機動少女伝マサト 第6話「光輪、演舞!」
「よろしくな、鋼鉄の乙女よ」
ドラウグラのパイロット、ジュバフが口を開く。
「……そう、あんたも幹部か。なら!アタッカーパァァァンチ!!」
麻里が叫ぶ。アテナスの拳が飛ぶ。
「挨拶もそこそこに……せわしない事だな。ヘビークロー!!」
ジュバフはため息をついてから力を込めて叫んだ。振り下ろされた爪がアテナスの拳を弾く。
どういうわけか、ドラウグラのコクピットもアテナスと同じ構造をしているのだ。
「やるじゃん!エクスカリバー!」
アテナスはすかさず飛ばさなかった方の手でエクスカリバーを抜き、ドラウグラに斬りかかる。
「甘い!ヘルファイア!!」
ドラウグラが噴いた炎にアテナスの身が焼かれる。
「きゃああ!?」
「このまま行くぞ!プラズマファング!!」
ドラウグラはアテナスに噛み付いた。その直後、アテナスの体全体に電流が走った。
「う…くっ…ゲホッ、ゲホッ…!駄目だ、喰らいすぎた……」
口から血を流している。その時、頭の中に声が響いた。
『麻里……逃げろ。こいつはこれまでの幹部とは段違いだ。今のお前では勝ち目は無い』
「勝てないって……逃げろって!?冗談じゃないわよ!今私の後ろには、私の家が在るのよ!?
そこで待ってるの!お兄ちゃんが、私が帰ってくるのを!まだ、状況を飲み込むのに精一杯のはずなのに……!!」
泣き崩れる麻里に声が呟く。
『……せめて、G・デストロイヤーが使えればな……』
「G・デストロイヤー…?何それ、武器?」
『ああ。だが、今は封印している。搭乗者に多大な負担がかかる。最悪、死ぬぞ』
「死んだって構わない!お兄ちゃんを守るの!そのためだったら……」
『兄は、待っているのだろう?お前の帰りを。それでも死ねるか?』
「!!……でも、このままじゃあ、どうすることもできないじゃない……」
「さあ、止めを刺すぞ」
「ッ!?」
ジュバフの声に麻里は一瞬たじろぐ。
「お終いだな、鋼鉄の乙女よ。テールビーム!」
ドラウグラの尻尾の先端に搭載されたビーム砲が輝き、光を放……たなかった。
先端が綺麗に切り落とされていたのだ。
「「な、何だ!?」」
麻里とジュバフの声が重なる。
二人の頭上には一つの巨大な光のリングが浮かんでいた。
「な、何よ…あれ……」
麻里は不思議そうにそのリングを見つめていた。
「あ……あれは、まさか……電光輪……!?」
ジュバフは浮かんでいるリングを畏怖にも似た目で睨んでいた。
「ということは……やはりか!」
ジュバフは空を睨みつける。そこには、巨大な影が浮かんでいた。
大きな二対の白い翼を持ち、肩から深紅のマントをさげた、さながら鋼鉄の大天使である。
「え、え、何なのよ、あいつは!?」
「エアジェス……間違いない。ということは……帰ってきたのか」
ジュバフはエアジェスと呼ばれた天使を指差し叫んだ。
「ウィリスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
「……相変わらずだな、ジュバフ」
エアジェスから女の声が聞こえた。麻里より少し年上といった辺りであろうか。
「貴様、何故私の邪魔をする!それより、何故今になって帰ってきた!!ウィリス!!」
ジュバフは怒り狂っている。ウィリスは、
「帰ってきた理由は私にも分からない。だが、貴様の邪魔をする理由なら答えよう……。
カリグラはこの星から去るべきだったのだ。この星は誰にも冒せるものではない」
「黙れ黙れ黙れぇぇ!!これはグラーマン帝王様がお決めになったこと!それを今更曲げられるかぁぁぁ!!!」
ジュバフは叫びながらヘルファイアを放つ。
「まったく、うるさい奴だな……電光輪、射出」
エアジェスが両手で大きく円を描くと、そこに巨大な光輪が出現し、ドラウグラ目掛け飛んだ。
ドラウグラに一直線に向かう電光輪は、その首を一閃、切り落とした。
「うっ、しまった!!」
ジュバフが一瞬たじろぐ。
「……立てるか?」
ウィリスは麻里に手を差し伸べる。
「ええ、大丈夫。……あの、あなたは?」
「私は故あってカリグラを裏切った身だ。協力させてもらうぞ」
「ええい!こうなればウィリスもろとも奴を吹き飛ばしてやる!!ダークロン・ノヴァ、セット!!」
ドラウグラの胸に穴が開き、そこから砲塔がせり出してきた。
「まずいな、ダークロン・ノヴァを使う気か。ここら一帯吹き飛ぶぞ」
「ええっ!?そんな、どうすれば……あ!そうだ、アンタ!」
麻里に呼ばれたと思い、ウィリスはキョトンとしてアテナスを見つめる。
「?どうかしたか?」
「あ、いやそっちじゃなくて……」
必至に両手を振る麻里の脳内に、また声が響く。
『私か?』
「そう、アンタ!あの、何だっけ、Q・ホットペッパーだっけ?」
『G・デストロイヤーだ』
「そうそう、それ!それならあれ、相殺できるんじゃない!?」
『可能かもしれんが……本気か?死ぬかもしれないというのに』
「死なないわ。私は絶対に」
『……信じよう。……よし、G・デストロイヤーの封印を解いた。思う存分使うといい』
「ありがと。じゃあ、行くわよ!!」
麻里が構えると、アテナスの胸の結晶の周囲に五本の棒のようなものがせり出し、結晶がまばゆく輝き始めた。
「な、何をする気だ!?…まあいい、消えろ!ダークロン・ノヴァ!!シュゥゥゥート!!!」
ドラウグラの胸から暗い色の光球が放たれる。
「いっけぇぇぇぇぇ!!!ギガント・デストロイヤァァァァー!!!」
アテナスの胸から白い光が伸びる。
両者の距離は徐々に、縮まってゆく。
神夜の目には、そこがまるでスローモーションのように見えていた。
10……9……8……7……神夜は心の中でカウントダウンしていた。
6……5……4……3……二つの光がぶつかるまでのカウントを。
2……1……そして、二つは――――ぶつかった。
機動少女伝マサト 第6話 完
最終更新:2010年01月15日 07:09