なんだかの装備を取り付けての試運転ついでに弁当を届けにきたお袋がついででバゴラ獣までやっつけてしまった。長っ。
バゴラ獣が倒れ、びっくりするやらほっとするやらな中、なにやら叔父さんが急いているので俺もそそくさと付いていく。
お袋がまったく心配ないなんてこたないし。
「もーあんた、お母さんそんなに若くないんだからあんまり無理させないでよ。」
「あんだけやっといて良く言うよ。」
「豪くん今からマグマダイブを起動させるよー。」
ようやくプラグマの元まで行き、今朝つけたらしいハシゴでコックピットに上がりこんだ時だった。
ズドーン!!!
すさまじい音と共に地中からなにかが飛び出してきた。
土煙がおさまると、そこに現れたのは氷でできたような巨大ロボット。
「あれはザルガン帝国のアイスマン!まさかもう出てこれたなんて!」
どうにもあれは昨日言っていた地底人らしい。構えを見せる様子からも友好的な接触は望めそうもない。
となると、疲労の見えるお袋とバトンタッチして俺が操縦席(パイプ椅子)に座るわけで。
『ここまであっさりとバゴラ獣を潰すとは天晴れよ…だがザルガン帝国が動き出したからには地上の生物に希望はないと思え!!』
アイスマンから風呂場のように声が響く。倒したのは俺じゃないんだがそんなことはどうでもいい。
「次から次と俺の日常をぶっ壊しやがって…このツケはてめーに払ってもr「ちょっと待って豪くん!マグマダイブがもう起動するよ!」
やる気マンマンの俺を遮る叔父さん。そんなことで俺は止まらんと言いたいところだったが生憎プラグマのほうが止まってしまった。
『ふはは、ここでエネルギー切れとは!出遅れたかと思ったがこれこそ漁夫の利!!』
言うが早いがアイスマンの腕がメキメキと伸び、槍のごとく腹を貫く!
芯を捉えた攻撃に後ろに突き飛ばされ崩れるプラグマ。が、その方向にはまだ避難しきれない学校の皆がいる!
「わー!!」「助けてー!」
「危ないっ!!!」
ズシィィン…
轟音と共に校庭にその巨体は倒れた。
つむった眼を開くと、俺は壁にはじき飛ばされていた。
倒れた衝撃ではなかった。
いや、倒れたのは事実だし頭もぶつけた。
だが俺が横に飛ばされた要因は、それ以上に強い力でプラグマの動作感知モジュール(パイプ椅子)に体当たりを行ったコロナによるものだった。
「…なんとか、間に合ったみたいね…。」
間一髪。プラグマは内部からの軌道修正を受け、学校の皆をかすめるように倒れていた。
『んー?地上に慣れずに余計なパワーを使ってしまったかなァ…』
アイスマンがじりじりと近づいてくる。
コロナも、お袋を抱えてうずくまっている叔父さんも、頭から出血してぐったりしている。
衝撃の余波に足をとられ、いまだ逃げ切れない生徒もいる。
プラグマもいまだ沈黙している。
だが…俺は…
『我々も君だけを相手にしているわけにもいかないのでね。悪いがここで…』
「まだ…は…きだ…。」
『ん?』
「まだ…俺はっ!…俺は元気だぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」
叫ぶ。ただ叫ぶ。だがそれに呼応する。プラグマっ!!
「豪くん…叫ぶんだ…マグマダイブだっ!!」
叔父さんが意識を振り絞って放ったキーワード。
「マグマァ!!!ダアァァァァァイブッ!!!!!!」
たぎるプラグマ。火を超え炎を超え、そのオーラは光となる。
そして――
『そんな馬鹿な…なんだこの熱量はっ!』
「うおああああああああ!!!!」
氷の巨人を、うがつ!
だが俺は、プラグマは、止まらない!!
その先にあるもの、大地にぽっかりと空いた穴―バルゴ獣が現れ、そして溶けて消えた穴―そこへ!!
もぐる!
もぐる!
地殻突き破り地中奥深く、さらにその先へ!
広がるのは…溶岩の海。
そこにいるのは、炎の巨獣。
マグマを取り込みふくれあがった先のバゴラ獣なのか、それともその母体なのか。
しかしそんなことはどうでもいい。今はただ、突き進む!!
「ブレイザアァァァナックルゥゥゥゥゥ!!!!!!!」
紅い拳が、その巨体を突き抜けた。
――
無我夢中だったのでその後どうやって戻ったかはよく覚えていなし考える気力もなかった。
とにかくと病院に向かい、コロナやお袋、叔父さんの命に別状はないことは確認できたし町の皆にも命に別状があるものはいなかったというだけで御の字。
今日はそれで落ち着こう。
「―昨日に引き続き訓玉市に出現した謎の怪獣は、同じく謎の巨大ロボットによって再び鎮圧され…
待合室のテレビに映るニュースを見て、やっぱり現実なんだなと噛み締めながら俺はぐちゃぐちゃになった弁当をほおばった。
しなびたガリが切った口の中にしみた。
最終更新:2010年01月15日 22:47