第三話
その後、怪我から回復したいぶきは、ひゅうがとの絆をよりいっそう深め、エイテルオンの
操縦訓練にも今まで以上に真剣に取り組むようになった。そんな折、二人の通うクラスに、
尾崎あおばという女子生徒が転校してきた。彼女は非常に勝気な性格で、ひゅうがやいぶきにも
傍若無人な態度ばかりを見せるが、クラスの皆から慕われる魅力あふれる生徒で、ひゅうがは
そんな彼女に振り回されつつも、不思議と悪い気はしないのだった。
だが、日常が賑やかになっていく反面、エイテルフォースでのひゅうがの立場は、どういうわけか
急激に悪化していった。職員の態度もよそよそしくなり、自分を見る目つきも今までと明らかに違う。
自分の知らないところで、何かが起こっている…まだ子どものひゅうがにも、そのことはすぐに
伝わってきた。思い切ってそのことをのり子に相談すると、彼女の口から返ってきたのは恐ろしい
言葉だった。
じつは、この前の戦いでひゅうがの行った「名乗り口上」のおかげで、今まで機密にしていた
エイテルフォースの存在が一般市民の間にばれてしまったのだ。しかも、それだけではない。
「栄え輝け福音よ、永遠に照らせよ陽の光」という、彼の口上にあった一節……じつは、かつて
同じスローガンを標榜する、過激派の革命団体が存在したのだ。それこそが、エイテルフォースの
基となった団体、「栄輝騎士団(エイテルナイツ)」だったのである。人々がその素性を知らぬ間は
「正義の味方」でいられたものの、これからの風当たりが強くなることは必至。そのきっかけを
作ってしまったひゅうがには、これからどんな厳罰が下るかもわからない……のり子の言葉に、
ひゅうがは血の気が引くような思いを感じたのだった。
ひゅうがは、この絶望を高美に打ち明けたかった。しかし、それは出来ない。どういうわけか、
ある日突然、高美はその姿を消してしまったのだ。追い詰められてゆくひゅうがに声をかけたのは、
この騒ぎのきっかけを作った少女、いぶきであった。彼女は当然、ひゅうがの事情など知っては
いない。だが、苦しんでいるひゅうがの姿にただならぬものを感じ取り、彼の支えになりたいという
気持ちを強めていたのだ。
「もしかしたら、ぼくは近いうちにいなくなるかもしれない」……そうつぶやいたひゅうがに、
「そんなのいや。ひゅうが君、一緒にいて。私、いつでもひゅうが君のそばにいる」……いぶきは
こう答えた。二人の絆は、いよいよ本物になろうとしていた。
そして、事態は急展開を迎える。敵のロボットが、エイテルフォースの本拠地に乗り込んで
きたのだ。エイテルフォースの基地の場所は、関係者以外誰も知るはずがない。情報が漏洩している
のは、誰の目にも明らかだった。すぐさま、エイテルオン一号・三号が迎撃に向かう。
今回の敵は、今までとは雰囲気がどこか違う。その恐るべき正体とは……
つづく
最終更新:2010年01月15日 07:32