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月帝ノ唄

其ノ四「カナシミとヨロコビ」



瑠那「嘘でしょ……椿…なの…!?」
秦月「なっ……椿って、D組の立花椿か!?」
マンゲツ『ふむ、どうやら椿さんに寄生した侵略者が花を捕食し現在に至るようですね』
瑠那「そんな……私、戦えない!椿とは戦えない!」
秦月「でもよ……今あいつは侵略者なんだ。倒すしか……」
瑠那「あたしは!椿から教えてもらったの!あたしが戦ってる理由を!」

瑠那は泣きながら力一杯叫んだ。
その隙をついて花型が触手を伸ばしてくる。

花型「クアァァァァァァァァァァァ……」
瑠那「! しまった!縛られた!?」
花型「クアァァァァァァァァァァァ……」
瑠那「……!!」

月帝を縛った花型は月帝を振り回し、ビル街に放り投げた。
そして、その衝撃で瑠那は気を失った。

瑠那(……ここは……?)
???(情けない……戦い一つできんとは……本当にこいつが我の適合者なのか……?)
瑠那(…月…帝……?)
月帝(いかにも。瑠那。貴様は不甲斐ない。戦う覚悟がない)
瑠那(覚悟……)
月帝(貴様は先ほど、友から戦う理由を教えてもらったと言ったな)
瑠那(うん……)
月帝(では、何故戦う?)
瑠那(椿は……私には、守りたい物があるって……それを守りたいから戦うんだって……)
月帝(その守りたい物とは何だ?)
瑠那(分からない……)
月帝(では、駄目だな。それでは貴様はこのまま我と死ぬだけ)
瑠那(そんなこと言ったって……分からないものは分からないわよ)
月帝(見つけるのだ。貴様が守りたい物を見つけたとき、我は貴様に力を貸そう)
瑠那(力……)

秦月「瑠那!おい瑠那!返事しやがれ!!おい!!」

秦月は呼びかけるが、反応はない。
と、花型がツタを寄り合わせ巨大なドリルを作り出した。

秦月「! 瑠那!避けろ!!」
花型「クアァァァァァァァァァァァ……」
瑠那「うおりゃあ!!」



月帝がすんでの所でドリルを受け止めた。
その反動で花型が逆方向に回転しかかっている。
瑠那はそのまま花型を山の方へぶん投げた。
地響きをたてて花型が落下する。

秦月「瑠那!」
瑠那「ごめんね、秦月。あたしってお寝坊さんだからさ」
秦月「…ったく、冷や冷やさせんなよ…」
瑠那「ゴメン……」

瑠那は謝りつつも考えていた。
自分が守りたい物とは何か?
母か、父か、それとも祖父か。
秦月か、昴か。

瑠那「……ああもう!細かく考えるのはやめ!」

何か思いついたらしく、瑠那は大声で叫んだ。

瑠那「聞こえてる、月帝!守りたい物見つかったよ!ちょっとわがままだけど!
  あたし、全部守りたい!パパもママもじーちゃんも秦月も星神くんも椿も地球も全部!
  あたしが守れる物全部守りたい!!」
月帝(……くっははははは!!こいつはいい!そのスケールのでかさ、気に入ったぞ!
  特別に食われた友を助けられる程度に力を押さえておいてやる。存分に使え!)

月帝が口を大きく開いた。
そして、操縦席上部からマイクのような物が垂れ下がってきた。

瑠那「…なるほど、そーゆーわけ?んじゃあ……!」
花型「クアァァァァァァァァァァァ……」
秦月「瑠那!来るぞ!」

花型が再びドリルを作り出し、月帝に飛びかかった。
しかし、瑠那が声を発する方がコンマ一秒早かった。

瑠那「ウワアアアアアアアアアアアア!!」

月帝の口から発されたその声は、花型をばらばらに分解していった。
胸像の椿だけを残して。


瑠那「椿……ねえ、起きてよ、椿!」
秦月「おい、立花!悪い冗談はよせよ、なあ!」

二人の呼びかけも空しく、触れるだけで椿の体は砂のように崩れていく。

マンゲツ「どうやら、侵略者の浸食が異常に早く進んでいたようですね。その結果がこれ……」
瑠那「そんな……じゃあ椿は!?」
マンゲツ「残念ですが……」
椿「……瑠…那…?」


瑠那「! 椿!気がついたの!?」
椿「……瑠那…見つけた…みたいね……あなたが…守りたい…物……」
瑠那「…ちょっと、わがままだけどね……」
椿「……御架付君」
秦月「どうした、立花?」
椿「瑠那、お願いね……この子……強がってるけど……本当は凄く弱いの……」
秦月「……分かった、こいつの面倒は俺が責任もって見る!だから安心しろ」
椿「……そう、それは……よかっ……」

限界が来たのか、椿の体は完全に崩れ去った。

瑠那「……結局、あたしは……椿を守れなかった……」
秦月「…………」

秦月は黙って瑠那を見ていた。見ているしかできなかった。
瑠那の、その悲しそうな背中を見ると、留那に何も話しかけることが出来なかった。
そこに、あの星神が現れた。

昴「君たち、ここで何をしているんだ!」
秦月「委員長……?」
昴「侵略者の大群だ!星神だけじゃあ手に負えない!」
マンゲツ「なんですと!?」


其ノ四 完


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最終更新:2009年12月10日 08:33