オースン・スコット・カード「目には目を」 - ＳＦ百科図鑑

２００１年

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カード「目には目を」★★★★★
さすがだね、超能力／ミュータントものを書かせてもこの力量。怒りのエネルギーを生体電気として他人に放射し癌にする、というアイデアはそれだけ聞くと笑ってしまうが、この作者の手にかかるとリアリティを持ち凄い迫力である。特に、ミュータントの一人称で、心理の襞にまで抉り込む文体が効果をあげている。途中、聖書の話が出て「一族の長」と議論をするあたりはやや退屈だが（さすがモルモン教徒）、その後ラストまでのアクションの連続するスピーディな展開と、「癒しの力」を発見するに至るくだりは見事の一言。一介のノヴェラにとどめておくのは惜しい。シリーズ化に耐える厚みのあるアイデアだ。是非、この話の続きを読みたい。