マグマダイブを起動させ帝国のロボットと謎の巨大バゴラを倒しましたとさ。
「はぁー…やっぱり慣性制御系の見直しが必要か。」
待合室で仮眠を取ろうかという時、ちょうどコロナが出てきた。
「もう大丈夫なのか?」
「ただの脳震とう、いつまでも寝てらんないでしょ。お母さんと大さんはまだだけど。二人ともちょっと疲労溜まってるみたい。」
「で、その大さんの代わりってことで話、聞いてくれる?本当ははじめから私が話すべきだったんだけど。」
話の焦点は今日の巨大なバゴラ獣とマグマダイブについて。事が終わって早々でくたびれてはいたが、その真剣な表情に流石の俺も聞き耳半分とはいかない。
そういやコロナとまともに話したのはこれが初めてだ。
要約すると地上のバゴラは倒しても液化したうえで母体となる大バゴラ―今日のあれ―の元に帰っていくだけで、再び復活してしまう。
そこでバゴラの帰巣本能を利用し、追っかけたうえでその根城を叩きに行くための機能がマグマダイブということだ。
「そしてそれを機能させるために作ったのが、プラグマ。バゴラや帝国から地上を守るためにね。」
「でも帝国が予想以上の速度で動き出したこともあって状況はかなり危険なの。」
危険。それは今日の一件で身をもって知った。
「そりゃそうだけど、どう考えたってやる事は決まってるんだろ?」
「そう。でもあなたはその危険を一番身近なところで見た。」
「だから…その…変な使命感とかを感じてほしくないの。」
?なにやら言葉に詰まっている。
「だからえーと…プラグマで戦うのは、別にあなたじゃなくてもいいの!」
「ただ…」
「ただ?」
「…やっぱりなんでもない。ごめん、こういうの卑怯だよね。」
複雑な表情をするコロナを前に俺はそれ以上なにも聞けず、お袋と叔父さんを待つと気まずいまま帰路に着いた。
次の日の昼。流石に学校も一時休校となったが、学校では動ける人間が集まっての残骸撤去作業が行われた。
昨日の今日で体力的には限界のはずだが、それでも肉体労働に精を出すのはコロナの言葉と表情から離れるためなのかもしれない。
「放っておいて地上が危険ならどの道カヤの外でいられないってのになんなんだ。」
「俺から『やりたい』って言うべきなのか?…いやそもそもやりたいのか俺は。」
―思春期するのは結構だが外にもらすのも程ほどにしておけよ、少年―
作業帰り、意味不明な思考を繰り広げる俺の前に突如男が現れる。
「その姿…まさかブレイザー1!?」
ブレイザー1。俺の子供のころ大好きだった番組『ブレイザー8』にてその名を冠する巨大ロボを操る正義のヒーロー。
しかしそれは作られた、しかもアニメの中の人物だ。
ただの変態?しかし同時に男の存在には妙な説得力のようなものも感じる。
「君は特別な存在だ!君でなければ駄目なんだ!お願いだ地球を救ってくれ!!……とでも言ってくれればいっそ楽か。」
「いや、違うな。そう言われる事を望んでいるんだ、君は。」
「なっ!」
「しかしそれが―『ズォーン!!』
一方的に喋る男をさえぎる爆音。しかしまぁこの音に慣れつつある自分が怖い。
「あ゛ぐぁー。」
反射的に振り返ればバゴラ獣。最初の奴にちょっと似てるが一回りデカい。
「…少年。答えは既に君自身が出している。あとは昇華しろ。」
そういうとブレイザー1、華麗に空中回転をきめ飛び去っていった。
答え。気付けば俺は既にバゴラの側へ足を踏み出していた。
だったら!
研究所の跡地に着けば、黄色いテープと警察と、話し合っている叔父さん。
「叔父さんごめん!」
その間を強引に抜ける。
「あ、豪くん!」
プラグマに乗り込み、起動。
欲でもなんでもいい。
理由とか都合とかそんなん知るか。
居ても立ってもいられないんだ俺は!
来た道からさらにまっすぐ、走る!!
「あれ、こういう時警察って止めたりしないんですか?」
「規模も違うし、義もある。県警レベルじゃどうにもならん話でしょ。もっともあの若さは誰も止められないでしょうね。」
「それもそうだ。…あれがいつまでも続けばいいんだけど、ね…。」
相手は正面、こっちに気付いた。
よし、このまま引き寄せれば背後は山。
街中に行かれるよりずっと戦いやすい。
「あ゛ぐあ゛ぐー!!」
考え事したのが間違いだった。いきなりバゴラ跳んでくる。しかも斜め横。
あわててジャンプを追いかけたのも裏目に、届く直前の至近距離、口から火の玉!
「うぐっ…!こいつ!!」
火の玉吐いて後ろに下がったと思ったら尻尾をばねに飛び込んでくる。
苦し紛れの拳とそれとじゃ押し負ける。
「負けるかって!!」
低姿勢から飛び込む。相手は体ひねって尻尾!
ただしそこは予想の範囲!避わさず当って受身!で―
「でえい!!」
下から蹴り上げる!さらに引いた所を起き上がって拳一発!
だが返る振動が鈍い。つまりあんまり響いてない。
「あ゛がいがが!」
まずい。最初もそうだが、こいつ自分も巻き込む距離でも平気で火の玉吐く。
と、その時―
「ブレイザーキィィック!!」
誰もいなくなった銭湯の煙突から、バゴラ獣の目玉に。
それはもはや間違いなく―
「ピンチか?少年。」
「ブレイザー1!!」
つづくとよ。
最終更新:2011年12月08日 08:36