第八話 大国機
国機戦。
国機戦は、ロボット社会が本格的になり始め、ロボットによる武装が当たり前になったこの世界の、戦争に変わる最後の外交手段である。
ロボット同士の対決となれば一部に聞こえはいいが、膨大な被害が生まれる可能性をもつ。
近年では、国機戦はごく希なケースである。
ドテカード内司令部。
夕子『こちらトランスボイジャー、異常なぁし』
官上『ディパートメイヤー、アドゥミニスター異常無しです』
蓮辺「了解、……今のところ、来ないですな」
律子「ええ、でも……」
現在集まった内閣は十三人。
あと一人……
律子「このままじゃ、セイカイオーはパワーをフルには発揮できないでしょうね……」
昨日。
首相官邸。
璃理「戦うんですね……」
ドクサへ向かう前日。
つくす「やらなきゃならない、日本を……守る」
璃理「……お祖父様に、そう言われてきたから?」
つくす「えっ……」
璃理の表情が一瞬、悲しいものに見えた。
つくすの旅立ちを思うというよりは、むしろ……
璃理「だって、そうでしょう? お祖父様はあなたにそう教えて……」
つくす「……璃理、僕はただ、この日本を守りたい。 純粋に」
璃理「なら……いいんです」
璃理が、つくすに抱きつく。
つくす「ちょ、璃……」
璃理「これを……」
否、抱きついたのではない。
首に感じる、冷たい感触。
つくす「これは……」
璃理「わたしの、御守りです……持っていてください」
羽田空港。
ドテカードに集まる、内閣メンバー。
律子「……もうドクサーワンは接近してるわ、残念だけど……もう…」
その時。
???「あらぁ、間に合ったかしらぁ」
???「……セーフです」
井座村「む、おお、姫也君!」
陸自の装甲車。
その中からでてきたのは、ナイスバディとナイチチ。
顔は瓜二つの双子。前者財務大臣、姫也美郷。
後者厚生労働大臣、姫也昴。
律子「これで、セイカイオーは少しはパワーアップね……行きましょう」
官上「……さて、どうなりますかな」
夕子「喧嘩だからねぇ、ま……頑張りましょか」
雨宮「……夕子さん、笑ってます」
昇「うわ、自信満々っすね……」
井座村「ふん、どうにでもしてやろうじゃないか……ここまでなったのだから」
加木「…………行こうか」
つくす「……待っててくれ、璃理」
内閣メンバーがドテカードに乗り込む。
その姿を遠く眺める影が二つ。
???「……さて、さて。 ここまでは、順調かな……」
???「…………」
???「名残惜しいかね?」
???「……いえ」
ドテカードが浮かび上がる。
日本の未来を背負い、発進する。
蓮辺『……き、来たぁぁ、戦闘配備ぃぃぃ!!』
レーダーに写る点は、一つ。
美郷「出番少ないなぁ……まぁ、お姉さん、仕事はやりますよー」
昴「……印」
国務ロボ、セイカイオーに浮かび上がる紋!
蓮辺「て、敵のビーム射撃来ますぞぉぉお!!」
つくす「――散るぞッ!!」
ドテカードから散っていくロボット達。
――爆発!
蓮辺「うおぉぉぉぉぉ!?」
律子「くぅぅぅっ、バリアは効いてるけど……!」
つくす「ドテカードっ!? ぶ、無事か……」
美郷『財務大臣の印は、まああまり関連ないけど……』
昴『バリアシステム、私のは、反重力浮遊装置です』
バハマ『なる程な、それだけの力があるというわけか……』
雲の間から浮かび上がる巨大な姿。
ドクサーイン!
バハマ『迷いはないというわけだな、セイカイオー』
つくす『ああ……! あなたに何の理由があるのかはわからないが、僕は戦いを選ぶ!』
腕組みを解くドクサーイン。
バハマ『いいだろう、……いくぞぉぉおおおおお!!』
つくす「うぉおおおおあああ!!!」
アクセルナイフで切り込むつくす!
ドクサーインは、巨体ながらも器用にさばいていく!
つくす「くっ……」
夕子「がら空きだよっ!!」
加木「………ぬぅぅ!」
横から切りかかるトランスボイジャー、アグリバルチャー!
バハマ「甘いわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドクサーインは、両の肩からビームを放つ!
夕子「う、うあああぁあ!?」
つくす「夕子さんっ!!」
バハマ「よそ見を……するなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
セイカイオーの顔を直撃する拳!
つくす「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
雨宮「つ、つくす君っ!?」
バハマ「遅いぃぃ!!」
一瞬!
そのわずかな隙に一気に距離を詰め、アトモスフィアーに一撃を決めるドクサーイン!
井座村「雨宮くんッ!! くっ、さすがは“ドクサーシステム”か!」
官上「自身の力を最大まで発揮する、恐ろしいな……」
ドクサーインが腕を組む。
バハマ『……ふん、この程度で国を治めようなど、笑止だッ!! 軟弱者どもめが!!』
つくす「……違う、俺は……!」
バハマ『……負け犬の遠吠えなぞ、聞きたくないわ』
宙に浮かぶセイカイオーが、動きを取り戻す!
セイカイオーに向けられる、ドクサーインの砲門!
雨宮「つ、つくす君!」
律子『つくす君、退避して!』
つくす「国を治めるなんて、そんな偉そうなこと言えないよ、俺。 俺はただ……」
バハマ『……死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! セイカイオォォォォォ!!』
つくす「……守りたい……だけだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!」
放たれたビーム!
爆炎がセイカイオーを包む!
バハマ『…………な、なにッ…』
爆炎が晴れたとき、そこにセイカイオーの姿はない!
???『――はっは、間に合ったなぁ、総理』
律子「その声は……」
総理「外務省……相沢国心!」
セイカイオーを一瞬で助け出したのは、巨大戦闘機!
最後の国務ロボ、モーファリオン!
国心『参上仕った、ヒーローは遅れてくるもんでね』
コックピットハッチを開いて外に出ながら言う台詞ではない。
バハマ『……英武チルドレンが、揃ったというのか…だが!!』
ドクサーインが、ビーム砲を向ける!
国心『…つくす、英武さんから聞いていた、あれを使うぞ』
井座村『……本当の、セイカイオーをか!』
つくす「ああ、……やろう!」
バハマ『消え去れぇぇぇぇぇぇえい!!』
大臣全員が、印を宙に押す!
浮かび上がる、内閣の印!
それは即ち……
バハマ『な、なんだ!?』
昇「俺の出番っす! ディサイションフィールド……形成!」
つくす『――五十七の桐花紋!! 機兵……決議!!』
セイカイオーが体に!
ディパートメイヤーがバックパックに!
アドゥミニスターが腰に!
トランスボイジャーが脚に!
アグリバルチャーが右腕に!
アトモスフィアーが左腕に!
モーファリオンが胸に!
つくす『大国機……セェェェェェェェェェイカァァァァァァァァァァァァァイオォォォォォォォォォ!!!』
バハマ『……な、なんだと、バカな……!? やつの支持率は……極少数では…』
つくす「それは違うぞハバナ!!」
聖界皇が吠える!
つくす「支持率なんて超えて必要なのは、信じてくれている人を信頼すること……俺は、セイカイオーは……信じ続けて……強くなぁぁぁあああああああああああああああある!!!」
バハマ『……信頼など、必要ない!! 偉いものが上に立てば……いいのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
ドクサーインの腹部から、エネルギーが溢れ出す!
バハマ『くらぇぇえい!! ドクサァァァァァァァァァァァァビィィィィィィィィィィィィィィィム!!!』
セイカイオーの胸元に輝く、五十七の桐花紋!!
つくす『うぉぉおおおおおおおおおおおお!! ディィィィサイショォォォンバスタアアアアアアアアアァァァァア!!!』
空間が爆発する!
大気が燃え上がる!
ハバナ『ば、ばかなぁぁぁあ!?』
最終更新:2009年11月23日 22:07