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月帝ノ唄

其ノ三「ツバキとリユウ」


PM2:10、私立路掛学園高等、屋上。
昼時でありながら、辺りには誰一人いない。瑠那以外は。

瑠那「……あたしが…戦う理由………」

瑠那は先日の対侵略者戦を思い出した。
猛禽類の翼を持った百足型侵略者に月帝の攻撃は全く当たらず、苦戦した。
そこに現れたのが2年B組学級委員長の星野昴と、その乗機「星神」だった。
昴と星神は瑠那と月帝があれほど苦戦した百足型をいとも簡単にあしらってみせたのだ。
それで瑠那の中に「自分でなくても侵略者を倒せるのではないか」という考えが生まれた。

???「あれ、月乃輪さん?どうしたのこんな所で?」
瑠那「あ、立花…さん?」
椿「椿でいいよ。で、何か悩んでるみたいだけど?」
瑠那「うん。あのね……」

瑠那は話した。月帝の事、マンゲツの事、蜘蛛型の事、百足型の事、星神の事……。
星神のパイロットが昴であることは黙っておいた。彼女は学級副委員長。恐らくショックを受けるだろうと思ったのだ。

瑠那「…でね、ふと思ったんだ。あたしが戦う理由って何なのかなぁ、ってさ」
椿「うーん……瑠那ってさ、今恋してる?」
瑠那「えっ!?」

椿がいつの間にか自分を呼び捨てにしていることもさることながら、椿の突然の質問に瑠那は少し焦った。
その反応を見た椿はニヤリと笑ってこう言った。

椿「あるんだ」
瑠那「…うん、多分……」
椿「そりゃあ、恐らく自分も相手も無自覚、ってタイプね。それよ」
瑠那「え?」
椿「だから、瑠那が戦う理由。多分瑠那には守りたいモノがあるんだよ。自分で気付いてないだけでさ」
瑠那「守りたい……モノ…」
椿「そ。それを見つけだすのは瑠那自身。あたしにできるのはここまでよ」
瑠那「ありがとう、椿。なんかちょっと自信出てきた」
椿「よし。じゃ、あたし親戚の法事だからさ。先に帰るよ」
瑠那「うん。また明日ね」


その日の放課後、瑠那の足取りは軽かった。

瑠那「いやー、思い切って話してみるもんだね。でも、あたしが守りたいモノ……かぁ」

瑠那は立ち止まり少し考えてみた。

瑠那(お父さんかお母さんかな?それともじーちゃん?もしかしたら人じゃなくて物かも…)
秦月「瑠那、急に立ち止まって何やってんだ?」
瑠那「あ、秦月。いたの?」
秦月「ひでぇな。さっきからいたじゃねえか」
瑠那「あ、そうだっけ?」
瑠那(守りたいモノ……まさかね)

その時、黒い服を着た男が悲鳴を上げながら走ってきた。

秦月「どうかしたんですか?」
男「はっ花が、花の化け物が……!」
瑠那「侵略者!」
秦月「間違いねぇな。あなたは逃げて」
男「は、はい……!」

男はほぼ四つん這いの姿勢で逃げ出していった。

瑠那「来い、月帝!」
秦月「…お前なに叫んでんだ?」
瑠那「えへへ、星野君に影響されてちょっとね」
秦月「やれやれ」

そんなミニコントをしている内に月帝とマンゲツが現れた。

マンゲツ「いきますよ、瑠那様。装甲変形!」
瑠那「行こう、月帝!」

そして、白い巨人が舞い降りた。
その直後に、巨大な花が出現した。侵略者である。

瑠那「おう、今日は花型か。いいねぇ」
秦月「言ってる場合か、バカ」
瑠那「はいはい。じゃ、その綺麗な花びらむしり取ってやるわよ!」

言うが早いか月帝は花型の花びらを掴み手始めに二枚むしり取った。

瑠那「はい、次!……ん?」

次に掛かろうとしたとき、瑠那が花の中に何か見つけた。
真っ白な胸像。しかし、瑠那はその胸像の顔に見覚えがあった。

瑠那「…嘘……まさか……椿!?」

其ノ三 完



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最終更新:2009年12月10日 08:29