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025.逢いたい

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匿名ユーザー

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025.逢いたい

彼女──ブラックスミスにとって、山小屋の傍に闇ポタルされたのは幸いだった。

急いで小屋の中に身を隠し、早速、荷物の確認を行う。
食料。赤ポーション。地図。名簿。そして、青く塗装された古めかしい箱がつ。

「──うん、まずはこの箱が大事だよね

こんな境地に立たされても、彼女は冷静で、賢明であった。

独り言を呟き、大きい方の箱を開けてみる。
──ぼろマント個、獲得。

「これは……当たり、なのかな?」

魔法防御力が上がると云われる、このマント。
ウィザードや、マジシャンの攻撃から身を守るのには良いだろう。
所々に虫食いのような穴が空いたそれをさっと羽織ってみると、煤けた匂いがした。

「うん、悪くないかもね。次、次っと

今度は、小さい方の箱を手に取り、蓋を開けてみる。
中に入っていたのは、ひとかけらの鋼鉄だった。

「何もこんなときに……」

その言葉。単に、この殺し合いゲームに適したアイテムではなかったからではない。

こうした鉄の塊を見ると、あの人のことを、思い出す。
いつもプロンテラの街で自分の銘入りの武器を売っていた、鍛冶屋の、あの人のこと。
全てのポテンシャルを戦闘に費やした私とは対照的に、あの人は、腕のいい鍛冶屋だった。

こっそり隣で露店出したりしたっけ。
偶然のフリして、「また会ったね」なんて会話もした。

でも、本当はずっと追いかけていた。あの人の、こと。

白い服の女性に説明を受けているときには気付かなかった。
でも、闇ポタルされたとき、ほんの一瞬だけ、ポタルの光に飲まれていくあの人の姿が見えた気がする。
気がする、じゃない。見えた。夢にまで見た姿だ、間違いない。

あの人も、この馬鹿馬鹿しいゲームに参加させられているのだろうか。
今、どこにいるのだろう。まだ、生きているだろうか。それとも既に誰かに──

「……いけない、そんなこと考えない!」

ブラックスミスは大きく首を振って、自らの思考を遮った。

冷静になれ。

「──そうだ、武器を確保しなくちゃ

防具だけでは、話にならない。
誰かを傷つける目的ではないにせよ、敵から身を守るためには武器が不可欠という判断だった。

小屋の中を物色する。
長身を生かし、上の方の棚から、見つけたもの。

「……よし、これなら私にも扱える──」

それは、一振りの包丁だった。
ケースを腰のベルトに括りつけ、そこに本体を刺す。

「これでオーケイだね

腰に両手をあて、一息つく。
後は──

あの人を、見つけるだけ。

あの人を、見つけられるだろうか。
もし、無事にあの人に出会えたとしても、あの人は私を信頼してくれるだろうか。

不安が過ぎる→よぎる。が、悩んでいても仕方が無い。

再びずた袋を背負い、ブラックスミスは小屋を後にした。


<♀ブラックスミス 包丁1個、ぼろマント1個、鋼鉄1個 獲得>

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