某商社。昼休みを告げるチャイムが鳴りました。
神代さんが席を離れ、私の所にやってくると、声を潜めて告げました。
神代「本日終業後、基地に集合」
鈴村「……わかりました」
神代「おぉぉぉぉしっ!そうと決まれば今日の昼は豪勢にトンカツよぉ―――!!」
神代さんは大声で独り言を言いながらオフィスを出て行きました。
ハァ、ついにこの日が来てしまった。さようなら清廉潔白な日々……。
第十五話「野望の女神たち」
さて、私の自己紹介から聞いていただきましょうか。
鈴村遥19歳。今の会社には熱烈なスカウトを受けて、高校出てからすぐの入社となりました。
バリバリのキャリアウーマンです。進学にも興味はあったけど……
ミネルバ「ユノォッ、あんたはユノだって何べん言ったらわかるの!?」
ユノ「なんでナレーションの内容まで伝わってるんですか」
ミネルバ「気配よ、気配でわかるわ!」
この人は私の先輩社員で今では部下の神代瑠美さん。職場ではごく普通のOLですが実は……
ミネルバ「ミーネールーバー!!」
はいはい。副業で日本征服をもくろむ悪の天才科学者、Dr.ミネルバもやっています。
今日は彼女が密かに建造した巨大ロボット、オリンポスでいよいよ計画を実行に移そうというのです。
今までは何をしてたのかというと、異星人の襲来で世界が大変な時期だったのでさすがに自粛して……
ミネルバ「違うわ!異星人に合わせて正義のロボットがぞろぞろ現れたから、ちょっと様子を見ていただけよ!
で、テンサイダーとテッケンオーが倒れた今が狙い目と動き出したってわけ!」
ユノ「ドクター、言ってて情けなくなりませんか?」
ミネルバ「う、うるさい!それよりユノ、エンジンの調子はどう?」
ユノ「サンライトオーバーエンジン順調に稼動中。出力、問題なし」
ミネルバ「よぉし、いくわよぉぉぉぉ、絶対征服!!」
ユノ「……オリンポース」
悪のスーパーロボットオリンポス、発進です。
オリンポスが飛来して街中に着地する。突然現れた巨大ロボットに慌てる群衆。
ミネルバ「さぁて、街に出てきたけどどうしようか、ユノ?」
ユノ「したいことがあって出てきたんじゃないんですか?」
ミネルバ「そうね、それじゃまずゲンカイザーから血祭りに上げて、あっ、そのためにはまず、街を破壊して
相手を呼び出さなきゃ!」
ユノ「いきあたりばったり……」
首相官邸。国会の休憩時間に慌てて抜け出してきた尽たちが、モニターに見入っている。
尽「何だあのロボットは……」
さくら「見たところ地球のメカのようですが……」
電話が鳴り、新村が取る。
「はい、新村です。……何ですって?総理、現地にウツノイドです」
尽「!あのロボットは、ウツノイドの出現を予知したのか?」
ユノ「言っておきますが、偶然ですから」
オリンポスから見える位置に出現したウツノイド。
ミネルバ「何よあれ?空から降りてきたけど」
ユノ「ダウナー線を感知。ウツノイドです」
ミネルバ「何ィ?おのれ許さん!私は24年も前から日本を狙っていたのよ!?
今さら異星人なんかに渡さないわ!」
ユノ「動き出したのは向こうが先ですけどね」
ミネルバ「うっさいわね!ミサイル発射よ!」
ユノ「了解。オリンポスミサイル発射」
ドドドドゥ!
オリンポスの腹部から数発のミサイルが飛んでいき、ウツノイドに命中する。しかし。
ミネルバ「そんな!オリンポスミサイルが効かない!?」
ユノ「……爆薬ケチるからです」
ピカッ!ピカッ!ドドォゥ!!
ウツノイドが光線を乱射し、周囲のビルが崩れる!
ユノ「これじゃ近づけませんね。ミサイルも効かないし……どうします?」
ミネルバ「ぬぅぅ……こうなれば、オリンポスアァ――ックス!」
ガシャン。オリンポスが戦斧を構える!
ユノ「近づけないのに格闘戦用の武器なんかどうするんですか?」
ミネルバ「こうするのよっ、でぇぇりゃぁぁぁぁっ!!」
オリンポスは大きく振りかぶって斧を、投げた!
斧が飛ぶ!あさっての方向へ!
ユノ「ちょっとドクター、自棄を起こさないでください。武器を投げちゃうなんて……
しかも外れてれば世話無いですよ」
ミネルバ「甘い!まだまだこれからよ!」
ユノ「……?」
ウツノイドの横を通り過ぎていったオリンポスアックスは輪を描くようにUターンし、
戻りしなにウツノイドの腕を切り落とした!
ミネルバ「見たか!斧だろうが鎌だろうが、L字型の刃物はみーんなブーメランになるようにできてるのよ!」
ユノ「へぇー、すごいですね。……で、あれ、受け止められるんですか?」
ミネルバ「へ?」
オリンポスアックスは回転しながら一直線に。
ミネルバ「うわぁ―――、斧が、斧が飛んでくるわ!!」
ユノ「後先を考えてくださいね。ハァ……もっと親孝行すればよかった」
ゴビ―――……ン。グラァ、ズシ――ン。
アックスが頭部に直撃し、オリンポスは倒れた。
ミネルバ「アイタタタ……」
ユノ「当たったのが柄の部分で助かりましたね。刃だったら真っ二つでしたよ」
ミネルバ「フッ、運も実力のうちよ!さぁオリンポス、反撃開始!」
ユノ「そうもいきません。今の衝撃で電子頭脳がやられました」
ミネルバ「な、何ィ!?」
ズン。ズン。ズン。ウツノイドが近づいてくる!
ユノ「万事休すですね。戦闘は無理でも撤退はできますけど」
ミネルバ「撤退ですって?ミネルバ印の辞書にそんな言葉は無いわ!」
ユノ「そんな辞書はただの落丁です……」
と、そこへ。
ヤブル「うおぉぉぉぉぉっ待ァちやがれェェッ!!」
三機のカイザーマシンが飛来する!カイザーマシンは一つになり――
ヤブル「ゲェェェェェンカァァァァァイザァァァァアアッッ!!!誰か知らんが動けないみたいだな!
ここは俺に任せて逃げろ!」
ユノ「あ、ドクター、ゲンカイザーですよ」
ミネルバ「おおっ、いい所に来たわね!ここであったが百年目ぇっ!!」
ユノ「だから闘えないんですって。もう撤退しますよ。いいですね?」
ミネルバ「ちっ……わかったわよ!覚えてなさいゲンカイザー!次こそその命貰うわ!!」
ユノ「違うでしょ。……撤退します」
オリンポスが去っていく。
ヤブル「行ったか。さぁて、ここからは俺が相手だぜ!!」
ピカッ、ピカッ!ボォンボォン!!ウツノイドの光線がゲンカイザーを襲う!
ヤブル「くっそぉぉぉぉぉっ!近づけねえ!?」
「私に任せろ!」
ヤブル「秀一か!?」
秀一「シャクトゥーソ――――ドッ、メテオォォォォォル!」
ドォォォォォン!!天空より降下してきたヨユウダーに切り裂かれ、ウツノイドは破壊された。
秀一「余裕……綽々!」
リ・タイア「ずいぶんとあっさりやられおったな、フ・カノー」
フ・カノー「恐れながら皇帝陛下。今回のウツノイドはギバップが忘れ形見。データ採集のための
捨て駒にございます」
リ・タイア「フム。して、そのデータとやらは?」
フ・カノー「……残念ながら。所詮は彼奴のウツノイドという所ですな」
リ・タイア「フフフ、相変わらずうまく言い逃れるものよ。まあいい、貴様には期待しておるぞ、フ・カノー」
フ・カノー「ハッ。光栄に存じます」
尽「結局、あの赤いロボットは何だったんでしょう?我々より早くウツノイドの出現を察知した」
新村「公安が動いていますが、なかなか掴めません。ゲンカイザーやテッケンオーのときはすぐに
突き止められたのですが……そう、どちらかといえば」
尽「……テロボットを思い出しますか?」
新村「はい」
尽「そっちの可能性も、考えておかなければいけませんね」
ミネルバ「ぶぇっくしょい!!……誰か噂してんなぁ?おっちゃん、皮とつくね6本ずつ頂戴!」
屋台のおっちゃん「姉ちゃん、もうやめといたら?」
ミネルバ「うっさいなぁ、もうやけ食いよ!ちっくしょうあそこでウツノイドさえ出てこなきゃなぁ……
ヒック。ユノー酒が無えぞー!」
ユノ「あんまり飲むと電子頭脳の予算無くなりますよ?」
ミネルバ「チェッ……世知辛いなぁまったくよぉ!」
ユノ「誰が見ても自業自得です……」(つづく)
最終更新:2011年12月10日 21:58