第二話『職務開始、モンブランを確保しろ!?』
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研一「さて、んじゃ……具体的な説明をさせてもらうぜ」
研一がノートパソコンの画面をつぐむに向ける。
研一の指が、待機中や出動中のマークを指す。
研一「うちのビジネスについて説明してなかったけどよ、うちはAI派遣をメインでやってるんだ」
つぐむ「派遣って……ロボットを実際に派遣するのとは違うの?」
研一「ああ、疑似人格AIを契約している会社にあるメインコンピューターに“派遣”して、そこからロボットにインストされんだ。 ほら、ここ…」
研一が指差す出動中のアイコンにずらりと仕事内容が並んだ。
このAIは、計算機に出動中……らしい。
研一「ちょっとしたことでも、ちゃんと金はでるんでね」
???「人使いが荒いんすよねぇ、兄貴は!」
つぐむ「ん、誰?」
待機中のアイコン、05ナンバーの疑似人格AIがしゃべっているようだ。
研一「ああ、ガンドジムだ。 うちの社員だ」
ガンドジム「いやぁ、あんたが勇者を雇ったっていう変わり者か! 04ナンバーの『ガンドジム』、よろしく頼むぜ!」
つぐむ「あ、ああ……よろしく」
ゲイザーよりは明快な性格にプログラムされているらしい。
点滅サインも、ゲイザーのものより明るめのイエロー。
研一「勇者ってのは……疑似人格AIがこの俺のパソコンから勇者ロボにインストされて起動する、って仕組みなんだ」
つぐむ「ってことは、ガンドジムも……勇者なの?」
ガンドジム「まあ、そういうことだ」
勇者ロボは空中戦母ダイキギョーに保管されている。
疑似人格AIは、その勇者ロボと一つになって体を得るのだ。
研一「今後は契約合体する時にゃ、あんたからボーナスを貰うぜ」
つぐむ「ぼ、ボーナス!?」
合体にボーナス……。
なんてがめつい会社だ。
研一「そうだな……一回につき、五万、だな。 こちとら商売なんでね」
ガンドジム「旦那ぁ……そういうことしてるから顧客がつかないんじゃないんすか!?」
研一「うるせぇ!! こうでもしなきゃ維持費稼げねぇんだよ!!」
強者どもが夢の跡。
大企業の名残雪。
社員がAIだけの会社の、寂しい悩みであった。
この世には悪が必ず存在する。
日本経済を動かす有力企業、多数の有力者の裏の顔。
それが、堕悪企業ゼベロッターである!
ゼベロッター会長が、そのメンバーを召集した……。
異例の事態に、メンバーは沈黙を保った。
会長「勇者ロボが出てくるとはこちらの想定外だった……早く、早くオリジナルの『シャイニングトロン』を……破壊せねば!!」
BB「会長、抜かりはありませんわ……次の手は考えてありますわ…」
再び勇者企業RSC。
冷蔵庫を漁る研一。
研一「……あっちゃー、やばいな…」
ガンドジム「どうしたんで、旦那」
研一「今日はお得意様がくるんでよ、サフランデーのモンブランを買っておいたんだが……」
研一がケーキの箱を開けると、中身はすでに黴が。
見るも気持ち悪い有り様に、疑似人格AIガンドジムも寒気がした。
つぐむ「こりゃ……ひどいね」
ガンドジム「買いに行かないとまずいんじゃないっすか?」
研一「いやそれがよ、書類纏めないとやばいんだ……」
人手が欲しいと思った矢先に気づいた。
ちょうどいいのが目の前にいる。
研一「あー…悪いんだけどさ、俺の変わりに行ってきてくんねえか?」
つぐむ「えぇっ!? ぼ、僕は雇い主だぞ!」
研一「な、頼む! このとおり!」
大の大人が頭を下げている。
さすがに悪く思ったつぐむは、ノーとは言えなかった。
つぐむ「…………」
ゲイザー「…………」
つぐむ「…………」
ゲイザー「言いたいことがあるなら早く言え」
つぐむ「ああ、言うさ! なんでAIごときに僕がお守りされなきゃいけないんだよ!」
ゲイザー「依頼をしたのはお前だろう」
つぐむ「ぐっ……うぅ…」
つぐむのお供として、ゲイザーはスポーツカー形態で後ろからついてきていた。
しかも車のくせに、生意気にもつぐむを乗せたりはしなかった。
つぐむ「他の奴はいなかったのか!」
ゲイザー「うちの車庫から出れる一番手っ取り早い勇者は、俺だけなんでね」
つぐむ「くそっ……なんでこいつに…」
ゲイザー「せっかくの非番だというのに、ガキに付き合う俺の気持ちも察して貰いたいものだな……」
つぐむ「なんだと!?」
ゲイザー「そうやってすぐむきななるからガキは嫌いなんだ……ん?」
つぐむ「ガキガキってな!! 僕はお前の………どうした?」
ゲイザー「離れろッ!!」
つぐむ「う、うわっ!?」
ゲイザーは突然つぐむをボンネットに乗せ、加速する!
つぐむが振り向くと……
つぐむ「み、ミサイルっ!?」
ゲイザー「くそっ…!」
間一髪、ゲイザーはミサイルをよけきると
ゲイザー「降りろッ!」
つぐむ「こ、この少しは丁寧にっ!?」
そのままつぐむを道に捨て、駆け上がるゲイザー!
ゲイザー『チェェェェェェェェェンジ!! バトリィィィィィィィィィドッ!!』
蒼き勇者が立つ!
ゲイザー「疾風勇者……ゲイィッ……ザァァァァァァァ!!」
空から現れる巨大ロボット!
ミサイルの発射口を無数に持つそれは、まさに要塞だ!
?「ち、ちょっと!? またロボット……」
店から現れた女の子と目が合うつぐむ。
女「あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ま、またあんた!?」
つぐむ「……あ、ああぁぁぁ!! あの時の!?」
あの時助けた女の子だった。
ゲイザー「ゲイザァァァァァマグナムッ!!」
二丁拳銃、ゲイザーマグナムがミサイルロボに炸裂する!
しかし、ミサイルの発射口を完全には破壊できない!
女「ちょっと! 早くあれをなんとかしなさいよっ!!」
つぐむ「い、いだっ…殴るなたたくな!! そんなこと言われてもな!!」
ゲイザー「雇い主!! “契約合体”で早くかたを付けないと大変なことになるぞ!!」
女「早くしぃなさい!!」
AIと他人に責められてしぶしぶと五万円取り出すつぐむ。
つぐむ「うっ……し、仕方ない! ゲイザー『契約合体』!!」
五万円がレーザー転送される!
ゲイザー「おぉおぉぉぉぉぉおお!!」
彼方から来たる3つのマシン!
ドリルジェッターが雲を切る!
バトルウルフが地を駆ける!
シャインフェニックスが、空を覆う!
――シャインフェニックスは、シャインゲイザーのメインフレーム、つまり脚とボディフレーム、そして大出力バーニアウイングとなる。
ボディにゲイザーが組み込まれる!
――そして、ゲイザー腕部にドリルジェッターが分離変形することで、ドリリングプレッシャーを持つシャインゲイザー、腕部となる。
ドリルが唸る!
――バトルウルフがゲイザーコアを守る、ボディ外装となる。
ウルフの瞳が燃える!
ゲイザー『契約合体、赴任完了!!』
――これが、シャインゲイザーの変形システムである。
ゲイザー『怒涛勇者……シャィィィィィィィィンゲイザァァァァァァァァァァァァ!!!』
つぐむ「ゲイザー! 給料分は働いて貰うぞ!!」
女「店壊したら請求するからね!!」
ゲイザー「ああ、心得た……だぁぁああああ!!」
ミサイルロボの顎を蹴り上げる!
よろめくミサイルロボを担ぎ、上空へと飛び出すシャインゲイザー!
つぐむ「あいつ、いったい何を……!?」
ゲイザー「はぁぁぁぁああああああ!!」
フェニックスバーニアが空にラインを描く!
腕部ドリル……ドリリングプレッシャーが唸る!
ゲイザー「ごぉぉぉぉぉおおりん!! けぇぇぇえええええええええん!!!」
ーー『轟輪拳』!!
ミサイルが誘爆し、ミサイルロボは四散した!
つぐむ「サフランデーの……モンブランって…」
女、志賀めぐみは店の前に立つ。
めぐみ「奇妙な縁ができちゃったけど……いらっしゃいませ」
つぐむ「は、はは…」
この後、めぐみの両親につぐむは小一時間、感謝の言葉を言われ続けた。
そして、行く宛のなかったつぐむは、居候としてサフランデーに住むことになるのであった。
研一「ま、まだか……モンブラン……」
戦え勇者企業!
負けるな社員、シャインゲイザー!
最終更新:2009年12月06日 13:26