SF百科図鑑

Christopher Priest "Fugue For A Daekening World"

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September 13, 2005

Christopher Priest "Fugue For A Daekening World"

第2長篇
未来の英国。中国などが流した核兵器でアフリカに戦争が起こり、難民が流出、英国にも多数のアフリムが流入する。人権を主張する彼らを政府は弾圧し、英国は内戦状態に突入。主人公はロンドンの大学に勤務し、妻と娘のいるアラン・ホイットマンという男。治安維持のため、男の住む一角にバリケードが築かれる。男は、妻子を連れて家を捨て、妻の実家に向かうも、検問やら自警団に阻まれ右往左往、もともと妻と不和状態であったのが悪化し、娘を連れ自分はロンドンへ、妻は実家へ向かうことになり別れた。だが、すでに自宅近郊はアフリカ人の手に落ちており、ラティーフという男の率いる集団に参加、そこで妻とも再会する。しかし、ある日妻子はアフリムの一味に連れ去られてしまう。主人公はラティーフとともに集団を率いるものの途中で離れ、妻子を探す。娼館にいるといううわさを聞き、ようやく探し当てて救出に成功する。
&&というあらすじだが、構成が変わっていて、現在、未来、過去の3つの時点のストーリーが交互に一人称で語られて対比されている。上記のあらすじは終盤になって3つのストーリーがひとつにつながるときに初めてはっきりする。
内戦でアノミー状態となった荒廃した英国の描写もさることながら、妻との出会いから不和、別れ、救出という「夫婦の危機」をオーバーラップして描写したことで、主人公の心理の動きをよりリアルに描くことに成功している。佳作である。

テーマ性 ★★★★
奇想性  ★★★
物語性  ★★★
一般性  ★★★★
平均   3.5
文体   ★★★★
意外な結末★★★
感情移入 ★★★★
主観評価 ★★★1/2(35/50)
silvering at 19:44 │Comments(0)読書
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