SF百科図鑑
チャールズ・シェフィールド「わが心のジョージア」
最終更新:
匿名ユーザー
2001年
6/8
シェフィールド「わが心のジョージア」★★★★★
名作。19世紀の「分析エンジン」開発者の手記を読むうちに、分析エンジンの消えた先に異星人の影が&&という話。ミステリ仕立ての前半から「地球に宇宙人は来ていた」の後半への流れが素晴しくうまい。しかしながらこの作品は現実に異星人は登場せず、異星人と分析エンジンがある土地として数値データから算出された南ジョージアの島へと複数のグループがいっせいに向かう&&という皮肉な結末で終わる。つまり、文明批評であり、科学批評であり、SF批評にもなっているから、一種のメタSFともいえる内容になっている。終盤のほろ苦い静かな感動を呼ぶ筆致は素晴しい。90年代の最高作の一つでしょう、間違いなく。当然ながら、ヒューゴー/ネビュラ両賞受賞です。