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前回までのあらすじ 強敵エクシード登場。ゲンカイザーがいい所までいくものの、フ・カノーの横槍で機体爆散。ヤブルの運命やいかに!?

第29話「ストレンジ・トライアングル」


戦艦アキラーメに戻り、皇帝の間に入ったエクシードを、フ・カノーが待ち受けていた。

エクシード「フ・カノー、あのビームは何だ」

フ・カノー「貴様も喜べ、アキラーメ砲の試射が成功した。貴様がやられそうだったので、援護を兼ねてな」

エクシード「フ・カノー……!」

リ・タイア「エクシードよ。余は『遊びが過ぎるな』と言ったはずだぞ?」

エクシード「……申し訳ございません」
     (確かにあの最後の一撃、あのまま受けていれば危なかった。突破……死ぬな。そしてもう一度
      俺と戦え!)


大破したゲンカイザーから何とか救出されたヤブルは病院に運ばれた。全身が包帯で巻かれたヤブルのベッドを、一堂に会した仲間たちが囲んでいる。

「「「「ヤブル!!」」」」
「「ヤブルくん!!」」
「「ヤブルさん!!」」

ヤブル「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!」

こうして生死の限界をも突破した。


ヤブルの病室の前。

テッケン「まあ、峠は越えたな。よかったぜ」

秀一「ヤブル自身はな。ゲンカイザーが直るかどうか……テッケン、君は大丈夫なのか?」

テッケン「急所を一撃でやられたんだ。あの時は動けなかったが、今は大したことはない。相手の腕に救われた
     恰好、か」

秀一「あまり悔しくなさそうだな?」

テッケン「悔しいさ。だが、憎んだり落ち込んだりする気にはならないな。あれだけ真っ直ぐにやられると」

抜人「ふざけんなよ。何が真っ直ぐだ、ヤブルさんは……!」

ゲンカイザーは、リンカイオーとの戦闘中、突然の空からの狙撃によって倒された。

テッケン「わかってる、けどあれをエクシードって奴がやらせたとは……お前何でヤブルには敬語で俺には
     タメ口なんだ?」

抜人「アンタは同い年だろうが!」

テッケン「細けえことを……」

秀一「そういえば、高校生で一歳差は普通大きいものだな。気にしない人間ばかりなので忘れていた」

遅れて尽が、議員ブレスで話しながら病室から出てくる。


尽「……はい、今目の前にいます……わかりました。みんな、敵だ。量産型のカイザータイプ」

テッケン「よし、ヤブルの仇討ちだ!」

尽「あの空からビームをどうする気だ?」

テッケン「く……そんなこと心配して、放っておけるかよ!」

尽「おい、テッケンくん、待て!」

秀一「総理、ヨユウダーに対抗策があります。それでフォローしますよ。それに、テッケンの言うことも
   もっともです。ゲンカイザーがやられた今、我々が怖気づいたら、完全に人類の負けではないですか」

尽「……わかった、頼む。秀一くん、なんというか……熱い性格になったな」

秀一「フッ、ヤブルの影響でしょうか」

秀一とテッケンを見送る尽、そして抜人。

尽「小森抜人くん。こんな初対面になってしまって残念だ。本当はきちんとお見舞いに行きたかったんだけど」

抜人「お見舞いなんて要りません。それより、俺にも行かせてください。バンパイオーに貼り付いてる研究員、
   誰が仕切ってるのか知らないけど、あなたなら退かせられますよね?」

尽「あれにはまだ謎が多い。危険だ」

抜人「あの2人は、それにヤブルさんは危険じゃないとでも言うんですか?みんな自分にできる精一杯をやって
   るんだ。俺にはまだやれることがある!」

尽「……君も、強いな」

抜人「そんなんじゃないです。もしそうだとしたら……それはヤブルさん達のおかげです」

尽「それでか……現場に一報入れておく。行ってこい」

抜人「ありがとうございます」

抜人も走っていった。

尽「みんな自分の精一杯を、か。僕の精一杯とは、何だろうな……?」

内閣総理大臣にはできることが、すべきことが多すぎる。



 ゼンカイダーのビームを潜り抜け、テッケンオーはその顔面を殴りつけた。
吹き飛ばされた機体が他の機体にぶつかり、2機のゼンカイダーが折り重なって倒れる。その上に馬乗りになり、テッケンオーがさらに殴りかかろうとした時、空からゲンカイザーを破壊したあのビームがテッケンオーを狙い撃った。

テッケン「しまった……!?」

しかしビームは命中せず、テッケンオーの直近で大爆発が起こる。その傍らに着地したのは、二丁の剣を構えたヨユウダーだった。

秀一「シャクトゥーソードはビームを弾くのだ」

テッケン「そのままだったら直撃だったのかよ。ったく、とんでもねえ狙撃だぜ」

今度は横から、ゼンカイダーのビームがテッケンオーをかすめた。

テッケン「くそっ、数が違う上に相手は飛び道具、こっちは素手と剣。分が悪いぜ」

秀一「ぼやくな。こういう使い方もある」

またも飛んできたビームをシャクトゥーソードが逸らし、斜め後ろにいた別のゼンカイダーに当てた。撃った方のゼンカイダーも、これにはたじろぐ。ヨユウダーはシャクトゥーソードの一本をテッケンオーに差し出した。

秀一「やってみるか?」

テッケン「面白そうだな」


研究員「君、臨床実験の予定はまだ先だぞ?」

抜人「総理大臣の許可を取ってきた!バンパイオーで異星人を追い払います。どいてください」

研究員「いや、我々は聞いていないが……」

もう殴り倒して突破しようか。腕っ節に自信はないがこんな中年の一人や二人……抜人が考えていると、山村が研究員たちを退けた。

山村「連絡は受けている。行け」

コクピットハッチを開けると、生物の体内のように有機的だった内装が、いかにもコクピット然としたものに様変わりしていた。

抜人「これは……」

山村「研究員たちだってただお前の邪魔をしてたわけじゃない。コクピット周りのインターフェースは重点的に
   調べて、人間向きに改修したんだ。前の方が良かったのなら悪かったがな」

バンパイオーは「ロボット」で、自分は「パイロット」なのだという実感が湧いて、抜人は顔をほころばせた。

抜人「いえ、こっちの方がいいです」

山村「通信機も付けといたからな。それから、これだ」


山村「輸血パックだよ。こいつとマシンと直接繋げればいいんだが、やはり血液は生体から吸い上げないと
   動かないらしい。お前さんには余計に針を刺すことになるが、貧血で倒れるよりマシだろう」

医師がコクピットに入ってきて器具をセットし、輸血用の針を左腕に刺した。針は太く、痛かった。

医師「君の血圧が下がると自動で血が入っていくから。――こんなの意識がはっきりしてるときに刺すものじゃ
   ないけどねぇ、麻酔でも使ってこのあと影響あったら大変だし」

抜人「いろいろありがとうございます。痛いですけどね」

医師が外に出て、抜人はコクピットを閉じた。軍人、研究員、医師、それからこの血の主。支えられている。
この思いがあれば、バンパイオーに振り回されたりはしない。

抜人「吸血機、バンパイオー!俺の力になれ!」


 倒した数、3。残り7。シャクトゥーソードによるビームの反射を恐れたゼンカイダー達は、全機空中に浮かび上がり、空から一斉射撃を仕掛けた。直撃こそ避け続けているものの、反射によって相手を攻撃するだけの隙はもう無い。

テッケン「こりゃ……やばいんじゃねえのか」

秀一「むう、空からのビームを利用して一掃を、などと考えていたのだが、撃ってこないな」

テッケン「そりゃ敵だって自分とこのメカは……何だ?増援……いや、こいつは!」

抜人「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

上空から急降下してきたバンパイオーは、ゼンカイダーの一団を通り抜ける瞬間、その一機の腕を斬り飛ばした。ゼンカイダーは驚いて散開し、バンパイオーは地上すれすれで翼を広げ、空中で停止した。

秀一「来てくれたのか」

抜人「俺だって、やれますよ!」

テッケン「へっ、助かったぜ。飛べる奴がいなかったからきつかった」

事態を把握したゼンカイダーがテッケンオー達を狙い再び密集し始める。

秀一「なんだか妙な感じだな、この取り合わせは」

テッケン「ああ、俺たちの間には、いつもヤブルがいた気がする」

抜人「負けられない、ヤブルさんがいなくたって」

ゼンカイダーの一斉射撃が始まる!三機は三方に散り、これをかわした。三機がいた場所で大爆発が起こる。

秀一「抜人!倒さなくていい、奴らを地面に落としてくれ。それを私とテッケンで捌く!」

抜人「了解!」

十分距離をとった後急上昇し、ゼンカイダーの上を取る。数機が狙いをバンパイオーに変えるが、かわすのは難しくない。バンパイオーは翼の一部を外し、ブーメランに変形させると、投げた。

抜人「ブラッディ・ブーーメラン!」

ブラッディブーメランがゼンカイダーの群れの中に飛び込んでいく。直撃する機体はなかったが、かすめて姿勢を崩した一機に向かって、バンパイオーは突撃した。

抜人「おりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

ズゴォォッ!

上空からのキックを受け落下していったゼンカイダーが地上でテッケンオーに両断されるのを目の端で確認しながら、抜人は戻ってきたブーメランをキャッチし、背後から掴みかかろうとした一機を翼で叩き落す。
落下したゼンカイダーは地上でヨユウダーとテッケンオーの餌食になっていく。



宇宙からそれを見下ろす戦艦アキラーメ。フ・カノーはその艦首、アキラーメ砲制御室にいた。

フ・カノー「ククク、ゼンカイダーなどくれてやる。俺の改造したアキラーメ砲の精密射撃さえあれば、もう
      ロボット同士の戦闘など不要!」

「……」
その背後から忍び寄る影に、フ・カノーは気づかない。

フ・カノー「チャージ完了。今度はかわせるか、地球のロボットども?」

フ・カノーの指が発射ボタンに伸びる。


抜人「あと一機!」

最後の一機にはバンパイオーが正面から接近し、ブラッディブレードを突き刺した。10機のゼンカイダーは、全壊した。

秀一「いや、八面六臂だったな、抜人」

抜人「俺一人の力じゃありませんから。……空からのビーム、撃ってきませんでしたね」

テッケン「連発できないんじゃねえか?こないだだって1発きりだ」

秀一「それなら対策が立てやすいのだがな、他の可能性も捨てるのは早い」

テッケン「まぁな」


 フ・カノーが意識を取り戻すと、アキラーメ砲の操作パネルは煙を上げており、地上のゼンカイダー軍団は全滅していた。痛む顔を押さえながら、彼は自分を襲った相手を見た。

フ・カノー「裏切ったか、エクシード……!」

エクシード「勘違いするな。俺の皇帝への忠誠は変わらない」

もう用はないという風に、エクシードは背を向けて歩き出した。

エクシード「ただ、貴様のやり方は、つまらん」

フ・カノー「こ、この事は、皇帝に報告するぞ!」

エクシード「好きにするがいい」


死の商人「バンパイオー。完全に敵に回りましたか……何か、手を打たねばなりませんね」(つづく?)



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最終更新:2011年12月07日 20:13