アットウィキロゴ


  • 前回までのあらすじ
訓玉市に住む割とふつーな男子高生・大塚豪は叔父の作った(?)巨大ロボットに乗り、バゴラと呼ばれる怪獣を退けた。

しかし怪獣は立て続けに襲いかかって来る。
謎の人物の助力もあり、強力バゴラ獣をなんとか撃破した豪であったがそれから。




『――訓玉市にて起こった謎の怪獣連続襲撃事件から早くも一週間が経とうとしていますが、その爪あとは残されたまま。
今も地域住人たちは自衛隊の派遣部隊と協力し復興に努めています。
専門家によって襲撃の危険性も指摘されていますが正確な情報はつかめず、いまだ主要都市部の対応に追われる政府は、
現段階での大規模な防衛部隊の編成に難色を示しており、衛防衛ち――』

「あーも、毎日おんなし特番しかやってねー。」

チャンネル回すのはヤメ、やむなくプツンと電源を切る。
こんな時にフキンシンだけど、すごく暇だ。
んにゃ、こんな時なのに動けないので余計に暇なのだ。

「よー豪、差し入れもってきてやったぜー。」

ベッドの上でくさっている所、やって来たのは同級の賢。いわゆる親友とか悪友とか。
俺が安静ちゅーなのをいい事に勝手に雑誌読み出すわ、最終的には差し入れも自分で食うようなヤツだ。
自分ではもう元気なんでボディーブローの一発でも食らわせてやりたいけど、相部屋だから見張りが多い。

「そういやお前んとこ来てた日焼けの女の子さ、アレって誰?お前のコレ?」

「ぶーっ!ちげえ、あれは叔父さんの知り合いだ、研究関係の!」

「マンガみたいな反応するな。ひょっとして気になっちゃう系か、お前あの手のアクティブなタイプに弱いもんなー。」

「勝手にあれこれ言うな、ってか今日で学校再開すんじゃねーのかよ。」

「見合わせだとよ、中央がまた忙しくなってこっちのシエンの目どがどーたら。」

「うれしいやら悲しいやらだなあ……。」
なぜなら勉強、先に進んだのにすぐ追いつける程俺はカシコくないから。



もう一週間が経ってる。あれからそんなにの時間が経ってるのに。
俺は骨折その他で入院(内側からやられてるらしい。多分操縦の仕組みのせい)。
叔父さんはお偉いさんとかへの説明とかでテンテコ舞い。

プラグマはぶっ続けの無理がたたってボロボロ。
で、コロナがそれに付きっきりの修理。

バゴラ獣も出てこないし、氷みたいなロボも一回ぽっきりだ。
学校はずっと休校で、町のみんなもずっと復興作業。

時間が止まってるっていうか、足ぶみしてるっていうか。
あれだけ色んな事がいっぺんにあった後だから感覚がマヒしてるんだろうか、なんか違和感。

「じゃあまた明日来るなー。」

「お前は来すぎだって。」

窓から見送る賢の後姿、影が長い。もう夕方って事だ。
ビルのすき間にある夕日のほうを見上げると、なんだか変にゆらめいている気がしてしまった。
不安ではないけど、なんだろ、違和感。

「!?」

やっぱりゆらっとした気がする。それでその中になにか映ったような。
でもシンキロウなんてここらである訳がない。
結局それもよく分からないまま、その日はいまだ慣れないベッドで眠りについた。



キーン……キーン……

ただでさえ眠りが浅いのに、そこで頭にひびく高い音。
目が覚めた。午前三時とちょっとだ、早起きが過ぎる。

しかしそんな事はどうでもいいぐらい気になるのが音だ。
スリッパひっかけて、部屋を出て音のするほうに行く。
歩くのはまだ用心しろと言われてるが平気だ。いや、痛いから平気じゃないけど。

キーン……キーン……

とにかく歩くと病院の裏口に。例の音が外で鳴っている。
結構遠いんだけど、はっきり聞こえる。でも、外を見る限り特にさわがれていない。
見通しが悪いからいったん非常階段に登ろう、そうしよう。すると……

「あっ!えーと……あれだ、アイスマン!!」

山側のほう、明かりがほとんどなくて見えにくいが、あんな大きいシルエットなんて普通はない。
バゴラ獣だったらもっとデブいし、何よりあの怪獣があんなそろそろ動く気がしない。
違和感ってまた敵が来るのの知らせか!

とりあえず、動こうって意思がちょっとでもあるんなら、まず動く。動いて、動きながら考える。
走りにくいんでスリッパを脱ぎ捨て裸足ダッシュ。
そんでおなじみの貸しチャリ置き場(ボロ過ぎて借りパクすらされないやつが置いてあるというか、すててある場所)で一台拝借。

キーン……キーン……

なんであんな慎重に動いてるくせに、こんな耳障りな音を出すんだ?
と、考えてると大事なことを忘れるところだった。直接あっちいっちゃダメだって。

「『さくら建設工場』……ここだ!」

「……え……豪くん!?」

工場には明かりが付いてて、そこにはギリギリ収まってるプラグマとそれからコロナ。
いかにも今起こされたといった表情。見るにきっと夜おそくまで作業を続けてたんだろう。

「えっと、あの……」
一瞬言葉に詰まる。実を言うとあの日からまともに顔を合わせてなかったので非常に気まずい。
なんでと言われてもよく分からないけど、とにかく。



「あー、もうどうでもいい!それより今、山車山のほうにアイスマンが出て来てるんだ!」

「うそ!?…………でも反応がないよ!」
何かしらの機械をチェックしているが、はた目から見てもダンマリなのが分かる。

「でも実際見てきたんだよ、それにこの音……音?」

あれ、音が鳴り止んでいる。いつの間に?しかしそれも気にしている場合じゃない。

「プラグマは今動かせるのか?」

「九割がたは一応、大丈夫。やっぱりマグマ・ダイブが使えないけど……ちょっと待ってよ!」

「だったら決まりだ。時間は動く、あっちも動く!」

「だって、あなた良いの!?」
すぐさまハシゴで駆け上がり乗り込む俺に、コロナがついて来る。
俺は気にするなという意味も含めて包帯をほどいてから、ボクサーのテーピングみたいに巻き付けてみせた。

「良いか悪いかは、分かんない。」

「ならなんで……。」

「分かんないから、やる。やったら分かるかもしれない。やらなきゃ、多分何もわかんない。」

ブォン。グゴゴゴゴ……

「……まあカッコつけで言ったけどさ、今動けるの俺ぐらいだろ、寝てた分は働かなきゃな!」

乗って数日で、たったの一週間ぶり。でもなんか懐かしい。プラグマ、発進。



「プラグマだと……馬鹿な、もう気付いたというのか!?」

山車山。この前のバゴラと戦った場所よりさらに奥のほうだ。
山といっても滅茶苦茶低くて、さらにほとんど人の手が届いてないので、遠くまでがよく見える。
……はずなのだが見渡してもさっきのアイスマンが見つからない。

「うーん……もしかして頭がやられてんのか、俺?」

「ちょっと待って、微弱だけど反応が出てる。」

その方向。景色が一瞬揺らいだかと思ったら。

「まあいい相手になってやろう、どの道手間は変わらんからなあ!!」

現れたのはやはりのアイスマン!
暗くて見えにくいが、前のと同じように透き通った部分と、鏡のように景色が映りこんでいる部分とがある。
どういう事情か分からないまま勢いで敵って決め付けてたけど、相手も似たように思っているみたいだ。
飛んでくるのは右ストレート!

「だったらまずぶん殴って、止めて、それからだ!」

「止められるか、裏切り者の『でく』ごときに!」

「!!」

夜の山に、激しい音が響く。


つづく



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年12月08日 09:13