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第四話『友情の覚悟、第三の勇者!』




つぐむ「だから、ちょっとだけでいいんだって!」

ゲイザー「知らんものは知らんな」

つぐむ「嘘つけ!! 研一さんだって、絶対何か隠してんだろ!?」

ゲイザー「さあて、な」


鈴奈零の一件の後、つぐむにはどうしても知らなければならないことがあった。
それは、ガンドジムが零に見せた、友情と呼べる行為が何なのか、そしてそれを否定したいがためであった。
つぐむにとって疑似人格AIは、単なる機械なのだ。
しかし……認めたくない何かが、少しずつつぐむの中で、AIである勇者達への何かが芽生えようとしているのは確かだった。
幼い頃より、友達というものを拒んできたつぐむにとって、子供心に面白くないのだ。
幼心にそれを否定したいがためと、ゲイザーを頼った自分に腹が立った。
“ゲイザーも所詮は疑似人格AIなのだ。”
鈴奈零の一件は平野研一も知らないの一点張り、もちろんガンドジムも口を閉ざしていた。

つぐむ「……いいよ、自分でなんとかしてやるよ」

ゲイザー「つぐむ」

つぐむ「…………」

ゲイザー「俺が思うにだが、答えは向こうからやってくるはずだ」

つぐむ「それも、演算回路の測定結果かい?」

ゲイザー「いや…」

ゲイザーの音声が一瞬含み笑いをし。

ゲイザー「俺の勘さ」

つぐむ「くだらないよっ!!」

吐き捨てるように言い、つぐむは薄暗いガレージを出た。
未だに未熟なつぐむの感性は、行動することで解決を目指した。
ゲイザーはそのつぐむの様子に、多少ながら満足げであった。


コンサート開催当日。
新台場ホールは熱気に包まれていた。


「いや、そうは言われてもねぇ……」

つぐむ「い、いいから零に変わってくれって! はなせば分かるから!」

「あ、あのね……」

困り顔のコンサート関係者に無理やりに言い寄るつぐむ。
警備員が取り押さえようと迫るが、それを止める声があった。

「い、いや……しかし…」

零「いや、構わないんだ。 通してやってくれ」

つぐむ「……! れ、零……!」

見間違えはしない。
零であった。


楽屋で二人きりになり、つぐむは途端に緊張した。
なんといったって、相手は世界的なギタリスト、鈴奈零なのだ。

零「……それで、僕に何の用だい」

つぐむ「え、えっと……」

突然の状況の飛躍に慌てながら、つぐむは昨日頭の中で整理したことをゆっくりと思い出しながら訊いた。

つぐむ「……ガンドジムが、なんで零を必死になって守ったのかなって」

零「それは、もちろん…」

零は少しの間の後

零「ガンドジムは、友達だからね」

つぐむ「AIと、人間が……友情なんて…」

零は子供心に悩むこの少年の心を考慮し、答えた。

零「理屈で考えたら、友情は友情じゃないよ。 僕はガンドジムが友達だと思っている、彼だってそう、思っている」

つぐむ「だ、だけど……」

零「つぐむ君、覚えておいてくれ。 ……AIにだって、感情も記憶もあるんだ。 それは、絶対に嘘じゃない、確かにあることなんだ」

零の瞳は真剣であった。
しかし、その中にある種の“悲哀”があるのを、つぐむは気づいてはいなかった。



つぐむ「零は……」

零「なんだい?」

つぐむ「零は、なんでそんなに強く言い切れるの?」

零「それは……」

零が言いかけたとき、楽屋口からスタッフが駆け込んできた。

「れ、零さん! またあのロボットが……」

つぐむ「な、なんだって!?」


コンサート会場はパニックであった。
先日現れ、ガンドジムが破壊したタツノオトシゴ型のロボット、ドランビートと呼称されたそれが再び襲来したのだ!
ドランビートが、コンサートドームへと突撃する!
それを止める、一筋の光!

ガンドジム「うぉぉぉぉぉぉぉお!!」

パワードガンドジム!
パワードガンドジムのパワーは両肩のパワードブースタによって、空中でも健在である!

ガンドジム「一度二度やってきても、前みたいにスクラップにしてやる!!」

パワーで圧すガンドジム!
しかし!
ドランビートが加速する!

ガンドジム「っ……速い!?」

ガンドジムのスピードを振り切り、俊敏な動きで逃れるドランビート!
ガンドジムは、その姿をとらえられない!

会場から出てきたつぐむと零は、スピードに翻弄されるガンドジムを見た。

つぐむ「……ガンドジム!!」

ガンドジム「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ドランビートの尾がガンドジムの体を打ち、地に叩きつけた!
轟音と共に、地面に沈むガンドジム!

零「……ガンドジム!」

つぐむ「パワードガンドジムのスピードじゃ、あいつを倒せない!?」

ガンドジムはダメージアラートを無視し、立ち上がる。
しかし、二撃、三撃と攻撃は容赦なくガンドジムに降り注ぐ!


つぐむ「ゲイザーを呼んでも間に合わない……なんとかならないの!?」

零「……つぐむ君、聞いてくれ」

零が肩に下げたギターをおろし、それをつぐむに渡す。
零の瞳がつぐむを見据える。

つぐむ「零!? なにをやって……」

零「君は、友情を信じてくれるか」

つぐむ「こ、こんなときに何をいって……」

零の瞳を見るつぐむ。
その真剣な眼差しは、覚悟のようなものが、つぐむにもはっきりと見えた。

零「友情……愛でもいい。AIであろうが、人であろうが、何かを想うことができる存在が、愛や友情を持つということを、……今じゃなくても良い、いつか信じてほしい」

つぐむ「何かを想うことができる、存在……」

コンサート会場が燃える、その光景をバックに、零の持つ悲壮的な空気は一層、辺りを包んだ。

零「僕は、……人間じゃないんだ」

つぐむ「なんだって……」

零「疑似人格AIが、有機ヒューマノイドにインストールされた、それが“鈴那零”なんだ」

零の告白に、つぐむは硬直した。

零「僕は人を愛してしまった、人を望んでしまった。 歌を好きになってしまった……。 社長やガンドジムは、僕のために有機声帯を持つヒューマノイドを購入し、“鈴那零”として戸籍を作ってくれた」

つぐむ「社長って……まさか……」

ガンドジムは執拗な攻撃に耐え、未だに立っていた。

零「僕が零として生きられるよう、僕らは互いに避け続けた……だけど……」

零が駆ける!
炎に包まれた友のもとへ!

零「……友情には代えられないさ!」

つぐむ「零!!」

零が指を鳴らす!
空から駆けてくるは、ジェット戦闘機!

零『いくぞ! ブレイヴッ!! インストォォォォォォォォォル!!』

零の体がジェット戦闘機へと消えていく!
そして、風の中で姿を変える二対の翼!

つぐむ「零も……勇者……!」

空を駆ける、銀翼の勇者!

レイ『流星勇者!!レイッ! ガンナァァァーーーッ!!』

三人目の勇者が、姿を表した!

勇者一頑丈なガンドジムでも、すでに限界が来ていた。
装甲はひび割れ、間接はショートしており、見た目にも痛々しい勇者がそこにいた。
ドランビートの最後の攻撃が、ガンドジムへと放たれた……そのとき!

レイ「シルバロンッ! ソォォーード!!」

ガンドジムの間に割ってはいるのは、銀色の勇者!
その姿に驚きを隠せないガンドジム!

ガンドジム「レイ……お前…!」

レイ「さあ、退いて体勢を……」

ガンドジム「何故やってきやがった!!」

ガンドジムの怒声が海に響き渡る。

ガンドジム「お前は人間として生きるんじゃなかったのか!! こんなところで出てくるんじゃねえ!!」

レイ「が、ガンドジム……」

ドランビートのチェーンソーテイルと、シルバロンソードがぶつかり合い、火花を散らす!

ガンドジム「俺は、お前が人間として暮らせる、そのためなら……命だって消す覚悟でいた!! それをお前は……裏切るんじゃねえ!!」

シルバロンソードがはじかれ、宙に舞う!
ここぞとばかりに、チェーンソーテイルを振り上げるドランビート!

レイ「そんな覚悟の上の友情なんて……」

――銀翼が駆けた。

それは、つぐむの目にも全く見えないほどの、“高速”であった。

はじかれたシルバロンソードを、信じられない速度で拾い上げるレイガンナー!
チェーンソーを振り上げたそこに、レイガンナーの姿はない!

レイ「そんな友情……願い下げだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

シルバロンソードは、ドランビートの頭を確実に貫いた!
しかし、尚暴れまわるドランビートに、最後の手段を使う!

レイ「つぐむ君! “契約合体”を!」

つぐむ「あ、ああ! ――契約、合体!!」

つぐむの口座から、三万円が差し引かれる!
彼方から飛んでくるは、スペースシャトル!!
レイガンナーの体がスペースシャトルへと組み込まれ、新たな勇者が現れる!

レイ「彗星勇者……!」

白く煌めく大翼!

レイ「スタァァァーーレイィッ!! ガンナァァァァーーー!!!」

スターレイガンナーが、シルバロンブレードを構える!

レイ「シルバロンッ!! マッハスラァァァァァッシュ!!!」

ドランビートが、瞬く間に寸断された!
四散するドランビート!
輝く白い翼が、ガンドジムを助けた!








戦いが終わり、レイは零へと戻っていた。

零「今日は、君にすべてを打ち明けられてよかったよ、つぐむ君」

零はそう言い、ギターをまた肩に下げた。

零「……また呼んでくれ、すぐに駆けつける」


そう言って、零は去っていった。


つぐむ「……零が勇者なのはショックだったけどさ」

傷ついたガンドジムの横で、つぐむは今日の出来事を振り返っていた。

つぐむ「でも、ガンドジムと零が分かり合えたんだから、よかったのかな」

ガンドジム「……あいつの体は、あと五年しかもたないんだぞ」

零「えっ……」

ガンドジム「有機ヒューマノイドは、人間と違って次第に駄目になっていく。 ……勇者になれば、維持装置の関係で、さらに短くなる」

零の悲壮とは、このことだったのか。
つぐむはそれを知ってもなお、確信したことがあった。

つぐむ「でも、自分の命を削ってでもガンドジムを助けようとした零の友情って、本物なんだね」

ガンドジム「……そうなのかもしれないな」

沈む夕日の中、勇者も、雇い主も、また一つ成長した。



駄悪企業デベロッター。
その会議室で、醜く笑う男がいた。


???「こわっぱ勇者どもが一人前の顔をしおって……」

手元で揺れるワイングラスが砕ける。

???「あの時の借り……今度こそ返してくれよう…平野研一…!!」



戦え勇者企業!
負けるな戦士、スターレイガンナー!


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最終更新:2009年12月06日 13:32