「ふうぇーよく寝た。」
やわらかい朝の日差し。布団をはねのけ起き上がると俺はふすまを開けた。
「おはよう豪」
「おはよう豪」
「あーおはよ…」
ん?ちょっとまて挨拶が一個多いぞ?
洗面所に向かう足を止めて振り向けば、もしかしなくてもその挨拶の主は昨日のバズーカ女…改め地底人?のコロナだった。
「コロナさん研究所で寝泊りしてたそうだけど昨日の騒ぎで駄目になっちゃったでしょ、だから一時うちに泊まってもらうことにしたのよ。」
昨日の騒ぎ…叔父さんにロボットに乗せられ俺はバルゴ獣という怪獣と戦ったのだがそもそも研究所の一室がコックピットになっていたので起動時に研究所も壊れてしまったということだ。
なぜお袋はこんな非日常の連続にこうもあっさりと順応できるのか。
いやまて、その条件で家にいるとなると…
「ムニャムニャ…そんなにガリばっかり食べれないよ…。」
開けっ放しのふすまの向こうからタイミングよく、叔父さんのわざとらしい程わかりやすい寝言が聞こえてきた。
――
近所であれだけの事件があったというのに世間は何事もなかったかのように回る。
そりゃあ話題の種にはなるがそれはすでに他人事での話だ。
連絡網を受けて俺は普段通り学校に行き、普段通り孤立することもなく、かといって深く関わることもなくクラスの輪に紛れていた。
「――でさー、その老人ホームが実は…って聞いてるか豪?」
「ん?ああ、すまん。少し考え事して…
ズワーン…ズワーン…
友人との会話をさえぎり、突如として外から重たい音が鳴り響く。
当然みんな窓の外を見るわけで、そこにはこちらに向かってくる巨大ロボット「プラグマ」が。
ピンポンポンポーン「大塚豪君、父兄の方がお待ちですので至急事務室まで来てください。それと生徒の皆さんは危ないので校庭に出ないように。」
「…。」
もはやため息すら出ない。しかしこのような状況に対して違和感を感じているのはひょっとして俺だけかもと疑ってしまうほどの冷静な放送だ。
事務室に呼ばれてみれば案の定、父兄は叔父さんだった。
「いやー、昨日から徹夜でプラグマの改修をしててね、なんとか完成したんだよ『マグマダイブ』が。」
「いやいや、そんな事は聞いてないですし、ってか何しに来たんですか…。」
「今日お弁当忘れたでしょ。」
言われてみればそんな気もする…まさか…
「ま、試運転ついでにねー。といっても僕は乗れないから普通に自転車で来たけど。」
ドガシカゴーン!!!
「それとね、バゴラ獣が出てきたんで豪君にお願いしようかなーと。」
なんでついで事でどえらい話をするんだ。おまけにこの音だともうすぐそこだろう…。
しかしロボットをわざわざ作るぐらいだから当然なんだがアレはやっぱりまだいるものなのか。
「あれ、でもプラグマは今誰かが乗ってるってことですよね。じゃあ俺じゃなくてもいいんじゃ…。」
「でも彼女がお弁当預かってるんだよ。どの道乗るでしょ?」
「俺そんな食いしん坊キャラじゃ…
パリィイイイイ!!
「ちょっと!もう戦闘に入ってるわよ!!」
言い合ってるうちにコロナが来た。ガラス突き破ってやって来た。
ズテェーン!
「あくー」
息つく暇もなく今度はバゴラ獣が校舎に倒れこみ、残っていたガラスも壁ごともってかれた。
そしてここで重大なことに気づく。
「ちょっと待って下さい。コロナがここにいるってことはプラグマは…」
「だから彼女だよ、吉美さん。」
『んもう、こうなったらやってやるわ!!』
「お、お袋ぉー!!?」
「ありー」
バゴラ獣が校舎をガラガラと崩しながら立ち上がる。
「わー!!とりあえず避難ーっ!!」
このままでは危ないといちはやく察したコロナに手を引かれる形で外に走る。
時をほぼ同じくして放送が流れ、学校の皆も校庭へ避難する。
流石に点呼に顔を出す余裕もないわけで、そのまま俺達はプラグマの近くまで突っ走るが、俺達を追い越してバゴラがその先へ突進していく。
まずい。
ガキイ!!
勢いよく飛び掛るバゴラだが、その腕は阻まれた。
あれ…?
『ええーい!』
掛け声と共に受け止めたバゴラを掴むと後方に放り投げるお袋。
さらに立ち上がろうとするところを横から跳んで抑えると、そのままマウントポジションをとった。
「これ助けに入る必要性もないんじゃ…」
「ほんとだねー。」
言ってるそばからプラグマの体が赤く燃え上がっていく。
そして…
バシイイイイイイィン
強烈な平手がバゴラ獣のお尻に炸裂すると、たまりかねたかのようにその肉体は四散。
突如として現れた侵略者はあっという間に校庭の土へと還っていった。
なん…だこれ…
最終更新:2010年01月15日 22:44