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あの戦闘から二日がすぎた。
謎の巨大ロボット同士の対決は、ニュース、新聞、雑誌……
あらゆるメディアで取り上げられ、あっという間に有名になってしまった。


第二話 戦え!真夏の大決戦



「一志~また電話ぁ、八丹羽新聞さんがあんたの話聞きたいって」
「またかぁ?」
一階から、母親が一志へと呼びかけてきた。

謎の巨大ロボットの出現、そしてその戦闘で生き残った数少ない人間として、
あの日以来一志はあらゆるメディアからインタビューを求められた。
おそらくは鋼の家にもインタビュアー達が押しかけているだろう。

「あー、悪いけど断っといてよ。俺出かけるからさ」
二階の自室から母親へと答える。
鋼の様子を見に行かなきゃならない。

あの日、鋼は無事に逃げれていたようだった。
ただそれ以来、姿は見ていない。
鋼の親曰く、部屋に閉じこもっているらしい。
まぁ、いろんなことがあったんだ、当然だろう。

「よっ!と」
ベッドから飛び起き、鏡の前へと向かう。
鏡に向かい合い、服を脱ぐ。
胸の水晶は心なしか昨日に比べて輝きを失っているように見えた。
「あいつも部屋に篭りっきりじゃ体に悪いだろう……」
海にでも誘ってやるか! そう考えた一志はクローゼットを漁りだすと古臭いプールバックを引きずり出した。
「親父のお古だけど……まぁ問題ないわな」
そう自分に言い聞かせ、ポンポンと必要なものを詰めていく。
「スイミングキャップ、水中メガネ、ビキニパンツ……はいいや。直接サーフパンツ穿いてけば良し。
日焼け止め……」
ちっょとの間、ニヤニヤと都合のいい妄想に耽っていたが
首を振り妄想を振り払う。
「よしっ……」
ズボンを下着ごと脱ぎ、サーフパンツに穿き替え
脱ぎ捨てたズボンを再び穿く。
「胸の水晶は……アクセアクセ!
オシャレっぽいし問題なし!」
一人騒ぎながら先ほど脱いだ服を着なおす。
「それに……ブラストロンのこと、ちゃんと話しておきたいしな」
あれから連絡すらないのは、やっぱりブラストロンの事も関係してるんだろう。
「……よっし! 行くか!」
頬を両手で叩き、自室をでる。
階段を降り、リビングを覗くと、母親がテレビを見ながら落花生を食べているところだった。
摘んでは殻を剥き口に放り込んでいく。テレビではあいも変わらず巨大ロボがどうたらと、真面目そうな男が語っていた。
「母さん、海いってくるよ」
「なんか変なのがでたから、それには気をつけるんだよ」
一応は心配してくれているのか、手を合ってくれている母さんを背に
玄関へと向かい靴を履く。
扉を開けるとそこに待っていたのは満天の青空だった。
今日は太陽もそこまで照らしていないのか、暑さもちょうどいい。
「よっし……いくか!」
勢いよく扉を閉め、鋼の家へと向かう。
空には太陽が爛々と輝いていた。

「……会いたくない?」
「ええ……、あの子、一志ちゃんが来たって伝えたら……」
鋼の母親が、申し訳なさそうに一志へと鋼のメッセージを伝えた。
「そう……ですか……。また今度、寄らしてもらってもいいですか?」
「ええ……ほんとごめんなさいね」
母親が深く頭を下げる。
「いえ、こちらこそ急にお邪魔してすみませんでした」
「ごめんなさいね」
鋼の母親が、再び頭を下げ扉を閉めた。
やっぱり、駄目か……。
「……海に、行くか」
一人、海へと続く道を歩いていく。
太陽の光が背へと照りつけてくる。

夏も真っ盛りからか、浜辺には沢山の人がいた。
親子連れでわいわい楽しむ者たち、恋人同士でじゃれあう者たち、そして……
巨大な鰭

「キャァァァァー!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「さっ、鮫だぁぁぁ!!!」
浜辺のあちこちで悲鳴が上がる。
波を掻き分け鋭く尖った巨大な背びれがこちらへと向かってくる。
波を掻き分け、巨大な……5メートルはあろうかという背びれがこちらに向かってきた。
その表面は鉛のごとく鈍く輝き、波の下に光る二つの目は、海面からでも分かるぐらいに爛々としていた。
「ブゥゥラァァストロォォォン……」
水中から声がする。
ボコボコという空気を排出する音にかき消されながらも、一志の耳にはその声が確かに聞こえていた。
ブラストロンを呼ぶ声が。

「くそっ……あれもなのかよ!」
巨大な背びれがこちらへと向かってくる。

「ぎゃああああああ!」
「たっ、助け……!」
次々と人を飲み込み、鋭利な背びれで切り裂いていく。
青い海が赤く染まり、鮫の二つの眼が爛々と輝く。
「ブゥゥラァァストロォォォン……」

逃げ惑う人々の波を掻き分け、巨大な背びれと向かう。
「オオオオオオオオオオオオオッ!!」
握りこぶしを作った右手を胸の前へと持っていく。
そして、そのまま海へと飛び込んだ。

光が、とてつもない光が海から噴出した。
海の青をも塗りつぶすとてつもない光。

逃げる人々の背面で、光が弾け、
巨大な闘士が姿を現した。

「うおおおおおおおおおおおっ!!」
太ももまである海水を物ともせず、ブラストロンは巨大な背びれへと向かっていった。
「てぇぇぇぇい!」
海底の影に向かって拳を振り下ろす。
ドパンと音をたて水しぶきが宙に舞った。
が、その拳が影を砕くことはなく、むなしく海面へと突き刺さるだけだった。
「くそっ、相手のホームじゃこっちが不利だ……ぁぁあ!??」
突然、左足がもの凄い勢いで引っ張られた。
どうやら敵は、ブラストロンを完全に海底へと引きずり込もうとしているらしい。
「このっ……!」
足に力を入れ、なんとか耐えようとするが、ズルズルと深場へと引きずられていく。
左足へと食らいついている影へと拳を叩き込むが、大量の海水のせいであまり効果はないようだ。
「くそっ、こっちはまだ慣れてないんだ、引きずり込まれてたまるかぁぁっ」
左足を全力で蹴り上げる。

バシャァ

水しぶきと共に、巨大な背びれの小隊が露になる。
流線型の体、ピンと張った背びれ、尖った頭部からは足へと噛みつく鋭い牙……
その姿はまさに巨大なサメだった。
そのまま蹴り上げた足を、かかと落としの要領で海面へと叩きつける。
大量の水しぶきがと着水音が響き、その勢いで、足から巨大サメが離れた。
海水も、物凄い圧力が掛かるとコンクリートのように硬くなる。
叩きつけられた衝撃からか、巨大サメはのろのろとブラストロンと逆の方向へと泳ぎだした。
「逃さんっ」
右手を天へと掲げ、強く念じ、叫ぶ。
「ブラストウィィィップ!」
掲げられた手の中に光が集まり、光り輝く鞭となった。
「とぉぉりゃぁ!」
鞭がしなり、巨大サメの背びれへと巻きつく。
「おおおおおおおお!」
巻きついた鞭を力いっぱい手繰り寄せる。
巨大サメのもがく振動が、ブラストロンの手を通じてビリビリと一志の手へと伝わってくる。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ッ……!」
手繰り寄せるたびに、巨大サメがもがき暴れる。
「どっせい!」
手繰り寄せた鞭を背中に担ぎ、背負い投げのごとく巨大サメを陸へと投げ飛ばす。
「ゴガァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ……」
海から一気に数十メートルも離れた陸地へと投げ飛ばされ叩きつけられる。
その衝撃に巨大サメは悶え、そして動かなくなった。

「こいつも、俺を狙ってきたのかよ……」
ブラストロンから降り立った一志は、敵の正体を確かめるためにサメの元へと歩き出した。
だが、先ほどまであった巨大ザメの姿は消え、先ほど襲われた人達の死体が残っているだけだった。



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最終更新:2009年12月12日 22:03