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~火星周辺・オリンポス要塞「鉄城」・司令室~

「…時に赤木、あなた、専用機が欲しいといっていましたね」
司令官、阿惣黒人は重い口を開いた。
「は、はい。俺の機体は量産機である『炎のキューピッド』を
 色塗っただけですから……」
ロック○ンエ○ゼのヒノ○ンを思わせる外見の男、赤木健は答える。
「よろしい。では、作業班に至急造らせましょう」
「ほ、本当ですか!?有り難う御座います、黒人指令!」
「では、別命あるまで下がっていなさい」
「はっ!」
赤木はそういうと勢いよく踵を返した。

「指令」
ふいに、ブラァァァァァとでも言いそうな低い声がする。
「どうしました、青田?」
黒人はその声の主、青田優に話しかける。
「地球連合インド支部を破壊して参りました」
青田は自慢げに答える。
「そうですか。ならば、黄山や赤木に続けあなたにも専用機を差し上げましょう」
「有り難き幸せに御座います」
「では、私は暫く休みます。後は任せますよ。あ、くれぐれも民間人は殺さないように。
 我々の目的はあくまでも地球連合への復讐ですからね」
「心得ております」
「それならよかった。では」
そう言い残すと黒人は後ろの扉の奥に消えていった。
「はっ、ごゆっくりお休みください」

~地球・日本・千葉県・彰念市~

彰念市の繁華街。ここは連日賑わっている。
そのなかに、一際目立つ赤髪の少女を青髪の少年がいた。
「今日は楽しかったね、翔」
少女の方が笑顔で少年に話しかける。
「まあな…」
翔と呼ばれた少年が答える。
「なによぉ、全然楽しくなさそうじゃない」
「そういうわけじゃねえよ、レイル」
「そぉ?」
そんな会話を繰り返しつつ二人はバスに乗り込み、終点まで行った。

~彰念市・池田邸~
「ただいまー」
レイルが元気よく家の中に飛び込み、遅れて翔が入ってきた。
「おお、おかえり。夕食できとるぞ」
居間では翔の父、池田元帥が夕刊を読んでいた。
「そうか、じゃあ食ったらもう俺ねるから」
「ああ。ほら、冷めんうちに食え」
「いっただっきまーす!」
レイルがまたもや元気に焼き魚にかぶりつく。
その横で翔は味噌汁をすすっていた。


翌日、翔はいつも通り学校へ通っていった。
レイルを家に一人置いてきたが、まあ大丈夫だろうと翔は思った。

~教室~
「なあ翔、今日放課後街行かねえか?」
クラスメイトの鍬荒場 式馬(すきあらば しきま)が話しかけてきた。
「ナンパか?悪いが、パスだ」

「じゃあ池田。ゲーセンはどうだ?」
今度は尾張鳴 牟弦(おわりなき むげん)が誘ってきた。
「悪いな。今日はちょっと」
翔はそういうと教科書を持ってさっさと音楽室へ行ってしまった。


放課後、翔は牛次に呼び出されていた。
「何の用だ、牛次?」
「…単刀直入に言うよ。朱雀、青龍、白虎、玄武は合体する」
「何だと……?」

「朱雀のコクピットには背もたれがないだろ?」
「ああ。それがどうかしたのか?」
「合体後は朱雀のパイロットがメインパイロットになるらしい」
「……どうすれば合体できる?以前はそんなもの……」
「そこが僕にも分からないんだよねぇ。ま、今後の研究次第ってことさ」
「そうか、分かった」

翔が戻ろうとしたその時、
「あ、神田くんに池田くん」
阿惣由梨香(あそう ゆりか)が現れた。

「由…由梨香さん!?」
翔は赤面しつつかろうじてこの言葉を放った。
「どうしたんですか、こんなところで?」
翔の様子を気にすることなく、由梨香は尋ねた。

「うん。ちょっとね」
翔と違い、牛次は普通に由梨香と接する。
「そうですか。もうすぐ帰った方がいいですよ。じゃ」

「うん。じゃーねー……おい翔、まだ告白できねえの?」
由梨香が帰った途端、牛次はニヤニヤしながら翔に聞く。
「う、うるせーな!オラ、帰るぞ!」
翔は鞄を乱暴に振り回しつつこう言った。


~鉄城・格納庫~

「赤木、完成しましたよ。貴方の専用機、『赤のマーズ』が」
黒人が赤木に語りかける。

「おお、これぞ俺の求めたデザイン!有り難き幸せに御座います、阿惣司令官!」
「いえいえ、これも可愛い部下の為ですから。あ、そうそう、青田にも伝えておいてください。
『専用機が完成した』と」
「了解しました!」
そういうと赤木はさっさと退室していった。

「司令官。池田翔のことですが」
「おや、もう動きがでたんですか、黄山?」
「いえ、一向に赤木の言葉の意味に気付く気配もなく、これ以上待っても時間の無駄かと」
黄山は淡々と答える。

「そうですか、では、赤木隊に出撃してもらいましょうか」
「目標は」
「地球連合アジア支部日本エリア中部地区、現在ロボット生産世界五位を誇る愛知工場です」

~地球連合(中略)関東地区千葉房総基地・司令室~
ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!
「どうしたの!?」
この房総基地の責任者、火野 妖菜(ひの ような)の怒号が飛ぶ。

「愛知工場付近にオリンポスの機動兵器多数出現!タイプ炎4、氷4、風3、未確認1です!」
「目的はロボット建造阻止か……第二小隊、第四小隊、第七小隊出られる!?」
「オーケーです!」
「よし、各小隊、発進!」

「第四小隊、池田翔准尉、朱雀出ます!」
「同じく黒川龍美准尉、青龍出るで!」
「ハリー・キエル少尉、イーグルⅠ出るぜ!」
「行くぞ、玄武!大山武准尉出る!」
「安道虎太郎准尉、白虎、出ます…」

「さーて、連合はどう出るかな…?」
赤木は専用機のコクピットで呟く。
「隊長、この空域に進入してきます」
「数は」
「15です」

「よお、池田翔。久しぶりじゃねえか」
「…!その声……貴様、赤木か!」


「こないだと機体が違うな」
龍美が口を挟む。

「いかにも!こいつこそ俺の専用機、いわば俺の半身!その名もぉ……うおっ!?」
赤木の口上は途中で遮られた。ハリー少尉がミサイルを赤のマーズに撃ったからだ。
「何しやがる!このハエ!最後まで聞け!こいつこそ俺の専用機、その名も!
『赤のマーズ』様よぉ!!」

「…………」
「…………」
場の空気が一気に凍り付く。

「……あ、あれ?皆さん?」
赤木は焦る。そして、とうとう龍美が禁断の一言を口にした。
「なーんやあれ。腹にドクロなんぞくっつけおって。趣味悪ー」

「…ンだとコラァァァァァァァ!!マイクロビィィィィィムゥッ!!」
言うが早いかきれるが早いか赤木はそこら中にビームを乱射した。
「た、隊長やめてくださ…うわぁ!」

「敵機何機か巻き添え…残りは未確認入れて五機か」
「池田准尉。俺が残った雑魚を始末する。お前はあの未確認を倒せ」
「了解しました、キエル少尉」
「うまくやれよ」
「はい!」

「赤木。てめえには恩返しをしなきゃなあ」
「あん?そんな戦闘機でか?」
「今はな。だが、驚くなよ?」

「龍美!武!虎太郎!合体するぞ!」
「合体ぃ?」
「牛次が言ってたんだよ!」
「ほんまかいな」

…………シーン…………

「…ぶぁっはっはっはっは!何が合体だ!全然出来てねえじゃねえか!
違う意味で驚いたわ!」
赤のマーズが腹を抱えて笑い転げる。

「くっ…なぜだ!?なぜ合体できない!」


『翔、聞こえるか?』
朱雀に通信が入る。
「牛次か、なぜ合体ができないんだ!教えろ!」
『それだよ』
「なに?」

『さっき解析が完了してね。朱雀他三機が合体するには
朱雀のパイロットの感情が静まらないと合体プロセスが始動しない作りになっているんだ』
「ということは……」
『そう、感情剥き出しの今の君じゃあ合体できないってこと』

「隙を見せたな!喰らえ!マーズドリィィィルゥ!!」
マーズの肩から飛び出したドリルを翔は辛うじて避ける。
「うおっ!そんなこといったって、戦場で感情を静めろったって…!
第一相手は親の仇なんだぞ!そんな状況で……」
『君がやらないと愛知工場が破壊されるんだぞ!』
突然、普段の牛次からは想像もできない口調が飛び出した。

「…分かった、なんとかやってみる……じゃねえや、やってみせる」
『うん。それでこそ僕の親友さ』

「…………(落ち着け、落ち着けよ、俺……)…」
「行け!マーズクロォォォォウ!!」
マーズの爪が朱雀に襲いかかる。
「うわぁ!…ちっ、やりなおしか……」

「…………」
「マーズハンマーァァァァァァ!!」
巨大な鉄球が朱雀を襲う。が、
「……甘い」
これも軽く避ける。

『……搭乗者感情値、一定値ヲ下回リマシタ。合体プロセス始動。合体プロセス始動……』

「来たか……龍美、武、虎太郎。もう一度やるぞ」
「おう!」
「オーケー!」
「やったるで!」

「な、なんだぁ!?」
赤木は目を丸くして驚く。

朱雀が頭に!
青龍が腕に!
玄武が胸に!
白虎が腹に!
そして四つが一つとなって!

「四神合身ヨンシンオー、合体完了」


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最終更新:2009年12月06日 12:44