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本にしてみよう

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匿名ユーザー

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103.君泣きたもうことなかれ

♂アサシンが我に返ると、周りには誰もいなかった。
そう、彼の大切な♀プリーストさえも。

俺は……何をしていたんだろう。彼女はどこへ行ったんだろう。
記憶をたどろうとするも、脳内に小さな羽虫がわんわんとたかっているようで思考がまとまらない。
俺たちは、そう、町に向かっていた。
彼女は怯えて疲れきっていて、ゆっくりと休める場所が必要だったから。
彼女が歩き易いように、危険を承知で街道沿いに歩いた。
そこで二人組の集団に出くわした。♀剣士と♂ノービス。
あとは断片的な記憶しか残っていない。
手練れた印象の♀剣士に狙いを定め、走った。
回避不可能な間合いまで一気に距離を詰め、両の獲物を一閃。
後頭部を狙った一撃はしかし光の壁に阻まれた。
前のめりに転り逃れようとする♀剣士を追い、更に間合いを詰めて、
振り上げた刃の先に、さらめく青の髪。両の瞳から零れ落ちる涙。

なぜ泣いているのですか。
どうか笑顔を見せてください。
貴女は必ず俺が守りますから。

そうか、彼女はヤツらに連れ去られたのだ、と♂アサシンは結論付けた。
向かう先はおそらくこの道の終点、衛星都市イズルード。


「わー、本物のイズルードにそっくりですねー!」
大声を上げてはいけないと分かっていても、♂ノービスは感嘆をもらさずにはいられなかった。
♀剣士、♂ノービスに♀プリーストを加えた一行は順調にイズルードに到着した。
この世界は忌々しいこのゲームのために作られた虚構の空間だと聞いた。
だがいざ実際によく見知った土地にくると、路傍の石の一つ一つまでもが記憶のままで、それが造り物であるとはとても信じがたかった。
懐かしい情景は、今までのことは全て悪夢だったのではないかと錯覚させた。
♂ノービスはそう思い込みたかった。が、首にかかる重みは甘い幻想を許さなかった。

「私は船を見てこよう。君は民家を当たって食料や物資を集めてくれ、少年」
「はい師匠!」
「先客がいるかもしれない、警戒は怠るなよ」
そう言い残し、♀剣士は港へと向かった。
残された♂ノービスと♀プリーストは手近な家を一軒一軒まわった。
ごめんなさい! と心で謝りつつ窓ガラスを壊して屋内に侵入し、食料や薬、武器になりそうなもの等を集めていった。

そしてそれは三軒目の探索が終わり、次の家に向かう道すがらのことであった。

♂ノービスは背後で風が爆発したように感じた。
強い力で突き飛ばされ、石畳に頭を打ちつけた。
「な……にが……?」
言いながら起き上がろうとした刹那、背後で風を切るような音がした。
反射的に♂ノービスは横に転がり、迫っていた刃を避けた。
背後を振り仰いだ♂ノービスの目に映ったのは、♀プリーストを横抱きに抱えた黒装束の男。
♂アサシンの目にははっきりとした殺意が、そして狂気が見て取れた。
「もうやめて! 殺さないで!!」
♀プリーストが泣き叫んだ。
だが♂アサシンはそれに応えず、右に付けたカタールをゆらりと頭上にかざした。
♂ノービスは呆然と、自分の頭上に掲げられた凶器をただ見上げていた

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