鹿者が』
ディパートメイヤーを起こすアドゥミニスター。
井座村『すまんな……しかし、今は、あれを使う時だぞ!』
官上『……任せたまえ、いくぞ!』
アドゥミニスターとディパートメイヤーが、変形する!
ディパートメイヤーがバックパックに、アドゥミニスターは……
つくす「……ビーム…キャノンか!!」
それぞれが、セイカイオーに合体する!
官上『ディパートメイヤーは元々はパワー源そのものを想定して作られていましたからね』
井座村『ディパートメイヤーのダメージは大きい……一発で決めろ』
つくす「……よし、いくぞぉお!!」
輸送機に向けられる、巨大な砲門!
――空間が、裂けた!
つくす『うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
ドクサ戦艦内。
輸送機を一瞬で破壊したその光を、ハバマは見ていた。
ハバマ「……やはり、これが……セイカイオーの力か。 早く、破壊せねば……!」
輸送機は、跡形もなく消滅した。
ビームの光は、未だ空にくっきりと残っている。
つくす「これが、セイカイオーの真のパワー……」
井座村「……いや、まだ……これでも恐らく……四分の一だ」
つくす「な、なんですって……!?」
セイカイオーの力は、いったい……
最終更新:2009年11月23日 22:00