アットウィキロゴ


新聞社、TV局、出版社。あらゆるメディアにある怪情報が流れ込んだ。

「ゲンカイザーとヨユウダーはただのロボットではない。南極で発掘されたウツノイドである」

町一つ消滅させたこともある謎のロボットをかばい、地球人の乗るロボットを攻撃。それだけでも立場が
危うくなっているゲンカイザーにとって、それは致命的な事実だった。
人々は大混乱に陥っていた。

平「チーフ、こんな報道してていいんですかね?ゲンカイザーは地球の貴重な戦力じゃないですか。
  それを……」

寺門「なに、やばくなったら視聴者の意識は変わる。そのときに流れに乗ればいいんだ。あの時に学んだ
   もんだと思ってたがな?」

あの時。日本がテロボットによって転覆しかかったとき、正に「流れ」は土壇場でひっくり返った。

平「……ギリギリになってからじゃ、間に合わないかもしれないじゃないですか。そうならないように流れを
  『作る』のが、俺らの仕事なんじゃないんスか?」

寺門「思い上がるんじゃねえ。俺達は視聴者の見たいもんを見せるだけだ」

静「あ、チーフに平くん。驚きましたよねぇ、ゲンカイザーが宇宙人のスパイだったなんて」

平「……」

寺門「な?今はその時じゃねえんだ」


ヤブルと秀一は官邸に招かれ、尽と対策について打ち合わせをしていた。

秀一「参りました。わが社の株が大暴落です」

尽「これ以上の混乱を避けるためにも、ゲンカイザーとヨユウダーはしばらく出動しない方がいいな」

ヤブル「すまねえ、俺が吸血機をかばったりしなけりゃ……」

尽「確かに、軽はずみではあった。でも、君が正しいと思ってしたことなら責められはしないよ」

秀一「しかし、その間は誰が?テッケン君も回復していませんし」

尽「……まだ彼がいる(忘れてたけど)」


第18話 「赤と黒」



戦艦アキラーメ。皇帝の間に、3体のウツノイドが待機する格納庫の様子が映し出される。

リ・タイア「今回はずいぶん念入りではないか、フ・カノー?」

フ・カノー「クロイツ(※バンパイオーの敵のことだよ)の起こした騒ぎを利用して、地球人の猜疑心を
      煽ってやったのです。当分ゲンカイザーとヨユウダーは出てきません。そして敵が弱っている
      ときこそ全力で叩き潰すのが我が流儀」

リ・タイア「フフフ、宣教師どもも少しは役に立つというわけか。面白い、行け」

フ・カノー「ハッ」


コンコン。また誰か来たらしい。

テッケン「今度は誰だよ?俺は誰とも会いたく無ぇ」

……

テッケン「今鳴ったのって、窓?」

俺は飛び起きてカーテンを開けた。誰もいない。

テッケン「当たり前だ、ここ7階だぞ。鳥か何かさ」

???「ハハハハ!いいザマだなテッケン!!」

テッケン「何ィ!?」

上からロープを伝って侵入してきたのは――
「リュウ!てめぇ何しに来やがった!?」

リュウ「何しにとはご挨拶だな。見舞いに来てやったに決まっているだろうが。ほれ、花だ」

テッケン「お前が?……ってこれ鉢植えじゃねえか!」

リュウ「せいぜいゆっくりと休んでいるがいい。お前が戻ってきた頃にはテンサイダーの天下、乙女さんの
    ハートも私のものだ!」

テッケン「……勝手にしろよ。地球をよろしくな」

リュウ「ほぉ、素直ではないか。何だか気味が悪いが、よろしい。ついでにそちらも引き受けてやろう。
ではお前はもう出てくるなよ?」

テッケン「……ああ」

リュウ「よし、用はそれだけだ。じゃあな!」

テッケン「お、おい!」

リュウが来たときと同じように窓に消えた。慌てて窓の外を覗くと、平然と地面を歩いていくリュウと、着地用マットを片付けている手下達が見える。

テッケン「まったく元気な奴だぜ……ん?何だこりゃ」

鉢植えの隣に小さな花束がある。リュウが置いていったのか?
花束にはカードが付いていた。

『お前も限界突破だ!! ヤブル
 君ならすぐに立ち直ると信じている。 涼茂秀一
 早く良くなってね 乙女』

「何だよあいつら……プレッシャーかけやがってよ……」

3人とも、人に苦労を強いる奴じゃない。逆に人の分まで自分が背負い込もうとするタイプだ。それがこんな事を書いてくるのは……

俺を仲間だと、認めているからだ。

「……くそっ、情けねえ……」

気が付くと、俺は遠ざかるリュウの背中に向けて叫んでいた。

「リュウ、さっきの話はナシだ!俺は必ず戻る!待っていやがれ!!」


背中にテッケンのダミ声が響く。

リュウ「フッ、世話の焼ける奴だ……乙女さんの依頼でさえなければ、本当に戻ってこなくていいのだが」

ゴァァン!

「おっと、何だ?」

見上げればそう遠くない所に見慣れない赤い巨大ロボット。

「えーっとテッケンはあの通りゲンカイザーヨユウダーもあの始末で……」

チーン。頭の中で勘定が終わった。

「フッ、ハハハハハ、残念だったなテッケン!やはり貴様の戻ってくる場所は無い!依頼を果たした上で
 敵も倒したなら、乙女さんのハートは完全に私のもの!!」

リュウは携帯を取り出し、かけた。

「じいや、テンサイダーの修理は終わっていたよね?」

じいや「新兵器ビッグミサイルの搭載から漆塗りの処理まで、すべて完了しております。
    今回は沈金塗りにて仕上げさせてございますぞ」

「素晴らしいよじいや。ならば行こう、いでよっ、テェンサイダァァァァァァァッ!!」

ボゴォォォン!大地を割ってテンサイダーが現れる!

「雷場ある所正義の姿あり!薔薇の騎士テンサイダー、ここに降臨!!」

ババーン!リュウが乗り込むと、テンサイダーはポーズを決めた。


リュウの見た赤いロボット、それはオリンポスだった!

ミネルバ「うんうん、見事に直ったわね!」

ユノ「OLの給料で巨大ロボット直しちゃうんだから、本当は天才なんでしょうに……」

ミネルバ「何か言った?」

ユノ「……博士は天才ですねって言ったんです」

ミネルバ「何を今更ッ!さあゲンカイザー達の来れない今、街をぶっ壊すのよ!オリンポスメーイス!!」

オリンポスが巨大な棍棒を構える!

ユノ「破壊活動と日本征服の因果関係がよくわかりませんけど……あっ、ちょっと待ってください、地面から
   何か……」

ユノが言い終らないうちに、オリンポスの視界にテンサイダーが現れた!

ミネルバ「何あれ?なんか悪そうなロボットねぇ」

リュウ『やあやあ悪のロボットよ!このテンサイダーが成敗してくれる!』

ミネルバ「何?正義なの?」

ユノ「そういえばあんなのもいたような……出番少ないからよく憶えてませんけど」

リュウ『黙れっ!このテンサイダーは闘う芸術品。やられてもすぐ直る単純なロボットとは違うのだ!』

ミネルバ「それって要するに、一回やられた後ずーっと修理してた、ってこと?」

ユノ「それで出てこなかったんですか……」

ミネルバ「あーあ、なんか小者っぽいのが残念だけど、まあいいわ。オリンポスに最初にやられる
     正義ロボットは、貴方ってことにしてあげ……」

リュウ『テンサイダーミサイル!!』

ドワッ!

ユノ「きゃっ、撃ってきました」

ミネルバ「ちょっとあんた、こっちの名乗りが途中でしょ!様式美ってもの知らないわけ!?」

リュウ『フッ、悪党は黙って私にやられれば良い。これぞ雷場の様式美!!』

ユノ(なんだか博士と似た者同士みたいです)

ミネルバ「アッタマ来た。あんたには特別にみっちりと教えてあげるわ、悪の美学を……!?」

爆発。地面が揺れる。

ミネルバ「今度は何!」

ユノ「ウツノイドです。それも3体」

ミネルバ「まぁたあいつらかぁッ!邪魔しくさってぇ!」

ユノ「どこも今が狙い目ってことですよね。そういうことですからテンサイダーさん、ここはひとまず休戦と
   いきましょう」

リュウ『フン……よかろう』

ミネルバ「こらユノ、勝手に……ま、いいか。黒いの、足引っ張んじゃないわよ?」

リュウ『こちらの台詞だ。いくぞ、トァァァァァッ!!」


フ・カノー「クッ、また奴か。あの赤いロボット、一体何者なのだ!?」


ウツノイドの吐いた火炎を、テンサイダーがひらりとかわす。

リュウ「フッ、そんな攻撃に当たるテンサイダーか!」

避けた炎で火災が起きているのだが。

リュウ「テッケンが戻ってくる前に、いい所を見せなければならんのだよ!」

シュガガガガガッ!!

ウツノイドの一体に向け、テンサイダーの怒涛の攻撃が始まった。機関銃で撃たれたかのようにウツノイドの体が踊る。
さらに決めの回し蹴りがウツノイドを天高く放り上げる!

リュウ「そぉれぇっ!新・科学力アタァ――――ック!!」

テンサイダーが腰を落として構えると胸のアーマーが開き、巨大なミサイルが姿を現した!

リュウ「ビッグ・ミサイル発射ーッ!!」

ヒュゥ――――――ドォォォォォォガァァァァァァァン!!

ウツノイドは空中で大爆発を起こした。

リュウ「押忍!……見ていただけましたか乙女さん!」

テンサイダーはポーズを決めた。ウツノイドの破片の落ちる先も見ないで。

ドォン!ドォン!ドォォォォォォォン!!

地上でも爆発が相次いだ。


残る2体のウツノイドを相手にしながらも、ミネルバは余裕の表情を見せていた。

ミネルバ「フッ、ミサイルが必殺武器のロボットに主人公無しってね!ユノ、こっちはあれを使うわ!」

ユノ「あれじゃわかりません」

ミネルバ「勘の悪い子ね!『フラッシュ』よ!」

ユノ「……いいですけど、帰りの分のエネルギーは残してくださいよ?」

ミネルバ「うだうだ言ってないで、専用BGMスタート!」

ユノ「ポチッとな」

コクピットの内外に勇壮なテーマ曲が流れ始め、オリンポスの額に光が宿る!

ユノ「サンライトオーバーエンジン、フルスピン」

ミネルバ「いくわよぉ……オリンポス・フラァァァッシュ!!」
ユノ「フラーッシュ」

カッッッッ!!

オリンポスが某赤い宇宙人ヒーローよろしく両手を額に当てたその瞬間、辺りは光で満たされた。
そして次の瞬間には、2体のウツノイドは消滅していたのだった。

ミネルバ「やったわ……ふっ、これがオリンポスの真の力よ!」

ミネルバが余裕の表情で髪をかき上げる。

ユノ「あの、周りの建物もごっそり無くなってますけど……」

ミネルバ「うん、邪魔者と一緒に街も破壊できて一石二鳥!あ~気分いいわ。ねえ、何か美味しいものでも
     食べに行こっか?今日は奢っちゃう!」

ユノ「え、本当ですか?それじゃ雑誌で気になってたスイーツのお店があるんですけど……」

ミネルバ「モツ煮込みの旨い店知ってるんだ。連れてったげる!よ~しそうと決まれば撤収~!」

ユノ「はい、期待した私が馬鹿でしたね……」


飛び去るオリンポスを、空の飛べないテンサイダーでは追うことが出来ない。

リュウ「待て、まだ私と貴様との決着がついておらんぞ!」

しかし一仕事終えたオリンポスは100%帰宅モードであった。振り向きもせずに小さくなってゆき、やがて夕陽に溶けて消えた。

リュウ「おのれ、次こそ必ず倒して見せるぞ!……さてじいや、回収を頼む」

結局こいつもひと暴れして満足なのであった。


フ・カノー「馬鹿な、一体この星にはどれだけの戦力があるのだ!?」

リ・タイヤ「フ・カノー」

フ・カノー「ハハッ、申し訳ございません。ただちに次の策を練ります……!」


翌朝、会社で会った神代さんは不機嫌でした。あ、モツ煮込みは美味しかったです。

「ユノ、ちょっとこれ見て」
そう言って神代さんが差し出したのは、今朝の朝刊でした。

鈴村「会社では本名で呼んでください。……ああ昨日の……助かりましたね、街を壊したのテンサイダーに
   なってますよ」

神代「喜ぶんじゃないの!悪の実績が横取りされてるのよ!」

やっぱりこの人の価値観はよくわかりません。


さくら「今度はテンサイダーが出動自粛……」

尽「テッケンくん早く戻ってきてくれ……」


リュウ「何でだァ――――――ッ!?」
この男は一体いつになったら気付くのか。(つづく)


次回予告
鍛造「心身ともに立ち直って遂に帰宅した拳児を、修理の完了したテッケンオーが待っていた。
   そこへ現れるウツノイド。しかし、拳児は出撃を拒むのだった。なぜか?答えは

   次回スーパーぼくロボ大戦第19話『誕生・真の格闘神機!甦れ俺のテッケンオー!』

   こいつを見てくれ」



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年12月10日 21:54