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 戦艦アキラーメに、ウツノイドとは違うロボットが運び込まれていた。

フ・カノー「ほう、完成したか」

死の商人「外装の再現には苦心致しました。我々にとっては骨董品も同然ですから」

フ・カノー「ご苦労。で、中身まで骨董品ということは無いであろうな?」

死の商人「ご心配なく。中は私どもの最新技術で作らせております。――ゲンカイザーを出撃不能に
     追い込んだ作戦といい、フ・カノー閣下の知略にはまったく感服させられますな」

フ・カノー「地球人が愚かなだけよ」


 首相官邸、閣議室。毎週火曜に行われる閣議の後、閣僚たちの自由な討論や情報交換などが行われる、閣僚懇談会と呼ばれる場である。

衛「財津原さん、防衛庁の予算もっと回してくださいよ」

財津原「馬鹿を言うな、予算の前に国民が敵に回るわ。だいたい結果――新兵器の方はどうなってる?」

衛「うーん、自衛巨人とかMCとか、いろいろやっていますが、後手に回ってますからねぇ、まだ時間が……」

内海「まったく、いつまで民間のロボットに頼っている気なんだか……」

衛「新兵器がそうポンポン出来上がるわけないでしょう!勘弁してくださいよ」

諭子「民間のロボットといえば……ねえ民荷くん。なんかほとんどが出動自粛になってなかった?」

宙「ゲンカイザーとヨユウダーはもとが異星人製だから心配されて。雷場コンツェルンのテンサイダー
  が街に被害を出して、だな」

諭子「さすが曽良くん、詳しいね。それで、何が残ってたっけ?」

尽「なんとかテッケンくんが立ち直ってくれて、テッケンオーが」

諭子「って、それだけ?」

宙「吸血機とか、赤いロボットとかは敵じゃないんだろ?」

尽「まだ決められる状況じゃないよ。公康、赤いロボットのことは何かわかってないか?」

公康「いや。それよりもヴァイスキルヒェだ。吸血鬼退治を第一に掲げているが、最近現れたばかりの吸血機
   相手に大量の戦闘ロボットなど、対応が早すぎるだろう」

尽「吸血機そのものと何か関係が?」

公康「そういう見方もできるし、何かの隠れ蓑にしているだけかも知れん。何にせよ、ゲンカイザーたちの
   出動自粛は奴らへの攻撃がきっかけだ。奴らの正体次第では、撤回させることができるかもしれん」

尽「だと、いいけどな」



 閣僚が解散し、尽は執務室に戻って仕事をしていた。
異星人の襲来が起きてから、野党もだいぶ協力的になった。こちらの法案も対異星人に関わるものがほとんどで、可決されなければ国そのものが危険であることを、野党も理解してくれているのだ。とはいえ。

尽「テロボットに続いて異星人。結局戦いだけで、僕の任期終わるかも」

議員になる前、吹けば飛ぶような町工場で働いてきた尽には、変えたい現実がある。前首相の遺志や仲間達の力で政権を獲得し、それを実現できると喜んだ矢先。そこにあったのは戦いの連続だった。

さくら「しっかりしてください。どの内閣だって総理のしたいことが全てできたわけではありません」

尽「ごめんごめん、他に弱音を吐けるような人、いなくてさ」

「……私だって、聞きたくはありません」
唯一の相手として選ばれたことをちょっとだけ喜びながらも、さくらの口からはそんな言葉が漏れた。
それも事実だ。民荷尽に愚痴は似合わないと思う。

尽の議員ブレスが鳴ったのは、そのときだった!

尽「官房長官。異星人ですか?」

片原『いいえ総理、もっと悪いかもしれません……テロボットです』

尽「何ですって!?」


 テロボット。かつて日本を襲い、政府を転覆寸前まで追い込んだ人型ロボット兵器。
総理大臣秘書官室に設置された大型ディスプレイには、確かにその姿が映し出されていた。

新村「テッケンオーが出動しています」

束の間ディスプレイに見入っていた尽が口を開く。
「……これを国民に見せちゃいけない。さくらさん、報道規制を頼む」

「わかりました」
さくらはその場を離れて受話器を取り、どこかに電話をかけ始めた。

テロボットを送り込んできたのは何者か。
かつてテロボットを操っていた尽たち英武チルドレンの義兄、英武征界は既に逮捕されている。
残る可能性は彼の後ろにいたスポンサー、日本と歴史的な因縁を持つ国、隣国。

新村「しかし、マスコミを抑えても現場には多くの目撃者が」

尽「現場は僕が押さえます!」

新村「は?まさか、いえ、待ってください総理、テッケンオーが既に……」
尽の言葉の意味に気付いた新村は、当然のように彼を止めようとした。

尽「やらせてください。……あいつら、今度ばかりは許さねえ!官房長官、承認を!」

片原「新村さん、私もこの状況を収められるのは、総理だけだと思いますよ?総理、セイカイオーの出動、
   承認いたします」

尽「ありがとうございます。行ってきます!」



 テッケンオーは既にテロボットとの戦闘に突入していた。ミサイルや機関砲で遠距離から攻撃してくるテロボットに、テッケンオーは押され気味だ。しかし、テッケンオーを追いつめているのは武装よりもむしろ。

テッケン「テロボットって、やっぱり地球人が乗ってんのか。くそっ、やりにくいぜ!」

キラン。シュゴォォォォォッ!!
そこへ轟音とともに白い機体が飛来し、テッケンオーとテロボットの間に割って入った!

テッケン「こいつは、セイカイオー!民荷尽なのか!?」

尽「テッケンくん、君は下がっていてくれ。こいつは、僕にやらせて欲しい」

テッケン「何だと?バカ言え、このテッケンオーが、闘いを政治家なんかに任せられるか!」

尽「政治家だから、頼んでる。これは僕の仕事だ」

ダダダダダダッ!
テロボットの砲撃がセイカイオーを襲った。セイカイオーは腕を前に出して防御したが、その巨体が激しく揺れる。

尽「クッ……以前のテロボットとは比較にならない攻撃力……やはり、こいつは!」

テッケン「おい、納得いく説明をしろ!何で俺じゃダメなんだ!?」

尽「説明しなきゃいけないからさ……今、この状況を目撃しているみなさぁぁぁぁん!」

尽はセイカイオーの外部スピーカーをオンにし、声の限り叫んだ。


 その頃、総理大臣秘書官室では秘書官たちが各方面からの電話に応対しつつ、ディスプレイに映し出される戦闘を見守っていた。ちょうどセイカイオーが到着した所だ。

新村「大丈夫なんでしょうか、総理は。完全に頭に血が上っておられるようですが」

「いや、大丈夫だと思うよ」
苛立つ新村に向かって声をかけたのは、外務担当秘書官である参内だった。

参内「確かに総理は隣国を信じ過ぎておられるように見える。いや、信じようとされているというべきかな。
   でも、少なくとも今回は隣国とは無関係だ。彼らにはもう、わざわざテロボットを使う理由が無い」

「あ、そうか……」
新村はそれまで気付かなかった自分を恥じた。

新村は総理ほど隣国を信じているわけではない。異星人が主に日本を襲ってきている現在、漁夫の利を狙った隣国が日本で事を起こす可能性は否定できない。
しかしそれは隣国以外の、例えば異星人に見せかけた攻撃でなければ意味がない。

隣国は以前のテロボット騒ぎの件を認めているし、謝罪もした。そのことは国内で報道もしている。
だからこの戦闘のことが広まれば、国民は強い反隣感情を持つことになる。それは彼らにとって大きなデメリットのはずだ。
では、今テロボットを使って最も得をする組織とは?

片原「そういうことです、新村さん。つまり総理が許さないと仰った『あいつら』とは」



尽「こいつはテロボットなんかじゃない!我々地球人を相互不信に陥れようとする異星人の罠なんです!
  皆さんどうか、隣人を疑わないで!」

テッケン「なるほど、わかりやすい説明だぜ。だがよ、間違いないのか?もし地球人だったら……」

尽「だからこれは、僕の仕事なんだ」

テッケン「あんたまさか、俺に地球人をやらせないために……」

尽「そんな詮索は無用だよ。僕はこいつが異星人だと確信してる。奴らはこんな方法で、人々がどうにか
  なると考えた。それは国民への、我が国への侮辱だ。国を代表する者として、こいつだけは許せない」

テッケン「……政治家だからこそ、か。わかったよ、今回は頼んだ」

尽「感謝する。さあ、我が国を馬鹿にした償いをしてもらうぞ!セイカイオォォォパァァァァァンチッ!!」

ゴァァァァ!顔面を殴られたテロボットがよろけた。セイカイオーは間髪いれずに更に攻撃を加える!

尽「ぅおおぉぉぉぉぉっ!!」

ドォン、グワン、ガァン、グシャアッ!!
セイカイオーの巨大な拳を連続で受け、テロボットの装甲がボコボコにひしゃげていく。しかし、それは表面だけのダメージのようだった。
テロボットは体勢を立て直し、連続でミサイルを発射した。多数のミサイルが雨のようにセイカイオーを襲う!

尽「本物のテロボットよりはるかに強力だな。だがセイカイオーを……なめるな!」

セイカイオーは両手を広げて腕を振り、ミサイルを全て叩き落した!激しい爆発が起き、セイカイオーが爆炎の中に消える。

テッケン「お、おい!」

しかしテッケンの心配をよそに、薄くなってきた煙の中から姿を見せたセイカイオーは、たいした損傷もないままテロボットを見据えていた。

テッケン「なんて頑丈さだ?こいつがセイカイオー……」

尽「そう。そしてその力の源は、国民からの信頼!見るがいい異星人、これがお前たちが手を出した物の重さだ
  ……行征剣!!」

天にかざした手に行征剣が現れると、セイカイオーはそれを真っ向から振り下ろす!

ザァン!

エネルギーフィールドからなる見えない刃に両断され、テロボットは真っ二つになって爆発した。


フ・カノー「ヌゥ、バカな、まったく通じなかっただと!」

死の商人「お気を落とされますな。今回の影響は今後じわじわと現れることでしょう」

フ・カノー「だが国のトップにあれほどはっきりと、即座に否定されては予測していた効果はもう望めん!」

死の商人「……あれは以前、ギバップ閣下の自爆を妨害した機体ですな」

フ・カノー「知っている。セイカイオー、かつてあの骨董品と戦ったロボットだ。おのれ……ギバップだけなら
      まだしも、この俺まで邪魔をするとは!
      セイカイオー……この私に恥をかかせた罪、必ず贖わせてくれる……!」

闇に包まれた将軍の居室に、憎しみに燃えるフ・カノーの目だけが、爛々と輝いていた。

第二十話「悪夢再び・・・テロボット襲来」完





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最終更新:2011年12月07日 20:07