アルメリア王国領内を横断するように走る河川群。
豊かな水量と清廉な水質に恵まれ、多くの都市にとって欠かせない水源となっている。
とりわけ国内最大の農耕地である
穀倉都市デリンドブルグの灌漑用水となっており、
王国民の命の根幹を成していると言っても過言ではないだろう。
最上流は
フェルゼン公国との国境に接する山脈まで遡る。
山々の頂から湧き出た水は、
橋梁都市アイアントラスの直下にある渓谷、
『大断崖(グレイテスト・クリフ)』を通ってフェルゼン側とアルメリア側の支流にそれぞれ流れ込む。
このうちアルメリア側の支流から派生した河川群がフルス水系である。
広大な国土を横断する巨大な本流と、枝分かれする無数の支流で構成され、
海までたどり着くものがあれば、タマン湿生地帯と接続するものなど、
支流ごとに多種多様な生態系をはらんでいる。
アルメリア諸領にとって不可欠の水源となっているフルス水系であるが、
王都キングヒルだけは独自の水再生プラント(
キングヒル地下共同溝)を有しているため、
水源をフルス水系に依存しない、他の街々とは完全に独立した循環系を確立している。
これは戦略上極めて重要な要素である。
水系上流を敵国に抑えられた場合、最悪毒でも流されれば下流の都市は壊滅する恐れがあるが、
キングヒルだけは独自に水源を確保しているため被害を免れることができる。
水を含む兵糧攻めは古代から用いられてきた城攻めの最有効手段のひとつであるが、
キングヒルに関してはデリンドブルクの潤沢な生産量を背景にした豊富な食料備蓄と、
水源を都市内だけで完結させられるという他にない強みを持っているため、
それこそ年単位で籠城戦に持ち込むことすら可能なのである。
独自水源を持ってる国はそれだけでめちゃくちゃ強い。
将来国獲りを検討することになったときのためにぜひともおぼえておこう。
最終更新:2021年05月01日 15:23