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「なんたることだ…ヴァギトは裏切りデガスに至っては死んでしまうとは…!」
「しゃあないの。戦場は別れに満ちとる故な」
頭を抱えるブザンをレイファが冷たくかわす。
『ジュバフ、ブザン、レイファ…』
「なんでしょう、帝王様」
『貴様らの戦闘兵の強化が完了したとメカニックから連絡が入った』
「ならば、私に行かせてください!このブザンに!デガスの仇を討たせてください!」
「まあ待ち。今のお主は見てられん、怒りで目の前が塗りつぶされとる」
『…ならば、次はレイファとブザンの二人で行け。今度こそラシュア、ウィリス、
ヴァギトの裏切り者三人とアテナスを討ち取れ!』

機動少女伝マサト 第13話「憤怒、突進!」



所変わって谷口家。
「僕は転校したってことになってるから、もう学校には戻れない…」
「引越しっていう話だから、元のマンションに帰るわけにもいかず…か」
亜紀斗の言葉を受け神夜が呟く。
「…ならさ、家で一緒に暮らさない?」
「…へっ?谷口さん、今なんて…」
「だから、青崎君も私の家で暮らそうって」
亜紀斗は神夜の方に目をやりながらボソッと尋ねる。
「……いいの?」
返答に詰まったのか神夜は黙ったままだ。
「…黙認、でいいんだな、神夜?」
ウィリスに言われ神夜は申し訳なさそうに頷き、ココアが入ったカップを口元へ運ぶ。
「私も居候の身だから大きい口叩けんが、文句はないぞ。かつての知り合いなら大歓迎だ」
「ね、みんな言ってるよ。だからさ、一緒に住も?」
「…ありがとう、谷口さん。あ、いや、二人いるから紛らわしいな…じゃあこれから、
『麻里』って呼ぼうかな」
この言葉に対する谷口兄妹の反応は正反対であった。
「や、やだぁ青崎君ってばぁ…」
「ブバ―――――!?!?」
麻里は顔を赤らめ、神夜は飲んだココアを盛大に噴出した。

「なんだ神夜。汚いぞ?」
ウィリスが眉ひそめ戒める。
「げほっ、げほっ…な、慣れ慣れしすぎないか!?」
「心配しないでください。寝室は別室を宛がってもらって結構です」
「当たり前じゃあ!」
「あはは…さて、冗談はこのくらいにして。麻里に伝えておきたいことがあるんだ」
亜紀斗は神妙な顔つきで麻里に向き直る。
「伝えたいことって…前に言ったカリグラの目的?」
「それに近いね。…実はカリグラは、銀河規模の大組織の末端に過ぎないんだ」
「ぎ…銀河規模!?」
「名を『銀河更正委員会』…活動内容及び目的は名前のとおりさ」
「『銀河更正委員会』だぁ!?」
「変だな。私はそんな話は聞いてないぞ?」
「恐らく、先代のグラーマン帝王が黙っていたんだろうね」
「そうか…ん?待て。今『先代』と…」
「話がそれちゃうからそれは後。まだ憶測の域を出てないしね」
「む…すまない、亜紀斗。続けてくれ」
「うん。銀河更正委員会は一定レベル以上の知的生命体が住む星を確認すると
特殊部隊を派遣、その星の問題点を分析・解明して解消する。地球に来たのがカリグラさ」
「そうだったんだ…あれ?地球みたいに徹底的に破壊!って判断した星はあったの?」
「過去にデータベースをあらったけど、ほとんどなかったらしい。せいぜいレジスタンスへの加勢や、
クーデターの援助が主だった」
「そう…それだけ地球人は…」
麻里は俯いたが、すぐに拳骨を振るい、
「いやいや!もう決めたもん!どんなに愚かでも私は地球を護るって!」
「よく言った、麻里。私も手伝うぞ」
「ウィリス…ありがとう!」
「もちろん僕もさ」
「青崎君…ううん、亜紀斗!」
「お前らみたいに戦えないけど、俺も出来る限りはしてやるさ」
「お兄ちゃん…!みんな、ありがとう!みんな大好きだよぉ!」
麻里は喚きながら三人の中央にいる神夜の胸に飛び込んだ。
「うわっ!」
三つの叫びが綺麗に重なった。

「麻…麻里…く、苦しいから…」
「離さないと神夜が死んでしまうぞ!」
「あ、ご、ごめん!」
麻里は慌てて飛びのく。
「げほっ、げほっ…あー死ぬかと思った…」
「ごめんね、お兄ちゃん?今夜はご馳走にするから…」
「いいよ。一人しかいない妹と喧嘩なんかしたくねえしな」
「…ふふっ、ありがと」
そう言って麻里は神夜の頭を撫でてやった。十年以上見てきた、
少し癖のかかった黒髪は昔とどこも変わっていない。
「…いいもんだね、家族って。そう思わない、ウィリス?」
「奇遇だな。私もそう思っていたよ、ヴァギト。…いや、今は亜紀斗か」
「うん、今後はそれで頼むよ。…いずれ君とは姉弟かな?」
「ふっ、なるかも知れないな。…!全く、幹部が三人もいなくなればここまで必死なのも当然か…」
ウィリスは窓から空を睨み呟いた。
「ウィリス、カリグラ!?」
「ああ、急ぐぞ!来い、エアジェス!」
「転着!リオレイオ、ショータイムだ!」
「ボォォォグ・オン!アテナス・バァァァン・ナァァァァァウ!」
夕暮れの住宅街に三つの巨大な影が舞い降り、神夜はそれを見守っていた。
「頑張れよ…三人とも」
現れたのは巨大な雄牛と細身の狐、更に戦士が槍を持ったものと弓をもったものが大量にいた。
それぞれに「マルタルド」「クスォーフ」「サーバルト・ノイ」「ヴァーキルア・ノイ」である。
「こないだの奴!?」
『いや、その強化型のようだ』
「…つかラシュア。あんたさっき何してたのよ?」
『私にも都合はある。…少し、顔を出しづらかっただけだ』
「そぉ?それならいいけど…」
「麻里、亜紀斗!来るぞ!」
「マルタルド…ブザンか!」
「…した…が殺した…様らが殺した…貴ッ様らがァァァァァ!!!」
怒りで我を忘れたブザンがコクピットで狂ったように吼える。


第13話 完


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最終更新:2010年01月15日 07:18